一般質問
三木市における国民健康保険の実態について一般質問をしました。
私にとって、この国保の質問はこの間集中して勉強した内容です。
正直、国保税が高いという意識は議員になってずっとありましたが、深く研究してこなかった分野であり、私の知識も粗い部分があり、分かりにくい質問になってしまったと思います。
私の大きな主張は「国保会計に一般会計から繰り入れる必要性がある」「国民健康保険は社会保障制度である」の2点です。
ある方から、「国保会計に一般会計から繰り入れるのは平等の原則からいうとおかしいのでは」という意見があるがどう考えるのか?と言われたことがありました。
確かに、被用者保険(サラリーマン等が加入している保険)に市税は投入されていないのに国民健康保険に投入されるは平等でないという理屈は理解できます。
しかし、被用者保険が一定の所得があり、医療費も少ない世帯に対して、国民健康保険が所得が少なく、医療費が多い世帯で構成されている状況を考えると、被用者保険と国民健康保険を同じように考えるのに無理があります。
ここは、国民健康保険というのは共済制度と考える以上に社会保障制度と考える必要があり、現状では市税の投入なくして成り立たない制度であると考えています。
本来はここまでの議論をするつもりでいたのですが、ここまで考えたときに、今後の国民健康保険の今後の在り方についても考える必要があるのではと思いました。
今、国の議論で広域化、一元化の議論がありますが、果たしてその方向に国保の将来があるのか、三木市の考え方を問いました。
答弁の内容から、国民健康保険制度の現状認識はほぼ一致していると思います。
しかし、その解決策として、市(※答弁の仕方としては市長会)としては広域化を求めるというものでした。
広域化が本当に解決策になるのか。その点について苦悩されていることには共感しますが、広域化で市として責任は回避されますが、市民の苦悩は回避されないと考えます。
ここから、質問と答弁の内容です。
①国民健康保険加入者の職業構成、農林水産業、自営業、被用者、無職、その他、これらの実態割合について
森田健康福祉部長
(三木市では)国保の加入時に職業等の確認はしていないので職業別の割合は把握していない。
厚生労働省の平成21年の調査資料によると、
農林水産業 3.1%
自営業 16.3%
被用者 35.2%
無職 39.5%
その他 5.9%
②国民健康保険加入世帯のうち所得なしの世帯、100万円以下の世帯、200万円以下の世帯、それぞれの割合について
森田健康福祉部長
平成26年3月末時点での国保加入世帯のうち、
所得なしの世帯の割合 20.3%
所得が100万円以下の世帯の割合 22.1%
所得が200万円以下の世帯の割合 28.6%
となっている。
③国民健康保険加入者と被用者保険加入者との1人当たりの医療費の比較について
森田健康福祉部長
H23年度の厚生労働省の調査では
被用者保険加入者の1人当たりの医療費 151,018円/年
全国の市町村国保加入者の1人当たりの医療費 309,494円/年
④滞納世帯の割合について
森田健康福祉部長
26年3月末時点で国保の加入世帯12,772世帯のうち過年度に滞納がある世帯割合は8.8%である。
2回目以降の質問
板東
1人当たりの医療費の比較で、被用者保険加入者が15万円、国保加入者が30万円で、倍の違いがあるのが今の実態。
以前は、国保は被用者に入らない働く人の保険だったが今はそうでない。
また、65歳から74歳の前期高齢者の数は、全体の約4割程度になっている。国保加入者のうち、所得の200万円以下の世帯が70%から80%で、非常に所得の低い世帯の保険。
三木市が保険税の引上げをせずに、一般会計の繰り入れでやってこられたことは非常に評価できる。
しかし、国保加入者の平均(所得)は非常に低くなっている。私の資料では、平成20年で168万円が、(平成)24年、わずか4年間の間で30万円近く減っている状況。滞納世帯も、年々ふえている状況がある。
国保の加入者の所得が上がらない現状で、国保税の据置きを続けたら収納率はどこかで止まると思うか。それとも下がり続けると考えるか。
森田健康福祉部長
収納率が92%程度で数年推移している。(しかし、)所得や状況によるが、国保加入者の所得が減れば収納率も落ちると考える。
板東
(国保世帯の)所得が減り続けていくと滞納率はふえていく状況の中で、保険税の引き上げを考えないといけない。一方で景気が悪いと、財政も悪い状況がある。どちらを優先するのかを考えたとき、やはり(国保は)社会保障(である)ことを考えないといけない。
⑤今後の国保のあり方について
森田健康福祉部長
市町村が運営する国民健康保険は、高齢者や低所得者が多い構造的な課題がある。解消策として、都道府県の役割強化や広域化が国より示されている。
社会保障制度改革国民会議では、財政安定化支援方針の策定や保険者間の格差を分析するなど、広域化または財政安定化に向け検討がなされている。国等の動向を注視したい。
2回目以降の質問
板東
今国の方針として広域化や一本化の議論がある。部長の答弁は、動向を見ながら、その方向に沿っていかざるを得ないと聞き取れた。
では広域化が抜本的な解決になるのかと考えたとき、そうならないと思う。
広域化により実務的な軽減はあるが、今の国保の問題点は、低所得者がふえる中で医療費が上がることが問題で、事務処理を少なくしても、いずれ問題になる。
一方で、一体化は今国で言われてるのは、企業負担をどうやって減らそうかっていう話になっている。一体化は普通に考えたらいい話だと私も思うが、(企業負担をどのように減らすかの)議論で進んでいる中で本当にいいのかを考えなければならない。一体化、広域化についてどのように考えるのか。
森田健康福祉部長
一体化、広域化の考え方は国が社会保障制度改革国民会議で議論が行われている。モデルでは平成29年度ぐらいから移行、広域化も想定した内容になっている。市の財政にとって直接どうかも十分考える必要があるが、国の改革の一つの流れなので、十分見きわめたい。具体的な答弁はできない。
藪本市長
国の社会保障のシステムを将来の人口減少の中で、どのようにして維持していくのかが密接にかかわってくる議論。単に市の財政への影響ということだけで考えると国保は広域化にしたい。
しかし、後期高齢者を広域化で行っているが広域化でよかったのかといった検証もしなければならない。 (板東)議員と同じ見解を持っている。
日本の国の若い世代、生産年齢人口がこれ以上減らない、また、所得をふやすシステムをつくり上げない限り、高齢者の方々の医療費や介護費を支えていけない。
一体化・広域化というツール、手法だけを議論していても、根っこから好循環に向けての議論がなされ、目に見える形にならないと、この社会保障システムは絵に描いた餅に終わってしまうという見識を持ってることを付言し答弁とする。
板東
少子化問題をどう解決するかがネックだという答弁だった。私の観点は、(少子化が)解決しなかったらどうなるのか。今は国民に負担を押しつけるだけで終わっているのが問題だ。