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出鱈目アベ政権のインチキ執行停止決定

2018年11月02日 12時02分09秒 | 法関係
無法国家じゃぱんの不法行為常態化省庁の一つ、防衛省が早速辺野古沖で工事を再開したそうだ。

どんな出鱈目であろうと、国交大臣の出した執行停止決定には誰も逆らえない、という恐怖の無法状態が現代の国家においてでさえ、平然と行われているのだ。狂気の沙汰である。


石井国交大臣の出した執行停止につき、簡単な反論を書いておくこととする。

まず、当該文書から一部引用する。


 国水政第44号 平成30年10月30日

『執行停止申立てに対する決定について(通知)」



2 本件申立ての適法性について

(1)審査請求をなし得る者は、「行政庁の処分に不服がある者」(行審法第2条)であるところ、ここにいう「処分」、すなわち、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(行審法第1条第2項)とは、国又は地方公共団体の行為によって「直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定する」ものであると解されている(最高裁昭和39年10月29日判決)。

 そして、行審法が「国民の権利利益の救済」を目的としていること(行審法第1条第1項)を合わせて考えると、申立人のような国の機関であっても、上記の意味での「処分」を受けたものといえれば、一般私人と同様の立場で「処分」を受けたものとして、当該処分についての審査請求をなし得るものと解することができる。

 この点、埋立承認の「撤回」は、埋立てをなし得る法的地位・権利を失わせる点で、埋立承認の「取消し」と同じであるところ、前件取消しの違法性が争われた前件平成28年最高裁判決は、この「取消し」が行審法2条の「処分」に当たることを前提とした判断を行っている。

 その上、埋立承認の撤回が「処分」に当たるとすることは、埋立ての「承認」の撤回が、埋立てをなし得る法的地位・知恵気を失わせる点で、一般の事業者が受ける埋立ての「免許」の撤回と全く変わることはないことを考えると、「国民の権利利益の救済」という行審法第1条の目的とも整合するといえる。
 したがって、本件撤回は、行審法第2条の「処分」に当たるということができ、申立人は、本件撤回についての審査請求をすることができると考えられる。


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まずは、国交大臣の言い分(各項にア~などと充てる)をかいつまんで書いてみる。

ア)今回受けた承認撤回は「処分」にあたる
イ)「処分を受けたもの」と言えれば行審法の審査請求をなし得る
ウ)行審法1条2項の「処分」は最高裁昭和39年10月29日判決にいう『直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定する』もの
エ)平成28年12月20日最高裁判決では承認取消処分を「処分」として扱っている
オ)故に本件申立人は審査請求ができる



まず、ア)とエ)は特に異論はない。知事の埋立承認も、その取消もいずれも処分に該当する。
一つ問題点として、H28年最高裁判決で判示した「処分」は、平成27年10月の沖縄県知事による取消処分だったので、現行の行審法施行前だったことは明らか。国交省の説明では、改正前後での定義の変更等が一切ない、といった立論がないので不十分である。

イ)は明白に誤りである。
行政庁のした行為が「処分」であることを証明しても、審査請求が可能かどうかは分からない。
例えば法7条1項の除外規定に該当する処分には、適用されない。検察官のする処分が一般私人に対するものであり、処分に該当性を満たしていても、適用されないことになっているので。

ウ)についても、不十分である。
最高裁判決で「処分」を示したのは、廃止法となった行政事件訴訟特例法の1条のものであって、当時と現行法での「処分」が行政法で同一の定義(概念)などは言うことができない。
現行法上の処分には「直接国民の権利義務を形成しまたは範囲を確定するもの」もあるが、それ以外の処分が存在しない、とは国交大臣は一言も説明できていない。


オ)は飛躍しすぎ。立論にすらなってないだろ。

次に行こう。


(2)この点、処分庁は、申立人が「固有の資格」において本件撤回の相手方となったものであり、行審法の規定は適用されないと主張する(行審法第7条第2項)。
 しかしながら、前記(1)のとおり、上記の前件平成28年最高裁判決及び行審法の目的などに照らせば、本件撤回は、行審法第2条の「処分」、すなわち、「直接国民の権利義務を形成しまたその範囲を確定する」ものに当たるのであるから、申立人は一般私人と同様の立場で処分を受けたと言えるのであって、「一般私人が立ち得ないような立場にある状態」と解されている「固有の資格」においてその相手方となったものではないと認められる。


========

何らの内容もないもので、立論の材料にすらなっておらず、単に自己主張を表現を変えて、前項を少々言い換えただけの杜撰なものだ。

石井国交大臣曰く、

カ)本件撤回は「処分」なので一般私人と同様の立場で処分を受けた
キ)だから「固有の資格」ではない


この論法の異常な所は、処分=一般私人、の勝手な決め付けを何の検討も示さずに断言していることである。処分の相手方が例えば「国の機関」であるものは、世の中に全く存在してないかのような言い分であるが、それは違うだろう。

もしも処分が全部一般私人相手なら、そもそも『「固有の立場」で受ける処分』が7条2項の除外規定に置かれる意義がないではないか(爆)。


石井国交大臣方式の説明だと、

行審法2条の処分=「直接国民の権利義務を形成しまたその範囲を確定する」もの

 なので、「一般私人と同様の立場」

という、屁理屈にさえなってないことをこじつけで言っただけのものだ。微妙な何段論法的な?


現行行審法でいう「処分」が、「行政事件訴訟特例法の判決文の定義である」との証明はない。どこにもない。
単に詭弁的な置き換えである。

カ)、キ)も、自分が主張したいことを、ただ独善的に断言しただけ、である。


審判役の人間がルールを守らないと、いかようにも恣意的な決定ができる、という典型例だ。


反論として書けば、

・処分には一般私人以外(7条2項の固有の立場で)受けるものがある
・昭和39年判例の「処分」は現行行審法でいう「処分」と同値・同一でない
・防衛局は「国の機関」たる「固有の立場」としての事業主体で私人ではない



この程度は、行政法のプロwならば、簡単に分かることだろうに。
その論拠を示せ、って?

嫌だねw

今は出す時ではないので。そもそも、本物の専門家ならばオレみたいなド素人に尋ねずとも、知ってるはずでしょう?

オイオイ、そんなことも知らないの?w
それで大学教授だの、法学専門家だ、行政法のプロだ、みたいに自慢かね?w


続きは、また後で。


国交省が執行停止を決定したら裁判所に提訴すべき

2018年10月19日 11時52分26秒 | 法関係
前回の審査請求時にも、沖縄県は国地方係争処理委員会に対する審査の申し出をしたが、執行停止決定は審査対象外であるとされたはずだ。

今回も、この結論には変わりがないはずなので、執行停止決定や裁決に対する審査申し出はするべきではない。

初めから裁判所に提訴をする方がよい。
執行停止決定ならば取消訴訟が可能であり、裁判中において「理由がない」ことの立論として、行政不服審査法7条2項を言うのは難しいものではないからである。


これは、一つ前の拙ブログ記事で述べた通りである。


一応、地方自治法の規定を復習しておこう。


○地方自治法 第245条

本章において「普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与」とは、普通地方公共団体の事務の処理に関し、国の行政機関(内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四条第三項に規定する事務をつかさどる機関たる内閣府、宮内庁、同法第四十九条第一項若しくは第二項に規定する機関、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関、法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関又はこれらに置かれる機関をいう。以下本章において同じ。)又は都道府県の機関が行う次に掲げる行為(普通地方公共団体がその固有の資格において当該行為の名あて人となるものに限り、国又は都道府県の普通地方公共団体に対する支出金の交付及び返還に係るものを除く。)をいう。

一 普通地方公共団体に対する次に掲げる行為
イ 助言又は勧告
ロ 資料の提出の要求
ハ 是正の要求(普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反しているとき又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害しているときに当該普通地方公共団体に対して行われる当該違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことの求めであつて、当該求めを受けた普通地方公共団体がその違反の是正又は改善のため必要な措置を講じなければならないものをいう。)
ニ 同意
ホ 許可、認可又は承認
ヘ 指示
ト 代執行(普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反しているとき又は当該普通地方公共団体がその事務の処理を怠つているときに、その是正のための措置を当該普通地方公共団体に代わつて行うことをいう。)

