『赤い砂漠』 Il Deserto Rosso (伊) 1964年制作
監督 ミケランジェロ・アントニオーニ
音楽 ジョヴァンニ・フスコ
主演 ジュリアーナ … モニカ・ヴィッティ
コラド … リチャード・ハリス
ウーゴ … カルロ・キオネッティ
主題歌 『赤い砂漠』 ( Il Deserto Rosso ) 演奏・サウンドトラック
愛の不毛を描き続けたアントニオーニの終結篇で彼が挑んだ初の色彩作品。無機的な工場周辺の風景と、断絶を表現
する原色、倦怠感を醸し出す濁淡色などその色彩処理をもって人間の疎外感を見事に映像化した色彩芸術映画の傑作。
ジュリアーナはイタリアの工業都市ラヴェンナの工場技師である夫のウーゴと息子のヴァレリオと生活をしている。彼女は
以前に交通事故のショックからノイローゼが癒えていない。ジュリア―ナは工場を訪れた時に夫から同僚のコラドを紹介
される。コラドは彼女の精神不安に同情を覚えた。ジュリア―ナは夫やコラドとそれに数人の友人たちと港に出かけて
無人の小屋で休息をとっていたが停泊していた船に伝染病が発生とのことで再び精神が異常をきたしはじめたりする。
また夫が出張すると不安にかき立てられてコラドを求めるが、かえって虚しくなり深い孤独に苛まれるだけであった。
主題歌の『赤い砂漠』はアントニオーニ監督の盟友ジョヴァンニ・フスコの作曲で、サウンド・トラックも彼の楽団による
ものです。珍しく軽快なサウンドで、映画では港の小屋での乱痴気騒ぎのシーンで使われています。
また、アントニオーニとフスコとのコンビはこの作品が最後となってしまいました。このブログでは取り上げませんが、
アントニオーニは次作の『欲望』ではガラリと変わってモダンジャズを取り入れています。
↓はジョヴァンニ・フスコ楽団の『赤い砂漠』 YOUTUBEより