また文部科学省の余計なおせっかいが始まった。法科大学院全体の規模を縮小し、司法試験合格率などが芳しくない大学院に定員削減を促す方針らしい。
《法科大学院のあり方を検討している中央教育審議会の法科大学院特別委員会は、30日に公表する中間まとめで「法科大学院全体の規模を縮小すべきだ」と提言する方針を固めた。新司法試験の合格率低迷や志願者数減少が続く大学院には、自主的な定員見直しを要望。入学時の適性試験に合格最低ラインを設け、学生の質を担保することも盛り込む。国の諮問機関が法科大学院の規模縮小を提言するのは初めてで、再編統合が加速しそうだ。
法科大学院74校の入学定員は約5800人。中教審や文部科学省は、大学院の自発的な取り組みでは、教育内容や学生の質の保証が難しいと判断し、より直接的に大学院に働きかけることにした》=毎日電子版=
この提言のミソは後段の「自発的取り組みでは改善は難しい」と判断した点にある。雨後の筍のような乱立を認めた責任を棚上げにして、今度は強制的に定員を絞れという。こうなることは設立時から予想されていた。その時点で適切な指導を行っていればこんな措置は不要のはずだ。
私立大学の新設についても同様だ。1980年代の半ばから、今日の「全入化」は予見されていた。当時の文部省担当官は「これからの設置審査は厳しくなる。ただ創りたいだけでは認められないだろう」と話していた。ところが90年代になっても21世紀になってもどんどん新設を認可した。
大学新設は文科省官僚の腕の見せ所だ。新設事務局などに入り込み、事務を一手に取り仕切る。上手くいけば新設後には事務局長などに居座れるかもしれない。オーバードクター対策もある。というわけで、誰もが創るべきではないと認識していながら、次々と大学ができた。公共事業と大学は同じ論理でつくられているのだ。
法科大学院は自然淘汰に任せればいい。何年たっても合格者を出せないようなところは消え去るのみだ。文科省が口を出すまでもない。合格ラインを文科省が決めるなどもってのほかである。入学者も選べない大学院でどうするのか。
法科大学院の問題は、文科省マターではなく法務省マターだろう。法曹の数と質をどう確保するかは、司法制度の問題である。大学院の合併話や定員切り下げに絡んで、文部官僚が暗躍するのではたまらない。
質の悪い大学院で迷惑しているのは学生だが、「入りさえすれば司法試験に受かる」など考えてはいなかっただろうか。悪徳商法に引っ掛かったようなものだと諦めるか、必死で勉強するか。二つに一つだ。
《法科大学院のあり方を検討している中央教育審議会の法科大学院特別委員会は、30日に公表する中間まとめで「法科大学院全体の規模を縮小すべきだ」と提言する方針を固めた。新司法試験の合格率低迷や志願者数減少が続く大学院には、自主的な定員見直しを要望。入学時の適性試験に合格最低ラインを設け、学生の質を担保することも盛り込む。国の諮問機関が法科大学院の規模縮小を提言するのは初めてで、再編統合が加速しそうだ。
法科大学院74校の入学定員は約5800人。中教審や文部科学省は、大学院の自発的な取り組みでは、教育内容や学生の質の保証が難しいと判断し、より直接的に大学院に働きかけることにした》=毎日電子版=
この提言のミソは後段の「自発的取り組みでは改善は難しい」と判断した点にある。雨後の筍のような乱立を認めた責任を棚上げにして、今度は強制的に定員を絞れという。こうなることは設立時から予想されていた。その時点で適切な指導を行っていればこんな措置は不要のはずだ。
私立大学の新設についても同様だ。1980年代の半ばから、今日の「全入化」は予見されていた。当時の文部省担当官は「これからの設置審査は厳しくなる。ただ創りたいだけでは認められないだろう」と話していた。ところが90年代になっても21世紀になってもどんどん新設を認可した。
大学新設は文科省官僚の腕の見せ所だ。新設事務局などに入り込み、事務を一手に取り仕切る。上手くいけば新設後には事務局長などに居座れるかもしれない。オーバードクター対策もある。というわけで、誰もが創るべきではないと認識していながら、次々と大学ができた。公共事業と大学は同じ論理でつくられているのだ。
法科大学院は自然淘汰に任せればいい。何年たっても合格者を出せないようなところは消え去るのみだ。文科省が口を出すまでもない。合格ラインを文科省が決めるなどもってのほかである。入学者も選べない大学院でどうするのか。
法科大学院の問題は、文科省マターではなく法務省マターだろう。法曹の数と質をどう確保するかは、司法制度の問題である。大学院の合併話や定員切り下げに絡んで、文部官僚が暗躍するのではたまらない。
質の悪い大学院で迷惑しているのは学生だが、「入りさえすれば司法試験に受かる」など考えてはいなかっただろうか。悪徳商法に引っ掛かったようなものだと諦めるか、必死で勉強するか。二つに一つだ。