二 普通地方公共団体との協議

三 前二号に掲げる行為のほか、一定の行政目的を実現するため普通地方公共団体に対して具体的かつ個別的に関わる行為(相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的としてされる裁定その他の行為(その双方を名あて人とするものに限る。)及び審査請求その他の不服申立てに対する裁決、決定その他の行為を除く。)



この最後の3号にある審査請求等の「裁決、決定」は「国の関与」からは除外されるので、国地方係争処理委員会の審査対象ではないのは、前回から同じなのだ。そして、申し出をしても無駄足に終わることはまず不可避なので、ここのルートは避けておくのが無難ということである。

よって、はじめから裁判所に提訴する方がいい、ということだ。


万が一、裁判所がこれを上回る特別の屁理屈を出してくるなら、そちらの撃破を考える方が戦い易いと思う。

誤って、国地方係争処理委員会に申し出をすると、そこには罠があるかもしれないので、審査申し出はするべきではない。敢えて国が行政不服審査法に基づく審査請求を選択してきたということには、相応の狙いがあるはずで、用心深く行くべし。



沖縄防衛局(防衛省)のした審査請求は違法な手続

2018年10月17日 14時49分42秒 | 法関係
いつもの如く、アベ官邸のやり口は無法の限りを尽くすものだ。行政不服審査法と審査制度は、国が無法を平気で実行してくる、などという事態を想定はしていないであろう。


極端な話が、審査庁が「自分勝手な、法を無視した独善的解釈論」だけを出してきて、その救済措置が存在しないとなれば、どのような出鱈目論法であろうとも通用してしまうことになる。まさに無法国家、インチキ法解釈と運用を実現できるのは、無法者が権力を握る側だから、だ。


>https://ryukyushimpo.jp/news/entry-819822.html

17日午後1時30分ごろ、沖縄防衛局の職員が国交省を訪れ、申し立て文書を提出した。これに先立ち、岩屋氏は同日午前、防衛省で記者団に「やむを得ずやらざるを得ない措置だということだ」と説明した。県の謝花喜一郎副知事は県庁で、行政不服審査法による対抗措置に関し「法治国家として国がこういうことやるのはどうなのか」と不信感をあらわにした。

 県が8月31日に埋め立て承認を撤回したことで、現在辺野古の工事は止まっている。政府側は法的措置を取ると明言してきたが、9月の沖縄県知事選への影響などを踏まえ判断を見送ってきた。知事選で新基地建設阻止を掲げる玉城デニー氏が当選しており、民意が示された後の政府の対応に県内の反発は一層強まりそうだ。

 行政不服審査法に基づく国交相への申し立ては2015年10月に県が埋め立て承認を取り消した際もとられた。防衛省と国交省という、政府内で救済措置を図る対応には当時批判が集まった。今回も政府が同様の対応に踏み切る背景には、速やかに執行停止を認めさせ、あくまで早期の工事再開を目指す狙いがあるとみられる。


=========


つい数時間前に、沖縄防衛局が国交省に審査請求を出した、とのことだ。
国は、本当に法制度を無視した暴行まがいのことしかできないようだ。前回の審査請求と代執行訴訟提起もそうだったが、未だに何らの反省もないのである。無法者どもには、法を遵守するという原則が根本的に欠如している。


前回の審査請求は2015年3月と10月であり、今とは状況が異なっていた。それは、行政不服審査法が今とは違う内容だった、というものである。当該法は平成28(2016)年4月から、新法が施行されたのだ。つまり、前回審査請求時点では、旧法の適用であるが、今は違う、ということ。

7条の適用除外の条文には、第2項は旧法にはなかった。


○行政不服審査法 第7条第2項

2 国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は、適用しない。


防衛局が前回は審査請求が可能だったのは、この条文が施行前(法改正H26年だが)であったから、であり、関連法改正も同時に実施されたのであるから、当時と今とでは状況は全く違う。


条理を通常通りに適用するなら、国の機関たる沖縄防衛局は『固有の資格において当該処分の相手方となるもの』に該当するので、行政不服審査法は適用除外となるのは明らかだろう。


ここで以前の検討を再掲しておこう。

15年12月>https://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d9163d8359a8be54061db4501e9153ff

この記事中で、拙ブログの見解としては「申し立て権はある」とした。それは他の法律の条文中の記述との関連において、認めざるを得ないという理由から、だった。


再掲しますと、通称、駐留軍用地特措法、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法」の22条です。

○第二十二条  
収用委員会が第十九条第四項に規定する期間内に裁決をしない場合において、地方防衛局長から行政不服審査法 (昭和三十七年法律第百六十号)第七条 の規定による異議申立てがあつたときは、収用委員会は、同法第五十条第二項 の規定にかかわらず、第十四条の規定により適用される土地収用法第三十九条第一項 の規定による申請に係る事件を防衛大臣に送らなければならない。
(以下略)


『地方防衛局長から行政不服審査法第七条の規定による異議申立てがあつたとき』とはっきり書かれています。これは申立て権があることを示しているわけで、これが違法である違憲である、ということを立証するのは極めて困難です。



『行政不服審査法第7条の規定による異議申立てがあつたとき』との文言は、防衛局長からの審査請求(厳密には以前異議申立てと審査請求は別立てだったはず)を予定している、ということだったわけである。これを覆せる理屈を出すのはかなり難しい、と主張したものである。


だが、H28年の法改正に伴い、関係法令も一緒に改正されており、

平成28年 3月31日号外防衛省令第11号〔行政不服審査法及び行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う防衛省関係省令の整備等に関する省令一条による改正〕


等により、駐留軍用地特措法の条文も当然改正されており、今では「行政不服審査法に基づく防衛局長の審査請求」権は存在してない。そりゃ、そうなるだろうな。だって、大もとの行政不服審査法を改正して、国の機関の審査請求を除外したわけだから。


結局、アベ官邸は違法なことを、さも合法のようなフリをして、平気で違法行為を仕掛けてくるような連中なのだ、ということ。国は、そういう違法な、ルール無視の行為をしてこないだろう、という、昔ならあったであろう前提を、完全に破壊しているのだよ。


そもそも論として、審査請求を出す前の時点で、「行政不服審査法が改正されたので、出せないよ」と誰も教えない、という体制なわけだよ。こういう細かいことを指摘するような人たちは、政財界にはほとんどおらず、大マスコミも同じく黙ってアベ官邸に従うだけなので、どんな滅茶苦茶な手法だろうと「どうせ誰も分からない、だから、やっちまえばいい」ということで、暴走をするわけだよ。



まずは、基礎から、見直すべきでは?

以前にOKだったことであろうと、法改正後には違法となるというのは、よくある話であって、そんな簡単なことすら考えない防衛省や国交省というのは、本当にどうかしているww


前回も、デタラメの代執行訴訟をやって大失敗し和解に逃げ込んだのに、又しても墓穴を掘ったわけねw

同じなのは、毎度、国という名の、権力を振りかざす連中が、違法行為を平然とやってくる組織なのだ、ってことだ。



追加:


防衛省も国交省も、国が「一般私人と同様の立場」だと思い込んでいるのかもしれないが、一般私人は米軍と交渉したり、米軍に当該海域を提供したり、一般人を身体拘束して強制排除したりはできないのだよw

それって、どんな一般私人?ww
防衛省告示123号みたいな、違法な法令を出せる権限を一般私人は有していないのだよ。


バカって、本当に不治なのなwww







沖縄県の辺野古埋立承認撤回について

2018年09月01日 14時34分30秒 | 法関係
遂に、沖縄県は承認の撤回をいたしました。
本当に、勇気あるご決断をなさいました。無法の日本国政府や合衆国政府の横暴に立ち向かうべく、本格的法廷闘争はここからということになると思います。

どうか頑張って下さい。
さて、承認撤回を受けて、国は法的措置をとる、執行停止申立てをする、という報道がありました。

>https://www.yomiuri.co.jp/politics/20180831-OYT1T50117.html

政府は近く、撤回処分の執行停止を裁判所に申し立てる。併せて、撤回処分の取り消し訴訟を起こす予定』

このような認識なのが、国の連中ということである。
執行停止の申立ては、撤回以前から言われていたものであり、行政訴訟の場合だと一般的な手続ではある。本件について、これを検討する。


