4月6日にまたも「核実験」か…過去最大規模の数十倍の威力になっており、「地震や火山噴火」の触発も懸念
金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮が、6回目の核実験の準備を進めている。今回の実験は「過去最大規模」「十数倍の威力も」といわれ、地震や地殻変動などの環境破壊を指摘する専門家もいる。ドナルド・トランプ米大統領と、中国の習近平国家主席は6、7日、米フロリダ州パームビーチで米中首脳会談を行うが、制御不能状態となった正恩氏を排除する「密約」を結ぶのか。
「いま日本の新聞が書いているより深刻じゃないか」
麻生太郎副総理兼財務相は3月31日、閣議後の記者会見で、北朝鮮情勢について、こう語った。
米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」は同月29日、前日撮影された商業衛星写真に基づき、北朝鮮の北東部豊渓里(プンゲリ)にある核実験場の指揮施設の中庭に、車1台と70~100人の集団が確認されるなど活動が活発化しているとの分析を発表した。
韓国軍合同参謀本部の広報室長は翌30日の定例会見で、正恩氏が決断を下せば核実験がいつでも可能だと指摘し、「過去とは異なる様相の核実験を行う可能性を排除していない」と語った。聯合ニュースが報じた。
同時か、わずかな時間差での複数回の爆発実験や、威力を飛躍的に高めた弾頭の爆発実験を行う可能性を念頭に置いているようだ。
この核実験について、元航空自衛隊空将で軍事評論家の佐藤守氏は「米シンクタンクなどの分析では、今までの十数倍の威力を持つ原爆や、水爆の実験の可能性がある」といい、続けた。
「大規模な地下核実験を行えば、地震を引き起こす可能性がある。豊渓里は中国とロシアの国境に近い。北朝鮮だけでなく、中露でも被害が予想される。加えて、韓国の大学などが、豊渓里から約120キロ離れた中朝国境の火山・白頭山(ペクトゥサン)の噴火を触発する可能性も指摘している。正恩氏は、異母兄の金正男(キム・ジョンナム)氏を暗殺するなど自身の制御ができなくなっている。何をやるか分からない」
白頭山は、中国では「長白山」の名で呼ばれ、標高は2744メートル。文献などによれば、過去に複数回噴火している。実際に噴火すれば北朝鮮はおろか、韓国や中国、ロシア、日本などにも被害が及ぶ恐れがある。
安倍晋三首相は2014年10月の参院予算委員会で、白頭山の噴火の危険性について、以下のように答弁している。
「10世紀の噴火で(日本の北海道や東北地方で)約5センチの火山灰の堆積があったとされている。同規模の噴火が発生した場合には、降灰による大きな影響が発生すると考えている」
現時点で、北朝鮮が核実験を行うタイミングとしては、米中首脳会談(6、7日)や、北朝鮮の国会に当たる最高人民会議の開催(11日)、故金日成(キム・イルソン)主席の誕生日(15日)などが指摘される。
前出の佐藤氏はいう。
「北朝鮮が今度、核実験に踏み切れば、米国も中国も黙っていないだろう。米軍主導の『斬首作戦』や『限定空爆』に踏み切る可能性がある。当然、北朝鮮の反撃もあり得る。日本全土を射程に収める中距離弾道ミサイル『ノドン』を200~300基、実戦配備しているとされ、日本の安全保障の危機でもある。だが、日本の国会は学校法人『森友学園』の問題ばかり。一部野党やメディアは意図的に目をそらさせているのではないか」