今日は雨、アルバイトも休み。桜も咲いたけれど遠出しても雨ではしょうがない。今日は一日本を読んでいましょう。
本好きの人にとっては本の背中を眺めるのは最高の喜びです。棚にずらりと並んだ背表紙は見ていて飽きません。あたかも清楚な女性のきりっとした後ろ姿を見ているような。次はこれを読もうという意欲も掻き立ててくれます。もっともわが部屋の場合、それが床上に積み重なったままなのも多々あります。而も雑然と、というよりはごちゃごちゃ手あたり次第に積み上げた様子。
先日、ホイジンガの「中世の秋」がどこへ行ったかと思いつつ棚を捜していたのですが、今も買えるのかと検索した所、まだまだ買えるようです。電子書籍版の評にあったのですが、残念なことに図版がない、と。単行本を探し出してきて開いてみると、確かに要所要所に図版がふんだんにちりばめられています。図版を見ながら読んでいくのも中世ヨーロッパへの興味と理解を深めてくれる一助となりますし、なんといっても図版は見るのが楽しいです。
それが電子書籍版では図版は全く載っていないのです。ちなみに堀越孝一訳の「中世の秋」は重訳(ちょうやく)ではありません。言語からの直訳です。堀越孝一さんから直接聞いていますので間違いありません。重訳はWikipediaなどインターネット上の説明を見ると「じゅうやく」と仮名がふってありますが正しくは「ちょうやく」と読みます。Wikipedia等ネット上の知識が正しいなどということはありません。広辞苑が紙媒体であっても正しくないこともあるのと同様です。あっ、これもネット上の発言か。ということはこれも正しくない可能性がある。でも重訳は「ちょうやく」です。
例えば開高健の「オーパ!」これは写真が無いと面白さは半減ですね。もちろん開高健の絢爛たる文章が写真がないことによって損なわれることはありませんが。電子版では写真は別ページにまとめてあります。読みながらその写真のページへの目次をタップしなければいけない。面倒な事この上なし。開高健の全集本も紙の本ながら釣りに関するものは写真がありません。開高健全集第18巻「もっと遠く!もっと広く!」などは巻頭にモノクロ写真が一枚あるだけです。開高健記念館に二度も行った開高好きとしてはどうも電子版もこの全集版もつまらない。うちの書棚は一部が蚕棚、いや開高棚となっているくらいですから。電子版開高健全集なんて揃えようとも思いません。
開高棚の一部。単行本、大型本、文庫本、ほぼすべてあります。
電子版書籍は端末を占領してしまうのでこれも何かと不便。専用のAmazonの端末を買う気にはなれない。それに結構目が疲れるのです。電子書籍を購入しても単なるデータですから解約したら読めなくなる?著作権布で無料で読むことの出来る書籍もありますけれど、一度電子版で無料書籍を読んだのですけれど、お金を出して紙の書籍を買いなおし改めて読みなおしました。
やはり電子書籍では本を読む楽しみは得られないようです。といいながら一番は物欲でしょうか。これも配信音楽とCDの違いに同じかもしれません。CDの背中も眺めながら、次は何を聴いてみようかと。
CDももう買うのをやめようとは思っているのですが、昨日もまた買ってしまいました。
インターネット上の記事だって長いのは読みにくいですね。だからこそツイッターなどという短いものが流行るのでしょうし、電子版で数ページ、数百ページに及ぶものはとても読む気になりません。貴重なデータを電子版として保管しておくのは有効ですがじっくり読むためにはやはり紙に印刷しないと読みにくいです。
そういえば笑い話にありました。どこぞのお役所で「今後書類は電子媒体で送ること。ただし、その中身がわかるように紙に印刷したものも同封すること。」
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