学校法人「森友学園」(大阪市)が小学校の建設工事で金額の異なる3種類の契約書を国などに提出していた問題で、契約書の原本にあった「(大阪府の)私学審議会に提出する契約書は別途作成する」との記載が、籠池泰典・前理事長の指示で削除されていたことが関係者への取材で分かった。契約翌月の昨年1月、施工業者らに「具合が悪い」と削除を求め、記載部分を紙で覆い隠し、原本を訂正したという。国土交通省も経緯を把握しており、籠池氏が不正を認識していたとみて調査。大阪地検特捜部は実態解明を進める方針だ。

 同じ工事で異なる金額の契約書が存在することを隠す意図があったとみられる。3種類の契約書の存在が判明したのは、一連の問題が表面化した今年3月以降になってからだった。この問題では、籠池氏が虚偽の契約書で国の補助金を不正受給したとする補助金適正化法違反容疑での告発を、特捜部が受理している。

 学園は2016年3月、国交省の補助金を得るため、工事費を「23億8464万円」とする契約書を提出。今年2月までに計約5600万円の補助金を受給した(今年3月に返還)。

 一方、小学校の設置を認可する大阪府私学審議会には工事費を「7億5600万円」、別の助成金を支給する空港運営会社には「15億5520万円」と記した契約書を提出。契約は全て15年12月3日付だった。

 施工業者は取材に、正式な契約書は約15億円だったと証言。その契約書には当初、「私学審議会提出用」として別の契約書を作成するとのただし書きがあった。学校の認可には借入金が一定基準以下でなければならず、工事費を安く報告する必要に迫られたという。

 しかし、審議会に約7億5000万円の契約書を提出した後の昨年1月末ごろ、籠池氏が契約書原本からの削除を指示。ただし書き部分に紙を貼り付けて覆い隠し、学園と施工業者、設計会社が訂正印を押した。原本は発注者の学園が持ち、業者が写しを持つことになっていた。

 籠池氏はこれまでの取材に、契約書は「三つとも正しい」と主張。私学審議会に出した契約書は「(認可基準のため)7億5000万円で作らないといけなかった」と話している。学園側は大阪府の検査に対し、「契約書原本の開示方法は検討させてほしい」としたまま提出していない。

遠まわしにしていただけで、明らかに