この本を読んでいたら昔市内にあった本屋さんを思い出しました。
子供の頃、小学校か入学以前か最初の記憶にあるのは中町の中村書店。馬蹄型した磁石を買ってもらったような記憶。秋田町通りにあった青山堂。大きな平台に本が並べてありました。そのすぐ先が飽海地方事務所。向かいにあった田村書店はその頃あったのか。田村書店は宝くじがよく当たるとの評判があり、ひと頃は流行ったようですが今はやっていません。筑後町、今の相生町の白善書房はまだ営業していましたが暗い雰囲気が外にまで漂い店の木枠のガラス戸を開けるのを躊躇わせる佇まいでした。その頃は教科書販売専門になっていたのかもしれません。
中町には小村書店。酒田大火で焼ける前の話です。十里塚には確か小村さんの所有といわれるテニスコート付きで立派な岩風呂を備えてログハウスのはしりのような別荘らしきものもありました。小村書店は古書店でもあったかもしれません。知人は大学を卒業後一時期そこで外回りのセールスをやったと言っていましたが歩合もまともに払ってもらえずそこを辞めた後ラーメン屋に弟子入りし、その後自分の店を持ちましたが既に故人となっています。ちなみにラーメン屋さんに見習いで入るためにはこの辺では数百万の謝礼を支払う必要があったそうです。彼の場合は三百万。他のラーメン屋店主から聞いた時は、うちもラーメン修行に来るものからは三百万貰うよと。この方は自ら命を、してしまったので今となっては確認のしようがありません。でもその身内の方もラーメン屋さんをやっていたことがありましたが、あの人はそうやってお金を取って教えていたが私はただで教えるよ、と言っていました。
話を戻しまして、琢成小学校、現在の文化センターの前には武田泉書店、当初は古本屋さんだったそうですが知るところでは新刊書店でした。康さんの鳥海山日記は上下そこで書いました。専門書などが特に多かったような記憶があります。この少し先の文英堂書店。依然は祖父山下にありましたが店主は武田泉書店で修行した方です。息子さんを我々はブックと呼んでいました。今もある八文字屋は当時本間家本邸の前にあった教科書販売店。駅前にジャスコがあった頃その何階だかにも店を出していたこともありました。
青山堂はその後中町と駅前、七号線沿いと店舗を拡張しましたが倒産して今はありません。駅前の青山堂は汽車通学の同級生が汽車時間までよく立ち読みしていました。汽車時間が近づくとページに栞を挟み棚に戻します。そして翌日続きを読み始めるのです。
中町の青山堂は奥に行くと小さなカウンターがあり、偉そうに知識人ぶった客が茶を飲みながら声高々に何かを論じていて雰囲気の悪いところでした。潰れる原因はそういう客をたむろさせるという体質にもあったのではないでしょうか。酒田の自称知識人などというものはこんなものです。ついでにこの青山堂、あの飽海郡誌で知られる大物忌神社の宮司でもあった斎藤美澄が息子のためにやらせたのが始まりだそうです。
潰れた書店といえば亀ヶ崎にあったなんとかいう書店。市職員が退職して退職金で始めたという噂の店でしたが武士の商法、お昼頃立ち読みをしていると店の婆さんが客に一人一人、これから昼休みで店を閉めますので出て行ってくれと言って回るのです。続くわけがありません。開店して何か月続いたでしょうか、あっという間に閉店してしまいました。
本屋さんというのも今はどうだか知りませんが開店する時取次店に保証金を積むのだそうです。支払いが滞った場合、保証金のあるうちは本が送られてくるとか。昔本屋さんから聞いた話です。
古本屋では亀ヶ崎にブックセンターひかりというのもあったようですが短いあいだです。
今まともに本を置いているのは八文字屋書店ぐらいでしょうか。ショッピングタウンの一画の本屋さんはほぼコミックのみ。町の真ん中、決して中心ではないです、地理上の真ん中にあったデパートもどきの中にあったのは宮脇書店。本のことを何も知らない若い方がいきなり店長だか店長候補だかで入社したそうですが務まるはずもありません。デパートの倒産に伴い撤収。そういえば町の真ん中と駅裏に大衆堂という書店もありましたがいつのまにかなくなっています。
現在もあるのは八文字屋、ショッピングタウンの一画の名前はなんと言ったか、イオンの二階に未来屋だったかほぼ雑誌と漫画の店、あとはブックオフぐらいでしょうか。たまにブックオフに出物を探しに行くくらい、駄本は誰が読んでもつまらないので売りに出す、ということで棚は駄本で溢れています。
新刊本で読みたいほどのものは無し。新聞の書評欄見ても食指は動きません。週刊、月刊誌は用無し。欲しい本はネットで日本の古書店だとか、ヤフオク、メルカリは本の状態もある程度わかりますからいいですね。Amazonの古書場合は写真はほぼ載っていませんが良い、という判定で出品していればほぼ間違いないです。ある時良いという自己評価の本を購入したあと、出品者から良いとしていましたがガイドラインから見て可の判断のものを良いとして出品送付してしまったので、ということです無料にしていただいたこともあります。
この辺の人の気質しとていいフリこぎ、見栄っ張り、知ったかぶりというのは相当あるので、都会へ出た方のSNSなどで発信しているのを見ても上から目線で論じているのもいっぱいあるし、同窓生のHPの掲示板を見れば幼稚園からの続きのような仲間たちだけで天下国家を論じている。のを見ると酒田衆の悪い所は死ぬまで治らねもんだのと思います。人のことは言えませんけど。ああそういえば佐高 信とかいうどうしようもない評論屋も酒田出身でした。
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