1)国(防衛省)は、過去に執行停止の申立てを取下げた

まず、国の言う、最も愚かしい反論は、「以前の執行停止申立ては国土交通省に対するもので、今回は裁判所への申立てなのだから、全然違う」というものだ。

それは国たる法務省や国交省の愚かさを際立たせるのには役立つが、裁判所への執行停止申立てには、何らの意味も持たない。以下にその理由を述べるが、まずはこれまでの経緯を簡単に示そう。


参考>https://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/e4bcdcb3274486fbcf93097821843a54


関係部分は以下の通り。

H27(2015)年

10月13日  沖縄防衛局  国交大臣に「審査請求」申立て
      取消処分の「執行停止」の申し出

10月27日  国交大臣が「執行停止」決定
      代執行訴訟の提起につき閣議了解(全会一致)

10月28日  245条の八 第1項に基づく是正勧告

10月29日  埋立工事再開

11月9日   245条の八 第2項に基づく是正指示

11月17日  245条の八 第3項に基づく代執行訴訟提起


H28(2016)年

3月4日  上記 代執行訴訟の和解
     防衛局は審査請求・執行停止を取り下げ 


国(防衛省)は、和解により執行停止の申立てを自らの手で取り下げたのだから、執行停止を再度申し出るべき理由がない。
もしも、「執行停止」が正しかったなら、国は和解に応ずる必要性もなければ、思考停止決定を取り消す必然性もなかったものである。


重要なことは、国(防衛省、国交大臣)が、自分の手により

ア)防衛局は「執行停止の申し出」を取下げた
イ)国交大臣のした「執行停止決定」を大臣が自ら取り消した

ということである。

※※イ)の取消の根拠文書が発見できないのだが、たぶんあるだろう。執行停止を取り消さない限り、国交大臣は後刻の新たな(取り消すよう翁長知事に求めた)「是正の指示」を出すことはできない。知事権限を停止させた張本人が国交大臣なのだから、停止を解除しないと「取り消しの大臣指示」に意味がない。
防衛省が申立てを取り下げても、自動的に大臣決定は消滅することはできない。新たに取消文書を発出(決定の取消処分)しない限り、行政側決定は有効のまま残存する。(後でもう少し書く)


2)行政不服審査法上の執行停止

一般的には、地裁に取消訴訟の提起か、審査庁への審査請求に伴い、執行停止申立て(審査請求の場合には「申し出」と呼ぶ)が行われる。つまり、前回の代執行訴訟時だと、地裁への申立てと同義の審査請求が国交省に行われた。

執行停止決定は、地裁への提訴なら裁判所が、審査請求なら裁決を出す審査庁が決定権限を持つ。埋立承認については、国交大臣にその権限があったので、執行停止が決定された。
行政事件訴訟法の場合とは、違いが少々ある(後述)。


根拠条文は次の通り。

行政不服審査法 第25条 

審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。

2 処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をとることができる。

3 処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができる。ただし、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をとることはできない。

4 前二項の規定による審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。

5 審査庁は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。

6 第二項から第四項までの場合において、処分の効力の停止は、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるときは、することができない。

7 執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から第四十条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。


前回、国交大臣が執行停止決定をしたのは、25条2項によるもので、要件は4項の『重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるとき』を満たすことが必要なのである。過去にも何度が同じ説明を繰り返してきたが、執行停止をする為には、最低限必要な要件というのが、端的に言えば、

・重大性:重大な損害を避ける
・緊急性:緊急の必要がある

を同時に満たすことが必要なのである。

ウ)執行停止の要件は「重大性と緊急性を同時に満たす」


この執行停止の2条件を満たしても、公共の福祉に重大な害を及ぼす場合や、裁決結果が棄却だという場合には執行停止をしなくてもよい。


当初、執行停止を主張した防衛省の見解を認めたのが石井国交大臣であり、(翁長知事のした)処分による損害が重大性と緊急性を満たすのだ、と言ったわけだ。

しかし、翌年3月4日の和解時点では、防衛省がこれを取下げ、国交大臣もこれを取り消した、ということなのだから、25条4項の要件を満たしてはいなかった、と国が認めたということである。

処分による損害が重大で緊急性があるのが本当ならば、執行停止は取り消すことができないものだから、である。


2項の条件から、防衛省が申立てを取り下げたとしても、上級庁は「職権で」執行停止を決定できるのであるから、執行停止を取り消すことなく、速やかに裁決を出せば済むことだから、である(裁判所は職権では決定できない。申立てが必須)。
新たな是正指示なんぞに頼ることなく、上級庁(国交大臣)の裁決は処分庁への法的拘束力を有するので、それで良かった話なのである。
前記、ア)、イ)は必然の選択というものではなかった。

しかし、国交大臣は職権で執行停止決定を維持できるにも関わらず、それを敢えて取り消したということは、執行停止の要件を満たしていなかった、と大臣自らが認めたということであり、決定自体に違法がないと「自庁取消は不可能」との最高裁判決の拘束力も当然に及ぶのだから、国交大臣のした執行停止決定は違法が確定したも同然なのである。

エ)処分で生ずる損害が重大で緊急性があるなら、執行停止決定を取り消すことができない


いや、実は執行停止決定時と、和解時では事情が変更されたからだ、という主張をするかもしれない。確かに言ってきそうではある。

行政不服審査法 第26条 

執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。


事情変更で取り消したとしよう。例えば、申立て人の防衛局が自ら審査請求を取り下げたからだ、と。執行停止決定は適正、合法に行われたが、その後に状況が変わって事情変更を事由とする取消なんだ、と。
すると、審査請求と執行停止の申立て人が自分で取下げれば、申立て人の利益を保護する意味がなくなるので執行停止決定を取り消せたのだ、と(取消訴訟の取下げにより裁判所のした執行停止の意義が消滅する、というのも同じ)。


まあいいでしょう。
もしそう主張するとしても、申立て人とは防衛省、すなわち「国」なんですよ。国が「執行停止申し出を取下げ」、国交大臣は「申立て人たる「国」の保護利益がない」と認めて執行停止を取り消せた、ということになりるわけだ。


では、国の利益って、何だったのか?
それは翁長沖縄県知事が取消処分をした「埋立承認」、これにより埋立工事をやって基地建設をするというのが、国が散々主張してきた利益だったわけ。日米外交関係云々とかそういうのも、重大な損害だと言い張り続けてきたわけだよ。

それを「保護する意味がなくなったので、取り消します」と防衛省と国交省が宣言したということだな。


行政が出した処分は、たとえ申請者が取り下げたとて、自動的に効力が消滅するわけではない。例えば、電波行政で周波数帯の割当があるとして、申請者甲に許認可庁が免許なり認可を与えると、その帯域は甲に割当られたままとなる。事後的に甲が事業変更で申請取下げをしても、許認可庁が甲に出した免許・認可は、残存し続けることになる。その帯域を他の事業者が利用できなくなってしまうではないか。なので、申請者甲が取下げをしたら、許認可庁は一度した処分(免許か認可)の取消処分をしなければならないだろう。申請者甲の利益は申請取下げで消滅してるのは分かるが、許認可庁のした処分自体は自動消滅させることはできないという意味だ。

同様に、防衛省が審査請求や執行停止の申し出を取り下げたとしても、国交大臣がこれを取り消さない限り、執行停止決定は残存し続けるだろう、ということ。そして、執行停止決定という行為がなされた以上、国はその論拠を自らが廃止したものである、ということだ。
申立て人=国の保護するべき利益など、最初からなかったのだ、ということを示しているのである。もしそれが、本当に重大性と緊急性のある利益ならば、国(防衛省、国交省)が自ら捨て去ることなど到底不可能だったから、だ。


3)取消訴訟上の執行停止

前記でほぼ尽きているようなものだが、一応、行政事件での条文を見てみることにする(こちらも同じ「25条」となっており、意図的に対比されてるのかな、と思いました)。
ア)~エ)で執行停止を申し立てる根拠は、消滅している。


