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映画音楽史(253) 『8 1/2』 1965年公開

2014-10-08 01:54:45 | 映画音楽



『8 1/2』 Otto e Mezzo (伊) 1963年制作
監督 フェデリコ・フェリーニ
音楽 ニーノ・ロータ
主演 グイド … マルチェロ・マストロヤンニ
    クラウディア … クラウディア・カルディナーレ
    ルイザ … アヌーク・エーメ
    カルラ … サンドラ・ミーロ
主題歌 『8 1/2』 ( Otto e Mezzo ) 演奏・サウンド・トラック

一人の映画監督を通じて、過去の郷愁、幻想、それに空虚な現実を織り交ぜて魂を失った現代人の不毛を象徴主義的
に描いたフェリーニ作品で、ベルイマン監督の『野いちご』に並ぶ芸術映画の頂点を極めた最高傑作。
映画監督のグイドは新作のクランクインが迫っているのにその構想も準備もできず精神に変調をきたし始めたため
湯冶に出かける。彼を追うように妻のルイザや愛人のカルラが押しかけてきて煩わしいばかりで治療どころではない。
グイドにとって心の拠り所であるクラウディアも儚い夢でしかない。現実を現実として掴みきれない焦燥は少年時代の
郷愁を求めたり自分勝手な妄想することで逃避しようとするが映画監督としての現実に戻らざるをえなかった。そして
混乱した自分自身をありのままに受け入れる決意をして、オープンセットに集まった人々に力強い指示を出しながら
みんなの輪の中に飛び込んでゆく。

主題歌の『8 1/2』はニーノ・ロータの作曲によるものです。ニーノ・ロータはこの曲をハチャトリアンの『剣の舞』から
アレンジしたりと様々なスコアを書いて全編で使っていますが、やはりラストシーンの少年時代のグイドに重なったメイン
テーマが心に沁み渡ります。もちろんサウンド・トラックはニーノ・ロータ自身の楽団による演奏です。
また、YOUTUBEには見当たりませんがエンリケ・フスコ楽団の名演奏も忘れられません。

↓はサウンドトラックによる『8 1/2』 YOUTUBEより


また、少年グイドの神学生時代のシンボル的存在となったサラギーナ。グイドたちが彼女にルンバを踊らせる浜辺の
シーンで使われていた挿入歌の『サラギーナのルンバ』 ( La Saraghina ) も忘れられない一曲です。

↓はサウンドトラックによる『サラギーナのルンバ』 YOUTUBEより