モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

光の感じ方を描く

2025-02-11 21:54:12 | 大人 油絵・アクリル


香月 油彩

サヤカです。2月になり、本格的な寒さになってきましたね…!本日は、大人クラスの香月さんの作品をご紹介します。

旅先で見た景色やご家族の姿を描かれることが多い香月さんですが、今回はご自身で撮影された風景写真を元に制作されました。こちらの2枚はF20号(727×606mm)という少々大き目のキャンバスですが、早描きの方なので、あっという間に完成させてしまわれました。(ご自宅に持ち帰って描くことももちろんあります。)前回のブログで岩田先生がアップしたのが11月25日ですから、お休みの多かった年末年始の2ヶ月で2枚完成されたことに驚きを覚えます。

左の作品は、石垣に這う根っこと奥から差し込む光の力強さが印象的な作品です。コントラストがしっかり描かれていて、光の強さが表現されています。描き込みも素晴らしく、画面全体のバランスが取れているので、画面右側のより手前に強く伸びている根っこが勢いづいています。また、階段の端に積もった木の葉が、まるで光の道筋のようで、階段を登った先にある景色への想像力が膨らみますね。

右の作品は、先ほどの力強い光とはうって変わって、夜の静けさの中の光を描いています。その他の背景の彩度が下げられているため、街の煌めきと月の静かな灯りに目を引くことができています。水平線を画面のどの高さに置くかによって、印象がかなり変わります。低い位置に置くと、開放感ある印象になりますが、香月さんの作品は真ん中に水平線を置いていて、まるでこの景色を、自分の目で見ているような実感が沸きます。

どちらの作品も光が印象的ですが、香月さんがこの景色を見た時の心の揺れが光の表現にも反映されているように感じます。生き生きとした表現力で、見た人を引き込む作品ですね!次回の香月さんの作品も楽しみにしています!

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幼児の埴輪vs.中学生の埴輪

2025-02-10 23:07:44 | 幼児


幼児クラスの埴輪

オバラです。先週は大竹先生が風邪でダウンでしたので、久し振りに私が幼児クラスを担当しました。「よーし!幼児クラスでも埴輪の制作にしようっと!」しかしカラー粘土は少量しか余っていなかったので、白ベースで作りました。
せっかくなので中身がどうなっているかも、写真でお見せしましょう。下の写真左上にあるように、トイレットペーパーの芯の上部に切り込みを入れて、先端を丸くしています。そこにビニール袋をかぶせ、粘土と相性の良い紙の芯がくっついてしまうことを防ぎます。そのビニール袋の上から、薄く伸ばした粘土を貼り付けているのが下の写真右上。粘土同士の接続部分には、水を多めに付けてどべ(粘土の糊)状態にすれば、割れることがありません。

目や口の部分は凹ませたり穴を空けましょう。写真下段中央。形ができたら他の色の粘土で何を付けようかな…?みんな生き物を作りましたが、マズル(口吻-こうふん)を付けさせたので、イキイキして見えますね。子どもの作る立体動物はのっぺりした顔になりがちですが、出っ張ったマズルが重要なんです。私は幼児だからって好きなようには作らせないぞ!

こちらは変わって女子中学生5人の埴輪。「階段にみっちりある埴輪、私も作りたーい!先生粘土余ってない?」「えー?じゃあアタシも作るー!粘土少なかったらちっちゃいのでも良い。」と1時間位でワイワイ作り上げた作品。さすがに上手いな。騒がしいけど。

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外と内、部分と全体

2025-02-08 22:23:34 | 大人 パステル・色鉛筆・他


中山 左-色鉛筆 / 右-透明水彩

岩田です。今回は、中山さんの作品をご紹介します。
最初のデッサンを一通り終え、さて次から何をしましょうとなって、以前からやりたいと思っていた人物を描くことにチャレンジをし始めました。

初回は、左手の色鉛筆を使った作品。ファッションモデルをモチーフに、あっという間に描き上げました。
その前に描いていたデッサンを見ていても、躊躇なく手が進み、形の狂いなどもさほどなく、スイスイと描き進めるタイプの方と認識していましたが、色鉛筆になると、更に細部へのアプローチも見られ、鉛筆以外の描画材を柔軟に使いこなす器用さも持ち合わせていると感じます。
右手の透明水彩の作品に関しても同様、積極的に明度の低い色や鮮やかな色を置き、初めてながら実に楽しんで描いているのが見て取れます。