行政事件訴訟法 第25条

処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。

2 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。

3 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。

4 執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。

5 第二項の決定は、疎明に基づいてする。

6 第二項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。ただし、あらかじめ、当事者の意見をきかなければならない。
7 第二項の申立てに対する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
8 第二項の決定に対する即時抗告は、その決定の執行を停止する効力を有しない。



こちらも同じく25条2項の、処分により生ずる『重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき』というのが要件となっており、行政不服審査法上の執行停止と同等ということだ。
審査請求自体が、地裁への取消訴訟と似た位置付けなのであるから、当然といえば当然ではあるが、適用条件はほぼ同一と考えてよいだろう。こちらは裁判所の職権での執行停止決定は不可能である。3項も行政不服審査法と変わらない。


つまり、冒頭で述べたように、前回の執行停止決定は行政不服審査法上のもので、今回は裁判所の判断なのだから別物である、などという主張は、全く無意味ということがお分かりになろう。

執行停止が認められる要件は同等なのだから、行政不服審査法上の執行停止決定を自らの手で取り消した者=国には、行政事件訴訟法25条2項の執行停止申立ての資格も理由もない、ということである。


前回の執行停止で守られたものは、国の「埋立権」(埋立承認)であり、今回の取消訴訟上でも同じく、国の「埋立権」を裁判所が保護してくれ、ということで、中身が同じなのだ。


国はそうやって馬鹿の一つ覚えみたいなことばかりやってくるのである。
今回執行停止の申立てをするとすれば、かなりのバカか法律無知のド素人じゃないと不可能ではないか。


前回の代執行訴訟の時にも、国は自分の出した是正の指示を取り消した挙句に、和解後にも同じ主張内容・同じ理由による是正指示を出したのだが、これも通常の知的水準を持つ人間ならばいかに異常であるか簡単に分かるものを、福岡高裁那覇支部も最高裁も問題なしと認めるような愚かな社会ということである。


そういうインチキを何度繰り返そうと、どうせ誰にも分からないのだと舐めてる国と司法なので、今回も調子に乗ってやってくるかもしれない。で、まんまと執行停止を認めてくれる裁判所が登場する、というわけね。


もう一つ、忘れていたので追加しておく。
取消訴訟においては、総理大臣の異議、という特別な条項がある。


行政事件訴訟法 第27条 

第二十五条第二項の申立てがあつた場合には、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができる。執行停止の決定があつた後においても、同様とする。

2 前項の異議には、理由を附さなければならない。

3 前項の異議の理由においては、内閣総理大臣は、処分の効力を存続し、処分を執行し、又は手続を続行しなければ、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある事情を示すものとする。

4 第一項の異議があつたときは、裁判所は、執行停止をすることができず、また、すでに執行停止の決定をしているときは、これを取り消さなければならない

5 第一項後段の異議は、執行停止の決定をした裁判所に対して述べなければならない。ただし、その決定に対する抗告が抗告裁判所に係属しているときは、抗告裁判所に対して述べなければならない。

6 内閣総理大臣は、やむをえない場合でなければ、第一項の異議を述べてはならず、また、異議を述べたときは、次の常会において国会にこれを報告しなければならない。



この条文は、裁判所が執行停止をするかどうか、或いは、執行停止を決定してしまった場合に、内閣総理大臣が「執行停止はするな」と特別の異議申立てをする機会を確保するもので、この条項が発動された場合には、裁判所は執行停止ができない。執行停止後であれば、裁判所にこれを取り消させる効力を有するのだ。


ただ、この条項発動は、相当のやむを得ない事情が存在する場合のみ、であり、執行停止をされてしまうと公共の福祉に甚大な被害が及ぶような場合にだけ許されるという、特殊なものだ。異議の申立て後は国会において、説明責任を果たす義務を生じる。総理の最終兵器、みたいな位置付けだな。


本件について見れば、この総理の異議の効力が「執行停止の阻止」にあるものであり、執行停止を促すことはできない、というのがミソである。つまり、沖縄県のした撤回について執行停止をして欲しいのがアベ官邸側なのだが、逆の立場の為、使うことができないのだ。

通常の取消訴訟は行政に対する国民側からの請求なので、行政側の代弁として総理の立場があるわけだが、今回の国が取消訴訟をしてくるのは国民側の立場=防衛局は一私人と同等、の奴ら自身が以前の裁判で主張していたのが幸いしてw、総理は執行停止の阻止側にしかなれない、というわけである。

ざまあ

常日頃、行政側が行政訴訟上では有利な立場にあることが大半だが、今度は不利な側にアベ官邸が立てばよいのだよ。
いかに裁判所が全面支援してくれる、ということがあるにせよ、何らの理由も示さずには、くぐり抜けられないのだからな。お粗末な文章作成、まあ、無能のバカが束になって無駄にやってみるとよいだろう。


せいぜい、頑張れや。


米軍と日本政府の不法占拠に加担する日本の司法・恥辱の最高裁

2018年08月20日 16時56分34秒 | 法関係
日本の最高裁が年々腐敗と堕落の一途を辿るのは、理由があるのだろう。

それは、日本の法曹界、法学界等のレベル低下が進行したから、だろう。それを後押ししてきたのは、ぼく自身も含めた国民の無関心とか無理解だったものと思う。己の不明を恥じる。申し訳ない。


辺野古埋立基地建設に限らず、大勢の日本国民が日米安保や米軍や基地問題に対してもっと注意を払うべきだったのだ。政府のやることに、もっともっと警戒を強めるべきだったのだ。ここに至っては、国民からの抵抗など、ほとんど意味を持たなくなっている。圧政と暴虐にへの対抗手段が残っていないのだから。


少し前の判決なのだが、最高裁の汚点を紹介しておきたい。辺野古埋立承認の違法確認訴訟だけではなかったんだな、狂気じみた判決というのは。


>http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/379/052379_hanrei.pdf


事件の概要は、米軍が使用する基地用地の使用期限が切れる(その当時に沖縄県の代理署名に関する代執行訴訟があり、元太田沖縄県知事が敗訴した)のに伴い、新たな契約締結の必要性があったものだが、手続が終了できずに期限切れとなった土地の損害賠償について、であった。


>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A7%90%E7%95%99%E8%BB%8D%E7%94%A8%E5%9C%B0%E7%89%B9%E6%8E%AA%E6%B3%95


改正法についての最高裁判決は03年11月なので、脚注は誤りであろう。

最高裁は、法的に元々の土地所有者に返還すべき時期の無断使用について、「無権原占有期間」と称して、日本政府の対応(地権者に許可を得ず、米軍に不法占拠させたまま使用させ続けること)を合理性があるとして、経済的な賠償義務を認めなかった、というものだ。


不法に占拠しておきながら、その間の賠償義務を国は負わない、という、トンデモ判決を堂々と出してきたのだ、ということ。法に基づく契約の信頼や制度を、無視してよい、と最高裁がお墨付きを与えたのだ、ということである。しかも事後的に可決、立法された改正法をもって、「無権原占有期間」を正当化するという、これまた法の原則を無視した判決を平然と出してきたのだ。


つまり、米軍が不法占拠を継続する、ということについて、何らの法的根拠もなしに、日本の最高裁がこれを正当化し、その事実を知りながら、日本政府も日本の立法府も最高裁も一致協力して、米軍の不法行為を黙認し続けたのだ。


もっと酷いのは、地主が自分の土地に入れる権利を有するというのに、米軍のみならず日本の警察・機動隊が、これを、暴力と恐怖により阻止したというのである。


>http://www.jicl.jp/now/date/map/47_01.html


おい、恥知らずの無法愚連隊、米軍よ、ならびに、日本国政府よ、これが、貴様らの言う「法の支配」の結果なのか?


