昨日、本会議で質疑と討論を行いました。
今回は、討論原稿をアップします。
今回の討論のポイントは以下5点かと思います。
①これからの児童生徒にとってタブレットパソコンは「道具」であり必要
②現時点でタブレットパソコンの活用は不十分
③国のGIGAスクール構想にまどわされてはいけない
④日本の教育が遅れているのはICTだけではない
⑤ICTを導入するかどうかが問題ではなく、ICTをどのように使うのかが問題
以下討論原稿です。
令和元年度三木市一般会計補正予算(第4号)について賛成の討論を行います。
小学校・中学校・特別支援学校の各情報教育設備管理事業、情報教育設備委託料、いわゆるGIGAスクール構想の環境整備予算1億8340万円について一言申し上げます。
結論から言いますと、この予算は教育現場のICT環境の整備は重要であり、個々の子どもに合った学習を保障することが大切であると思います。しかし国が進めるGIGAスクール構想には問題があると考えるものです。
R3年から3年間かけて、生徒児童に対して1人1台の端末を導入しようとしていますが、莫大な予算を必要とする事業であり慎重な判断が必要です。
現在三木市では、教師の1人1台のタブレットパソコンが支給され、小中学校には1クラス分のタブレット端末が配備されています。
現在の利用率は小学校で20%、中学校で10%程度であり、タブレットパソコンの数が不足している状況とは言えないと思われます。
令和3年度から順次1人1台のタブレットパソコンが導入される計画です。しかし、それらのタブレットパソコンは有効に活用されるのでしょうか。
この1年間で教員にタブレットパソコンを活用した授業ができるように求めるのかも知れません。しかし、今、教員は小学校の英語教育であったり、学校統廃合の対応であったり、コロナウィルスの対応であったり、4月から始まるプログラミング教育と多忙を極めています。一方で働き方改革の名の下で時間短縮が求められています。まさしく、洪水のように課題という波が押し寄せている状態ではないでしょうか。
文部科学省の「2018年度以降の学校におけるICT環境の整備方針」では目標としている水準として学習者用コンピュータは3クラスに1クラス分程度配備となっており、1日1コマ分程度、児童生徒が1人1台で学習できる環境の実現を目指していました。それが、経済界からの要請もあり「一人一台のタブレット、この流れに乗り遅れるな!」と国からはっぱをかけられ、2318億円補正予算も付けられました。三木市もこの流れに乗り遅れてはならないという思いが働いたのでしょう。
しかし、現場の実情を無視した形で進められも子どもたちのためにはなりません。
まずは、ICTをどのように活用するのか。どのような効果を期待するのか。現場が納得した形での実現可能な計画が示されることを求めます。
業界団体はこのGIGAスクール構想が加速することを期待しています。海外と比較して日本のICT導入が遅れていることを強調しています。
しかし、日本が遅れているのは、ICTだけではありません。公教育にかける予算が少なく、一クラスの児童生徒の数が多いこと、教師の数が少ないなど、世界と比較して日本の教育は多くの問題を抱えています。
GIGAスクール構想の実現により一人一台のタブレットパソコンを整備することで、「誰一人取り残さない、個別最適化された学びが実現」されると言われています。
経済産業省の「『未来の教室』とEDTECH研究会」が昨年6月にギガスクールに構想に繋がる提言を発表しました。従来の「一律・一斉・一方向型授業」ではなく「EDTECHによる自学自習と学びあい」へと重心を移行していくべきとしています。
要は、同じ教室にいてもタブレット端末を使って1人一人が異なる教科や異なる単元を学習する。それが個別最適化された教育の在り方だと言っています。
まさに、アメリカで行われている教員免許を持たない人がコンピュータに向かう生徒の管理をする授業が思い浮かびます。それを良しとする方もおられるかもしれませんが、私は両手を上げることは出来ません。
日本のICT化を求める人の中でも、未来の教室のイメージは様々であり、ICT化は是か非かの議論は正しくありません。
ICT化によってどのような教育を行うかが問題です。
私は午前中の質疑で三木市がGIGAスクール構想をどのようにとらえているのかを問いました。まだまだ、分からない部分が沢山です。
三木市としてしっかりビジョンを持って市民に示して欲しいと思います。国の流れに任せるだけでは大変危険です。教育は上から押し付けるものではありません。教師の役割は子どもたちの意欲をどう引き出すのかです。
道具としてのタブレットの導入は必要ですが、現場の要望に沿った環境の整備を求めて討論とします。
※EDTECHとはエデュケーション(教育)とテクノロジー(技術)の造語だそうです