特にここ最近土曜日のクラスでは、人物を描けるようになりたいというニーズが多いような気がしています。確かに静物や風景と比べても、同じ人間として思い入れを感じやすく、描いていて面白いモチーフだと思いますが、それだけに、ちょっとした構造的なバランスの違いにすら、鑑賞者側に立つと気になってしまうものです。

人物や生き物に関してはもちろんのこと、モノを描く上では、目に見える外側だけでなく、目に見えない内部への意識、部分だけでなく、大きく全体を捉える意識といった、双方向への見方が大事になってきます。

中山さんも是非これから、構造、特に人物を作り上げる土台となっている「骨格」がどのようなものなのか、ということにアプローチしながら、更にリアリティのある人物画を描いていって欲しいです。

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主役を引き立てる影

2025-02-07 20:25:07 | 大人 水彩


釘宮 透明水彩

サトルです。今日は僕の担当している日曜クラスの釘宮さんの作品を紹介します!

晴れの日の美しい光の差し込む浅草寺と、参拝客が緻密かつ軽やかに描かれていますね。とても情報量の多い風景で、参拝客を一人一人描くだけでも非常に時間のかかる大変な題材です。賑わいを表現する為にここまで沢山人を描かないと行けない時、焦って雑になってしまいがちですが、釘宮さんはデッサンの段階から計画的に描かれていました。水彩画を写実的に描く際、油画やアクリル画の様に途中で形を変えることが出来ないので、デッサンのクオリティが作品の完成度に直結します。完成した作品からはわかりませんが、参拝客以外の部分の下描きがとても丁寧に描かれており、そのおかげで宝蔵門や看板の文字まで絵具で細かく仕上げることができました。

門に差し込む光が美しく描かれています。光を描くということは影を描くということです。美しい光を描くためには美しい影の色が必要です。門の影の色に注目してください。正面の柱は強くはっきりとした色で影を描き、それに対して門の奥、提灯左の柱などは背後から差し込む光を紫に近い色にして、奥行きのある表現がされています。また、最も太陽に近い位置の屋根を少々はっきりと描き過ぎてしまった為、青と白の瓦の対比を最後に洗い流しました。そのおかげで主役となる提灯が手前に感じられて立体感が出たのです。

この作品を見た時まず主役となる提灯や手前に描かれた参拝客のクオリティに目が行くのですが、それは主役を引き立たせる影の表現がとても繊細に描かれているからです。緻密で美しい表現がこの作品の一番の魅力ですが、それを活かす絵全体の組み立てが釘宮さんはとても上手です。デッサンから焦らず時間を掛けて絵作りしたおかげで完成した素晴らしい作品ですね。

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白土の役割

2025-02-06 22:19:45 | 小学生 工作

寒波を理由に布団にくるまってます、かさねです。月曜から続き、小学生クラスのみんなが作った埴輪を紹介していきます。

導入では、小原先生が埴輪についてお話をするところからスタート!(詳しい埴輪の歴史は、火曜日の大志先生のブログをチェック
「知ってる人〜!」という質問に、ほとんどの人が手を挙げていて驚きました。小学校で古墳を習うのは6年生なのに!聞くと、どうぶつの森などのゲーム(動物以外に、埴輪も36種類集められるらしい)やアニメ(はに丸は小学生の親御さんが世代?)を通して知っていたらしく、キャラクター化されて案外日常でも見かけるものなんですね。それだけ日本人には愛着が湧く造形なのだと、改めて見入ってしまいます。

今回埴輪づくりで使った粘土は、昨日のひとみ先生のブログでも詳しく書いてありましたが、初めて触れる丈夫な粘土!なので触り心地や匂いが珍しかったのか、粘土がついた手を眺めたり、「変な匂い~」と嗅いだりしている子が多かったです。中には「良い匂い!」と気に入る子もいました。(パン種を発酵させた酵母のような匂いです。)乾けば雨に濡れても大丈夫になるほど強く密度の高い粘土なので、ほぐしたりくっつけたりが難しいのですが、それぞれが粘土ベラや水を使い工夫していました。

最初は、黄色、赤茶色・黒色の3色から取り掛かりました。トイレットペーパーの芯でつくった筒型の土台にどんどん粘土が乗っていき、剣士、うさぎ、山や恐竜などみんなの面白い発想が形になっていく様子はとてもワクワクしました!設計図通りにいかなくても、うまく粘土が扱えなくても、みんな目の前の粘土に合わせて柔軟に手を動かしていきます。そしてまずは1日目、3色での埴輪が完成!これだけでも十分個性的で存在感を放っています。