これと寸分違わぬことを、今の沖縄でもやっているだろ!
機動隊や海保を投入して、何らの法的根拠もなしに、海上の一般国民の強制排除をやり、理不尽かつ不当な占拠を継続しているんだろが。


法を蔑ろにしているのは、米軍、お前ら自身だろ。それを助長しているのが、合衆国政府であり、連邦裁判所の連中なんだろが。日本国政府には、米軍を統制することは不可能なのだよ。このような暴力と無法を放置し続けてきたのは、日本の政治層が米軍の奴隷と化してしまっているから、だ。


日本の政府は、国民の権利を守りもしないし、代弁もしない。奴らにあるのは、自己利益と米軍の下っ端仕事だけだろ。

それを黙認し続けてきたのは、米国の司法界隈も同様なんだよ。
君達に、法の支配なんざ、存在せんわ。北朝鮮以下の、暴力組織、それが米軍であり、合衆国の正体である。イスラム国は沖縄を長期に渡り、不法占拠したりしてないぜ?つまり、テロ集団以下の存在、ということだ。


やってるのは、本物の無法集団、米軍である。
彼らは、日本の法律を守ろうとはしない。法を無視しても誰からも罰せられないと知っているからだ。そのような増長を許すのは、日本国政府の奴隷層が盤石であり、合衆国の行政も司法機関も、米軍については放任しているから、だろ。


それを利用しているのが、アベのような傀儡政権なのだ。


世界で最悪の殺戮集団、米軍が、不当に沖縄を占拠し続け、その為に辺野古埋立問題のような「マフィアと仲間達」への上納に伴う諸問題がずっと起こり続けるんだ。


諸悪の根源は、法を無視できる存在・者ども、アベ内閣のような輩や、米軍の如き暴力寄生集団が、わが国に居座り続けるから、である。


OK牧場の決闘、みたことあるか?
要するに、そういうようなもんだわ。一度襲われ支配されたら、それを上回る暴力を用いない限り、排除できない、ということだ。相手が法など通用せぬ相手ならば、だ。


今の沖縄では、到底先進国であることなど考えられぬ、暴力支配が行われているんだ。



16年12月11日

>https://www.sankei.com/politics/news/161211/plt1612110004-n1.html

政府が、米軍普天間飛行場=沖縄県宜野湾(ぎのわん)市=の名護市辺野古移設に関する沖縄県との対立をめぐり、県に対する損害賠償請求を行う検討に入ったことが10日、明らかになった。翁長雄志(おなが・たけし)知事の埋め立て承認取り消しについて、最高裁で政府側勝訴が確定した後も翁長氏が移設に抵抗を続ける場合を念頭に置く。抵抗は政府と県が交わした和解条項に反し、翁長氏が想定する対抗手段は知事権限の乱用と位置づける。

 政府が県に損害賠償を求めれば極めて異例だ。翁長氏は10日で就任から2年を迎え、辺野古移設阻止という公約を貫く限り、厳しい局面が待ち受ける。
 福岡高裁那覇支部は9月、翁長氏の埋め立て承認取り消しは違法として政府側全面勝訴の判決を言い渡した。県は上告し、平成28年度内にも最高裁判決が確定する。政府と県は28年3月に、確定判決には従い、「その後も(判決の)趣旨に従って互いに協力して誠実に対応する」と明記した和解条項で合意している。

 しかし、翁長氏は確定判決には従うと述べる一方で、抵抗を続けると強調。11月には(1)岩礁破砕(2)設計変更(3)サンゴ礁移植-を自ら例示し、知事権限の行使により移設を阻止する方針を明言した。

 これを受け政府は損害賠償請求の検討に入った。
岩礁破砕は埋め立てなど海底地形を改変する行為で知事の許可が必要で、平成26年に前知事が出した許可は29年3月末が期限。工事が進展すると設計を変更する可能性があり、新たに知事承認を得なければならない。埋め立て区域のサンゴ礁を移植する際にも知事の許可が必要になる。
 政府がこれらの申請をしても、翁長氏が審査を長引かせたり許可や承認を拒否したりする恐れがある。正当な理由がなく、工事を阻むことを目的にした知事権限の乱用にあたると判断すれば、政府は県に対する損害賠償請求に踏み切らざるを得ない。


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日本国政府が沖縄に対して仕掛けてくるのは、こうした恐喝まがいの手口だけだ。一度や二度じゃない。
つい昨日今日も、同じく、1日当たり2千万円の損害賠償と掲げてくるわけで。

>https://mainichi.jp/articles/20180820/k00/00m/010/157000c


こいつらは、日本国民の代弁者などではない。米軍の手下でしかない。米軍さまに提供する基地ならば、日本国民を殺してでも実現する、という無法政府なんだぞ!


日米安保条約があろうが、日米地位協定があろうが、それだけで日本国民の権利義務を制限・規定できるわけじゃない。顕著なのは、例えば


日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法


日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法

といった、個別の立法が必要なのだ。


こんなことは、50年以上前から当たり前で分かり切っていた話であるはずなのに、どういう風の吹きまわしか知らんが、現代では「条約と協定で何でもできる」とか、福岡高裁那覇支部の判決文で豪語されてしまうんだぞ?

なわけあるかい!


基地建設の根拠法もないのに、どうやって建設できると言うのだね?


要するに、日本政府も最高裁以下司法も狂気なのだが、合衆国政府のみならず連邦裁判所も大差ないくらいに、悉く、法を無視し、違法を承知で暴力でもって何をやっても許され、そのお墨付きを与え続ける為だけに司法が存在する、というようなもんだ。


それで、恥ずかしくはないのか?

法はどこに行った?

貴様らのような、穢れた連中に「法の支配」だの「法治国家」だのという言葉は、発してもらいたくないわ。どの口が言うんだね?


法規範を破壊し続ける者、それは、お前らのような、本物の卑怯者だ。精神が腐敗し過ぎて、法なんか、世界に存在せずともよいと勘違いしている、暴力集団だろ。


法は、弱き国民を守ったりはしない。

沖縄県民を苦しめることはあっても、お前らのような無法暴力集団の米軍を利することはあっても、日本の国民を誰も守ってあげることができないんだ。


何の為の、法なのか。



日本国政府による辺野古埋立という犯罪~2

2018年08月01日 09時52分58秒 | 法関係
また資料を発見したので、メモに。


まず、名護漁協の免許が判明。共同5号

>http://www.pref.okinawa.jp/site/norin/suisan/gyogyo/documents/kyodo05.pdf

この免許において、当該埋立区域の海域は、明らかに漁業権の範囲に含まれており、放棄を示す根拠は皆無。


平成25(2013)年9月1日に免許されているので、当時に漁業権行使規則の変更申請もなかったのであれば、免許上は有効であろう。
有効期間は10年である。

当時から漁業権放棄が確定していたなら、当然に区域を変更するはずが、なされていない。


国会質疑でも重要なやり取りがあった。


第193回国会 衆院安全保障委員会 第4号
平成29年3月16日

○照屋委員 防衛省の政府参考人に伺います。
 防衛省は、辺野古新基地建設に際し、三月末に期限を迎える岩礁破砕許可の再申請をしない理由として、名護漁業協同組合が全ての漁業権を放棄する手続をとったことから、沖縄県漁業調整規則に基づき、漁業権が設定されていない漁場では許可は不要との判断をしているようです。
 一方、沖縄県は、埋立工事海域には現在も漁業権が設定されており、漁業権の縮小には、漁業法に基づき、県知事の変更免許を受ける必要があると指摘しております。
 私も沖縄県の考え方が正しいと思います。これは、これまでの累次の政府見解、そして質問主意書に対する答弁、水産庁の各都道府県に対する技術的助言に反している、こういうふうに言わざるを得ません。
 防衛省は再申請を行わないという通知をしたようですが、改めて、その根拠を含めてお伺いします。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 先ほどの岩礁破砕許可でございますけれども、沖縄県漁業調整規則第三十九条におきましては、漁業権の設定されている漁場内において岩礁破砕等を行おうとする者は、知事の許可を受けなければならないと規定されているところでございます。
 他方、辺野古周辺の海域につきましては、漁業法等に定める法定手続を経まして、既に漁業権が消滅している状態でございます。漁業権の設定されている漁場内には当たらず、このため、普天間移設事業の今後の工事に関し、岩礁破砕許可等を受ける必要はないというふうに解釈されておりまして、この点につきましては、防衛省から関係法令を所管する水産庁に確認をした上で、沖縄防衛局から沖縄県に対しまして、許可申請しない旨を伝達したというところでございます。
 なお、付言いたしますと、消滅につきましては、特段、漁場計画に基づく知事の変更免許は必要ないという見解を水産庁は示しているところでございます。
 以上でございます。

