いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

彼に騙されなかった理由は・・・たぶん嫉妬(笑)

2016年03月18日 14時21分23秒 | 社会全般
ちょっと話題になっているので。

>http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/031700036/?P=1


小田嶋氏をして、騙された、とは予想外。

我が家では、特に妻がずっと前から「この人おかしいよ、怪しい、一目で分かる」みたいに豪語しており、今回の一件でも珍しく「ホレ見たことか」の自慢を仰ぐ結果となりました(笑)。まさしく仰る通りでございました。


ま、当方は彼に特段の関心を抱いていたわけではありませんし、経歴等についても知らなかったので、経歴詐称で「騙された」感と言いますか、被害者感情のようなものは、一切ないわけです。ただ、時折「報道ステーション」なんかで顔を知ってた、という程度でした。番組登場時の紹介が「経営コンサルタント」と表示されていたので、「へん、そうなんだ、大したことないな」くらいにしか感じてなかったわけです。


どうしてか?と言いますと、ずっと以前から「胡散臭い連中」の『傾向と対策』(古!)があったものでして、経歴なんかよく知らなくてもいいけど、仮に「MBA取得、経営コンサルタント」みたいな肩書だったなら、まずその時点で「胡散臭い人だな」の印象を抱いてしまうであろう、という、当方独自のバイアスがあるからなのです(笑)。



リーマンショック前に、コンサルは…ねえ…、と。


2008年7月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/13d4607a915647fdb489764da699eb9d



2009年2月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/394a76a69263f245146a2ab63a7eb36e

(一部再掲)


世の中には、色んな商売がある。中には、詐欺的商法なんかもあるし、自尊心や見栄を満たす為だけに存在する商売もきっとあるだろう。「ハナモゲラ大学院大学のMBA取得、学位取得、●●博士、現在ハナモゲラ大学院大学客員教授」みたいな、新聞紙で出来たようなどでもいい肩書きをしょって、空疎な泥人形を誤魔化しているような連中というのは、結構いるかもしれない。

早い話が、「中身がない」というだけ(笑)。

どんな形であろうといいので、親が金を出して、あまりありがたみのない大学に行かせて、大した教育も受けず、「名ばかり大学」を卒業してしまうことはあるのではないかと思えたりもする。履歴書の学歴欄を見ると、「名ばかり大学卒」とか書いてあるという寸法です(笑)。資格欄には、バブル気味の超安値「MBA」とか。まずお前が鍛えてもらえ的なダメ講師陣が役立たずな屁理屈を指導、ないし腐れ理論を「ネットで自学自習(笑)」や「仮想現実授業」、で、出来上がるのは、ロクでもない講師陣とほぼ同様な大卒者の拡大再生産が繰り広げられる、と。



別に、有名大出だろうが、MBA持ってようが持ってなかろうが、どっちだっていいんじゃなかろうかと。そんな肩書を有難がるという風潮が、当方にとってはアホらし、と思ったということなのですが。



2009年1月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/cafc82c5bc9915e987d10b0e0d409f3c

(一部再掲)

よくいるコンサルだのというのは、米国でMBA取りました、とか、肩書きは立派な人たちはそれなりにいるわけだ。そういう人たちの多くは、「米国では…」という「出羽守」(笑)タイプの連中が圧倒的に多い。で、米国モデル以外の解決法とか考え方とか、そういう何かを提案できる人間というのは極めて少数。
米国ではそうだとして、だからどうだっての?
何、それが一番優れているわけ?

つまり、彼らには考察というものがまるでない。
 (中略) 

人々の無知につけ込む、という点においては、詐欺師もコ○○ルも似たり寄ったりだわね。コンドルは飛んでゆく、ではないよ(笑)。


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とまあ、このように、コンサルを目の敵にしているわけではございませんが、辛辣な意見を浴びせてきた当方としては、あまり信じられるタイプの人種ではなさそう、ということです。いや、中には立派なコンサルタントの方もおられるでしょうから、心外に思われるかもしれませんが、当方の抱く感触というのは、概ねこういうことです、と。


なので、コンサルの発言には、一種の「眉唾」っぽく聞いておいて、自分で確かめないと気が済まない、というような感じですね。そうか、自分でやるなら、コンサルの必要性を感じない、ということになってしまいますかね(笑)。


いずれにせよ、世間さまに対して、何らかの「箔」を付ける必要性から、経歴のモリモリが横行してしまうのでしょうね。

しかし、当方が渦中のイケメンをくさしてしまうのは、詐欺的だろとかいうことよりも、世間が「彼に対する高い評価」を与えていることでしょうね、と気付いたのですよ。それは、当方が「彼に嫉妬している」ということなのです。


これはこれで、痛々しいわけです(笑)。
けど、自分がイケメンではないことくらい、簡単に分かりますし、誰も当方には質問してきたりコメントを求めたりすることは決してありませんから、日常的な社会生活においては当たり前のことのはずなんですね。


にも関わらず、心のどこかで「そんな程度のコメントはオイラでも言えらい!へん!」くらいに思っていて、これは嫉妬心なんだろうな、と。だから、当方には彼を非難できないし、彼の経歴の正誤は当方には関係がなく、どうだっていいことなんです。何処かで、ざまあ、なんて思いたくないからなんだな、多分。彼が降板させられたとて、自分に成功が訪れるわけでも何でもないわけで。逆に、嫉妬心に気付いてしまった以上、自分を誤魔化すのもちょっとナンだな、と(笑)。他人の不幸を喜ぶことは、避けたいから。


むしろ、報道機関側の方が、変に肩書を有難がってみたり、無駄な権威主義的姿勢だったりするということに問題があるのではないでしょうかね。

人間ってのは、チヤホヤされたり、傍から見ればうまく行っているようで悩みもなさそうであっても、分からないことってたくさんあるんですね。

普通の幸せを実感できることに感謝したいです。



災害から5年、何年経っても愚かなエリートたち

2016年03月14日 15時53分56秒 | 社会全般
日本という国の狂気、これは筆舌に尽くし難い。

愚か者を政治の上層部から排除できない、という、まさに「システム」なのだ。かつて国会事故調が指摘した、「日本文化の慣習」なのである。


5年経っても、溶融した燃料の状況を確認する手段すら、開発されてはいない。処理方法を誰も考えられず、実行することすら不可能なのだ。それでいて、再稼働だけはどんどんやって行こう、という政治姿勢だけは堅持されているのである。満足に解決もできないくせに、また懲りずに同じことを繰り返すのである。学習できない連中ばかり、だ。


昨日、NHKの再現ドラマが放送されていた。
当時の、現場で作業に当たってくれた人々の苦闘を忘れてはいけない、と思う。その意味では、悪くはないのかもしれないが、記憶の書き換えが行われてしまうかもしれない、ということに注意が必要である。


12日の1号機水素爆発以降、報道発表が非常に気になっていた。なので、テレビを注視していた。初期の頃、1号機を「水棺にする」というような官邸側の見解が示されていた。爆発したのは、あくまで建屋だけなので、圧力容器や格納容器は健全性が保たれているから大丈夫だ、海水で満杯にすれば大丈夫だ、というような話だった。


しかし、14日、3号機がまたも爆発。
当日、当方はたまたま家にずっといた。休暇だったからだ。国内放送は延々と同じACの広告映像ばかりが流れ、時折官房長官会見とか、保安院か東電会見で新たな情報が報じられる程度だった。

なので、しばらくCNNを観てた。
すると、遠距離からカメラがズームアップすると、3号機が吹き飛ぶ様子が映し出された。


外人のキャスターはオウと短く叫び声を上げてた。
すぐさま、国内報道を確認したが、遅々として報道されず、「水素爆発」とも言われてなかった。ネットでも大差なかった。数時間後、黒煙が上がっただったか、大きな振動を感知だったか、寝言みたいな表現で広報されただけだった。

海外メディアを含め、日本政府の情報開示に「疑念」が生じたのは当然だった。隠蔽しているようだ、と。
その後、2号機の危機が夜から明け方にかけて報じられていたが、どうなるのはか全く不明だった。が、東電発表で、早朝(6時頃だったか?)に地下に爆発音と大きな振動があった、と報じられた。どうやら、サプレッションプールのどこかに穴が開いたのではないか、という見解だったはずだ。

これにより、圧上昇で格納容器破壊が心配されていた2号機が、線量上昇はあったものの建屋ごと吹き飛ぶという事態は免れたようだった。しかし、15日午後には、運転していなかったはずの4号機が建屋から出火と報じられ、仕事中だった私は、このままでは本当にダメか、と思った。

神仏に人生最大級の祈りを捧げた。
あの時の、見えない遠くの人々のことが胸に突き刺さって、その苦しい痛みは一生忘れない。


3月15日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/5f9954d2b1cd8dc023a3e9ea0d1d8612


死を覚悟して、注水作業をしてくれた人々がいなければ、日本は本当に終わっていた。
国会事故調の報告書を読めば、それは誰しもが同じ思いを抱くに違いない。


2012年7月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/e86e7ca57d08ea20637c249807fcc20a


先日、大津地裁の仮処分決定が出されたが、司法が立ち向かう勇気を持ちはじめてくれているように思う。これを支えるのは、多くの国民の「声援」なんだ。誰でもいい、裁判所はどう判断したか、その後上級審はどうしてるか、不当人事などはないのか、いつも注意を払っていてほしいと思う。そうすることが、声を上げ続けることが、勇気ある裁判官たちを守ることになるのだから。



事故から約半年後、当時の原因調査の中間報告が出されていて、それを基に初期対応の問題を記事に書いた。


2011年10月

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/3ecfb64c88554a0258aa06000ad5692b

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/87e660e99bd74ed29357431c4b98f558



日本は、異常な国である。

当初から東電の報告にはおかしな点があることなど、拙ブログの素人から見たって分かるのに、原発事業者も研究者も規制庁も「誰も異議を唱えない」という、まさしく「規制の虜」状態を延々と継続しようというのだから。


人災、そうとしか言いようがない。
決死で作業してくれた人々には申し訳ないが、失敗ということである。そして、今も、原発を稼働してもよいという事業者など、日本のどこにも存在してない。


旧態依然、事故前と、何一つ変わってなどいない。
むしろ、敗北からさえ、何も学べないということで、悪化しているとさえ言える。向上の跡を見せたのは、裁判所だけである。

いや、ひょっとすると、原子力規制委員会もまた、ほんの僅かながらでも、踵で残して、昔の規制庁よりは前進しているかもしれない。が、政治面からの圧力に抗し切れるものではないので、永久に「審査合格を先延ばし」するわけにもいかなかった。規制委員会に全ての責任を押し付けてくる政治に対し、そもそも「国として、政治家が責任を負うべき」と大声で言いたいであろう気持ちは、推察できる。


