酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

自民党総裁選 麻生VS与謝野が本線だ

2008-09-05 05:50:05 | Weblog
 与謝野馨財務相が自民党総裁選出馬への決意を固めたと伝えられる。財政規律重視派のエース登場ということになりそうだ。

 これで総裁選の軸は麻生太郎幹事長VS与謝野と決まった。ここに彩りを添える囃子方として小池百合子、石原伸晃が加わるという構図になるだろう。


 なぜ小池と石原が必要なのか。麻生と与謝野では地味な総裁選になって世間の関心をひかないからである。7年半前、小泉純一郎が総裁選で奇跡の勝利をとげて以来、自民党は人気至上主義に陥っている。何をやるにも「国民に受けるかどうか」が気になって仕方がない。


 もっとも、この悪弊は自民党に限らない。この春「ガソリン値下げ隊」を行脚させた民主党も同様である。海の向こうでも同じことをやっている。アメリカ大統領選のことだ。共和党のマケインがパートナーに選んだのは44歳の女性知事・ペイリンだ。これまで一回しか会ったことがないという間柄の人物起用の狙いが、ヒラリー票取り込みにあるのは明らかだろう。女だというだけで、ヒラリー票がいただけると考える神経はなかなかのものだ。


 小池は推薦人20人を集めるのに四苦八苦するだろう。その方が総裁選盛り上げには好都合だ。「派閥の論理や年寄りにいじめられる小池百合子」像をまずつくりあげる。そうして何とか20人をかき集める。後は小泉らが参戦してお祭り騒ぎ。と進んでいくだろう。


 小池の役回りはここまでなのだが、選挙は水物だけに波乱要素がある。小池―小泉連合が人気を博し2001年4月の再来になるケースだ。

 地方票が各都道府県連3票ずつの計141票しかない今回は組織戦になるとの見方が多い。だが、地方県連の中には予備選実施を表明しているところも多い。最多得票者に3票全部を投じる方式だ。しかも、予備投票は21日までに結果が判明している。


 公表はしないことになっているが、必ず報道される。ここで小池に雪崩を打つようなことがあれば、「まさかのまさか」が起きないとも限らない。



 石原は若手代表という役どころだが、トウが立っている。道路公団総裁の首一つ取るのに大騒ぎするようでは、能力も知れている。あの山崎拓にお伺いを立てなければ出馬を決断できないというのも情けない。石原に限っては出る出ないは半々ではないか。


 総裁選の帰趨を概観してみると、自民党の生命維持装置はなかなかよくできていると感心する。政権党だからという理由はもちろんあるが、大衆受けするツボをよく心得ている。タレントもいる。派手な大立ち回りを演じても、やあやあと握手して抱き合う腹もある。


 学生運動気分が抜けない民主党では、こうはいかない。だから野田も前原も枝野も立てないのだ。立つとしこりを引きずってしまう。



 これで、22日までは自民党総裁選がニュースの中心に坐り続ける。その勢いで総選挙も、という狙いだろうが、そう甘くはない。
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河谷史夫さんらの存在価値

2008-09-03 21:10:36 | Weblog
 朝日新聞のいいところは、名前が通るようになれば気ままに振舞えることだ。

 本田勝一がそうだった。もっとも彼は若いころから事件ものの取材などにはとんと興味を示さず、道警クラブ員の顰蹙を買っていたとどこかで書いている。


 論説委員から編集委員に転じた河谷史夫氏もそうした人種の一人だろう。朝日新聞とは一線を画し、河谷個人で勝負する。それはそれで素晴らしいことだ。

 だが、次のような一節を目にすると「うーむ、お主の本心はどこに」と問いたくなる。一ひねりも二ひねりもある曲者文章だ。

 《新聞を広げれば、半ば近くがオリンピックと高校野球、加えて一面から社会面、コラムまでが飛んだり跳ねたりの記事であふれるという有り様に暗然とし、テレビをつければ、アナウンサーの絶叫と勝者の雄叫びに唖然とし、さらにまた、しょせんは他人の勝ち負けに泣いて喜んだり悲しむ姿に呆然として、ことしは「とにかく夏よ、去れ」と念じる日々であった》=選択9月号=


