モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

1つ1つに祈りを込めて

2023-07-07 22:26:01 | 大人 油絵・アクリル


阿出川 油彩 三連作

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは阿出川さんの油彩作品です。Sサイズ(正方形)のキャンバスを3枚並べた連作です。

こちらの作品は、阿出川さんの娘さんへ贈り物として制作されたそうです。小さな黄色い車は娘さんが実際に乗られている車なのだそうで、緑の道を左へと向かって走り出しています。絵画や映像作品では、右は過去・左は未来へと時間の流れが表現される事が多いですが、阿出川さんの作品も今まさに娘さんが未来へと向かっている場面ですね。右の1枚目では緩やかな坂道が続き、真ん中の2枚目の作品では最も高い山となり、最後の3枚目では緩やかに坂がくだっていきます。緑の坂道はきっと人生の困難を表しているのでしょう。山を越えた先の未来には、まるで道標のように1本の木が立っています。当てもなく闇雲に進むのではなく、明確な目標に向かって進む事で、困難の山を乗り越える事が出来るのだと思わせてくれます。
画面に広がる青空の優しいグラデーションは、観る者の心を穏やかにしてくれるようです。この柔らかな青色は、娘さんの出発を見守る阿出川さんの心象が表れているのでしょうか。雲の形も、右側の波打った形から左に行くにつれ段々と落ち着いた形となっていっていきます。決して沢山のものが描かれている訳ではありませんが、描かれてる1つ1つが意味を持って作られています。無駄なものがないからこそ、人々の目に留まり関心を寄せられるのでしょう。(阿出川さんが作品を持ち帰られた後、幼児クラスでも「あの空の絵はなくなちゃったの?」と聞かれていました。それだけ幼児の印象にも残るものだったのでしょう。)
娘さんへのエールが込められた優しい作品ですね。

また、1枚ずつ細かく見ていきますと、右の1枚目の道は登り調子、真ん中2枚目の山は漢字の八の末広がり、左の3枚目の木は右肩上がりになっているなど、縁起の良い構図で作られています。風水のことも考慮して、小枝を一つとっても運気が上がるような祈りを込められているのですね。これから先の娘さんの人生に、この優しい風景が阿出川さんの想いと共に寄り添ってくれるのでしょう。


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