○照屋委員 辺野古新基地建設に関して、沖縄県の仲井真前知事に岩礁破砕許可申請を行ったのはいつでしょうか。それは、名護漁協が漁業権放棄同意書を提出した後ではありませんか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 現在有効になってございます岩礁破砕許可でございますが、平成二十六年七月十一日、沖縄防衛局は、沖縄県に対しまして岩礁破砕許可の申請を行いました。これを受けまして、平成二十六年八月七日でございますが、沖縄県より申請書の補正の求めを受け、沖縄防衛局は、平成二十六年八月十一日、補正した文書を沖縄県に提出いたしまして、同八月二十八日、岩礁破砕等許可をいただいたところでございます。
 それから、沖縄防衛局が名護漁協に対しまして漁業権の一部消滅につきまして依頼を行い、名護漁協からは、同年三月二十二日、漁業権の消滅につきまして異議なく同意する旨の回答を得たところでございまして、名護漁協は、平成二十五年三月十一日に総会を開催しまして、漁業権の一部消滅、公有水面埋め立て同意について決議を行ったところでございまして、名護漁協の消滅が先、その後、沖縄県が岩礁破砕許可を行ったというところでございます。

○照屋委員 
防衛大臣、辺野古新基地建設と同じように地元漁協が漁業権の消滅に同意し漁業補償も受けている那覇空港第二滑走路建設工事では、沖縄総合事務局が岩礁破砕許可の更新申請を行いました。辺野古新基地建設に限って再申請を不要とするのは、国のダブルスタンダードではありませんか。大臣の見解を求めます。

○高橋政府参考人 
那覇空港の滑走路の増設事業でございますが、現在も漁業権が設定されているということから、岩礁破砕許可の申請を行ったものと承知してございます。
 他方、普天間移設事業につきましては、先ほど申し上げましたように、漁業権が法定手続を経て消滅していることから、許可を受ける必要はなく、当該申請を行わないというふうにしたものでございます。
 以上でございます。

○照屋委員 これは、たとえ漁協が漁業権を放棄しても、漁業権が生きており、岩礁破砕許可が必要であることを国が認識をして、那覇空港の場合には再申請したのではありませんか。

○高橋政府参考人 
防衛省としましては、那覇空港第二滑走路の事業につきまして所管していない状況から、詳細にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、那覇空港増設事業におきましては、漁業権が現時点でも存在しているということから、岩礁破砕等の許可の申請を行ったものというふうに承知してございます。
 それから、当方でございますが、漁業権につきましては、いわゆる漁業権者の三分の二以上の書面による同意、漁協の総会における漁業権放棄の特別決議という法定手続を経まして漁業権の消滅を行いました。したがいまして、我々としては、このような手続のもとに行ったということで、岩礁破砕許可は必要ないというふうに考えてございます。



防衛省は、手続を完璧にやったんだ、と。同意書面3分の2以上、これも集めた、と。なるほど。
だが、何故か免許申請は、当該区域を除外せず、先の図面通りの漁業区域を設定したわけねw

例えば、入漁権者に、それを説明できるのかな?免許上は、放棄されてないけど、実態は「当該海域は漁業権が消滅してる」と、何を根拠に説明、説得できるのか?

おかしいですよねえw
しかも、特別決議は、13年3月11日であって、国と県の裁判での証拠の16年11月28日とは、異なっていますね?www何故?w




衆院 農林水産委員会 第5号
平成二十九年三月二十九日

○仲里委員 ハイサイ グスーヨー ウクタンデーネーミソーラニ。お疲れはございませんでしょうか。沖縄の方言でございます。
 私は、沖縄四選挙区の仲里でございます。
 きょうは、委員皆さんの御好意によりまして、一年ぶりに質問をする機会を与えていただきました。大変ありがたく、感謝をいたしております。
 きょうは久しぶりの質問でありますので、質問が多岐にわたっております。そういう意味で、再質問はきょうはいたしません。そのかわり、後日、質問主意書でもってまた疑義をただしていきたい、こういうことを前もってお話を申し上げておきます。
 それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 最初に、沖縄県名護市辺野古地先の岩礁破砕等許可手続に関する問題について質問をいたします。
 政府は、平成二十九年三月末に許可が失効する沖縄防衛局の岩礁破砕等許可について、名護漁協から共同漁業権の一部放棄が得られたことや、水産庁が不要との見解を示していることから、申請を行う必要がないと判断したとのことであります。
 しかし、水産庁の見解等に基づくこのような判断は、昭和六十年五月二十五日付質問主意書第四一号に対する昭和六十年六月十四日付政府答弁に明らかに矛盾する内容となっております。
 そこで、水産庁長官の答弁をお願いいたします。

○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
 三月十日に、漁業権が一部放棄された漁場区域における岩礁破砕等許可の要否につきまして、防衛省の整備計画局長から当方の方に照会がございまして、十四日付で、漁業権が放棄され消滅した漁場の区域は漁業権の設定されている漁場内に当たらず、岩礁破砕等を行うために許可を受ける必要はない旨を回答したところでございます。
 回答の内容につきましては、これまで水産庁が示してきた見解を踏まえたものであると認識しているところでございます。

○仲里委員 
次に、沖縄防衛局が不申請の判断根拠に用いた平成二十九年三月十四日付の水産庁の見解は、平成二十四年六月八日付の「漁場計画の樹立について」を初め、これまで十年に一度の漁業権一斉切りかえの都度に水産庁が各都道府県に示してきた技術的助言と明らかに矛盾する内容となっております。また、これらの水産庁の技術的助言に基づいて都道府県が積み重ねてきた行政実績をことごとく踏みにじるものとなっておりますが、長官の答弁を求めます。

○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
 今先生の方からお話があったわけでございますが、漁協が漁業権を一部放棄することができることにつきましては、過去に当庁といたしまして国会で明らかにしているところでございまして、漁業権者が漁業権を一部放棄すれば、その部分の漁業権は当然消滅する、このように考えているところでございます。

○仲里委員 
再質問をやりたいところですけれども、先ほど宣誓したように、再質問はきょうは遠慮しておきます。
 次に、水産庁が沖縄防衛局に回答した見解の後段で、この解釈のもと、沖縄県漁業調整規則を認可したと記述しています。しかし、これまでの水産庁の見解や各都道府県への助言の文書でこのような記述や説明を見たことはありません。そのような文書があれば、ぜひお示しをいただきたい。恐らく、今回の判断を取り繕うために強弁しているものと思われますが、その時々の都合で解釈と説明をころころ変えるならば、法の安定性が危ぶまれます。
 また、政権による恣意的な法の運用であり、法治国家にふさわしくない行為と言わざるを得ませんが、水産庁長官の答弁を求めます。

○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
 やはり法律の条文に沿って対応を考えていく必要があるかと思っておりまして、今問題となっておりますこの漁業権でございますが、これは漁業法の第二十二条によりまして、「漁業権を分割し、又は変更しようとするときは、都道府県知事に申請してその免許を受けなければならない。」というふうに二十二条一項で書かれております。
 それで、放棄でございますが、この変更の中に放棄が入るかということになりますが、三十条で、読み上げますと、「漁業権は、第五十条の規定により登録した権利者の同意を得なければ、分割し、変更し、又は放棄することができない。」ということで、漁業法の三十条では、分割、変更と、放棄といったものについては、これは書き分けておるところでございます。
 したがいまして、放棄する場合については、「都道府県知事に申請してその免許を受けなければならない。」というこの二十二条の規定は適用されないというふうに考えられるわけでございまして、私どもの考えとしてはこうしたことでございます。

○仲里委員 次に、漁協における共同漁業権の一部放棄手続が辺野古地先と同様に行われている那覇空港滑走路増設工事では、放棄後に岩礁破砕等許可申請が行われております。今回の判断と明らかに異なる対応となっていることから、政府内部で二重基準による法的対応を行っていることになります。
 一方、このことに対する照屋寛徳議員の質問に対して、政府は、那覇空港の事業は工事区域の一部に漁業権が設定されているので許可申請を行ったと答弁しておりますが、全くの詭弁であり、辺野古地先と同じ考えとするならば、申請を行う区域と行わない区域に分けて対応すべきではないでしょうか。
 なお、これらの判断は、いずれも水産庁の見解に基づいているものだと思われますので、水産庁長官の答弁を求めます。

