10日の産経が「金正日重体」を報じてから、世界のメディアの関心は北朝鮮に釘付けだ。自民党総裁選は国際的にはいよいよ影が薄くなった(もっとも、海外メディアはこんな茶番は端から相手にしていないか)。
核施設の無力化作業停止を発表したあたりから、北の行動の振幅が大きくなったように感じる。将軍様の決済が降りず、軍と党のバランスが崩れたため、と考えると合点がいく。一時は重体だったのだろう。
《韓国大統領府は10日夜、北朝鮮の金正日総書記(66)が「脳血管疾患による脳卒中から回復中であり、現時点で深刻な状況ではないとみえる」と発表した。北朝鮮内では人民軍も含め特異な動向はないとしている。李明博大統領が招集した関係閣僚会議での報告を受け、明らかにした。
これに先立ち、韓国の情報機関、国家情報院(国情院)の金成浩院長は10日、非公開で行われた国会情報委員会で金総書記の病状について報告。出席議員によると、金総書記は外出はできないものの意識はあり「特に不安定な状態ではない」と説明。北朝鮮の統治体制に空白状態は生じていないとの見方を示した。
しかし、聯合ニュースによると、出席議員の1人は「手術後、容体は随分好転したが一部に言語障害があり、身体の一部にまひ症状が残っていると聞いた」と語った。
同ニュースは、金総書記が8月中旬以降に循環器系統の異常のため外国の医療陣により手術を受けたと伝えている。
国情院の報告によると、韓国政府は8月中旬に健康悪化の情報を入手したという》=共同=
現時点で北の情報を最も的確に掴んでいるのは韓国である。上記報道の確度は高いと見ていい。それにしても、解せないのは共同通信だ。ピョンヤンに支局を開設して2年、一体何をしておるのか。常駐記者はおらず、地元通信員(政府or党関係者?)からは公式見解以外は伝わってこない。支局といっても「日朝国交正常化後への布石です」ということなのだろう。
それはまだいい。いま、共同のトップらが北朝鮮に滞在しているのに、ピョンヤン電が何もないことをいぶかっているのだ。編集局長や記者も入っているだろう。要人とも会っているはずだ。「日本をはじめ、外国では総書記の死亡説まで流れています。きちんとした情報を発信しないと誤解を招きますよ」ぐらいのことは伝えているのでしょうね。肝心のときに何の役にも立たない支局では、痛くない腹を探られても仕方ない。
本題に戻る。糖尿病に脳卒中、もはや将軍様はいつお隠れになってもおかしくない。その意味では早大教授にして北朝鮮ウオッチャーの重村智計が先月の「週刊現代」で「金正日はすでに死んでいる」と述べているのは半分正しいだろう。
問題はその後だ。
韓国メディアは《「金敬姫・張成沢氏の支援を受けている金正男氏」対「高英姫、リ・ジェガン氏の後光を背負っている金正哲(キム・ジョンチョル)氏の権力対決構図》=中央日報=などと伝える。
東京ディズニーランド潜入を試みた正男は勇敢でいいかもしれない。正哲はスイス留学で知性を磨いた。どちらが後を継いでも金王朝は万全だ 。北朝鮮国民をはじめ、世界の誰もがそんなことは考えていまい。
ルーマニアのチャウシェスクやアフガニスタンのナジブラの最期が目に浮かぶ。八つ裂きにされたナジブラの写真には目を覆うしかなかった。正日死去が北朝鮮大動乱の始まりになるのは間違いない。
日本にそのときへの備えは………。まるでない。
核施設の無力化作業停止を発表したあたりから、北の行動の振幅が大きくなったように感じる。将軍様の決済が降りず、軍と党のバランスが崩れたため、と考えると合点がいく。一時は重体だったのだろう。
《韓国大統領府は10日夜、北朝鮮の金正日総書記(66)が「脳血管疾患による脳卒中から回復中であり、現時点で深刻な状況ではないとみえる」と発表した。北朝鮮内では人民軍も含め特異な動向はないとしている。李明博大統領が招集した関係閣僚会議での報告を受け、明らかにした。
これに先立ち、韓国の情報機関、国家情報院(国情院)の金成浩院長は10日、非公開で行われた国会情報委員会で金総書記の病状について報告。出席議員によると、金総書記は外出はできないものの意識はあり「特に不安定な状態ではない」と説明。北朝鮮の統治体制に空白状態は生じていないとの見方を示した。
しかし、聯合ニュースによると、出席議員の1人は「手術後、容体は随分好転したが一部に言語障害があり、身体の一部にまひ症状が残っていると聞いた」と語った。
同ニュースは、金総書記が8月中旬以降に循環器系統の異常のため外国の医療陣により手術を受けたと伝えている。
国情院の報告によると、韓国政府は8月中旬に健康悪化の情報を入手したという》=共同=
現時点で北の情報を最も的確に掴んでいるのは韓国である。上記報道の確度は高いと見ていい。それにしても、解せないのは共同通信だ。ピョンヤンに支局を開設して2年、一体何をしておるのか。常駐記者はおらず、地元通信員(政府or党関係者?)からは公式見解以外は伝わってこない。支局といっても「日朝国交正常化後への布石です」ということなのだろう。
それはまだいい。いま、共同のトップらが北朝鮮に滞在しているのに、ピョンヤン電が何もないことをいぶかっているのだ。編集局長や記者も入っているだろう。要人とも会っているはずだ。「日本をはじめ、外国では総書記の死亡説まで流れています。きちんとした情報を発信しないと誤解を招きますよ」ぐらいのことは伝えているのでしょうね。肝心のときに何の役にも立たない支局では、痛くない腹を探られても仕方ない。
本題に戻る。糖尿病に脳卒中、もはや将軍様はいつお隠れになってもおかしくない。その意味では早大教授にして北朝鮮ウオッチャーの重村智計が先月の「週刊現代」で「金正日はすでに死んでいる」と述べているのは半分正しいだろう。
問題はその後だ。
韓国メディアは《「金敬姫・張成沢氏の支援を受けている金正男氏」対「高英姫、リ・ジェガン氏の後光を背負っている金正哲(キム・ジョンチョル)氏の権力対決構図》=中央日報=などと伝える。
東京ディズニーランド潜入を試みた正男は勇敢でいいかもしれない。正哲はスイス留学で知性を磨いた。どちらが後を継いでも金王朝は万全だ 。北朝鮮国民をはじめ、世界の誰もがそんなことは考えていまい。
ルーマニアのチャウシェスクやアフガニスタンのナジブラの最期が目に浮かぶ。八つ裂きにされたナジブラの写真には目を覆うしかなかった。正日死去が北朝鮮大動乱の始まりになるのは間違いない。
日本にそのときへの備えは………。まるでない。