コキュートスの記憶

日々の出来事とか戦果(買い物)とか。
主にガンダムを中心にしています。

エニグマ始動 part16

2014年09月16日 | ゲームブック
前回は、クインテッドキュベレイと戦いまして、
今回は唐突に終了でございます。
一応、これでTRUE ENDのようですけど…。

217:
モニター上のジムⅢに照準を合わせるのももどかしく、ランチャーの
トリガーを引く。一瞬で燃え上がった森の中で、ジムⅢが倒れた。肩
のミサイルポッドが誘爆する。
キュベレイが直ぐそこ迄来ていた。振り向こうとした時、ビームサー
ベルがランチャーを叩き斬る。
半分になってしまったランチャーを振り回し、キュベレイの胸を叩き
割った。仰け反って倒れて動かなくなる。
一条のビームに推進器を破壊され、グルンドゥールは蹌踉めいた。1
機になってしまった母機がまだ向かって来る。
「いい加減にしろ!ミディ!」
母機のビームサーベルがグルンドゥールの腹に食い込んだ。コンソー
ルに走る火花に顔を顰めながら、両腕で母機を抱き締め、ターレット
からビームを発射して四肢と武装を焼き斬る。母機のスラスターポッ
ドから爆発のような噴射炎が吐き出され、2機はもんどり打って丘の
斜面を転げ落ち、草地に叩きつけられた。半分沈黙したコンソールは
グルンドゥールの機能が停止しかけていることを示している。
「まだだっ、まだ止まるな!」
母機を下にして抑え込み、最後のパワーでコクピットハッチを力任せ
にもぎ取る。
「ミディ!」
異形のコクピットの中の影は、ピクリとも動かなかった。
「結局、アナタが強化処理を受けた時にかけられたのは、後催眠では
なかったのね」
キミとミディは、カーライル駅のプラットホームに立っていた。
「その時、アナタは既に任務の遂行と戦闘を志向するよう深層催眠を
かけられていたのよ。そして、アナタの乗機に搭載される予定で開発
されていたエニグマのプログラムには、作動の過程でその催眠効果を
強化するルーチンが含まれていたという訳ね」
「まぁ妙だとは思ったんだよな」
ホームに滑り込んで来た列車にミディの後ろから乗り込みながら、キ
ミはぼやいた。
「FISTが後催眠なんてまどろっこしいことをやるとは思えん」
「技研からエニグマのデータを盗み出したティターンズは当然、その
ルーチンにも気づいたでしょうね。それにしても、ティターンズとし
てはもう少し真面にそれを利用できたと思うのだけれど…」
「オレに対する復讐、報復のつもりだったんだろ。アイツはそう言う
ヤツだよ」
キミはアーカット中将の老いさらばえた顔を思い浮かべた。情報部に
対するティターンズの武力蜂起は失敗し、同盟はティターンズに厳し
い制裁措置を加えようとしている。彼も今度こそは処分を免れない。
「それで、今度は何処へ行くんだ?」
シートに座ったミディは、肩を竦めただけだった。
「いい加減、キーワードを教えて貰いたいんだがな…」
「アナタの本当の名前を知りたいな」
ミディの唐突な言葉にキミは面食らった。
「何だそれは」
「人の名前って不思議ね。ただの固有名詞に過ぎない筈なのに、何か
目に見えない力を持っているような気がする」
窓の外に目をやり横顔を向けたまま、ミディは呟くように言った。
「深層催眠をかけられていた筈なのに、サイド6で、彼女にヴァロー
ジャと呼ばれていたアナタは何者にも束縛されていなかった」
「それは違うな」
キミは両手を頭の後ろに組んでシートの背にもたれかかり、ニヤリと
笑って見せた。
「ナオミがオレを束縛していたのさ」
苦笑したミディは立ち上がり、客室から出て行こうとした。
「もうすぐ発車だぜ?」
「自然の欲求」
「お礼を言いたいの。ありがとう」
「キュベレイのことか?アレはお互い様だし、オマエが正気じゃなく
なっちまったら、キーワードを誰が教えてくれるんだ?」
「そうじゃなくて…」
ミディは微笑みを浮かべて首を振った。
「とにかく、ありがとうって言わせてね」

ミディが出て行って暫くすると、列車が動き始めた。
何気なく窓の外を眺めたキミの目は、あるものに釘づけになった。
ミディがいた。少し離れた土手の上に立ち、こちらに手を振っている。
キミが窓を開けようとする内に、その姿は遥か彼方に取り残されて見
えなくなってしまった。
─アイツ…何を?
客室を飛び出そうとしたキミは、シートに置いてあるミディのハンド
バックに気づき、足を止めた。
開けてみると、中には1枚の便箋と、封印された封筒しか入っていな
かった。二つ折りの便箋を開くと、手書きの文字が並んでいる。
『外界から完全に自我を閉ざしている彼女に、心理的な刺激を与える
ことは不可能です。従ってキーワードといったような通常の方法は意
味を持ちません。
封筒に収められた処方を彼女に投与してください。それが与える生理
的刺激が彼女の自我を五感に対し、解放する筈です。
狭い地球の上、また何処かで会うこともあるかも知れませんが、その
時はお互いまた別の名前、別の顔を持ってしまっているでしょうね。
取り敢えず、ミディ=ホーソンはF-008さんにさようならを言い
ます。
                           M.H』
キミはシートに身を沈め、生暖かい感傷の中に意識を委ねた。
窓の外を流れる景色には、早い秋の気配があった。透明な陽射しが、
キミの顔を柔らかく照らしている。

                            END

と、ゲルググとドライセンを選んで出撃する選択肢があったのですが、
本来はゲルググを選択するほうが正しかったみたいです…。
次回は主人公のその後のお話っぽいものを取り上げてみたいと思います。
HJ刊のGUNDAM GAMESに載ってるリプレイ作品です。

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2 コメント

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Unknown (グフフのフ)
2014-09-19 22:32:43
初めまして、グフフのフと申します。
このZZのゲームブック三部作は私が中学生の時に何度もプレイしていました。
とても懐かしく楽しませていただきました。
有り難うございました。
返信する
Unknown (カセクシス)
2014-09-20 22:59:10
今は設定ばかりを追ってしまって
物語に集中できてなかったかも…

またコメントいただければ幸いです
返信する

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