ちなみに粘土が乾ききらぬ翌日に、中の芯とビニールは抜き取ります。(本人たちは1週間に1回のみアトリエに来るので、先生たちの仕事。)カチコチになると、固いトイレットペーパーの芯が抜きづらく過剰な力が必要な為、割れてしまう事があるからです。

芯を抜いて内側からも乾かしていきます。穴も開いているので、通気性も良いですね。そうして1週間乾かしたら、最後は白色の粘土で仕上げです!白色の粘土の使い方は特に個性が出てて、埴輪本体をゴージャス・カラフルにする為にたくさん使う子もいれば、何体も眷属(けんぞく=従者?手下?脇役?)を作る子など。前の週でつくった埴輪の世界観がさらにパワーアップし面白かったです。
ちなみに一気に白の粘土まで使わせなかった理由は、白土粘土だけ異常に固く芯材にくっつきにくかった&カラー粘土と同時に使わせると、子どもは面倒くさがって手を洗わず白が汚れる。というものです。

白土を付ける週に欠席してしまい、カラー粘土だけの作品↓ 白が入ると急に見栄えがしますね

毎週「今日は持って帰れる!?」と聞いてくる子も多かったので、今週ついに持ち帰れる際のみんなの顔が嬉しそうで、見るのが楽しかったです!

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埴輪の能力

2025-02-05 22:37:10 | 小学生 工作

最近は子供たちの制作意欲に影響され、作品作りに没頭中のひとみです。

月曜日から返却をしているので、もう持ち帰られたお子さんも多いと思いますが、埴輪作りの様子をお話しようと思います。
今回の埴輪作りで使った粘土は、小学生が馴染みのある紙粘土や油粘土より少し硬めのもので、子供たちは伸ばすのに大苦戦!水を少量つけて粘土をくっつけるのですが、中々に調整が難しくべちゃべちゃになってしまう子や逆に足りないせいでひびが入ってしまう子も。普段使わない粘土だと硬さの感覚だったり水加減が違うので、伸びない・つぶせない・ちぎれやすいetcやはり苦戦はしますが、新鮮な体験だったと思います。しかし子供たちのすごいところが、最初は戸惑っていても一緒にやるとすぐにコツを掴んでさくさく作り上げるところです!上手くならしたり、くっつけられると「見てみて上手くできた!」とニコニコしながら見せてくれて、こちらまで嬉しくなります。

完成形が見えだすと、みんな想像力がどんどん湧いてくるのか、埴輪に名前をつけたり、性格やどんなスキルを持っているのか(例えば身長を越える跳躍力がある・とてつもない腕力を持っているなど)教えてくれる子がたくさんいました。また、近くの子同士で「こんな能力っぽいね!」など話していて、自分の考えを共有し合っているところを見ることができました。今回の授業では枠に囚われない、発想力の展開を子供たちは感じることができたようです。

また授業前の様子としても、アトリエに早めに来ている子供たちが階段に並ぶ埴輪たちを見て「この子可愛い!これは何?すごい!」などと、他の子の作品もじっくり見ていて楽しそうにしていました。全員分の埴輪たちが並んであると、一人一人違った個性がよく分かり、子供たちが興味津々になるのも納得でした。

保護者の皆様、お子さんが作った埴輪の名前や能力、お気に入りの箇所を質問すると、きっと喜んでお話してくれると思います!是非作品を見ながら聞いてあげてください。

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埴輪ブーム

2025-02-04 22:54:23 | 小学生 工作

年末にブログを書いてからもう1ヶ月が過ぎてしまったなんて、あっという間で驚きです。お久しぶりです、河原です。

昨年末、東京国立博物館で【挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」】と、東京国立近代美術館で【ハニワと土偶の近代展】が開催されていましたが、今は九州国立博物館で【はにわ特別展】が開催されているのをご存知ですか? 東京国立博物館で飾られていたものを、今度は九州で展示中なのです。なぜ今【埴輪】がブームなのかと言えば、昨日の小原先生のプログにあったように、国宝指定50周年ということで、国を挙げてチヤホヤ?しているのです。今から1750年ほど前、古墳時代の350年間、時期や地域ごとに個性豊かな埴輪が作られたという古い歴史ながら、現代でも通じる愛くるしさを持つ【はにわ】。ブームに便乗して、小学生クラスでも歴史を勉強してから製作することになりました。 ユーモアと発想力を活かした個性豊かな【はにわ】たちをご紹介しま〜す。 

