「先生に、手品を見せてあげるね」
ピアノのレッスンにやってきて、上着を脱いで、譜面をピアノの蓋に置いて、、おもむろにマジックを始めたCoちゃん。
それは、左手が右手の長さよりも長くなるというマジックで、ひと通り見せてくれた後に、
「先生も一緒にやってみよう?」と言う。
私も試しにやってみて、ほんとに…変わった気もする。
私の様子をじっと見ていたCoちゃんは、よし、と満足気な顔をすると、
「じゃあ、弾こうかな」とピアノの椅子に座った。
頑張り屋のCoちゃんは、とっておきに練習してきた時にだけ、私が、偉かったね!の敬意を表し、譜面に書くgreat‼️のサインをもらえる事、を毎回のレッスンの目標にしている。
もらえない日もあるが、その日はちゃんともらって終わった。
帰り際、「Coのマジック、元気出たでしょ」
と私の顔色を見るように言うから、ちょっと驚いた。
「面白いマジックだから、先生も誰かにやろうかなぁ」と笑った。
レッスンが始まる前、発表会の構成で少し考え事をしていた。いつも元気に出迎える私だけど、その時のちょっとしたバタバタ感を察知したのかも。
子どもの方が大人の空気感を敏感に察知する、と私は思っている。
(いろんな子がいるから、当然そうでない子もいる)
Coちゃんは1年生だ。
終わってから、その時の様子を振り返って、つい笑ってしまった。