えびの高原硫黄山 斜面に熱い火口湖できる 気象庁が現地調査
新燃岳の噴火に伴って火山活動の活発化が懸念されるえびの高原硫黄山で、気象庁が現地調査を行った結果、先月には「湯だまり」と呼ばれる小さな火口湖ができているのを確認した。湯だまりからは熱水が流れ出し、噴気が勢い良く上がっており、煙で何も見えない状態だ。
硫黄山周辺の地震計では、7日午前0時半ごろから午前10時ごろにかけて、地震波の波形が大きく動き、同日未明からは活発な噴気が観測されている。
気象庁は10日、現地調査の結果を報告し、南西側にできた直径数メートル程度の湯だまりの写真を公開した。この湯だまりは3月下旬には存在しなかったもので、赤外線熱観測装置の画像でも、地表温度が高い領域が広がっているのがわかる。
宮崎県と鹿児島県の県境に位置する霧島連山は、新燃岳や高千穂峰、御鉢のほか、小型の火山や火砕丘を含めると20を超える火山体が存在する。山体の大きさに比べて、大きな火口を持つ火山が多いのが特徴で、大浪池や大幡池は、火口に水が溜まってできた火口湖だ。
近年では新燃岳の活動が最も活発化しているが、明治から大正時代にかけては、御鉢が噴火を繰り返していた。これらの火山に囲まれたえびの高原は、ここだけに自生する天然記念物の植物など豊かな自然が楽しめる観光エリアとして人気だが、東側にそびえる標高1317メートルの硫黄山は、霧島連山のなかで最も新しく、西暦1300〜1500年ごろにマグマ噴火を起こした記録がある「生きた火山」だ。
また地下には、2011年の新燃岳の噴火の際に、マグマを供給していた可能性があると推察されるマグマだまりの存在が示唆されている。気象庁は、硫黄山から約1キロ範囲では、突然の噴火で岩が飛び散る可能性もあるとして、噴火警戒レベル2を発令して注意を呼びかけている。