○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
 今、仲里先生の御指摘でございますが、これについては、国土交通省あるいは防衛省がこの事業の実施に際しまして、沖縄県に対して岩礁破砕等許可を申請するか否かを判断したところでございまして、恐縮でございますが、私どもとしては、その判断の理由について、詳細について承知していないところでございます。

○仲里委員 次に、今回の政府の判断は、平成二十五年三月十一日に名護漁協が埋立区域の漁業権一部放棄を決議し、これに基づいて沖縄防衛局が同年十二月二十七日に公有水面埋立免許願書を提出していること、さらに、今回問題となっている岩礁破砕等許可の最初の手続として、平成二十六年五月三十日に名護漁協が工事に係る全ての岩礁破砕行為の同意を決議し、これに基づいて沖縄防衛局が同年七月十一日に申請書を提出していることから、漁業権の存在と岩礁破砕の許可手続の必要性との関係から、明らかに矛盾する手続及び内容となっておりますが、長官の答弁を求めます。

○佐藤(一)政府参考人 今先生の方から事実関係等について御指摘があったわけでございますが、全てつまびらかに私ども把握しておりませんが、繰り返しますが、恐縮でございますが、先ほど申し上げました現在の漁業法、この体系のもとに現在、先ほど言ったようなお答えを申し上げたところでございまして、これ以上ちょっと答弁することについては差し控えたい、こういうふうに考えております。

○仲里委員 次に、法定受託事務である水産資源保護法に基づく沖縄県漁業調整規則における岩礁破砕等許可手続に関して、沖縄防衛局が沖縄県を無視して水産庁に見解を求め、水産庁もこれに答えることは、法定受託事務の制度の趣旨を損なう行為であると思われますが、長官の答弁を求めます。

○佐藤(一)政府参考人 私どもといたしましても、これまでにも、今先生がお話ございました防衛局以外の、国等による事業者の立場からの漁業法等の解釈に関する問い合わせに対しまして、必要な解釈を示してきているところでございます。

○仲里委員 
政府は、これまでの岩礁破砕等許可申請や行政不服審査請求を行う沖縄防衛局は一般私人であると主張してきたわけでありますけれども、一般私人が岩礁破砕等許可の権限を有する沖縄県の見解に異議を唱え、上級庁の水産庁にいきなり見解を求めることは本来あり得ないし、行われたとしても、水産庁は、まず一般私人が沖縄県に申請をし、その後、県が不許可等の行政処分を行った場合に、その一般私人が、それを不服であるならば、水産庁に対してしかるべき法手続を踏むよう一般私人に指導すべきであり、水産庁がいきなり県の考えは誤りだとすべきものではないと思われますが、長官の答弁を求めます。

○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
 今先生の方から御指摘ございました沖縄県の漁業調整規則でございますが、この規則につきましては、漁業法そして水産資源保護法の規定に基づきまして、法定受託事務として農林水産大臣の認可を受けて制定されたものでございます。
 このため、沖縄県が沖縄県漁業調整規則に基づき事務処理をするに当たりましては、漁業法及び水産資源保護法を所管する農林水産省が示す解釈の範囲内で行われる必要がある、このように考えているところでございます。

○仲里委員 
次は、漁業権は、水面の総合利用の観点から、漁業生産力の発展と漁業の民主化を図るという漁業調整の一手段としての範囲で認められた公的性格を持った権利であります。
 そのため、知事が漁業権を免許する場合には、漁場計画の樹立や漁業調整委員会への諮問、同委員会による公聴会の開催、知事への答申、公示、申請受け付け、適格性や優先順位等の審査、関係機関、法令との調整等、極めて厳密、厳格な手順と手続が漁業法で定められております。
 また、漁場計画や免許内容の変更を行う場合にも同様な手続を経る必要があるとされており、判例や政府見解もそのようになっております。
 したがって、漁業権の免許を受けた者がその権利の一部の行使を放棄することを議決したとしても、それはあくまでも当事者間の私的な合意であって、漁業権の免許に至るまでの手続を再度踏まない限り、公的、法的に認められたものとはなり得ません。だからこそ、水産庁のこれまでの技術的な助言や政府の答弁では、漁業権の一部の放棄が決議されたとしても、そのことにより漁業権が当然に変更されるものではないとしてきたのではないでしょうか。
 さらに敷衍いたしますと、同様な考え方は、農地法において、農地の売買や賃貸借の権利移動は農業委員会の許可を受けなければならないとされ、実際に農業委員会の許可を受けないで行われた売買の効力が生じないこととされていることに端的に示されているのではないでしょうか。
 なお、沖縄県は四月以降、沖縄防衛局が無許可で岩礁破砕を行い続けるのであれば、刑事告発をすることも視野に入れているとのことでありますし、農地法との関係もありますので、農水大臣及び水産庁長官の答弁を求めます。

○山本(有)国務大臣 
御指摘の農地の所有権の移転につきまして、農地法上、農業委員会の許可を受けないとその効力を生じないということは、そのとおりでございます。農地法三条に「その効力を生じない。」というように明記もされております。
 しかし、漁業権の放棄につきましてでございますが、これは漁業法上、知事の許可や同意は必要とされていないわけでございまして、漁業権は、漁業法二十三条、ここにおきまして、物権とみなすというように規定されております。漁業権の放棄につきましては、行政庁の免許等を受けなくても、他の物権の放棄と同様に、権利者の放棄の意思表示で消滅するものとなっております。
 以上です。

○佐藤(一)政府参考人 ただいま大臣が御答弁申し上げたとおりでございます。



国(水産庁)の見解は、漁業権放棄は知事の認可は必要ない、ということだな、やはり。ここは、沖縄県が法定受託事務の側であり、上級庁見解が放棄は知事の許可を要しない、ということであると、これを覆すのは、容易ではない。なので、争うのは、あまり得策ではないだろう。


ただ、新たな特別決議の同意文書、加えて漁業権行使規則・入漁権行使規則等の変更の知事認可がないと、事実上は漁業権が残存したままとなっているので、25年9月免許の共同5号の特区72号、区域は生きているだろう。

そこを突くべきかと。

条例違反で、刑事責任を追及できるようになるだろう。


追加(5日)

参考:


>https://blog.goo.ne.jp/hamagikukai/e/938a35ebf7d7cc04880859196e762652

>https://blog.goo.ne.jp/hamagikukai/e/5d47ca63aabe2d1d39587086ed2d794f

>https://blog.goo.ne.jp/hamagikukai/e/4fc3353aab4092c6068285a47fc48542

>https://blog.goo.ne.jp/hamagikukai/e/f20cf62f6d76cd475f5ec83009b91a4e

>https://blog.goo.ne.jp/hamagikukai/e/71cf9d0f5f67b0dede62255912f1974a



日本国政府による辺野古埋立という犯罪

2018年07月29日 17時52分02秒 | 法関係
今年に入ってからも辺野古沖の裁判が行われていたようで、あまり詳しい内容を見ていなかった。申し訳ない。元々、差止め訴訟では太刀打ちできないだろうと思っていたので。

>http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/henoko/documents/01honanhanketsu.pdf

ある意味、予想通りの敗訴かと思うが、国の主張にいくら穴があろうとも、裁判所が味方に付いている限り、日本の司法制度ではまともな判決を期待するのは厳しいだろう。

だが、この裁判のお陰で、また国の大問題を見出したような気がするので、書いておきたい。国の犯罪行為を、何としても断罪する必要があるのだ。

参考>http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/henoko/


A) 岩礁破砕許可に関して

(1)国は、岩礁破砕許可が必要であると認識してきた

これは当初の申請が2014年8月28~17年3月31日までの許可期間であったことも考えれば、手続的には「知事の許可が必要」であると知っていた、ということだ。

農水大臣の出した岩礁破砕許可に関する知事権限の停止措置=(取消)処分の執行停止決定の時にも、許可申請が必要であると認識の下、決定を出していた。執行停止決定は15年3月30日である。