 素粒子などという原稿を書いた反動か、だらだらと流れる文章だが、それは置いておこう。


 当ブログでも以前書いておいたが、朝日の五輪記事、とりわけ「看看北京」はひどかった。河谷さんが「コラムまでが」と嘆く気持ちも分からないではない。


 しかし、書いているのは同僚ではないか。同じ編集委員の肩書きも散見された。「おかしいんじゃないの」と言ってあげるのが普通だろう。ところが、河谷氏はコラムニストや編集委員の原稿も「飛んだり跳ねたりの記事」と馬鹿にするだけだ。紙面構成についても「半ば近くがオリンピックと高校野球」とあきれて見せるが、自分もそれに加担していることについては口をつぐむ。


 もう63歳ぐらいになっているだろうから、正規労働者ではないのかもしれない。「現役の連中にあれこれ言ってもうるさがられるだけ」との思いもあるだろう。でも、スタイルにこだわる編集委員の本心は別にあると観た。


 こうして斜に構えて「朝日の良心」をさりげなくアピールする。朝日をけなしているようで、実は朝日の懐の深さをさりげなく伝える。河谷さんの役割はそんなところだろう。

 自民党総裁選に出るであろう「咬ませ犬・小池百合子」らと同じ役回りだ。河谷さんも小池も、自分の役回りを承知の上で、反(半)体制づらをしてみせる。目指すところはそれぞれ違うのだが、やっていることはほとんど同じだ。こういう人種を自意識過剰というのではなかったか。


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テニス王子の危うい前途

2008-09-03 05:39:58 | Weblog
 テニス界の貴公子?錦織圭が全米オープンで快進撃、86年ぶりの8強いりは逃したものの、4大大会ベスト16は見事な成績とほめてあげたい。


 《テニスの4大大会今季最終戦、全米オープン第8日は1日、当地のビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンターで行われ、男子シングルス4回戦に登場した18歳の錦織圭(ソニー)は、第17シードで19歳のフアンマルティン・デルポトロ(アルゼンチン)に3-6、4-6、3-6のストレートで敗れた。1922年の清水善造以来86年ぶりの日本男子全米8強入りを逃した。

 錦織は第1セットで3-0と先行したが、その後はショットでミスが多く、デルポトロのサーブやストロークに押されて主導権を譲り渡した》=毎日電子版=



 テニス協会の育成システムに乗りここまで順調に育った。まだ18歳これからに期待する向きが多いのは当然だが、気になる点がある。


 その第一は脚の痙攣癖である。全英では試合途中に痙攣を起こし棄権している。全米でもピリピリきていたようだ。体質のせいなのか、極度の緊張感からくるものなのか。この癖を封じ込まない限り8強以上は望めない。かつての松岡もそうだったが、センスはよくても体力は不足しているのではないか。


 脚に負担が掛かるプレースタイルも改めた方がいい。「エア・ケイ」とか呼ばれるジャンプショットは際物だ。若い今しか出来ないという考え方もあるが、滑らかな動きに移行したほうがいいだろう。


 これは錦織の問題ではなくバックの話だ。盛田テニスファンドのことである。ソニー創業者の弟が私財を投じて財団をつくり、選手育成に乗り出している。実業家としては兄の七光りだったが、こういう金の使い方はいい。


 盛田一族はスポーツに理解があるようで、創業者の子どもは盛田スポーツ財団を立ち上げ、アライリゾートでは冬季スポーツ振興を図ったりした。こちらはずさんな経営がたたり、破綻状態だが…。



 錦織はCMなどに消費されず、きちんとしたトレーナーについて体をつくれば、まだ上昇の目はある。だが、18で天才、22過ぎればただの人、になる可能性も否定できない。つぶすのはメディアとスポンサーである。

 
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自民党総裁選 茶番劇が始まる

2008-09-02 21:07:58 | Weblog
 権力者がその座を去るときは哀れなものだ。プライドが高い人物ほどそれが際立つ。例えば佐藤栄作の辞任会見。「新聞は出て行って。新聞は本当のことを伝えない。テレビだけ残ってください」。批判を受け止められないとこうなる。