原発行政は、福島の原発事故を受けてでさえ、やっぱり、以前と同じく「無責任」かつ「馴れ合い」なのだ。これこそが、「日本という病気」なのだよ。そのことに無自覚な政権自体が、深刻な病気なのだ。



>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/890a749238252e2b35c0b925191eb655

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/ee22e764404fc71f1d74b9ae32d511c1

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/8b9e1c9851272fc1ebab6ccd2b9decd1

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/a174e64635cba29ebe49fa92c9724bac


今の政治体制を続ける連中、それは、経済・産業界にも官僚にもマスコミにも大勢いるんだ。歯車を回し続ける、協力者として、だ。彼らに対抗できる勢力を結集しない限り、多数派がいつまで経っても勝てるようにはならない。大勢の国民が望んでいるのは、原発をやめること、だ。



楽天の三木谷は何故日本から出て行かず、シンガポールから撤退したのか

2016年02月17日 12時18分27秒 | 社会全般
よく知らなかったんだが、楽天のアジア圏の事業が縮小整理されて、撤退するということになったらしい。
中でも、シンガポールからの撤退に伴う解雇が旧正月に行われたということで、現地でもちょっとした話題になっていたようだ。


>http://uniunichan.hatenablog.com/entry/20160217Rakuten


楽天の事業撤退のご様子はこちらが詳しい。

>http://thebridge.jp/2016/02/rakuten-exit-singapore-malaysia-indonesia-thailand


前から言っておいたはずだ。
日本みたいに不自由な国、規制で雁字搦め(笑)で、英語も満足に話せない人たちが大勢いて、グローバルな時代に取り残されてる、関税だの法人税だのがクソ高くて、解雇ができずに困ってしまう、大変不幸な国、そうやって言ってたんだから、ビジネス天国(笑)のシンガポールでもどこでも出て行ってくれ~(沢田研二風)って言ったでしょ?


2014年1月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/2b82a2292aa11bb685196d1b5daa72e2


前記参考記事の書き手の方も、楽天の記者会見が何故英語でなかったのか、不思議そうにしていたようですね。ホント、仰る通りと私も思いましたよ。


2010年8月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/83ae3bb5f289810679366293042d38dc

2013年6月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/292225b03a7aeb0c46db5111d729e8bd

産業競争力会議の民間議員を辞めてやるぜ、と啖呵を切ったわりに、辞めずに未だにイスに座り続けるその傲岸さには恐れ入ますわ。
その後の会見でも英語は止めてしまったんですかね。

13年10月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/6d0dc584589874bcf1a32e78d173bd39


おかしいですよね。
ネット環境がありさえすればいい、英語が話せて、法人税が安くて、解雇自由のシンガポールから、どうしてわざわざ不自由で不幸の国日本に戻ってくるのですかね?

日本から出て行けばいいだろう。何故出て行かないのだね?


で、シンガポールもマレーシアもインドネシアも撤退と?
笑うわ。
確かに簡単に首切りで、日系企業の評判を散々落としてくれたってわけだね。「非情のビジネス界(笑)」、全開ですか。


日本で商売なんかするな、楽天。このような企業は、日本には必要ない。英語圏の国に出て行って下さい。


>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/a74e7682d120c036bf95d415dc63540f


一刻も早く、真のグローバル企業になるべく、法人税の安い国へ出て行くよう、再度お願い申し上げます。



「告発者 一色」で思い出すのは尖閣ビデオ流出事件のお粗末

2016年02月04日 01時17分14秒 | 社会全般
甘利大臣の秘書の口利き疑惑について、週刊誌に実名告発をしたとされる人物が一色という名らしい。週刊誌記事は読んでないが、同名で思い浮かんだのが、一色海上保安官のことだった。


尖閣ビデオの流出事件は、当初報道された証言や内容というのが、後日になって変更されたりするという、出鱈目証言のオンパレードだったが、警察や検察の捜査は杜撰なままで終結されたわけである。

この一件から想像されたのは、情報は操作できるものであり、報道機関も手先となって利用されてしまうものだ、ということだった。


2010年11月13日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/3f3791427533f4d80da9bdd31649739a

同12月23日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/a3153bf6f3b1192be1a5609c9c454d9d


日本国内の報道機関は信用ならないな、とか批判してたら、この時はCNNまでもが登場することになったわけである(笑)。

11月25日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/1dfec05ce7d47a3fbea3143cea7a8c49


2番目の記事に指摘しておいたが、データ入手時期がいい加減なのですよ。警察も検察もハードを調べたんだから、「コピーした日」は物理的に特定されたわけで、それはただ特定の1日、として日時が判明していたはずだ。しかし、適当に誤魔化して終結となっただけなのだ。


参考の報道を挙げておく。


1)2010年11月12日 共同通信

尖閣諸島付近の中国漁船衝突の映像流出事件で、関与を認めている神戸海上保安部の海上保安官(43)が「海上保安大学校(広島県呉市)の共有フォルダーから映像を入手した」と話していることが12日、捜査関係者への取材で分かった。

 映像は一時、海上保安大学校の共有フォルダーから海保内のネット経由で入手可能な状態だったことも判明。この時期に映像が拡散したとみられ、警視庁は、保安官が巡視艇から大学校にアクセスし入手したとみて、大学校に捜査員を派遣して調べている。

 警視庁は12日、3日目となる聴取をした。捜査当局は、国家公務員法(守秘義務)違反に該当するか慎重に検討しており、週明けにも逮捕か書類送検かを判断する。保安官は聴取開始から12日まで神戸海保が入る庁舎にいたが、状況次第で帰宅もあり得る。

 捜査関係者によると、巡視艇のパソコンから映像を記憶媒体に取り込んだ形跡があった。保安官は、艇内のパソコンから公用の記憶媒体「USBメモリー」で映像を取り込み、個人用パソコンにデータを移動。そこから私物のUSBメモリーに取り込んだと話している。警視庁は、当初から私物を使うとセキュリティー機能が作動してしまうためとみている。

 保安官は当初「庁舎で見た」とも話していたが、その後「巡視艇内で見て入手した」と説明。「9月下旬から10月上旬に入手した」とし、映像を投稿後に「USBはインターネットカフェからの帰宅中に壊して捨てた」と話している。「国民に知らせたかった」などと動機を述べ、「別の映像を使い、自宅で動画サイトに投稿する練習をした」とも話している。

 捜査関係者によると、流出した映像は研修用に編集され、第11管区海上保安本部(那覇)から海上保安庁(東京)を経由して大学校に渡り、巡視艇のパソコンでも視聴できた。海保は「捜査資料で研修用ではない」としており食い違っている。

 4日に神戸市のインターネットカフェで映像を投稿、流出させ、5日朝に自宅のパソコンから削除したと説明している。(共同)



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共有フォルダに保存されていた期間は10月中頃までだった、という報道があったわけで、それより前に入手しないとおかしいだろう。ところが、後日になると、証言を翻しているわけだ。それが「10月31日説」である。


2)朝日新聞12月23日記事

>http://www.asahi.com/special/senkaku/OSK201012220189.html

勤務実直12年、最後は無言のまま 一色保安官
(2010年12月23日4時2分)

自分が衝突映像を流出させた――。そう上司に名乗り出てから43日目、神戸海上保安部の一色正春・海上保安官(43)が22日、守秘義務違反容疑で書類送検され、辞職した。船乗りを夢見続け、海保で12年余り、実直に働き続けた保安官を流出に駆り立てたものは何だったのか。

 「私から話せることはありません」

 書類送検後、海保から1年の停職処分を受け辞職した一色保安官は22日夕、神戸市中央区の第5管区海上保安本部が入る庁舎を出る際、報道陣にそう言い残して去った。

 事件後、健康上の理由で、乗務していた巡視艇「うらなみ」を離れた。事情聴取を受ける日々。年次有給休暇を消化する形で、5管には数えるほどしか出勤しなかった。

 「こんな大胆なことをするとは」「びっくりした。そういうことをする印象はない」

 一色保安官が衝突映像を流出させたと聞いた多くの知人らは、衝撃を受けた。

 一色保安官は京都市出身。地元の中学卒業後、富山県の商船高等専門学校に入った。体格が良く空手も習っていた。同級生らによると、一見、近寄りがたいが、性格は気さくで友達も多かった。学校の実習船に食料品などを積み込む際、体の小さな同級生に「俺に貸してみろ」と言って代わりに荷物を運んだ。ふざけて雪の中に飛び込み、骨折するなど、お調子者の一面もあった。

 当時は就職が厳しく卒業しても乗る船が見つからない時代。一色保安官と同級生らは「給料が安くても、船に乗る仕事がしたいな」と語り合っていたという。

 ほかの職業を経て、98年に海上保安官に採用された。神戸に拠点を置く5管で勤務し、1年間韓国語を学んだ後、徳島や姫路を経て今年から巡視艇「うらなみ」の主任航海士を務めていた。

 そんな一色保安官が、海保の端末機から尖閣諸島沖での衝突映像を持ち出したのは10月31日。事件の約2カ月後だった。持ち出した4日後には映像をインターネット上に流出させていた。

 「政治的主張や私利私欲に基づくものではありません。ただ広く一人でも多くの人に見てもらい、一人ひとりが考え判断し、そして行動して欲しかっただけです」

 動画投稿を上司に告白した後、5管庁舎を6日ぶりに出ていく際、公表したコメントには「確信」のようなものが垣間見えた。商船高専の同級生の間では支援の動きが広がり、弁護士費用をカンパした。

 一方で、同僚らには「ご迷惑をおかけします」と謝って回り、「海保を辞めたい」と弱気なそぶりを見せていた。考え抜いた末、12月17日に5管の人事課長に辞職届を手渡した。受理されたのは、警視庁が書類送検し、海保が懲戒処分を発表した22日だった。

 海保を去るこの日、5管本部長室で処分内容を申し渡す書類を受け取った一色保安官は、無言のままうつむいていたという。あのコメントだけがすべてなのか。一色保安官はいまだ語ろうとはしない。

 一色保安官を知る20代の5管職員は「彼が願った通り、あの映像は多くの人の目に触れた。でも、本人が送検、処分、辞職となったばかりか、他の職員も処分された。今彼がどう思っているのか知りたい」。


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過去記事でも指摘した通り、10月31日入手というのは不可解なのだ。

10/31 映像入手

11/1頃? CNNに映像を送付するも、破棄された
 
11/4 ネット上に映像公開

11/7~8頃?  日テレ山川記者に名乗り出て取材を受ける

11/10 自白→ 任意同行へ


映像データの公開時期と合わない、報道機関1社のみに郵送したが他社に送ってない、テレビ報道が出ないので流出させたというが待ってる時間が短すぎる、山川記者に自ら顔出しで名乗り出るくらいなら、何故CNNに送った後日テレに送らなかったのか、疑問点が多過ぎるのだ。


