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原題 American Sniper
実話です。
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淡々と描かれている映画で、まるでドキュメンタリーのようでした。
戦闘シーンなどリアルな場面も多く、内容もだれるところもなく非常に良かったのですが、見終わった後でも未だに自分の中でこの映画の内容がうまく消化出来ていない状況。巷の評価ではかなり高評価を得ているようですが、私としては、一体、この映画は何を言いたいのか、何を描きたかったのか良くわからず、映画にのめり込む事ができませんでした。
というのも、戦争帰りの兵士がPTSDで心身ともにまいってしまうなどという内容は今までさんざん描き尽くされてきたからです。第二次世界大戦しかり、ベトナム戦争しかり、湾岸戦争などなど。こういう内容だったら今までの映画と変わらない、これでどういう結末にするんだろう、と思って見ていたら、2013年2月2日というテロップが。。。
実は、このスナイパーが実在しこの映画が実話に基づいたものだという事をこのときに気がつきました。
(今回は映画館の予告編で見て、おもしろそうという事で見に行っただけです。)
そして、映画の中では、このスナイパーがどのようにして亡くなったのかの説明は一切ありません。そして、最後、全く音の無いまま続く、エンドクレジット。。。
う~~ん、イーストウッド監督は何を言いたかったのか、と更に考えてしまいました。
その後、監督の言葉を見つけました。それは
「映画は解釈の芸術」だと言う事。そして、この映画は一人の男を描いている映画だという事。
監督はこの映画を、そしてこの主人公を通して、「皆さん、この現実をどのように考えますか」と問題提起をしているのかもしれません。私たちに考えるという事を与えてくれているのかもしれません。
実際の主人公は、主人公と同様に戦争のPTSDで苦しんでいる仲間に撃ち殺されてしまったんですね。因果応報というかなんというか、。。160人以上も撃ち殺しているのに、自分も撃ち殺されてしまうのですから。。。それも平和なアメリカ本土で。言葉が見つかりません。
アメリカの人の中には、この映画をアメリカ軍国主義のプロパガンダと捕らえている人もいるようですが、そのようには思えないですが、ISISとの地上戦も近い、という緊迫した現実の状況ではそのように捉えてしまっても仕方ないかもしれませんが、むしろ反戦映画的内容。と思いました。
本国アメリカでは大論争を巻き起こしているというこの映画。もしかしたら、アカデミー賞獲得するかもしれません。(他の映画は大部分がまだ日本未公開なので、はっきりした事は言えませんが。)
論争でアメリカが上を下への大騒ぎ、というのは、監督の思惑通りでしょうか?
良かった、素晴らしかっただけでは終わらない映画です。
という事で、いろんな事を含んでいるということで、
🍎🍎🍎
でしょうか。
でも最後のクリスの葬列を見送る多くの市民の姿には、日本人としては若干の違和感。スナイパーは英雄とは思えません。
映画『アメリカン・スナイパー』予告編