モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

油彩もマスター!?

2025-02-19 23:48:12 | 大人 油絵・アクリル


秦野 油彩

ナツメです。今回は水曜夜間クラスの秦野さんの作品を3つご紹介します!以前はキャンバスボード(表面に布目のような凹凸加工を施したボード)にアクリル絵の具で描かれていた秦野さんですが、近頃は油彩に挑戦されています。

まずは広々としたのどかな空気感が心地よい一枚。川面にはわずかに波が立ち、流れの動きを感じさせます。遠くには太陽に照らされた家々が並び、自然の中に人の暮らしが溶け込んでいる様子が伺えます。
特徴的なのは、色彩の使い分け。一度全体を青で塗り、その上に空や水面の色を重ねることで、微妙なニュアンスが生まれています。空には紫寄り、川にはわずかに緑寄りのトーンを採用することで、画面の統一感の中にも変化が感じられます。また、遠景をぼんやりとさせつつ、手前の草はコントラストを強くすることで、手前から奥への空間の広がりが巧みに表現されています。青の影の扱いも見事で、遠くにいくにつれて明暗差が穏やかになり、遠近感がより一層引き立っています。

二枚目の左の作品は、ご自身で撮影された写真をもとに、緑豊かな街並みとおしゃれなアーチが印象的な馬車道を描かれました。こちらも上の作品と同様青をベースに全体的に寒色寄りになっており、整然とした街の雰囲気が漂います。
どの程度まで細部を描き込むか悩まれていましたが、ラフなタッチを残すことで、画面全体のバランスが保たれています。また、手前の点字ブロックや横断歩道をあえてぼかすことで、視線が自然と車のある奥の空間へと向かうように工夫されています。
影の中にさりげなく入れられた鮮やかな青や赤紫のアクセントも効果的で、静かな画面の中に心地よい緊張感をもたらしています。

三枚目、右の作品はデフォルメの効いたモチーフが楽しい静物画。黒い輪郭線が画面を引き締め、遊び心が感じられるポップな一枚です。
形の省略と強調が絶妙なバランスで組み合わされており、りんごやポット、瓶のフォルムがシンプルながらも存在感を放っています。特にガラス瓶の厚みや光の反射の表現が巧みで、デフォルメされた形の中にもリアルな質感が生きています。
また、背景の青も単なる無機質な空間ではなく、ガサガサとした筆のタッチを残すことで画面全体に活気を与えています。デザイン的な要素と絵画的な表現の融合が見事です。

三つとも色の使い方や構図、質感の表現に工夫が凝らされており、それぞれ異なる魅力を持っています。油彩ならではの絵の具の深みが活かされており、秦野さんの技量の光る作品となりました。

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時間と絵の具を重ねて

2025-02-19 00:09:36 | 大人 イベント


晴花 高1 油彩

サヤカです。春の長期休みを活用して、大阪旅行に行き、太陽の塔を見て来ました!50年以上前のアートとは思えないほどの存在感に圧倒されてしまいました…!さて、今回は学生クラスの晴花の作品をご紹介します。

ブログ執筆中に私の携帯を覗き込んだ友人たちは、「え!?写真かと思った!」と感激していました。確かに写真と見間違うほど、カエルの立体感やぺたっとした質感が忠実に表現されていますね。指先の吸盤がぷっくりと半透明になっているところまでよく観察して描けています。また、背景にも工夫が伺えます。まず、手前の葉っぱに水滴を描くことで、カエルと背景の親和性がより高まっています。加えて、手前と奥に描き込みの差をつけることで、画面の主人公であるカエルに自然と視線が誘導されます。緑中心の画面ですが、まったくつまらない印象になっていないのは、とても素晴らしいです。

小学生クラスの時に何枚も油絵を描いている晴花ですが、学生になってから久し振りのチャレンジに、油絵の具の扱いが思ったようにいかず翻弄されていた様子でした。
アトリエの油彩道具をレンタルなのをいい事に?これでもかというほど、絵具を盛っています。毎回、物凄い色数の緑を作り、大量の絵具を消費し、イメージと違えば惜しげもなく残し(使わず捨てる)…という豪快に見える制作風景でしたが、小原先生曰く「晴花は小さい時から不器用だから、なんでも人の倍の時間・画材が必要。失敗も人の倍するが、それでめげることもない。」そうです。作品から、晴花がしっかりと時間をかけてモチーフの向き合ったことが伝わって来ます。これからも晴花の作品を楽しみにしています!

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