後日談は、また別なんだな、これが(笑)。



3)2011年1月21日 日経記事

>http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG21040_R20C11A1CC1000/

尖閣映像流出の元海上保安官、起訴猶予に 捜査終結
2011/1/21 20:03 (2011/1/22 1:10更新)


尖閣諸島沖の中国漁船衝突の映像流出事件で、東京地検は21日、第5管区海上保安本部(神戸市)所属だった一色正春・元海上保安官(44)=依願退職=を「海上保安庁による映像管理の不十分さが一因にあり、入手方法に悪質さはない」などとして起訴猶予処分とした。公務執行妨害容疑で逮捕され、処分保留で釈放された中国漁船の●其雄(せん・きゆう)船長(41)も、那覇地検が起訴猶予とした。日中関係を揺るがした一連の事件の捜査は終結した。

 送検容疑は、一色元保安官は昨年10月中旬、巡視艇「うらなみ」の共用パソコンから映像データを入手。11月4日、神戸市内のインターネットカフェから動画サイト「ユーチューブ」に投稿し、職務上知り得た秘密を漏らした疑い。

 東京地検は「流出映像は刑事事件の証拠であり、公開されれば関係者の名誉や人権の保護にかけるおそれがある」として、保護すべき実質的な「秘密」に該当すると認定。元保安官が職務上知り得たと判断した。

 その上で、処罰の必要性を慎重に検討。(1)海保の管理が不十分(2)映像の入手方法は悪質でない(3)利欲的な犯行ではない――などを考慮。海保の処分を受け依願退職していることも踏まえ「刑事処分は妥当ではない」と結論づけた。

 一方、中国人船長を起訴猶予処分としたことについて、(1)既に中国へ帰国している(2)逃走するためには巡視船に衝突してもいいという程度の意思しか認められず、計画的ではない(3)巡視船の損傷は、航行に支障がなく、乗組員にもけががない――などを理由にあげた。元保安官の処分とのバランスから、上級庁と協議、慎重に判断した。

 昨年12月22日、警視庁は国家公務員法(守秘義務)違反容疑で一色元海上保安官を書類送検。同日、海上保安庁が停職1年の懲戒処分とし、依願退職した。


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このように、オカシイよね、と指摘されたら、辻褄が合わないのに適当に誤魔化して終わりと。インチキ捜査なんだわ。操作もデタラメ。満足に証言や客観的証拠の整合性すら分からない程度の警察だか警視庁ってことですかね(笑)。


杜撰、これに尽きる、ということですね。



中途半端な「頭でっかち」が日本経済をダメにした

2016年01月18日 19時39分59秒 | 社会全般
そう言えば最近、経済団体の愚か者たちとか、新聞の経済学知識の欠片さえ持ち合わせない論説委員みたいな連中とか、「成長戦略はどうしたんだ、さっさと成長戦略を言え」って、総理大臣とか政府に言わなくなったな。


死語となったようだね。
余計なことをやって、日本経済の足を引っ張ってるのは、政策決定を行う(行ってきた)愚か者たちなんだ、ということの自覚がないのだよ。何もしないよりも、かえって悪化させる一方だったわけさ。


バスの悲惨な事故が大々的に報じられているが、将来ある若者たちが大勢一度に死んでしまうなんて、絶句だ。


バス会社の管理体制がどうの、運転手の健康管理がどうの、という局所的な話になっているが、日本の社会全体での問題が潜んでいることに注意を向けるべきである。そういう話は、前からしてきたが、殆ど誰にも届かないんだろうけどな(笑)。


08年12月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/beef2ac25676b8054bd7742467aff13d

時が経つのは早いな。
もう7年以上か。記事に書いたことを再掲しておくよ。TPP盲信バカどもは、また同じく罠に嵌り、失敗するんだよ。その結果に陥らない限り、バカは事前に予測するということができないんだ。だから、ずっと愚か者でいられるんだろうけどね。


(再掲)

日本では、夜通し眠らないでトラックを運転して、家には月のうち数日しか帰れないのに、安月給しかもらえない。昔はもっと高かったのに、「物流コストが高すぎる、運送業界の生産性が低すぎるんだ」と外国から文句を言われたから、大企業の連中がこぞって「お前らの賃金が高すぎるのはオカシイ」と言って、コストカットという大義名分で運送費を切り下げた。「大学も出てない元暴走族が、ただ運転してるだけじゃん」という評価をして、「無駄なコスト」として切った。バスの運転手も「ただバスを運転してるだけなのに、こんなにもらってるのはおかしい」ということで、安月給で深夜バスを運転させられる。


どうしてこんな有様となってしまったか。
かつては、人の苦労を知る人たちが政治家や役人たちにも多かったのではないかと思うが、段々坊ちゃん・嬢ちゃんたちばかりになって、頭でかっちの世間知らずが多くなったのかな。


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物事には、一連の原因なり理由なり、何らかの説明があるものだろう。
上の方にいる連中が揃って愚か者であると、社会は間違った方向へと突き進むわけだよ。

いくら、こうなるよ、だから注意せよ、と何度も警告してたって、何の意味も効果もないのさ。
理解できる人間が、上の方には皆無だから、だ。そして、一人の人間には限界がある。何も変えられないし、社会の慣性は大きすぎて、どうすることもできないんだ。


マスコミとかも、変える力を喪失してしまったんだ。理性も論理性も失われた世界では、バカが蔓延り、バカが勝利するようにできているということなのさ。



合同会社スーパートラストはSPCでした(お詫びします>楽天銀行)

2016年01月11日 14時28分05秒 | 社会全般
また少し調べてみました。

すると、前の記事で「かなり怪しい」と書いていた連結子会社の「合同会社スーパートラスト1~10」ですが、どうやらSPCだったようです。後半部分で、投資組合組成やSPC組成でもあるまいし、とか逆の推測を述べていたのですが、まんまSPCであった、ということです。


楽天だから、ということで、当方の「目が曇った」ことは間違いありません。お詫び致します。以下、これまでの謎部分が若干分かったことを書いていきたいと思います。


①連結子会社10社のSPC

標題にも書いてますが、SPCだったのは確実です。これまで合同会社のSPCというのを見たことがなかった為、先入観から怪しんでしまいました。格付け機関により、格付け評価も受けていたようです。失礼しました。


合同会社スーパートラスト1
>http://www.jcr.co.jp/release/pdf/15s0060SPT.pdf?PHPSESSID=153c2516dbb7c0ebe506e1506fd6fa04


同2~10
>http://www.jcr.co.jp/release/pdf/15s0097SP10.pdf



ABCP(Asset Backed Commercial Paper)の発行元となる特別目的会社(SPC)を設立し、債券発行で投資家から資金調達するものです。債券の裏付け資産となるのが、売掛債権に匹敵する「カード払い債務」に対する債権を信託化したもの、というような理解です。


途中に楽天信託が受託者1~3と複数回咬まされているのは、あまりよく分かりませんが、楽天銀行がアレンジャーとなって本スキームが構築されているものとなっています。受託方式をとることは普通で、ABCPがいわば「約束手形」式なので、元利払いの劣後を直接投資家宛てに規定できないゆえ、ということだろうと思われます。


参考:福岡銀行の場合
>http://www.jcr.co.jp/release/pdf/15p0368.pdf

(全体的なスキームはよりシンプルになっているように思います)


スーパートラストのA号とB号という受益権は、当方の理解ですと、恐らくシニア部分とジュニア部分というような意味合いかと思います(回収できなかった場合のリスク部分を区別、というようなことです)。


で、裏付け資産は、「翌月一括カード払い」の債務、これを束ねたものを債権として取り扱う、ということです。プーリングされているのは、約530万人分の債務(=カード払いでの売上債権)で、1件当たり平均約53000~57000円の小口個人債務です。


また想像だけで書いてしまいますが、ご容赦を。
第一委託者であるオリジネーターは『東京都内の大規模その他金融業』となっていますが、説明文からすると、楽天カード会社であろうなというのが推測です。すなわち、

楽天カードの顧客中、「楽天カードで一回払い」で、楽天市場で商品を購入した人、というのが債務者のプーリングかな、と。
で、楽天カードから楽天市場加盟店に代金支払が発生し、楽天カードが債権を保有するということになります。多分、楽天銀行が楽天カードの引き落とし口座となっている人の場合に限っているのではないでしょうか。

つまり、商品の代金を受け取る加盟店側も楽天銀行口座に代金が入金され、支払う顧客側も楽天カード・楽天銀行を通じて払う、ということになり、楽天銀行は口座監視が両方同時にできるので、債務のリスク評価が行い易いだろうということかと思います。また、加盟店側は楽天カードから確実に売上金回収ができるということで、手数料を払ってもメリットがあると考えるかもしれません。

で、楽天カードの持つ500万人規模のプール債権を楽天信託に受託し、その資産を裏付けとしてSPCがABCPを発行、投資家の払った資金は遡って楽天カードに支払われる、というでしょうか。グループ内で資金と仕事を回せる(回収会社とかも自前)ので有利だし、ABCP売却の手数料とか色々と入ってくることになるのではないかな、と。口座凍結というのは、プール債権の審査業務の一部とか?なのか、ちょっと関連がよくわかりません。


で、ABCP発行総額は130億円×10本=1300億円となります。
前の記事で1250億円がどうの、とか書きましたが、関係なかったです。



②預金総額の違いは、公募増資資金の影響

15年6月期と9月期では、随分と差が出ている、と書きましたが、これの主要な理由というのが、楽天株式会社の実施した公募増資が6月にあって、1820億円分が預金額が増加した、ということがあったようなのです。

これは、グループ内の資金移動ということなので、預金額が変動する大きな理由になっていたのではないかと思われるのです。
連結決算で、2重計上部分を除外すると、金額全体が小さくなってしまったりすることがある、ということかと。


なので、思い違いをしていました。
すみませんでした。


ただ、口座凍結の真相とか問題そのものは、やっぱり分からないままですね。



楽天銀行を放置する金融庁の不可解(追記あり)

2016年01月07日 20時54分28秒 | 社会全般
例の楽天銀行の口座凍結騒ぎですが、その後にどうなったのかな?
苦情が相次いでいるはずなのに、何故か金融庁は楽天銀行に対して何らかの処分をしている様子はないわけである。ニュースにもならない。これは一体全体どうしたことなのであろうか?


