坂野民枝・インテリアコーディネーターの目線:    心地よい空間作りのヒント探し:四方山話

  

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映画『女王陛下のお気に入り』

2019-02-18 | 映画
公式サイトに、宮廷絵巻、英国版『大奥』とあります。

300年前の実在の人物。




江戸城の大奥は絢爛豪華、平和な時代。

この映画の背景はフランスとの戦争で、政治にまつわる思惑。
全体に暗く感じます。

私の興味は、実際に撮影されたハットフィールドハウス。
そこに組まれた映画のセット。

いくつもの映画で使用されています。

窓のない回廊は昼間もキャンドルを持たないと暗い。
魑魅魍魎としたものがありそう。

窓側の光を取り入れるため、カーテンスタイルも全開です。
窓上部のスワッグは温まった空気が上部で冷えないように防寒の意味があったのかも、と想像しています。





ジャコビアン様式のインテリアは威厳を必要とした時代を感じます。



額やタペストリーで壁を覆い、肖像画もたくさん。



ダンスのシーンの床は石のブラック&ホワイトの市松貼りです。

だまし絵の室内扉も廊下側は木の素地のままです。

屋敷の敷地の外は 馬車が走ると泥はねするような状態。
別世界です。

女王の許しを請うために手紙を書くシーン、
ゴシックのライテイングデスクです。
ドレスを着ているので大きなデスクに向かっても女性が見劣りしません。
男性も宮殿内はカツラを被っているので、大ぶりの家具でも見劣りしないのでしょう。

空間の広さと威厳と それに見合う姿。

ゴシックタイプの大きな家具の意味が理解できます。

冒頭のシーンで、屋敷の調理場で働く女性たちの衣装は
フェルメールが描いた『牛乳を注ぐ女性』の家政婦さんを思い出します。
そういえば、フェルメールの絵にも床の市松柄がありました。

時代は近いので、通じるものがあります。

もし、この映画を見る機会がありましたら、
インテリア目線で見て戴くと 人の心の残酷さも和らぐかも・・・


【フェルメール展:窓際の光】

2019-02-18 | 美術館
『フェルメール展』





人間は『火』を持つことで夜の時間を
活動できるようになり、
キャンドルからガス灯、電気と
さらに効率よく夜を過ごしています。

昼間も暗ければスイッチをONできます。



本物は小さくて、落ち着いていています。


『ミルクを注ぐ家政婦さん。 お仕事中』
なのに どこか賓があります。



作業するなら明るいところ。
いつの時代も同じですね。

当時のガラスは平滑ではなくゆがみ
で、窓からの光が柔らかいです。

フェルメールの作品は
手紙を書く人も楽器を手にする人も
窓に面するか、向かって左からの
光を受けています。

いずれも何かの作業をしています。

1枚、右から受けて逆光の中
顔に少しだけ光が当たる作品が
ありました。



こちらを見ています。
顔のUPで何をしているのかは不明?
何をしているのか描かれていません!
不自然になるのでしょう。

インテリアで家具のレイアウトを
考える時、作業する場所は、
お昼間なら自然光の入りやすい場所、
夜なら照明器具やスタンドの配置を
考えます。

あなたのお住まいを今一度
見直してください。

座る位置を変えるだけで
効率が上がることもあります。