西暦はご存知の通りイエス・キリストの誕生年を紀元にしている。しかしキリストの生年は計算と微妙にずれておりBCかACかはっきりしない。生まれた年も月も分からない。その事自体が神話の世界の住人である事を象徴している。 近代に入りイエスの歴史性を確保しようとする運動が広まると、神学界はたちまち迷宮に入り込んでしまった。イエスの実在を示す史料が(新約以外に)見付からなかったのである。1世紀近辺の文献は豊富にありシリアの総督がBC9からサトゥリヌス、AC6から『ルカ』にも記載のあるキリニウスに替わった事は複数の史料から確認できる程なのに、イエスに関しては歴史的実像を映す瑣末な伝承さえ出て来なかった。 史的イエス - goo Wikipedia 飢えたる者数千人へ給食、死者の蘇生まで行い熱狂を集めた人物が? 民間伝承一つ残っていないとは如何なることか? しかしキリストの行った奇跡のうち先行する異教のミトスに記されていない物は無かったのである。イエスという名称自体、旧約のホセア書、ヨシュア記にも共通するありふれたヘブライ人の原型的英雄の名だった。 YHVShVa (主は救い:イェシュア=ヨシュア=ホセア) 僅かな史料 タキトゥス(55-?) 「それは、日頃から忌まわしい行為で世人から恨み憎まれ、「クリストス信奉者」 と呼ばれていた者たちである。この一派の呼び名の起因となったクリストスなる者は、 ティベリウスの治世下に、元首属史ポンティウス・ピラトゥスによって処刑されていた。」 (『年代記(下)』 国原吉之助訳) ローマ初見の史料。又聞きの形で信頼性は薄い。先輩歴史家によるイエスの同時代史料は存在しない。 ヨセフス(37-100) 「彼は奇跡を行う者であり、… 多くのユダヤ人と少なからざるギリシャ人とを帰依させた。 彼こそはクリストスだったのである。 … すると彼は三日目に復活して、彼らの中にその姿を見せた。すでに神の預言者達は、これらのことや、 … それが実現したのである。」 (『ユダヤ古代誌六』 秦剛平訳) ヨセフスはユダヤ戦争にも参加したユダヤ教パリサイ派の歴史家。1世紀末に激しく対立していたキリスト教への好意的な文章を書くとは考えづらく、聖書の横領集団に「神の預言者」とお墨付きを与えている表現も不自然で当該部分は"後世キリスト教徒の改竄・加筆"が通説になっている。 処刑人ピラト ピラトに関する様々な伝承が伝えているのは、彼が福音書の姿とは異なる悪政を欲しいままにする冷酷な反ユダヤ主義者であったことだ。イエスの死後もピラトは暴れ続け殺人事件を契機にユダヤ人の直訴で解任されているが、彼が神の子の処刑について記憶していた節を示す物は何もない。 十字架刑 ローマ法に抵触していないイエスが最も残酷な十字架刑を課せられたのは少し不自然な感を抱かせる。十字架刑は通常数日間掛けて殺し死後4日程は見せしめにされる国事犯向けの刑だがイエスは数時間で死に磔台から降ろされている。 刑罰の一覧 - Wikipedia 原罪救済論 パウロの唱える"原罪"はユダヤ教の概念とは少し異なる。原罪とは人間の努力で動かせない性質の本質的規定でありそれで人間的向上を諦めろという話でもなければ、神が処方箋を充てて解決する問題でもない。事実イエスの血が流れてもキリスト教徒は考えられない腐敗・悪徳に浸かりながら今日まで生き延びて来た。イエスの死が人類史上役立った事など一度としてない。 ![]() ガリラヤの説教団 パレスチナ周辺を記録していた約40人の著述家は最低1年以上活動していた筈の13人の集団、その大評判のリーダーが無実の罪で処刑される一大イベントも全く記録していない。 ![]() 死海文書 死海文書は戦後イスラエルで発見されたクムラン宗団の巻物群。この前1世紀頃の古文書から、新約聖書の教義、イエスの説教が発見された。エッセネ派との類似項が多いこのユダヤ人一宗団の文書はキリスト教の誕生に幻惑的な光を当てている。 死海文書 イエス自然死説 イエス自宅で死亡説は複数の証言がある。初期の教団にとってオマケでなければならなかった復活話(当時の教会はキリスト教と多神教との接点の多さを知っていた)は世界を霊・肉の二元に分け「霊の肉体からの解放」を喜ぶグノーシス派(異端)に好まれむしろ厄介な代物になっていた。異端問題に手を焼き『異端反駁』の著作がある2世紀の正統派教父エイレナイオスは遂に告白している。