>http://biz-journal.jp/2015/11/post_12351.html

根本的に、預金口座を完全凍結しただけで、犯罪捜査の情報提供にもなっていない措置を連発するというのは、銀行業としておかしい。そんな銀行、これまで聞いたことがないわ。日本振興銀行ですら、そんなことは発生してなかったんじゃないのか?
金融庁に相談している事例がこれほど頻発しているにも関わらず、発表とか記者会見とか一切ないのは行政の懈怠ではないのか。


昨年書いた拙ブログ記事:
9/28>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/b2606edcc21024498abf573afa750df2
9/29>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/e45db8ad9a8fec5d4e393c06c8e48a87
10/2>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d46247914a65cc989ba9fbd3ac5be51f


異常さに疑いの目を向けさせる最大の要因は、山本一郎の解説もどき、だな。本当にそんなことが理由になっているのか。だったら、楽天銀行なり、全銀協なり、金融庁なりが、利用者に注意喚起をするべき義務を負うものというべき。それも全くない、というのは、不可解を通り越しているだろう。


楽天銀行の財務状況のリンク
>http://www.rakuten-bank.co.jp/company/disclosure/situation.html


口座凍結の理由は、外部からは全く不明だ。当事者たる楽天銀行が完全に情報秘匿しているからだ。こんな預金者無視の業務があるか?

前にも書いたが、ビットコインの管理会社が破綻した時にも、利用者が突然口座からの引き出しができなくなったわけだ。これと何が違うのか、まるで分からないわけだよ。楽天の措置が全部正当業務なんだ、ということなら、何故金融庁が預金者に課せられるルールを秘密にする必要があるんだ?
説明することくらいは、できるだろうに。


楽天銀行の決算短信について、再度目を通してみた。これについて、思うところを述べたい。


        H26.3月  H26.9月  H27.6月  H27.9月

総資産     11054   12299   16601   15084(16334)
現金預け金    2223    2330    5290    3049(3049)
預金      10166   11184   15314   14091(15343)
自己資本比率  11.94   10.56    9.79   9.71(9.46) 
為替予約     830   1082    5221    3729

(単位 億円、自己資本比率は%、カッコ内は単体決算。為替予約は通貨関連取引中の契約額等の数字)


まず、自己資本比率は連続で低下。規制に引っ掛かる水準というわけではないから、別に問題ないわけですが。低下するのには、それなりの理由というものがあるはずだろう、ということですな。

次に、預金増加により総資産増加ということだろう、と思われる。自己資本比率低下もそうなるだろうな、ということになる。


問題なのが、27.6月期からたった3ヶ月後の中間決算9月期において、総資産が約1500億円ほど消滅していることである。これはどういうことなのか?


現金預け金の急減(約2250億円)と、為替予約の持ち高減少を伴っている、ということがある。単体での預金高は1兆5343億円と6月期と約30億円程度しか違わないのに、何故か連結決算になると1252億円も減っているのである!

27年9月の中間決算において、連結対象会社が11社増加したということがある。これは何故だと思いますか?

一般社団法人スーパートラストホールディングス、合同会社スーパートラスト1~10の11社である。
合同会社とは考えたものだ。公告しなくてもいいからね。入れ物だけ、こんなにたくさん作って、実態は殆どよく分からない怪しいものとしか思えないわけである。一流企業がやってる銀行さんの傘下に、どうしてこんなに紛らわしい会社を多数作らねばならないのだろうか?

連結と単体の決算数字の違いから、おおよその傾向はつかめる。
それは、合同会社10社には殆ど現金がない、ということだ。あっても数十万円~百万円くらいでしかないだろう。現預金の連結との差額は200万円しかないから、だ。これが11社にふり分けられている、ということである。
しかし、連結の預金高は大幅に減少しているでしょう?
これは現預金以外のあまり役に立たない資産を各合同会社に持たせて、見合いの負債である預金残高を振り分けたようにしか見えないわけだな。しかも、連結総資産が1250億円だけ単体総資産より少なく、預金高もほぼ同じ1252億円少ないわけだな。

また、為替予約の損失計上はこの中間決算期から、なのだな、単なる偶然だろうけど。持ち高を減らしたか、合同会社に振り分けたのか、どういう処理がなされたのかは不明である。


ただ、最大の疑問は、預金の残高が連結と単体で違う、というのは、どういう意味なのか?、ということである。楽天銀行の預金者たちは合同会社を利用しているわけではあるまい?それなのに、まるで子会社に移転したかのようだ、ということなんですわ。こんなことができるの?


実際に数字で考えてみましょう(非常に単純化しています)。


〈状態1〉(=27年6月期)

現金    90      預金  100
金融商品  20      資本  10
________________________________________
総資産   110


ここから、連結総資産減少、連結預金減少、現預金減少、自己資本比率減少などが発生するという状態2を考えてみます。


〈状態2〉(=27年9月期)

◎本体
現金    85      預金  100
金融商品  14      資本   9  
貸付金   10              
総資産   109


◎子会社
現金     0      借入  10
代替資産   6      資本   1  
預金損失  -10      損益  -15  
総資産   -4


◎連結決算
現金    85      預金  90
金融商品  14      借入  10     
代替資産   6      資本   5     
総資産   105


まず、かなり無理矢理作ってみましたが、意味が不明すぎて、分かりませんでした。預金残高が連結決算で単体より減る、という処理が全く想像できなかった。
自己資本は減少(10→5)していること、連結総資産が減少(110→105)、現預金の減少(90→85)、投資用の金融商品が減少、といったことを作ってみましたが、どうやっても預金の減少と子会社の債務超過の中身の処理方法が分かりませんでした。


27年6月と9月で実質的な預金残高の大きな違いはなく(単独決算の数字はほぼ一致しているから)、連結の数字では大幅に減少するという手法は、会計上可能なものなのでしょうか?
債務超過の連結子会社を多数組成するというのは、何らかの魂胆あってのことだろうと思うわけです。


また、現預金の持ち高が2250億円も減少しているわけですが、やりくりはできるのでしょうか?単独決算の預金残高が1兆5343億円に対して、連結総資産が1兆5084億円だと預金よりマイナスに見えるのは、変ではありませんか?
定期性資金が約5470億円ですから、約1兆円程度が決済性の高い資金であろうということで、頻繁に出し入れする人たちの割合が高いネット銀行の事情があるなら、約3千億円の現預金の持ち高で果たして足りてるのかどうなのか、と。


ああ、ネットバンキングの犯罪だか詐欺事件だかが頻発するから、楽天銀行子会社が10社とか一気に誕生して、中身が不明の会計処理が公然と行われ、ひょっとすると払い出し資金が底を尽きかけているのではないかという疑念を抱かせつつも、楽天銀行も金融庁も消費者庁なり消費者センターなりも全員緘口令ということで、何ら説明をしないというわけだね。


スーパートラストという会社は、何故10個にも分割せねばならなかったのだ?
投資組合組成とかでもないだろうし、SPCだったかみたいな「入れ物」が必要ということなどあるまい?


謎なんだよ、楽天銀行の、一方的かつ勝手な口座凍結措置というのは。
弁護士団体の人たちとか、何故、何らアクションを起こさないんだ?チャンスなんじゃないのかね。



※※1/8 21時頃追記

上の楽天の決算短信のPDFのリンクを載せたいと思ったのだが、何故か楽天銀行のPDFはダウンロードファイルの形式でしか表示できないんだな。どうしてなのだ?

嫌がらせか何か?


他の銀行の決算短信は、全然問題なく開けるんだわ。だが、楽天銀行のファイルだけは、こちらのPCと紐付きみたいになっているということかな?


例えばセブン銀行さん。
>http://www.sevenbank.co.jp/ir/library/earnings/pdf/20150508_J1_TS.pdf

住信SBIネット銀行さん。
>https://contents.netbk.co.jp/pc/pdf/pr/20151112_fs.pdf?_ga=1.164642808.67746186.1452248383


ね?全然問題ないでしょう?
なのに、楽天銀行のファイルは普通に開けないんだわ。ダウンロードした添付ファイルみたいな形式でしか表示できないわけだよ。そうまでして邪魔をしたい、ということですかな。笑えるわ。他の地方銀行のPDFでも試したが、ネット銀行と同じく全く問題なかった。楽天銀行だけだったぞ、こんなことやってんのは。なお一層、疑念が深まるってことですわな。



※※1/9 10時頃追記

また試してみましたわ。楽天銀行の財務状況のPDFファイルですが、他でやってみると、「プログラムで開く」か「ファイルを保存する」のいずれかを選択するようになってたね。因みに、昨年9月に記事を書いた頃も、今回も、そんな選択画面は当方のPCでは表示されていなかったわけですな。なので、何回も開く度に、同じPDFファイルがダウンロードされてしまい、ファイル名に(1)とか(2)というのが順次増えて行くということにされてしまっているわけですな。

また、はてなの方のブログの追記部分が更新されないように、当方のPC上では見えるようになっているんだな、ということも分かりましたわ。時間をおいてアクセスカウンターの数字が全く変わらないので。他で試してみると、数字が増加していることが分かるんだよな。どうして、こんな小細工を重ねるのだろうか?


楽天銀行の財務状況について、大勢の専門の人に確認されてしまうと、何か不都合でもあるのですかな?(笑)

そして、楽天銀行単独でこんな手の込んだことができるわけもないので、別の、何らかの勢力の組織的関与が考えられるということですな。それは、どっち方面なのだろうか?と。三木谷は、どういう役割を担う人間なのか、ということを考えれば、想像がつくというもんだ(笑)。


預金総額が1兆数千億円規模の弱小銀行が、連結決算になると預金額が10%程度も小さくなるというのは、解せないわけですわ。他の地銀とかも見たが、預金額が単独決算より小さくなっていても、これほどの大きな差は生じてないんだわ。預金額が連結だと減ってしまうというのは、子会社の口座があるとか、口座貸越?みたいなマイナス残高があるとか預かり資産の不一致とか、そういった条件がきっとあるはずと思うが、楽天銀行みたいな不可解な合同会社1~10という怪しげな子会社を作ってる銀行さんなんて、他にあるのか?


ますます怪しいわ。

だって、楽天銀行がこんなにあちこちに工作の手を広げることなどできないから。はてなブログの表示方法まであれこれ操作できるとなれば、もっと別の連中が関与していることが明らかなので。




三井系マンションの傾斜問題

2015年10月24日 18時22分46秒 | 社会全般
どうもよく分からない。
この話が、そんなに大袈裟に騒ぎ立てる程の大問題なのか?
まるで「炎上ネタ」をマスコミが放り込んできているとしか思えない。政府が憲法に反して国会を開催しないという卑怯な真似をしていることから目を逸らせる為ではないのか、と思わないでもない(陰謀論好きですから)。世間というのは―殊にネット界隈は―バッシング対象という生贄を投げ込まれた途端に、一斉に叩く側に回るという傾向があるように思うので。


いや、勿論、住人で当事者となれば、大問題だとは思いますよ。ですが、それは日本全体を揺るがすような話なのですかね?
現実に大きな事故とか怪我とか、そういう被害が発生したわけでないなら、東日本大震災規模の大地震を経てさえ、大きな実害もなく健全だったということで、大袈裟に言う程の問題だとは思えないわけですが。


そんな、ごくごく僅かの傾斜が社会の大問題となるというなら、東電の原発事故とその汚染の方が、ずっとずっと遥かに深刻で悪質な問題でしょうに。2センチ程度のズレを生じたからということで、原因も因果関係も分からずとも、「最高値で補償、精神的苦痛も全額補償」みたいなことになるなら、何で福島原発事故後の放射性物質による汚染も最大限の補償をするべきだろうに。
逆に、「そんな程度の線量は健康に関係ない、全く問題ない、生活できるから住んでいいぞ」とかで、賠償金さえまともに支払わなくていい、ってことにされてるんじゃないのか。
「マンション手すりの2センチのズレ」と福島原発事故による「放射線量の上昇、汚染」とでは、どちらが重大問題なのだ?


