コロナウイルス「海藻あおさに増殖抑制効果」中部大が発見
中部大学などの研究グループは、海苔などに使われる海藻のあおさにコロナウイルスの増殖を抑え、抗体を増やす効果があることを発見した。ヒトからヒトへ感染するコロナウイルスと、新型コロナウイルスの構造がよく似ていることから、同じ効果があると期待されている。
中部大学大学院の林京子客員教授は、富山大学薬学部に在学中の10年前からあおさに含まれる「ラムナン硫酸」という多糖類が麻疹(はしか)やおたふく風邪、エイズウイルスなどさまざまなウイルスの増殖を抑制する効果について研究してきた。
ヒトコロナウイルスの感染実験に使える動物がいないため、代わりにコロナウイルスと遺伝子構造がよく似たインフルエンザA型ウイルスに感染したマウスにラムナン硫酸を投与した結果、3日後にウイルス量が半減し、免疫抗体の量が1週間で約1.5倍、2週間で約2.3倍に増えたという。
研究グループはこれまでの実験データから、ラムナン硫酸には、ウイルス表面を覆うタンパク質の膜が生体の細胞にくっつこうとするのを邪魔し、免疫細胞を活性化して抗体を生み出す2つの効果があると見て、今後は新型コロナウイルスを研究中の医療機関と協力して、ラムナン硫酸の効果を検証したいと考えている。
治療薬やワクチンの開発には時間がかかるうえ、ウイルスの構造は変化しやすいので、せっかく開発したときには効き目がなくなっている可能性もある。これに対してラムナン硫酸は、ふだんから免疫細胞を活性化させる効果が期待されることから、ウイルスがやってきたときには素早く抗体を作り出すことができ、そのウイルスがどのような種類でも対応できるという特性を持っているという。