モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

立体への意識

2025-02-26 21:33:24 | 大人 パステル・色鉛筆・他


出町 水粘土

暖かい日も増えてきましたね、ナツメです。本日は水曜大人クラスより、出町さんの立体作品、ご自身の手をモチーフにした水粘土の彫塑作品をご紹介します!

【粘土】というと紙粘土や油粘土を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、今回使用したのは【水粘土】。私も大学一年の頃に彫塑の授業で使ったことがありますが、一般的にはあまり馴染みがないかもしれません。その名の通り、水と土を混ぜて作られた粘土で、制作中にひび割れしにくく可塑性に優れくっつきが良いため、ひな型や試作品などの原型として扱われれ繰り返し使用できるのが特徴です。乾燥すると固まりますが割れてしまうので、そのまま作品として取っておけるものではありません。

まず針金と木材で芯を作り、その上に粘土を貼り付けながら肉付けします。写実彫塑の場合、形のイメージをしっかり持ちながら、少しずつ粘土を足して作り上げる必要があります。そのため、単に形を作るだけでなく、手の構造を意識しながら進めることが重要になります。
出町さんは非常に丁寧に観察しながら制作を進めていたため、手の厚みや肉感の表現がとても巧みで、指のわずかな動きやポーズにも繊細なこだわりを感じます。ただの肉の塊ではなく、「手首から指先へと骨が通っている」という意識があるからこそ、作品にリアリティが生まれているのでしょう。 

立体作品の難しさの一つは、360°どの角度から見ても自然な形にすること。一方向から見たときにはバランスよく見えても、別の角度から見ると歪んでいる…ということがよくあるのですが、何度も角度を変えて見比べながら作られたため、写真のように手の立体感が見事に表現されました。

私が授業で彫塑の制作をした時も、一度立体を作ることでものの構造への理解がぐっと深まりました。特に手のような複雑な形は、実際に作ることで「どの部分がどのように厚みを持ち、どこがへこんでいるのか」といった感覚が掴みやすくなります。出町さんも今回の制作を通して、手の立体的な構造について新たな発見があったのではないでしょうか。今後手を描く際にも、今回の経験が活かされていくことと思います。

最後にオマケですが、武蔵美の彫塑の授業風景の紹介はこちら

コメント
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