マスコミの連中もおかしい。


とりあえず、話を戻そう。マンションの傾斜だそうだが、報道からすると「打ちこんだ杭が堅い地盤に届いてなかった」ということらしい。これをまるで犯罪かのように言っているわけだが、本当にそうなのか?杭の長さとか、法令で決まっているのか?


ちょっと疑問に思ったので、少し調べてみました。
非常に複雑な話のようで、専門知識のある人じゃないとまるで分からない。ただ、拙ブログで理解できる範囲で書いてみます。


(1)地盤の条件について

杭の基準については、国交省告示第1113号で決められているようです。
たとえば、こちら。

>http://www2.ashitech.ac.jp/arch/osakabe/semi/foundation/low/r93k1113.html


第2や第5にあるような複雑な計算式で算出するということになります。
非常に単純化して言えば、杭の長さが到達してるかどうか、だけが、条件というわけではありません。報道では「堅い地盤」とか「支持層」とか出てたりしますが、法令上では「支持地盤」と呼ぶようです。

・支持地盤とは:N値50以上、かつ杭の許容支持力度2500N/㎡
・N値とは:簡単に言うと地盤の固さを示す値。数字が大きいと強固。ボーリング調査で算出できる

許容支持力の算出は、第5より、第5算出の為の地盤許容応力度は第2より算出できる。


ここで、要点だけ取り出すと、次の式になります。

  Ra=Qp・Ap+1/3Rf

第1項は、杭先端の地盤許容応力度×杭先端の有効断面積である。第2項は細かい計算式から出される地層の先端以外の(支持力に関係する)抵抗値のようなものと思って下さい。


この杭の許容支持力度を左右するのは、大きく分けて「杭先端部の強固さ」と「先端以外の支持力」となります。勿論、先端部の数値はダイレクトに反映されますが、先端部以外は影響度が1/3にしかなっていませんので、杭の先が支持地盤に刺さっているというのが数式の数値を大きくするのに効果的ではあるのです。

しかし、計算式の結果が要求水準を満たしていたのであれば、杭先端の位置が「支持地盤内にあること」は絶対条件ではないのではないか、ということです。支持地盤の強度には劣るかもしれませんが、先端部の地盤の固さがそれなりにあって、そこに至る以外の部分でも支持力がないわけではない、ということです。Rfが要求に達する大きさであるなら、すなわち合計値としてのRaが杭先端が支持地盤に到達している場合と大差ないなら、不法ではないのではないかということです。たとえ杭先端のN値が50以下(=定義から支持地盤でない)だったとしても、Raが基準を満たしているかどうか、では。


(2)最近の検査は正確なのか?

横浜市に三井さんが報告した、ということらしいのですが、8本の杭が支持地盤に到達していないようだ、と。

簡単に言うと、ボーリング調査と物理的調査があります。ボーリング調査はN値を出すのに必要ですので、最も基本的と言えるでしょう。実際のボーリングが一番状況確認をし易いのではないかと。

しかし、先日実施しようとしたところ、ボーリングが困難ということで中断しました。では、支持地盤の深さと杭の位置関係は、どうやって分かったのでしょう?報道からは不明です。


実際にボーリングしなくても、調査する方法があるのです。それが、

・反射法地震探査
・微重力アレー探査

です。

計測地点を増やしてS波を計測すれば、その数値からN値を計算で算出できる(=支持地盤の上端の位置(深さ)が分かる)というものです。当方の理解で言えば、実際のボーリング調査が信頼性が高いですが、相関関係からN値を出すというのも、大体の推定値を出せる上に掘らなくてもいいので構造物があるような場合には、便利ではあります(動脈血を実際に採取して酸素分圧を測定するのが正確ですが、実際に動脈穿刺せずともSpO2は測定でき、一定程度には相関的なのと似ている)。


しかし、ここで問題があるわけです。
測定方法が異なれば、必ずしもピッタリ一致する数字が出るわけではない、ということです。理解するには意味がありますが、数学の答案みたいな厳密な答えということにはならないんじゃないか、ということです。かえって、物理探査の数字とボーリング調査では合わないのが普通だろうということです。


それから、東日本大震災の前後で、地層に若干の変化は生じたりはしなかったのでしょうか?
具体的に言えば、支持地盤の深さというのは常に一定なのでしょうか?大きな揺れで隆起したり沈下したりすることはないのか?
建設工事時点と、現在とでは、全く条件は変わっていないのでしょうか?同じ測定結果が出せるというものなのでしょうか?


計測方法の違いとか測定条件の違いで数字が変動するなら、現在の数字をもって過去の工事時点での不当を言えるかどうかは、よく検討してみないと分からないのではないでしょうか。


(3)地盤改良工事はどうなのか?

先の計算式で杭先端部以外の数値を改善する、ということも可能なわけである。地盤改善でRaが改善(地盤改良では恐らくRfを上げる、のだと思う)するなら、たとえ杭先端のN値が支持地盤に到達してないとしても、杭の基準値を満たすことは可能なのではないか、と。

当方の想像で喩えるなら、壁に釘を打ち込む場合に似ている。
木材板と石膏ボードの層があって、石膏ボードまでしか刺さっていないと、釘の支えが少なく抜け易い。硬い木材板の層まで釘が届いていると、しっかりと刺さる、というようなことです。
木材まで到達する釘がない時、どうするか?
石膏ボードに接着する接着剤を釘穴の周囲に流し込んだ状態で釘を打つ、といったことでも、釘を支持することができるのではないか?

地盤改良というのが、恐らく、この「接着剤」に匹敵するような役割をする、ということだろう、というのが拙ブログでの理解です。地質が砂質や粘土質みたいにN値が低いとしても、セメント系固化材を用いて地盤改良が行われていれば、地盤許容応力度は上がるのではないかということです。
(セメントの流量だか粘度数値だったか、偽装があったというようなのが45本というのも、それはどういった意味なのか分からないのですが、地盤改良の為のセメント系固化材のことなのかもしれないなと思いました。うどんのコシですら、その日の気候条件によって変わるなら、セメントも同じではないかと思えますね。硬化速度が速いこともあれば、混ぜてる時の粘りがユルいか硬いかということもあるだろうし、その時の現場にいなければ説明できないことは多々あるのではないかと思えます)


ただ、地盤改良工事を実施したとして、広範囲になっていれば、かいつまんで言うと、硬い地点と柔らかい地点のようなムラができることになるから、事後的に沈下量が変わる可能性も出てくるかも。
ケーキ菓子なんかで、スポンジ部分に固い梨や林檎の固体を詰めてあると、上から圧力がかかった際に、柔らかいスポンジの厚みが多い部分は多く潰れるし、固形物の厚みがある部分は潰れが減少する、みたいな、不均等を生じるかもということ。



以上、(1)~(3)から、

ア)杭がN値50以上の支持地盤に到達してなくても、基準を満たすことは可能
イ)測定方法の違いで差が出る、現在の値だけで工事時点の不当を言えるか不明
ウ)地盤改良で許容応力度は改善できるが、不均等原因にもなり得るかも

ということで、「支持地盤の現在深さ」と「杭の長さ」が合ってないから不法行為が行われたのだ、ということは、必ずしも言えないのではないかと。


従って、前述の通り、支持地盤の上端位置(深さ)は、本当に不変なのかどうか、測定方法の違いで数字が異なっているのではないか、仮に到達してないことがあるとしても、杭の許容支持力を満たしているなら工事そのものに過失なり不法行為なりがあったわけではないかもしれない、ということである。


更に、沈下について、書く。

一般に、 
   沈下量=即時沈下量+圧密沈下量
ということらしい。
圧密沈下量は、地面内の水や気体が重みで潰れて下がってゆく、というようなことである。漬物の樽での、重石が沈下してゆくのにも似てる(笑)。


即時沈下量は、次の式だそうだ。


即時沈下量=基礎平均荷重度・基礎底面短辺長さ(or直径)・(1-ρ^2)
        ×沈下係数/地盤弾性係数

ρ:地質のポアソン比(地質ごとに大体決まっている)


何が言いたいかと言うと、支持地盤に到達している場合には、地盤弾性係数が大きくなるだろう(※最初、「小さく」と書いていましたが、うっかりミスでした。分母が大きくなる=沈下量が小さくなる、の意でした。訂正します)、ということです。恐らく、ここが一番影響を受けるのではないか。土地の性質で影響される項目がそれだから、です。あと、ポアソン比も変わりますが、数字そのものの大きさが1未満なので全然大したことないです。
最終的に、建物全体で数センチ以内の沈下量となると、地質の差がどの程度の影響度があったかは、かなりの専門家とかじゃないと、分からないのではないかな。
支持地盤そのものの弾性係数が無限大ではないわけだし、N値が何十倍も違っていなかったかもしれないですし、地層全体での弾性係数がどれほど違っていたのか。


具体的に、何が沈下原因か分かっておらず、工事そのものが本当に不適切だったかどうかも分からないのに、全てを杭の長さと深さだけにするのは、どうなんでしょうか。


C型肝炎問題の時にも、一律救済ってあったけど、あれと似てる。
大騒ぎして、限りなくゴネた方が、全額補償してもらえる、みたいな。


その一方では、東電をマスコミも政府も原発ムラも必死で守るから、いくら補償せよと騒ごうと、訴訟が何千何万人から起こされていようとも、大問題になんかされないんだよ。


マンションの2cmズレた問題よりも、汚染地域の人々に補償も慰謝料も満足に払われていないことの方が、百万倍いや百億倍重大問題だろうに。




若年者の悪性新生物の罹患率は近年上昇したか

2015年10月19日 19時45分58秒 | 社会全般
前の記事で甲状腺癌が何故か03年以降に罹患率上昇が見られた、と書きました。これに関連して、追加記事を書いてみます。
区分する年は03年というのが特に理由があるわけではありません。なので、04年でも05年でもよいのですが、90年以降のデータ数が多い群と、05年以降のデータ数がかなり少ない群に分かれてしまうので、有意な上昇なのか判定が難しいかと思って、03年で切り分けることにしました。


で、こうした傾向は、甲状腺癌に限らないのでは、ということが分かりました。
甲状腺癌の場合というふうに、発生部位を特定することなく、全部位での罹患率を見てみることにしました。すると、やはり意外な結果が出たのです。数値は、国立がん研究センター発表のものです。


