まもなく、今の会社(菓子メーカー)での仕事も終わる訳ですが、この会社では非常に勉強になったことがあります。
それが標題にあります「高齢者」と話すスキルについてです。
電話応対自体は、ブランクはあっても概ね困ったことはなかったのですが、高齢者の場合は非常に難儀しました。
私の会社のコールセンターには高齢者からの電話が多く、御年80才台のお客様も珍しくはなかったです。
私は、日常的には声のトーンは抑えて話しているのですが、体育会系で地声が大きく、大勢の人前で話す時は比較的声は通る方で、声は多少高めで響き気味です。電話に出る時も同じような傾向があります。
しかし、この声は高齢者には聴き取り難いんでしょうね。
高齢のお客様にほど聞き返されることが多いことに気づき、周波数を合わせるために、あえて声を低く出すということを意識して応対をしました。
しかもマイクに限りなく口を近づけて相当大きな声で。
声われとるがな・・・
クレーム対応の時など、真剣な表情をしていることを声を通して伝える為に、多少、低く落ち着いた声のトーンで話すことはあっても、ありがたいお電話に対し、ありがたい表情をしているのに、声を低めで話す技術はなかなか見につきませんでした。今でも、まだダメですね・・・
加えて、最初はなぜ高齢のお客様の注文の仕方がこんなに一方的なのかわかりませんでした。質問しても、全く関係のない返答があったりで、「どして?なして?」と「?」が頭の中がグルグルでした。
「聞こえてない」「聞き取れてない」、聞こえていても「言葉に出るまでに時間がかかる」
お客様は受話器を持ちながらどんな気持ちなんでしょう・・・
「注文したお菓子を食べたーい!」「孫に食べさせてやりたーい!」と強い動機が、エネルギーとなり私を圧倒しつつも、不安、もどかしさ、落ち込みなど???。
顔も見えないコミュニケーションです。
暗闇の中、目的に向かって、手探りで進むのに似た感覚でなのでしょうか?
真っ直ぐ突進してくるけど、戻ってみたり・・・・
こちらが「誘導」するみたいな感じで、無事に車庫入れできて安堵するみたいな感じでした。
あるお客様との会話の中で、お客様が私の話す「単語」だけを追いかけて聴き取っていることに気づきました。
電話応対では、ワンセンテンスは短く話すことは鉄則ですが、短いセンテンスで話せば話すほど、お客様が「んー」とか「ほー」「あっそう」なんて相づちを入れていらっしゃるので、中学1年生の時に作った英作文のような文章構成で、話すことが多かったです。
そのようなやりとりのなか、お客様の質問を受けられるようになり、お客様にすっきり電話を切っていただけるようになったのもこの数ヶ月のことです。
高齢者とて、皆さま一様ではありません。
老人性の難聴にはゆっくり大きくが鉄則。
必要以上にお年寄り扱いして、ゆっくり大きく話すも、聞こえていても言葉が出てくるのが遅いお客様もいるので、失礼にならないかと思ってみたり。
なので、無駄な表現はそぎ落としてできるだけ、文章を短くすることを前提にスピードを調整するように心がけました。
しかし、低めの声で響きを抑え、声の表情(笑顔)を出すという職人技は身につけることまではできませんでした。そんな余裕なかったですね・・・・
医療や介護のサービスでは、顔が見えますけど、電話応対の仕事はなかなか同じようにはいきません。気持ちの持ちようは同じかもしれませんが。
人口の高齢化は進む一途です。デジタル世代は、メールで問い合わせができたりしますが、アナログ世代とのコミュニケーションは、今後、なかなかの技術が求められるように思います。
「悪いね」「頼むね」「もったいないからね」「ごめんね」「ありがとね」
そんな言葉で溢れたこの世代のコミュニケーションから、次の仕事のヒントもたくさんいただきました。
私の仕事は、お客様に教えられることが多い仕事でございます。
奥はまだまだ深いのでした・・・・
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