コキュートスの記憶

日々の出来事とか戦果(買い物)とか。
主にガンダムを中心にしています。

Break through part3

2014年10月21日 | ゲームブック
前回、大金を稼ぐためにMSがいると判り、
今回は調達するまでのゴタゴタになります。

デュークとトラッパーは本部基地の第3倉庫を訪ねた。グリーンは可
哀想だが、ジープのハンドルに手錠で繋いである。
倉庫の一角は熱気に包まれていた。軍服のネクタイを弛め、胸元を覗
かせた女が、床に敷かれた毛布に転がったダイスをスティックで集め、
対面の男の前に押しやる。毛布を囲んだ十数人が息を詰めて見守る中、
男は輪ゴムで束にした札を投げ出してダイスを拾った。
「ハードシックスとエイトに2百ずつ、残りでカムだ」
※クラップスというサイコロを使ったゲームのようです。
男たちから不安と期待の入り混じったどよめきが漏れた。女はニヤリ
と笑う。
「良いの、メテラス?アナタ今日は随分負けてるわよ」
男は脂汗の浮かんだ顔で引きつった笑みを返す。
「応じられねーってのかよ」
「わたしは構わないけど…」
拳の中のダイスに祈りの言葉を囁きかけ、男はパッと手を振った。ダ
イスは毛布を下にたくし込んだトランクにぶつかり、男の方に転がる。
2つのダイスが1の目を上に向けて止まった。男の顔がスッと青ざめ
る。凍りついたようにダイスを睨みつけたまま動かない。
「残念だったわね」
冷たく言い捨てた女がスティックでダイスを集めようとした時、男は
パッと立ち上がり、甲高い声で喚いた。
「イカサマだ!こんなバカな話があってたまるか!レイピオ、ダイス
を調べろ!」
静かな怒りの篭もった目で男を見上げながら、女は隣に座ったレイピ
オにダイスを渡した。暫くダイスをひねくり回していた男は、メテラ
スに向かって首を振って見せる。
「そんな…」
真っ青な顔をした男のこめかみがピクピクと震えた。
「メテラス、これはただのお遊びだってことを忘れちゃダメよ」
「隠したな!ダイスをすり替えたんだ!」
女はキッと顔を上げ、鋭い目つきで男を睨みつけた。
「どこかにわたしが隠してるっていうの?言ってくれるわね、じゃあ
気の済むようにしてあげるわ!」
女は立ち上がりながら引き抜いたタイを男に投げつけ、シャツのボタ
ンに手をかけた。一同が息をするのも忘れて見守る中、アッという間
にブラジャーとパンティだけになってしまう。脱いだ服を男に放り、
女は腰に手を置き、形の良い胸を突き出した。
「さぁ!調べてみなさいよ。アナタの言うようなモノが出てくるか!」
男は泣きそうな顔でガタガタ震えるだけで動かない。
「…悪かった…オレの勘違いだ」
やっと聞こえる位の声で呟き、出口へとトボトボと歩いて行く男の背
を見送りながら、フンと鼻を鳴らした女は服を拾い上げた。その時に
なってやっと、デュークとトラッパーに気づく。
シャツを羽織ったディーラーはクスリと笑い、トラッパーを見る。
トラッパーは肩越しに親指をデュークに向ける。
「デュークって呼んでやってくれ。ウチの基地のパイロットだ」
「宜しく、デューク」
差し出された手を無視し、デュークは唇を歪めて笑った。
「さっきの男もだらしがねーな。オレだったらアンタの全スとを拝ん
でやるぜ。もっともアンタにゃそこまでやる度胸はねーだろうがな」
「アナタのお友だちにしては品がないわね。ヴァロージャ」
「いや~、は、は…ま、こーゆーヤツなんだ」
カニ歩きで2人の間に割って入ったトラッパーの後ろで、デュークは
追い討ちをかける。
「田舎モン相手にイカサマ博打やってる女が、今更上品振るのかよ」
「バカかテメーは!怒らせてどーすんだよ」
「それで、何のようなの?」
「実はこないだ引き取って貰ったギャプランのことで…」
「モビルスーツを1機都合して貰いたい」
ズイと前に出たデュークが、太い声でトラッパーの台詞を遮った。舌
打ちして頭を掻いたトラッパーは、デュークの後ろで囁く。
「せめて黙ってろ!」
「言っとくが、ジムⅢだのバーザムだのって二流はゴメンだぜ。最低
でもギャプランクラスで頼むよ」
デュークの声を背中で聞きながら、ディーラーは賭けの道具を片づけ
始めた。
「こっちも商売だから、お金さえ払って貰えば嫌とは言わないけど」
「金はない。だけど、アンタはタダでやってくれるさ」
ディーラーは毛布を巻く手を止め、デュークを蔑むような目で見た。
「何を言ってるか判らないけど」
「じゃ判りやすく説明してやる」
ツカツカと歩み寄ったデュークは、ディーラーの手を捻り上げた。
「デューク!」
肩を掴んだトラッパーの鼻先に、ディーラーから取り上げたスティッ
クを突きつける。デュークが把手の留め金を押すと、スティックのど
こからか2つのダイスが転がり出た。
「素人相手のクラップスに、こんな上等なスティック…変だと思わな
かったのか」
ダイスを転がしながら、デュークはふてくされた表情のディーラーに
向かい、からかうような調子で言った。
「良くできたミスアウツだな。ちょっと触った位じゃ詰めモノがして
あるなんざ判らん。でもよ、オレが割って見せりゃ、さっきの男がど
んな素人でもテメぇが騙されたってことに気づくだろうぜ」
デュークに腕を捕られたままで、ディーラーはチラと笑った。
「デューク、逃げろ!」
トラッパーの声より早くディーラーの右脚が跳ね上がり、デュークの
股間を直撃した。
「おうっ」
一声吠えて蹲ってしまったデュークから、ディーラーはスティックを
引ったくる。
「判ったわ。モビルスーツは明後日までに何とかしておいてあげる」
「ヴァロージャ…」
次の瞬間、トラッパーの右頬にディーラーの平手打ちが炸裂した。頬
を抑えたトラッパーは恨めし気にディーラーを見る。
「オレは無実でしょうが」
「こういう危ないのはちゃんと鎖で繋いでおかなくちゃダメじゃない」
「次から気をつけよう」
「そうして。品物はマッシュに届ければ良いんでしょ?じゃあね」
※マッシュはヴァロージャたちがいるマルチノフ基地の愛称です。
倉庫を出て行くディーラーを、ヨロヨロと立ち上がったデュークが追
おうとして、トラッパーに引き戻される。
「ほらほら、折角纏まった話をブチ壊すんじゃないの」
デュークはギリギリと歯を鳴らしながら、血走った目でディーラーの
背中を睨みつける。
「あの女、いつか殺してやる」
トラッパーはデュークを引き摺って倉庫を出た。

何とかMSの調達には成功いたしましたが、
この後、もう一波乱あるようで、次回に続きます。

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