年齢階級別で15-19歳、20-24歳、25-29歳という、全年齢に比べて、悪性腫瘍術後の生存率が低いとされる世代で見てみました。


各年毎の罹患率を90~02年と03~11年のグループに分け、t検定を実施してみました。

 検定結果:
   N  有意差なし
  *1  P<0.01
  *2  P<0.001  


【15-19歳】

   年     男     女 
  90~02    10.62   13.55
  03~10    11.33   17.36
  検定結果    N    *1


【20-24歳】

   年     男     女 
  90~02    18.80   8.72
  03~10    23.30   11.12
  検定結果   *2    *1


【25-29歳】

   年     男     女 
  90~02    15.13   29.26
  03~10    19.83   39.43
  検定結果   *1    *1



ご覧の通り、15-19歳男性だけが有意差なしでしたが、他は有意差ありという結果でした。

問題は、どうして03~05年頃から、15歳~29歳という悪性腫瘍の罹患が高齢層に比べて少ないとされる年代において、これほどに悪性新生物の罹患が増加しているのか、ということです。

全年齢での悪性新生物の罹患数とか死亡率の増加というのは、長寿化などの理由がある程度は思い浮かびますけれども、若年層の特に結婚出産に適した年代での悪性新生物罹患率の増大は、社会的にも大きな問題だろうと思います。


福島原発事故以前においてでさえ、こうした状況ですから、若年者の悪性腫瘍対策というのが急務であると思えます。直近の数字を早くまとめると共に、減少に転ずるなどの傾向の変化がなければ、原因検索も含めて、きちんと対策するべきでしょう。


若年者の甲状腺癌について

2015年10月19日 18時43分20秒 | 社会全般
少々調べてみたので、書いておきたいと思います。
国立がん研究センターの出している調査結果があり、そこから数字を拾ってみました。


①甲状腺癌での死亡例(1990年~2014年)

1990年以降で、20歳未満の甲状腺癌患者における死亡数は、10歳未満は男1名のみで他は全て10代であり、男4名、女6名だった。合計11名で極めて稀である。

一方、20~39歳においては、年齢増加と共に死亡数も増加し、次のような結果であった。


  年齢    男   女 
  20~24   6    9
  25~29   11    4
  30~34   18   11
  35~39   31   48


甲状腺癌の手術適用となる大きさに成長するまでの時間経過が、5年以上とか10年以上といった長期の場合には、30代以降に治療開始ないし手術実施となると、死亡する可能性は高くなるかもしれない。早期判明例が不利益とは限らないだろう。

甲状腺癌の罹患率は女性の方が男性よりも高く、女性の早期診断は甲状腺癌の死亡リスクを低減効果があるかもしれない。


②若年層の甲状腺癌罹患率

15歳未満での罹患率は、1990年~2010年の期間における平均で男0.058、女0.112であった。非常に稀な疾患である。同年代男性1000万人中に6人程度しかいないということである。

15~39歳の年代において、興味深い傾向が見られたので、以下に述べる。
90年~02年の期間と、03年~10年の期間では、罹患率の傾向に違いがあった(罹患率は死亡数、死亡率と異なり、10年までのデータしか見つけられなかった)。各年毎データの平均値は以下の通り(他省略)。


    年      男      女 
   90~02   0.82    3.99
  03~10   1.57    5.67



つまり、03年以降においては、男女とも甲状腺癌の罹患率が上昇していた。
t検定では1%水準で有意な上昇(p値は男0.0012、女0.0059)


15歳未満では甲状腺癌の罹患率は低下傾向にあり、発症が後ずれした可能性はあるのだろうか?(例えば以前だと12歳で発覚していたものが、最近では17歳で発見されるようになった、とか)
仮にそうだとしても、15歳未満での罹患そのものが男性だと0.1にも満たないわけで、15歳未満での患者がゼロで全部の累積が15~19歳で発覚した場合であっても、これほどの上昇(0.82→1.57なので+0.75)の理由とはならないだろう。

ちょっと、謎ではある。これは、また別の機会に。


以上、①と②から、甲状腺癌が早期スクリーニングにより治療対象とされるとしても、

・年齢依存的に甲状腺癌死亡率は上がる(30代での死亡数は10代より断然多い)
・03年以降はそれ以前に比べ甲状腺癌罹患率の上昇が見られる

という点から、発見により相対生存率の改善につながるかもしれない。


続・福島原発事故後に小児白血病が増加した可能性はあるか?

2015年10月17日 16時49分54秒 | 社会全般
前の記事に追加です。一応、自分なりに検定もどきでやってみました。ダメダメかとは思いましたが、恥を忍んで出しておきたいと思います。

既に前回記事で、小児の毎年の出生数が減少傾向だということで、基本的には疾患の出現がほぼ同じような割合であるなら、小児の人口が減ることによって、悪性腫瘍の小児患者の絶対数も減るだろう、という仮定を述べました。

そこで、この傾向が説明力があるなら、事故以前の傾向は人口によるものであり、事故後の人数増加が有意な変化であるかどうか、ということを検討してみることにしました。


用いるデータは以下の通り。

・年少人口;0~14歳の人口(単位千人)
(小児慢性特定疾患治療研究事業の対象者の年齢とは厳密に異なるが、18歳以下人口とほぼ同傾向であるという推測に基づく)

・悪性新生物の登録者数(人)
・新規診断の登録者数(人)
(いずれも数字を調べることができた範囲で前回より長いH12年からとした)


年度   年少    悪性    新規

12   18505   19253   3271
13   18283   20046   3137
14   18102   20026   2821
15   17905   19124   2998
16   17734   18656   2837
17   17585   15095   2563
18   17435   13736   2230
19   17293   13768   2140
20   17176   12802   2133
21   17011   12150   2061
22   16839   12609   2054
   ――――――――――――
23   16705   14131   2374
24   16547   13984   2375




H12~22年の11年間のデータから、年少人口と悪性新生物、新規診断の間に相関関係を仮定し、単回帰直線を計算してみた。


()式:年少人口(x)と悪性新生物(y)
 y=-83894+5.674x
  R二乗 0.861


()式:年少人口(x)と新規診断(z)
 z=-12054+0.8296x
  R二乗 0.920



いずれも割と適合よく相関が見られた。
次に、この回帰直線から、より相関係数の高かった「新規診断」の予測値を計算し、23、24年度の実際の数字が「外れている」値なのかどうかを検討した。

()式にx=16705と16547をそれぞれ代入した結果が、23年度と24年度の予測値となる。
  23年度 予測値  1804
  24年度 予測値  1673

この予測値から、信頼区間の下限と上限を求めた。
(t分布表のp値=0.001 を使用)
結果は以下の通り。

 平成23年度
下限  1382.8
上限  2225.2


 平成24年度
下限  1198.1
上限  2147.9


実際の数値を再掲すると、23年度が2374、24年度が2375であるので、いずれも回帰直線の予測値からは、有意に上限値を超えていると考える。

悪性新生物のデータでも、恐らく似たような結果が出ると思うが、計算が面倒で疲れたのでやらなかった。p値が0.01か0.05くらいの上限値を多分超えているんじゃないかと思う。


以上から、平成12年~平成22年までの11年間における、「年少人口」と「悪性新生物」及び「新規診断」の件数には比較的高い相関関係が認められ、平成23年度と24年度においては、その回帰直線による「新規診断」予測値の上限値を有意に超過した値(0.1%水準)となっていた。




福島原発事故後に小児白血病が増加した可能性はあるか?

2015年10月16日 15時46分47秒 | 社会全般
福島の健康調査に関連して、事故後からずっと様々な意見や憶測がネット上に流れているようだ。賛成・反対に分かれて、反対陣営を厳しく攻撃している様を見かけることもよくある。
最近でも、津田らのグループ甲状腺腫瘍の発生についての報告に関して、強烈な批判が出されていたりするようである。自分の専門外なことであろうと、まるで最初から正解を知っているかのように、振舞う人々は少なくない。例えば池田信夫の如く、統計や疫学や医学や放射線に関する専門知識の裏付けが何らも有しないような人間であろうと、どんなデタラメ言説であっても好き勝手言える、ということだ。

勿論、批判するな、とは言わない。反対だ、とか、信じることはできない、とか、そういう意見を表明することも自由である。拙ブログにおいても、常々専門外のことに言及し続けてきたわけだし、その道の「プロだか専門家(笑)」みたいに自称してる連中の嘘八百まがいの言説について批判をしてきたから、他人事みたいには言えない(笑)。
自省は、それなりにあるけど、安易に信じない性分なので、ごめんなさい。


ただ、特にこれといった論拠すら有せず「デマだ」「○○は嘘つきだ」のような批判はいただけないのではないかと思う。厳しく批判するなら、対抗言論をまず自らが提示して、反対を述べるべきではないか。論文を否定したいなら、論文上で勝負するべきだし、反対の根拠を別のデータなり数字なりで示せるはずだろう。


本題に戻ろう。
最大の関心事は、原発事故後の現実に発生が危惧される疾病の状況である。津田グループも、福島県の県民調査でも甲状腺癌に関する大規模スクリーニングが行われていたわけだが、その他悪性腫瘍、特に白血病についてのデータは数字が出されていないようである。

そこで、いくつかの方法を考えてみることとした。実際に福島県内で医療機関を受診して白血病が発覚したとしても、それが表沙汰には出てこない、数字も把握できないようになっているようだ、ということで、別角度から検討してみることにしたわけである。


それが、特定疾患に関する医療費助成制度、である。
難病支援の制度として特定疾患研究事業のようなものがあり、診断を受けた患者は登録されるわけである。なので、人数の追跡がそこそこ可能、ということである。成人を対象する制度とは別に、小児に対する医療支援制度もある。これが小児慢性特定疾患治療研究事業というものだった。この疾患分類毎に、患者の登録者数が分かるということだ。


偶然か意図的か分からないが、この制度は平成27年1月をもって別制度への改定された。その議論が起こったのは、事故後であった。

簡単に言うと、事故以前から難病支援制度について改革が必要とは言われてきていたので、審議会レベルではいくつか議論があったものである。小さな改定は幾度か行われていたし、小児を対象とする医療助成という点では、障害者自立支援法の制定に伴って、割と大きく改変されたということがあった。

しかし、難病対象の制度部分は小児患者については、今年に大きく変えられたわけで、変更がほぼ確定的となったのはH25年に入ってからである。つまり安倍政権になってから、ということだな。

・小児慢性特定疾患治療研究事業の制度変更に関して2013年の議論
  平成26年 児童福祉法改正を予定→予定通り27年1月より施行
参考資料>http://www.nanbyo.jp/betusite/140218syukai/siryo2.pdf

(成人の難病支援制度改正と並行で議論され、同時に改正となった)