「イエスは自宅で老衰して死んだ」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 全ての証拠を考慮すれば、現代に語られるイエス・キリストとみなしうる人物は歴史上一度たりとも存在し得なかった。十字架、埋葬、復活を始めとしたナザレのイエスを囲む歴史のイベントは過去に存在した神話達と何ら変わりない。 ![]() 「人の子は三日の後に甦ります」(マルコ10:34)とあれば現実世界の正しいイエスの言行録ではなく神話とアニミズムを混合した小説(宣教用)として書かれている。イエスは死後ローマの神群入りを果たしたと考えれば、1世紀に誰一人イエスを知る者がいなかった事態はあまりに自然な状況なのである。 ![]() キリスト紀元後の世界 最初期において人間だったイエスの半神的側面は多くが後付けの虚構だろう。西暦30年代のユダヤ世界では「ユダヤ人殺しのピラト」は問題になっていたが 「神の子殺しのユダヤ人」騒動が起きていた気配はない。 ユダヤ人はキリストを虐めて殺していない可能性があるのだ。欧州で幾たびのホロコーストの片棒を担ぎ続けた処刑物語が「実はウソでした」などと、今更誰がどの面下げて言えるのだろう? ![]() 無制限の肉身の快楽(物質欲、食欲)、無制限大量殺戮、無期限の搾取と飢餓 キリスト教徒半狂乱の歴史は人間の責任を減少させ差別心を育む新薬聖書というドラッグ+人間性を壊す肉食の所産だというのは個人的な信念である。 霊・天使・奇跡とまるで精神分裂病の世界を鵜呑みにする事が、一つの宗教に肩入れした神という危険な幻覚を起こし世界は排他的に集束された僅か一本の真理の道を握る選民達のやりたい放題の地上地獄に陥れられた。 人類が救いどころか余計に苦しんだ現実は救い主がでっち上げだった事実を証明する。今イエスから歴史の鎧を外してやることが大切だ。それは絶えざる紛争の種、地球上の誰も見ていない一地点で何のニュースにもなっていない一人の男の処刑を“神の愛”などと言い張る奇態な苦行から人類を解放するだろう。
画像出典:Church of the Flying Spaghetti Monster ![]() ![]() |
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これからも記事期待しています!
私は元クリスチャンですが、クリスチャン時代はキリスト教の教えと現実とのギャップに苦しみ続けました。特に、私が趣味とする歴史研究(主に20世紀前半における宗教に起因する戦争や紛争:ナチス等のファシズム運動をカトリック系の政治運動として捉えている)では、周囲のキリスト教宗教家やクリスチャンたちから「神の教えに反するから」即刻止めるようにと言われて、葛藤しました。マインドコントロールされていたので、聖書の言葉を持ち出されて何か言われると従ってしまいそうになったのです。しかし、現実にはキリスト教は世界で一番多くの人を殺してきた宗教である、という現実はどうしても否定できませんでした。私は長期間にわたって、キリスト教の説く綺麗事と現実とのギャップに苦しみ、葛藤し続けたのです。
さて、私が教会から疎遠になったのは、私が行っていた日本キリスト教団の教会で、事務のオバサンが牧師のパワハラで発狂したのと独身であるはずの女性伝道主事が他教会の信者(カトリック)と同棲していたことを知ったときでした。その後、転勤等で各地を転々として、数年前までは時々思い出したように近所の教会に行っていました。ところが、知人の民族運動家(ムスリム)がキリスト教の名の下に暗殺されてから、キリスト教への疑念が一気に深まりました。そして、手元にあったキリスト教関連の物をほとんど全部捨ててしまったのです。(もう手に入らないバッハのCDも多数あったので、もったいないことをしましたが。)
キリスト教徒は、自分たちの意に沿わない人物が生き続けることは「虚しい人生」であり、まったく意味のないものであり、場合によってはそのような人物を死に至らしめることを「神への奉仕」であると考えています。私などは、「そんなに国際紛争のことが好きなのなら、紛争地に行って、流れ弾に当たってくたばってしまえ!」と罵倒されたことが何度もあります。こんなクリスチャンに「神の愛」があるのか?と真剣に悩み続けましたが、所詮は聖書なんておとぎ話なんですね。
