<目撃>湖に開いた巨大「ダム穴」、まるで地獄の入口
記録的大雨で水が流出、米カリフォルニア州
まるで地獄の入口だが、ベリエッサ湖の「ダム穴」は救世主だ。
直径約22メートル、長さ約75メートルのこの水抜き穴は、米カリフォルニア州ナバパレー、ベリエッサ湖のモンティセロダムにある。垂直な穴を水は渦を巻きながら流れ落ち、およそ600メートル下にある近くのプタ川に注ぐ。
【動画】「ダム穴」に水が流れ込む映像
モンティセロダムが建設されたのは1940年代で、灌漑用水と飲料水を確保するためだった。現在もおよそ60万の住民が恩恵に預かっている。満水時の総貯水量は約19億立方メートルだ。
過去2カ月にわたり、ナパバレー周辺は記録的な大雨に見舞われた。そのせいでダムに水が押し寄せ、貯水量の限界に達してしまった。
ソラノ郡灌漑地区の水資源電力運営マネージャーであるケビン・キング氏は、ダムの運営を監督している。彼はダム穴の効果をバスタブの側面にある水抜き穴になぞらえる。
「水位が上がると穴から水が抜けます。でも、そこまで達しなければ水は流れ出ません」
目下の天気予報によると、この先2週間ほどダム穴が活躍しそうだとキング氏。
ダムの放水路が正しく建設されていなかったり、存在しなかったりすると、大災害が起きる可能性がある。カリフォルニア州北部のオロビルダムでは、放水路の建設そのものが不十分だったうえ、メンテナンスのやり方を間違えていたせいで、2月のはじめに危機に陥った。ダムの一部が損壊して下流にある街に洪水が起きる恐れから、18万を超える住民が避難を余儀なくされた。
幸いなことに、ベリエッサ湖のダム穴にはまだ劣化の様子は見られず、地元では人気の観光スポットになっている。60年代以降は以前ほどおなじみではなくなっているとキング氏は言うものの、「朝顔型洪水吐(morning glory spillway)」や「グローリーホール(glory hole)」など、この湖のダム穴にはたくさんのニックネームが付けられている。