意図的なのか偶然なのか分からないが、下衆の勘繰りを言うなら、旧来制度との連続性をここで一度「大きく断ち切る」ことができれば、過去のデータと比較が難しくなる、ということだな。また、制度が変更されると、法律名や制度名が変わるから、ネット検索も難しくなるという寸法であろう。

これによく適合しているのが、旧薬事法である。あの三木谷が大騒ぎして、激昂した挙句、会議の席上で机をバンバン叩きまくったくらいに大揉めにモメた、例の件だよ。最高裁判決文すら米国法判例チックな香りがする、三木谷一派の思い描くようなクソ判決が出たという、いわくつきの法律さ。
『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律』
とかいう、似ても似つかぬ法律名に変えられてしまった。過去との連続性が絶たれたのは、憲法解釈だけじゃないってことだよ。誰でも簡単に覚えられるような名称じゃなくしておくのは理由があるんだ。


また話が逸れた。
で、要するに、小児患者数の推定に、旧制度である小児慢性特定疾患治療研究事業の登録数を比較してみるよ、という話である。
27年1月1日から変更になるということは、平成26年度のデータは他年度との比較に使えなくなるし、27年4月以降のデータだけを取り出せるか分からないし、制度変更直後って、書類処理とかに混乱があったりすると、正確性が落ちるかもしれないし。数値を隠したい側にとっては、思惑通りの展開となり易いってことだな。


拙ブログが調べたのは、以下のHPである。

小児慢性特定疾病情報センター
>http://www.shouman.jp/


必要部分だけ、下記のような表とした。各項目の説明はこれ。


 全体;悪性新生物で登録された患者数
 新規;新規診断と登録された患者数
 白血病;疾病分類で白血病で登録された患者数


年度    全体     新規     白血病

19    13768    2140    4604
20    12802    2133    4626
21    12150    2061    4278
22    12609    2054    4523
23    14131    2374    5122
24    13984    2375    5093



このデータからは、あまり細かいことは分からないでしょう。ただ、傾向としてどうなのだろうか、ということは見ることができるかと思います。この情報を登録するのは、指定された医療機関だけであり、信頼性は割と高いだろうと思います。確定診断も、難病の専門医が行うので、診断基準のばらつきといったことも少なくなるかと思います。これ以後の数値が分からないので、何とも言えないのですが、23年度と24年度は特徴があります。

 ①悪性新生物の全体数と新規診断数が増加していること
 ②白血病の登録数が増加していること

もっと長期で見れば、違った傾向ではないかという見方はあり得るでしょう。
これ以前の数字で見ると、例えばH14年度には、全体20026、新規2821、白血病6841と、10年後よりもずっと多い数だったことが分かります。ただし、これ以降の年度では、毎年毎年前年を下回る数に下落していき、20年度までは一貫して全部下落なのです。21と22年度では若干の上下がありますが、ほぼ似たような数値に落ち着いていたと思えます(悪性新生物に占める白血病の割合は、事故以前からおおよそ35%前後で、その傾向はあまり変わっていません)。


この最大の理由としては、出生数が毎年毎年減少してきたから、ということが考えられます。同じ割合で発症すると、絶対数が同年度生まれが150万人の年と100万人の年では、新規診断数が減ることになり、白血病の人数もそれに伴い減少してゆくはずだから、です(死亡や治癒や年齢が制度上限を超えるなどの変動もありますが、傾向は人口ボリュームに依存することが多いかな、と)。


つまり、ほぼ減少傾向が約9年続いてきた後での、一転しての増加ですから、これはどうしてなのかな、というふうに思うわけです。全体の小児の数が減少する中にあって、悪性新生物の全体数や新規診断数や白血病患者数が増加したのは、何故なのか、と。


果たして、統計的に有意な増加なのかは、まだ確かめていないです。
ですが、増加に転じた理由があるなら、それが何なのかを確かめることが学術の役割ではないかと思うわけです。これから出てくる数字も、秘匿するのではなく、公開すべきであり、国民に事実を伝えるべきでしょう。

厚労省も職員不祥事でバッシングに晒されていますが、偶然同じ時期だっただけなのでしょうかね(何でも陰謀)。
こういうデータを見て見ぬふりをすることどうなのか、何らかの対応を考えるべきなのか、それとも無関係な数字の動きならそれなりの検討結果を出すべきではないかと。


天津大爆破事件の真の狙いはどこにあるか

2015年10月04日 13時46分30秒 | 社会全般
今年8月に天津で起こった巨大な爆発であるが、具体的な情報は未だに明らかになっていない。原因についても、未解明のままである。


それに類似する連続爆破事件であるかのような事件が、中国の広西チワン族自治区でつい最近発生した。


>http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2603399.html

中国南部で起きた連続爆破事件で、現地メディアは「容疑者の男が現場で死亡していた」と伝えました。
 中国国営の新華社通信によりますと、広西チワン族自治区の連続爆破事件で、容疑者と特定されていた33歳の男が現場で爆発に巻き込まれ死亡していたことを警察がDNA鑑定などにより確認したということです。
 また、犯行の動機については、男が、働いていた採石場をめぐリ、近隣の住民や関係機関とトラブルになっていたことを挙げています。
 先月30日から1日にかけて18件相次いだ爆発で、これまでに10人が死亡、50人以上がけがをしています。(02日20:21)


======


天津の事件との関連性は明らかになっていない。が、今回の一連の事件は、天津の巨大爆発とは傾向が異なるもののように見える。

連続爆破事件は、割と素人っぽい単純なものが多いようだ。それに、爆発規模も限定的である。全く比べ物にはならない。もしも、爆死したとされる33歳容疑者男性が、天津の事件と今回の連続爆破事件の同一犯であったとすれば、自治区での爆発規模を抑える理由というものはあまりなく、破壊効果の大きい爆破を狙っていたことだろう。男は敢えてそうしなかった、ということだ。採石場で用いる発破の火薬類での爆破、といった線なら、割と単純で筋書きもなるほどということになる。


今回の連続爆破事件は、天津の事件を覆い隠す為のものであるか、あたかも同一犯による犯行、といった印象を与えるものだ。


バンコクで起こった連続爆破事件についても、ウイグル人の関与ということが言われていた。

>http://www.afpbb.com/articles/-/3060146


この犯行部ループと、中国自治区での爆破事件に関連があるものではないかもしれないが、どちらの事件も天津の巨大爆破とはレベルが違うものである。


何故、天津の巨大爆破が起こったか?
化学物質の杜撰な管理?
一か所にシアン系の有毒な薬品類が保管されていたから?
そんなことが理由で、あれほどの規模の爆発が起こるものだろうか?



以下に、ある空想小説の筋書きを書いておく。


元々は、「外国からのミサイル攻撃」というものを作り出せるかどうか、という検討から始まった。
まるで核ミサイルか何かの攻撃のような、そういう現象を人為的に生み出せないかということを考えたのだ。プランがあれば、実験することになる。それが組織というものだ。

実験は極秘裏に行われた。
当然、うまくいった。爆発の原理は使えそうだ、と。

次は、実践投入である。実戦ではなく、実践。
大がかりな下準備が怪しまれることなく実行でき、爆発の被害規模の観察ができる場所が選定された。それが、天津のあの場所だった。

爆発はいくつかの段階に分かれており、初期爆発・炎上と計画通りに最終的な爆発がもたらされることで「最後の一撃」が発生するというものだった。
実践は、想定通りに、上々の出来だった。唯一の難点は、ステージが進むまでの時間が思ったより長くかかってしまったこと(それで最終爆発より前にニュースが流れてしまった)だった。また、失敗ではなかったものの、中国当局がもっと情報を抑制し隠すと想定していたが、意外にも映像などが公開されてしまい、余計な詮索を招くという心配をせねばならなかった。そこで、仕方なくバンコクでの爆破事件を用意したが、インパクトが違い過ぎてあまり役に立たなかった。


もしも、あの爆発が日本のどこかで起これば、事前に「某国Xからのミサイル攻撃が来る」という緊急警報をネットやメールやラジオやテレビから一斉送信し、その予告通りに「着弾した」という現実を目の当たりにされれば、効果絶大は間違いなしだ。

日本の都市のどこかに、ポッカリとあの巨大なクレーターができ、周辺の建物が破壊され、多数の死傷者が出ることになれば、否応なく戦争に突入することになるだろう。躊躇う日本人など、あまりいないだろう。もし反対する人が出たとしても、少数派だし「もっと大勢が殺されてもいいのか」と糾弾されることなって、最終的には戦争を支持することは間違いないだろう。


あの巨大な爆発をミサイル攻撃だと言われて、それを信じない人などいるだろうか?
日本政府の公式発表がそうであり、事前に攻撃が来るとまで警報を出しているのだから、政府が人々を騙していることなどあり得ないだろう、と圧倒的大多数の人々が考えるのは何らの不思議もない。

深刻な被害を受けた後で、戦争を反対する者など、そういるものではない。
すなわち戦争の準備段階は整った、ということである。日本の政府も協力態勢を構築し、法制度も完備したので、後はいつやるか?

  今でしょ!

の言葉が、どこかでこだまする。

◇◇◇◇◇◇


ヤラセ、でっち上げ事件というのは、現代でもよく用いられる手法なのですよ。

参考:
13年9月
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/dd3c160cfc9a245c383c731fd6ccb663
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/b97676ce70276f2fa13a664b7f6d7ddd




楽天銀行の口座凍結措置は杜撰ではないか?~その3

2015年10月02日 13時25分05秒 | 社会全般
楽天銀行の口座凍結に関する謎は、未だ解明されていない。あまりに理不尽というか不自然である。


今回は、追加情報を発見したので、補足しておきたい。


まず、最初の話はコレ。

>http://thutmose.blog.jp/archives/44121238.html


記事中には、先頭に件数と被害額があり、H26年には激増している、というような印象を与えているわけである。一見すると、まあそうなのかな、と思わせるものである。が、実際にはそうではないのだ。
この示されたデータというのは、取引停止対象となる犯罪利用口座の件数や総額ではない。単なる「ネットバンキングによる不正送金の被害状況(件数、金額)」である。

すなわち、振込も引き出しも全くできなくなった口座、ということではない。逆に、口座を凍結されていれば、犯罪者の別口座に送金されずに済んだが、犯罪者が好き勝手に振込できる状態だったので、不正送金され被害に遭ったということ。
この件数は、楽天銀行等の口座凍結措置を受けた口座数とは、直接的には関係がない。


>http://www.yomiuri.co.jp/science/goshinjyutsu/20150918-OYT8T50097.html

先日に、この記事が出ており、H27年分の数字も追加されている。グラフも数値も出典が同じものだ。具体的に見れば、例えばH26年の件数がどちらも合計1876件で一致している。