 時が移り、福田康夫である。「私は自分を客観的に見ることができる。あなたとは違う」。毎日の若い女性記者の質問に切れた。福田はいい人だ。


 という訳で、自民党は次期総裁選モード一色である。小沢一郎の無投票当選が確定的な民主党との違いを際立たせるために、何が何でも選挙を実施するだろう。本命・麻生太郎は間違いない。では、対抗馬は誰か。小池百合子が出てくると予測している。総裁選を盛り上げるには、この組み合わせが一番いい。党内の知恵者はそう考えているに違いない。


 常識的に考えれば、景気刺激派の麻生に対しては、谷垣禎一か与謝野馨が財政再建を掲げて登場して当然だ。だが、谷垣は度胸が足りない。国民的人気もない。与謝野には健康問題が付きまとう。第一、彼らでは闘いに華がない。


 ここで担がれるのが小池だ。小泉純一郎が返り咲く以外では、最も注目される候補になることは間違いない。アメリカ共和党が女性副大統領候補を選ぶ時代だ。小池と麻生なら小沢一郎が霞むことは請け合いだ。


 ○○写真の中川秀直が小池擁立の旗を振ると見られる。


 ここで間違えてはならないのは、小池は「かませ犬」だということだ。勝ってもらっては困るのだ。麻生と派手な立ち回りを演じること自体が目的なのだ。総裁選報道で自民党の注目度と支持率は一時的に上がる。このときとばかり、小池に大勝した麻生が、衆院の解散、総選挙に打って出る。その時期は9月下旬から10月上旬だろう。臨時国会冒頭の解散が限りなく濃厚だと指摘しておこう。



 小池がまともな人物なら、立たないだろう。でも彼女の上昇志向は半端ではない。上手く焚きつけられれば、その気になるだろう。気になるのは小泉が応援団長として本格参戦した場合だ。国民的人気は小池・小泉軍団の方が高いかもそれない。代議員票で善戦する事態になれば、麻生陣営の目論見が狂うこともあり得る。



 福田や安倍が政権を投げ出すのは、傷付いた自分を見たくないためだ。いい気なものである。小池も鈍感力では福田に勝るとも劣らない。意外といいセンセイになるかもしれない。
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福田首相辞任

2008-09-02 07:44:47 | Weblog
 日本国民の政治不信を高め、世界に恥をさらす辞任劇だ。


 福田康夫首相が、1日夜、いきなり「辞めます」と発表した。いろいろ御託を並べていたが、要するに嫌になったのだ。「先週末に辞任を決断した」という。先週末とは11兆7千億円に及ぶ総合経済対策をぶち上げた時機だ。公明党に迫られて盛り込んだ定額減税も含まれている。


 この対策の速やかな実行が求められていた。インド洋での海自給油活動についてはブッシュ大統領に約束手形を切ってもいた。これらが負担になり、自信をなくした。自民党内には、次期衆院選は別な首相で戦うという暗黙の了解も出来上がっていた。辞めさせられる前に辞めよう、これが辞意に至った理由だろう。


 辞任会見の最後に出た毎日女性記者の質問への答えが、福田の心理をよく物語っている。


 記者 「首相の言葉は人ごとのようだという批判がある。今回もそういう印象を与えないか」

 首相 「私はね、自分自身を客観的に見ることができるんです。あなたと違うんです」


 マジ切れだ。目には涙が浮かんでいた。自分を客観的に見つめると、次の臨時国会は乗り切れない。この判断が自信家の福田にとって、どれほどの屈辱か。官邸の壁を蹴飛ばしているに違いない。


 「支持率が低いから」という趣旨の発言もあった。イギリスのブラウンはもっと低い。韓国のイ・ミョンバクや台湾の馬英九も同じようなものだ。でも、彼らは政権を放り出したりしない。安倍晋三といい、福田康夫といい、二世首相のひ弱さと政治信念のなさにはあきれるしかない。こんな国は国際的に相手にされない。


 子どもや若者に「夢を持て」だの「すぐに切れてはいけない」などといくら言っても、トップに立つ人間がこのざまでは効果はさっぱりだ。次も二世の麻生太郎だ。今度は半年で投げ出しかな。
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