まず、形の基礎となる土台をトイレットペーパーの芯を使って紙工作。 
はにわの中は円筒(中が空洞)なので、後でトイレットペーパーの芯を取り外す必要があります。どのようにすれば後で取りやすくなるのか、粘土を使う前に考えなくてはなりません。そこで、見本と見比べながら試行錯誤し、工夫して取り組んでいきました。 
みんなソワソワ、早く粘土を触りたい気持ちを抑えているのがすごく伝わってきました(笑)

さて、いよいよ待ちに待った粘土の時間です! 
今回は、素焼きではなく「焼かない陶芸」という自然乾燥で陶器のように固まる特別な粘土を使用しました。(粘土の商品名などは、昨日のブログを参照ください。)赤茶・黄土・黒土・白土の4色販売されています。これによりさまざまな色を組み合わせた埴輪を作ることができます。 
頭の中で思い描いていた理想のはにわを目指して一斉に作業開始。 中には、シャチ(シャチホコ?)のはにわや、カニ・クワガタの形をしたはにわなど、驚きのアイデアが次々と誕生!最後に、仕上げとして目や鼻、口の穴をストローで開けていきます。 目をたくさん開けてみたり、口を大きく開けてみたり、開けた穴に違う色の粘土を入れてみたりと、それぞれが工夫を凝らしました。 

制作期間中、階段にずらりと並べられたはにわを見て、通りかかった方々も興味津々の様子でした(笑)

この授業では、はにわ作りを通して日本の歴史を学ぶことができ、とても有意義な時間になったと感じています。実は私も、生徒たちの楽しそうな雰囲気に影響され、個人的に粘土を買ってはにわ作ってみたりしました(笑) 
みんなにはミオスでの経験を糧に、柔軟な発想を形として残せるクリエイティブな人になってほしいと思っています! 今年もよろしくお願いします!

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結界を張る埴輪

2025-02-03 11:54:35 | 小学生 工作

埴輪が国宝に指定されてちょうど50年。ミオスではそれにちなみ1月のカリキュラムで『はにわ』を作りました。埴輪は王などの古墳の外側に立てて並べられた素焼きの土製品です。一説によると、墓の周りに結界を張る為(聖域を画し、邪を払う機能=古墳に邪悪なものが入り込むことで埋葬された死者が荒ぶり、人々を苦しめないようにする為)に置いたのではないかとも言われているそうです。

粘土細工と埴輪制作の最大の違い、なんだか分かりますか?
『空洞であること』です。 素焼きの陶芸のようなものなので、粘土が均一の厚みでないとなかなか乾燥しないだけでなく、窯の中で破裂するおそれがあります。 また本当の埴輪は、小学校1年生くらいの身長がありますから、空洞にしないと粘土も大量に必要になりますし、重すぎて運べなくなってしまいますね。
特徴その2は、空洞であることを活かし、目や口に穴を空けています。それが素朴でゆるい表情を作り出し、魅力となっているのです。
今回は焼成しなくても、雨にあたっても大丈夫なテラコッタ状態になる粘土を使いました。庭の植木や、室内の観葉植物の横に置いてあったら、コロボックルのようにも見えて、とってもかわいらしいですね!

ユーチューバーのりきんが、全員分のはにわを一挙にご紹介。YouTubeはこちら

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良い絵だなぁ

2025-02-01 19:14:31 | 大人 油絵・アクリル


服部 油彩

岩田です。今回は、服部さんの作品をご紹介します。

こちらは、外国にいらした時の風景を描いたもの。夕暮れ時、日が沈みかかった空。ほの暗闇を背景に浮かび上がるトラムの電線が空を切り分けるような面白い景色を作り上げています。

下塗りをし、地面は先ずはナイフで絵の具を盛り、トラムの線路や街中のあれこれを立体的に仕立て、色を塗り重ねました。対して空は、筆を使い何層にも絵の具を重ね、雲のこんもりとした雰囲気を表現。プルシアンブルーやネイビーブルーを中心に、手前から徐々に奥へと繊細なグラデーションを表現しました。

雲と夕焼け、それらが夜の暗さに段々と侵食されていく、ほんの僅かなひと時。オレンジ、ピンク、黄色といった暖かみのある色と白、そして寒色が渾然一体となったその美しさを作者は、旅先のその場にドリップしているような感覚でキャンバスに筆を運んでいたのかもしれません。

夕暮れを眺めながら、ただ一言「今日も豊かな一日であった」、見ていると、そんな言葉が胸の中に去来するかのような1枚。

見れば見るほど、あぁ良い絵だなぁと感じさせる作品であります。

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