なので、最初の記事中での件数や被害金額というのは、楽天銀行の口座凍結の説明にはなっていない、ということ。
被害者側の口座凍結とか廃止は一般人の口座凍結と無関係。また、不正送金を受ける先の口座は犯罪者保有(か支配)のもので凍結されても当然なので騒ぎにならない。そこから一般人宛て(例えばオークション代金とか)に振込があるというのは、通常考え難い。中継口座として利用された場合を想定すると、犯人利用口座宛てに身に覚えのない振込記録が残るから、被害者となる立場であって、そういう人たちは「勝手に口座凍結された」とは騒がない。


ネットバンキングによる不正送金被害、これに係る口座という点から、楽天銀行の口座凍結(取引停止措置)の説明を導くことは困難である。一般人の取引停止措置を受けた口座が増加している、との説を補強する材料にもなっていない。



それから、今日の読売朝刊に出ていた事件だが、ネット配信されていないようだ。概要は、毎日と埼玉新聞に出ていたようだ。

>http://mainichi.jp/shimen/news/20151002ddm041040196000c.html


マネーロンダリングを国内口座を用いて行っていた、というような詐欺事件らしい。読売記事ではもうちょっと詳しく出ているので、そちらから引用する。


(一部引用)

発表などによると、4人は共謀し、2013年12月、杉本容疑者が管理する法人名義の銀行口座に、マレーシアの熱帯魚養殖会社から振り込まれた現金586万円が詐欺事件の被害金と知りながら、銀行の問い合わせに、虚偽説明で犯罪収益であることを隠した疑い。
県警の捜査で、木下被告が管理する複数の口座には、杉本容疑者の口座など国内50口座から、計11億7000万円の入金があったことが確認された。県警が国際刑事警察機構(ICPO)に照会したところ、これらは偽メールなどを使った詐欺事件で海外13か国の貿易会社などがだまし取られた被害金と判明。県警は木下被告が口座から引き出して資金洗浄した現金をリーダー格のオノイエ容疑者に渡したとみている。



この事件から分かることがある。

ア)木下被告(別詐欺事件で公判中)の複数口座に杉本容疑者の50口座から入金
イ)木下容疑者宛て金額は11.7億円
ウ)杉本容疑者に銀行から問い合わせがあったこと
エ)詐欺事件容疑者の口座に振込してた杉本容疑者の口座は生きていたこと
オ)杉本容疑者の50口座には海外13カ国企業からの入金だったこと


ア)から、詐欺事件被告の口座に振込が繰り返される相手側(杉本容疑者)口座は、逮捕直前まで凍結されてはいなかったのではないか。詐欺の犯罪収益を隠匿している可能性の高い被告口座に対し、度々入金をしている相手側口座はそうそう簡単には凍結されていない、ということでは。


イ)から、50口座の平均振込額は2000万円超であり、楽天銀行の口座凍結を受けた人たちのような少額ではない。回数を分割しているにせよ、一回当たり送金額は100万以上か少なくとも10万単位である可能性が高く、数万といった水準ではないだろう。
月々10万円を50口座から振込でも年間6000万円しかならず、12億円近くの被害額なら20年近くかかる。これを2年で行うなら、月100万円×50口座の振込で年額6億円となる。これくらいの高額な振込を繰り返す必要があったろう。


ウ)から、杉本容疑者の管理する口座について、銀行側から照会があったということであり、有無を言わせずいきなり口座凍結措置なんて取られていない。しかも、13年12月の件が逮捕容疑になっているので、当時から今まで普通に口座利用していたとしか思われない。今よりも取引停止件数が多かった時期にも関わらず、だ。また、エ)についても、被告が逮捕・送検・裁判となっていく過程ですら、杉本容疑者への捜査が及んだのはつい最近になってから、ということで、犯罪利用が疑われた(木下被告の)口座への送金履歴のある(杉本容疑者管理の)口座が直ちに凍結されていたとも思えない。


オ)から、海外からの入金が度々、ということのようであり、楽天銀行の口座凍結を食らった人たちがそうした海外からの振込が複数回ある、といった傾向は窺われていない。勿論、犯罪収益は国内のみもあるだろうけど、何が疑わしいと判断されるかが不明である。
それに、本事件では振込実行の相手側は「被害に遭った海外企業」であって、多額の振込をした相手が犯罪者だった、とかいう話ではないようである。つまり振込人が犯罪者のようで怪しいから、杉本容疑者の口座が疑われたのではない。
例えば、振込人であるオークション相手がどうも怪しいので、楽天銀行の口座が凍結される、というのはおかしい気がする。


いずれにせよ、楽天銀行が、顧客に対し、事前に確認事項を通知して説明をさせ、その上で凍結に踏み切るならまだ分かるが、何の連絡もなく突然に凍結というのは明らかにおかしい。
それができる場合とは、振り込め詐欺被害の犯罪者側銀行口座を停止させる場合であり、それ以外には、法的根拠は希薄であろう。


殿様商売の新幹線は敗退を繰り返す

2015年09月30日 09時08分39秒 | 社会全般
インドネシアにおける高速鉄道の受注は、以前から注目されていた。一旦は、日本と中国の競争を白紙に戻し、高速は必須でなく中速でもいいというような報道発表がなされた。

しかし、結局は中国の受注が報道されることになり、恐らく「高速は必要ない(=もうちょっと遅くても問題ない)」。とインドネシア政府が言った時点で、日本の新幹線方式が敗退することはほぼ確定的であったろう。


日本側の姿勢がどういうものであるか、というのは、交渉現場の人々だけじゃなく、他の一般人の反応を見ても手に取るように分かろうというものだ。


こんなの>http://b.hatena.ne.jp/entry/blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1855211.html


事業内容を比較したりできないような人々ですら、こんなに「上から目線」っぽい、ってこと。最初から、日本=素晴らしい、中国=ハイ御仕舞、みたいな先入観と図式を信奉しており、そういう思考パターンや態度が相手側にも伝わってしまうのではないかとさえ思える。日本が中国との受注競争に敗れたのには、負けるべくして負けた、まさしく不思議の負けはないということだ。


この結果が意味するところを、日本の政治家も鉄道事業者も経産省やJICAあたりも、あまり考えていないのではないか。日本の鉄道事業は、今後旅客数が減少する一方の日本国内で寂れてゆくであろう、という危機が現実になるかもしれない、ということである。


これに似たビジネスがかつて存在していた。
それは、携帯電話事業である。


日本の通信技術は品質がいいだのと御託を並べていても、現実に供給されてること、時間や金額を少なくできること、そういうことの重要性が理解されていなかった。

中国の携帯電話なんて、と誰しも思っていたかもしれない2000年代初期に、日本は携帯事業でことごとく中国企業との競合で敗退したわけだ。アフリカ大陸を見るがいい。電線網がなく、有線回線も全く存在しない、アフリカにおいて、携帯電話は貴重なインフラとなった。その基地局建設を推進したのは、主に中国系企業だった。彼らは、日本以外の先進国企業との苛烈な競争に打ち克ち、受注を繰り返すことで成長してきたのだよ。実際、ほとんどの地域で携帯電話だけは繋がる。少々の問題があろうとも、だ。

そして、携帯通信網というインフラを足掛かりとして、中国企業のアフリカ進出は他分野でも進んでいったわけだ。携帯基地局の受注利益以上のものが、経済波及効果として得られたのではないかということである。勿論、外交面でも、だ。


今や、世界2位の通信設備供給を持つ華為技術(ファーウェイ)は、日本の携帯事業者よりもずっと先にいる。

>http://www.nikkei.com/article/DGXKZO85767830W5A410C1X11000/


10年前、中国企業を鼻で嗤っていた者たちは、大勢いたのではないか?
そして、同じことが今も起こっており、日本企業の敗退の原因を考えてはいないということ。


インドネシア以外でも、マレーシアやタイやベトナムなどでも同じことが起こるかもしれない、という危機感が全くなかったということだな。勝負はやる前から、見えていたということだ。がむしゃらに仕事を受注しにくる中国と、武士の商法みたいにプライドだけは高くて、真剣に競争に勝つ気が見えない日本では、負けて当然だということ。


以前に、米国向けに高速鉄道事業の素案を書いたことがある。金欠に陥ったリーマンショック後の話であり、公共投資が経済下支えの意味を持つので効果ありと考えたものだ。


>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/fe5fa48c8b215f730753a941ef1205d2

(再掲)

③米国に於ける高速鉄道建設事業

一番の肝になるのは、これだ。米国での雇用を作る、という目的がある。日本の新幹線を米国で運行してもらえるようにするのである。
スキームは以下の通り。

 ・米国に合弁の事業会社を設立
 ・米国側資本(企業やファンド)が95%、日本側はJRが5%(+銀行や商社等を入れてもいい)
 ・この事業会社に日本の持つ外貨準備のうち仮に百億ドルを貸出
 ・30年の長期ローン、利率は現在の米国30年債と同等金利(or上乗せ0.1~0.5%)でよい
 ・返済は事業スタート後の運行収益から返済してもらう
 ・JRは技術やシステムの移植、訓練や教育で協力する
 ・建設事業や車両製造事業などは米国内企業で行う(どうしてもできないものだけ日本国内で担当するとか、指導人員派遣などで対応してもよい)

概要だけだが、こういう感じでどうかな、と。

まず公共事業として米国自身でやろうとすれば、これは予算がないと着手できないので難しい、ということがあるかもしれない。なので、初期費用を日本が拠出し将来収益で返済してもらえばいいだけだ。日本がドルをただ持っているだけでは米国債を買うくらいしかないので、積んでおいても意味がないのと同じ。それなら、いっそ米国労働者の雇用を増やす方がずっと有効だ。約七千億ドルの米国債を売却しなくても、数千億ドルは保有しているはずなので、費用捻出は難しくはないと思う。




当時、米国の財政赤字が深刻だったので、初期費用は日本側が拠出する、ということで考えたものである。運行収益から返済するというのも、ごく普通の発想であろう。今回中国が提案したのも、こういう初期費用ナシ、というものだったらしいので、日本に工夫が足りなかった、ということだ。



また、中国の高速鉄道が脱線事故を起こしたことがある、というのを「新幹線絶賛派」の人たちが自慢げに語っているが、鉄道事故は中国だけが起こすわけでない。将来、事故が起こった時に後悔するがいい、みたいに言うのって、恥ずかしくないのか。


欧州でも鉄道事故は起こっているし、米国だってつい先日も事故った。

>http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2015/05/post-3638_1.php


米国の鉄道より、中国の方がまだ安全だ、ということなら、それを選択する国があっても不思議じゃない。TGVだって無事故ではないし。



要するに、上から下まで、日本は最高、素晴らしいという先入観と奇妙な価値観に凝り固まった日本人が、殿様商売をやって、その愚かさに気づくこともできず、まんまと敗退を繰り返し、世界のビジネスで大きく後れをとり、中国企業からは大きく水をあけられているんだ、ということ。ハイテク製造業の惨敗さえ、無様な固定観念から目覚めさせることができなかったということを、今回の新幹線大絶賛の連中が示してくれたのだ。