仰る通り20世紀前半は欧州の国盗り合戦が高じて惨禍が連続しました。1次大戦の甚大被害(死者2500万人超)の末にようやく侵略戦争が違法化されたのです。(パリ不戦条約 '28) 耶蘇教が宗教と言えるかは正直微妙な所だと私は思います。
教会が実生活と密なせいで聖職者からハラスメントを受けた信徒は離脱より自殺を選んでしまう例を良く聞きます。腐敗性の宗教こそヒジャブやブルカを取り入れるべきではと真剣に考えるのですが。
暗殺事件は身近に起きたのですか?相手が相手とは言え信じ難い気持ちです。
既に読まれたかも知れませんがマホメットの生涯を綴る書籍は一読の価値があります。彼は忍耐に次ぐ忍耐の末にイスラムを創り上げた崇敬に足る苦労人、預言者です。かつてスペインが西側からアジアを目指したのは東側をイスラムが一枚岩で覆い塞いでいたからです。本当の天啓はイエスよりマホメットだったと考えると歴史学はより面白くなると思います。
あの暗殺事件はテレビのニュースで知りました。それが誰であるか書くと私にも累が及びかねないので、書けません。過去に長年にわたってキリスト教と関わっていたので、キリスト教徒に何されるかわからない、と思っています。(キリスト教徒にも立派な人もいますが。)ムスリムや仏教徒と友達付き合いしているというだけでも、クリスチャンからは何されるかわからないのです。
私が、クリスチャンの集会の席上で、「ヒトラーは自分のことを『熱烈なクリスチャン(カトリック)』であると公言していた。」とか「ローマ法王ピウス12世は、バルバロッサ作戦(枢軸軍の対ソ侵攻)を『反共十字軍』として認可し、それに参加した枢軸軍将兵を祝福した。」とか「クロアチアのカトリック系ファシスト団体ウスタシャは、カトリックの司祭立ち会いの下に正教徒を大量かつ無差別に虐殺した。」と言ったら、大変なことになったのを覚えています。ほとんどのクリスチャンは、事実関係をきちんと調べずに、自分たちの思い込みを「神の教え」として押し付けてくるのです。それに逆らうと本当に何されるかわかりません。
第2次世界大戦前に宣教師として日本にいたアメリカ人多数が戦時中は対日諜報活動をして、戦後は日本に戻って本国の情報機関と協力して日本人の世論操作に尽力したそうですし、・・・。(例:同志社大学名誉教授オーティス・ケーリー師)「宣教師=スパイ」というのは、ザビエルの時代だけではないのです。
どんな不合理なことでも「神の命令」として実行するのがキリスト教です。ヒトラーも「クリスチャンとして」「神の敵たる」ユダヤ人に闘いを挑んだのだそうです。
そんなことで、リアルの世界ではクリスチャンとはもうあまり関わらないことにしています。
頭の良い人たちは権威に弱いので、なかなか真実は表には出てきません。
たまに表に出そうとする人がいると口封じされてしまいますから本当に映画『マトリックス』の世界と同じ状態ですね。
ラスカサスが米大陸原住民(インディオ)の大虐殺を糾弾したら逆に教会から非難されたのと似てる気がしますね。明らかな正論でも通用しないのは危険な集団催眠のようです。
私などよりは貴殿が深く承知でしょうがキリスト狂信者は目をぐるぐる回した酔客に似た雰囲気があります。理性的、人道的に思慮できないアル中患者が思い込みと本能的行動に操られ狂信的な差別、殺人を続けたのが近代史なのでしょう。神の無能ぶりに呆れ果てます。
一旦独特の思考回路が出来あがるともう手が付けられない感があります。それもこれも唯一聖書・イエスキリストのみが正しいとする思想の弊害なのは明らか。こんなユダヤ人の諺があります。「無知が支配するところでは、自分に英知があっても何の役にも立たない。」
聖書自体が"高い権威"なので信奉者を口封じしてきた面も否めません。
宗教は「真理」「事実」を競い合う物ではありませんよね。人間に関係性を与え地域のお祭りをしていれば十分です。どんな宗教でも架空だと割り切りながら人生の支えになる神々を創って来たはずなので…
キリストに反することを「キリスト教」に帰してキリストを批判している人までいるし・・・。
おかしくない?
http://www2.tbb.t-com.ne.jp/okifumi/CI6/CI6-1.html
十字架の救済摂理をぶち壊しにした後ではイエスがいた云々は論点にならないのでは。これこそ無駄死にというやつで