坂野民枝・インテリアコーディネーターの目線:    心地よい空間作りのヒント探し:四方山話

  

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大山崎山荘美術館

2016-03-06 | 美術館
午前に桂の宮の別荘[桂離宮]を訪ね、午後はもう一つの別荘、ニッカウヰスキーの創業者の一人、加賀正太郎氏の100年前の別荘・・・現在、[大山崎山荘美術館]を訪ねました。


阪急の大山崎駅を降り、美術館に向かうと道標のようにアサヒのブルーの自販機があります。
それほど急ではないです。山荘という名の通り、行きは上り坂です。
ここから1本奥に入ったところに、日本のエコ住宅の始まりとされる【聴竹居】があります。現在はたぶん入れないので、雰囲気だけ・・・
このあたりからその先ずっと上ると、(天王山の戦い)秀吉が光秀と戦った合戦地になります。鎧を着た人も馬も上り坂大変だったと思います。私が通っているスポーツクラブのランニングマシン、勾配30度まで上げられる説明がありますが、専ら水平利用しています。これからは、『傾斜を付けよう』と考えているうちにトンネル状の門です。

反対側から見ると『天王山悠遊』となっています。下りは悠々です・・・

ゲート脇の照明器具が低い。本来車で入るところなので、この高さでしょうか。



建物内部の撮影は不可です。

パンフレットより

山荘風というより、チューダー、ゴシック様式のかっちりしたデザインを見ることが出来ます。
壁面に作り付けの飾り棚が、廻縁やケーシング使いで室内に一体になっています。
展示用に後から作られたと思える棚も空間に合わせられています。
それほど天井が高くないところに設えた暖炉が、威圧的でないのは、大理石の色が明るいのと、タイルが横ストライプに見えることでしょうか。
チューダーのデザインをお好みの方はいらっしゃいますので、参考になります。
特別展示は民芸運動・『三國荘』です。アサヒビール初代社長の山本為三郎氏の収蔵品が、展示されています。

テラスはアーチ状、そこから見る庭は和風。

ステンドグラスも元は何かデザインがあったと想像しています。

『地中の宝石箱:安藤忠雄さんの設計』との接点です。

出窓の支えにはアカンサスの葉のデザイン彫りがあります。

その脇に地中へ降りる階段があります。地下にモネの水連が3作品、セザンヌ、ルノワールの展示があります。
自然光はなく、湾曲面の展示で、モネに浸ることが出来ます。
確かに、地中の宝石箱です。

庭を歩き、一瞬トイレかと思う建物? よく見ると 【ログハウス+こけら葺き+障子+瓦・・・】

正面に戻って、『栃の木茶屋』パンフレットを広げると、(立礼式の茶室、非公開)。
なるほど、右に見えるのは外腰掛。遊び心のある茶室、始めてみる組み合わせです。中が見たい!


帰りは送迎バスの時間が合い、JR大山崎の駅前へ。

この駅前に 妙喜庵があります。事前の予約が必要で、今日は外からだけです。
ここに国宝の待庵と思うと、横の道にも廻って見ました。
元々はもっと広い敷地と思いますが、1畳半が納得できる狭さです。
大山崎町歴史資料館へより、復元されたものを見てきました。
限られた空間のほど良い緊張は、地中の宝石箱に通じるものを感じます。

桂離宮 冬から春

2016-03-05 | アート
教科書にも載っている 400年前の建築。
インテリア、建築、デザインの本で、特集になったり、行って見たいと思っていた一つ【桂離宮】。
宮内庁への申込もネットで簡単になり、直前の空きとタイミングが合い短い一人旅です。

江戸時代初期、月を見るための別荘 二代に渡り増築、増設。で完成。
月を見るため、茶を楽しみ、又、直接月を見るだけでなく池に映る月を愛でる庭。
『こだわり』と『掛ける費用』。
ベルサイユ宮殿も狩りや社交の場、噴水を作り、水を楽しむ・・・美に対する意識が高い施主でこそなせるものは 洋の東西同じです。後世に残り、主が公になって、公開されるのも同じです。

梅・椿の終わり頃、そろそろ桜、冬と春の間『素の美しさ』を感じることができる時期と言えます。早朝は雪がうっすら積もっていたそうですが、陽も差してきたところです。一日の中に冬と春。寒くはありませんが、冷えていた空気が澄んで、絵葉書のような美しさです。


飛び石を歩き、石橋を渡りお庭を巡ります。



市松柄で有名な『松琴亭・一の間』は、本で見ると、濃い藍色ですが、いつも外光が入る状態ですので、淡い水色になっています。色が抜けたても上品な色です。座敷に上がることはできませんが、市松の貼り方が正面からはっきりとわかります。藍色の上に白地の重なり1センチほど透けて見えます。

一枚の紙の上と右に重なりがわかりますので、これらは左下から順に貼られたようです。床の間の見付けで均等になるように割り付けられ、一枚の縦方向は側面と襖までほぼ合わせてあるように見えます。
割り付けやデザインは側面方向にも気を付けたいです。

『二の間』は無地ですが、紙の貼り合わせです。濃い藍色のころはかなり斬新だったと想像します。二の間から一の間に部屋を移った時、又気持ちが新たになったことでしょう。

賞花亭は屋根の葺き替え工事中でしたが、やはり、気になり、一瞬だけ。材料を見ると、工事現場ですね。

スナップ写真程度はOKです。デジカメの恩恵でかなり写しました。
デザインで気になったところ、一部だけ・・・
・丸と四角
  

  

・編む、結ぶ
  
  
  
   献上品の蘇鉄、京都の冬の間は厚着してます。結び目も美しく見せています。
・石の表情
  
  (右に下るステップは、宮様が池から舟を降り 上がられる所です。各建物にそれぞれの意匠で作られています)
  
  (外腰掛の待合、足を乗せる石もそれぞれに場に合わせ、大きさ・形があります)
  
   (玉砂利と思ったら、漆喰で固めてあるそうです。歩きやすい)
   石の配置にも 真・行・草があり、使い分けられています。

・優雅の極み 
  
  私が写すと、民家の古いウッドデッキのようですが、『月見台』です。
  参観者は上がれません・・・
  本や雑誌の特集で屋内からの写真を思い出しながら・・・
  ここから空を見、池に映る月を見る
  デッキ奥の床下の換気は割竹です。夏の暑さを柔らげたのでしょう。

・書院遠景と近景
  10時スタートで、1時間巡っていると空も借景になってくれました。
  
   初めに造られたのが東の古書院、川の氾濫もあったとかで、基礎から高くなっています。
  
  ここは残念ながら、中を見ることはできません。桂棚もここです。

・自然の目隠し
  
  外へ出て、右が桂川、左が桂離宮の敷地。生垣に見えるのは、敷地内の竹を葉が付いている状態で、外に曲げています。
  上部が山のようになり、葉が下向きです。竹は『真っ直ぐ』とは限らない、発想に見とれながら満喫しました。