>http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b189322.htm

普天間飛行場代替施設建設事業における岩礁破砕等の許可に関し、平成二十七年三月二十三日付けで沖縄県知事が当該事業の事業者である沖縄防衛局に対して行った「県の調査が終了し、改めて指示をするまでの間、当該許可区域を含め、当該工事に係る海底面の現状を変更する行為の全てを停止すること」を求める指示(以下「本件指示」という。)については、この考え方に基づき、同月二十四日付けで同法による審査請求(以下「本件審査請求」という。)及び執行停止の申立て(以下「本件執行停止申立て」という。)が同局からなされ、「合法的に取得した岩礁破砕等の許可の効力を期限を限ることなく実質的に停止させ、岩礁破砕等を行おうとする者の権利義務を変動させるものであることから、本件停止指示処分は、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)に規定される処分に該当することは明らかである」等の主張がなされた。

農林水産大臣は、同法の規定に基づき、本件執行停止申立てについて同局の申立人としての適格を認めるとともに、「本件指示が任意で工事の停止を求めるものということはできず、審査請求人に対し、普天間飛行場代替施設建設事業に係る海底面の現状を変更する行為の全てを停止することを義務付けるもの」などとして本件指示の処分性等も認め、同月三十日付けで、本件審査請求に係る裁決があるまでの間、本件指示の効力を停止する旨の決定(以下「本件決定」という。)を行ったところであるが、本件審査請求については、現在、農林水産省において審査中であることから、これに関するお尋ねについては答弁を差し控えたい。


==========


この審査請求に対する回答はないままだった。最高裁判決時点でも、裁決は出されていない。宙ぶらりんのまんま(笑)。場当たり的にやりっ放し。

国は『合法的に取得した岩礁破砕等の許可の効力を期限を限ることなく実質的に停止』と主張しているので、知事による許可という合法的取得を認識していたことは間違いない。大臣が裁決を出さないことは、国の明らかな落ち度だ。執行停止決定により知事権限だけは制限をしておき、許可期間の時間切れを待っていただけなのだから。審査庁の義務を放棄したに等しい。

防衛省が審査請求と執行停止を取り下げたとしても、農水大臣が執行停止決定を取り消さない限り、沖縄県知事は権限行使を封じられたままだった。
もし、執行停止決定を農水大臣が取り下げたのであれば、防衛省は知事の「指示に背いて」工事を続行したことになる。
執行停止決定が生きていた(農水大臣からの決定取消文書の通知がない)のであれば、国は埋立承認の取消処分だけを違法確認訴訟で攻撃しただけであり、係争委の審査期間も最高裁判決時点でも、裁決を放棄した上で、是正指示のみを出していたということだ。係争委は協議するよう結果に書いたのに、国は完全に無視したのだ。


(2)国は、岩礁破砕許可の取消で、工事が停止する(=違法行為)と認識

15年3月の執行停止決定当時、国は、

・岩礁破砕許可がないと工事ができない(=違法となる)
・現に岩礁破砕を実行(=行為がなければ直ちに停止する必要がない)

と自覚していた、ということだ。

国の言い分は、「合法的に岩礁破砕許可を取得」し、「工事には岩礁破砕は必然で、今も破砕してる」(=なので、許可がないと工事できない、と思っている)のに、取り消されたら困るので、大臣権限により緊急だから「執行停止」を決定したのだ。今、破砕してなくて、これから将来に破砕する気です、ということなら、直ちに執行停止する理由にはならない(緊急性の要件を満たさない)のである。


執行停止決定書(平成26年3月30日 26水管第2801号  林芳正 農林水産大臣)には、


国が事業者である場合も沖縄県知事の許可が必要であることは、私人が事業者である場合と変わりない

普天間飛行場代替施設建設事業が大幅に遅れることとなるため、普天間飛行場周辺住民に対する危険性や騒音の継続による損害、日米両国間の信頼関係への悪影響による外交・防衛上の損害等といった回復困難で重大な障害が生じ、当該損害を避ける緊急性がある』(との審査請求人の申立ては相当である)

との記載があった。これは全て「国の主張」である。


(3)岩礁破砕許可の根拠法

直接的には、条例である。

沖縄県漁業調整規則

○第39条
 
漁業権の設定されている漁場内において岩礁を破砕し、又は土砂若しくは岩石を採取しようとする者は、知事の許可を受けなければならない。

2 前項の規定により許可を受けようとする者は、第9号様式による申請書に、当該漁場に係る漁業権を有する者の同意書を添え、知事に提出しなければならない。

3 知事は、第1項の規定により許可するに当たり、制限又は条件をつけることがある。


本条例の制定根拠は、主に漁業法65条と水産資源保護法4条など、である。

後で詳述するが、国と沖縄県の裁判では、国側主張が「漁業権を放棄した区域なので関係ない」的なことを言うが、行政の主張とは到底思えないものだ。

水産資源の保護は、現在の漁業の考慮に留まらず、将来にわたる資源の保護培養をも考えるべきことであり、連接する水面であるのだから、水産資源保護法に従い、知事の管理権限に服する、というのが常識的であろう。知事の許可は不要、などという主張は、目先の自己利益しか考えぬ愚か者と見える。水質は、海面に線を引いてきっかり区分できるものでもなかろうに。


水産資源保護法 
○第四条 

農林水産大臣又は都道府県知事は、水産資源の保護培養のために必要があると認めるときは、特定の種類の水産動植物であつて農林水産省令若しくは規則で定めるものの採捕を目的として営む漁業若しくは特定の漁業の方法であつて農林水産省令若しくは規則で定めるものにより営む漁業(水産動植物の採捕に係るものに限る。)を禁止し、又はこれらの漁業について、農林水産省令若しくは規則で定めるところにより、農林水産大臣若しくは都道府県知事の許可を受けなければならないこととすることができる。

2 農林水産大臣又は都道府県知事は、水産資源の保護培養のために必要があると認めるときは、次に掲げる事項に関して、農林水産省令又は規則を定めることができる。

一 水産動植物の採捕に関する制限又は禁止(前項の規定により漁業を営むことを禁止すること及び農林水産大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならないこととすることを除く。)

二 水産動植物の販売又は所持に関する制限又は禁止

三 漁具又は漁船に関する制限又は禁止

四 水産動植物に有害な物の遺棄又は漏せヽ つヽその他水産動植物に有害な水質の汚濁に関する制限又は禁止

五 水産動植物の保護培養に必要な物の採取又は除去に関する制限又は禁止

六 水産動植物の移植に関する制限又は禁止



B) 漁業権に関して

(1)名護漁協の漁業権放棄について

那覇地裁の判決文によれば、名護漁協は第1種及び第2種共同漁業権を知事から免許されている漁業協同組合である(埋立区域含む海域)。
最高裁判決が出される少し前の16年11月28日に、埋立区域の漁業権の消滅(放棄)に同意する特別議決を行った。それ以前は、当該海域の漁業権は放棄されていなかった、ということになる。
仲井真前知事のした(14年12月の)埋立承認の際にも、当該海域における漁業権は残存していた、ということを意味する。恐らく、防衛局は同意申請書等の形式的な文書は出していたかと思うが、特別決議の前までは権利関係で言えば「当該海域の漁業権はあった」と考えられる。

参考までに、こちらの地裁判決
>http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/236/018236_hanrei.pdf

少々古いが、埋立免許の取消理由として、漁業権の残存を指摘されているものだ。最高裁では、原告適格により敗訴したと思うが、それは「漁業権がある」と主張した原告は、名護漁協のような免許を受けた立場ではなかったから、と見られる。


(2)名護漁協の特別決議を沖縄県知事はどう捉えるか

国との裁判で、県側の主張は分からないではないが、差止め訴訟ってことや岩礁破砕許可の権限側と漁業権者との関係性などが、訴訟の建て付けには向いてないというのが、拙ブログの受け止め方である。
漁業権を有する民間人が、国を相手に裁判で争う、というわけではないので、裁判上での話の切り分けがうまくいかない。国や裁判所は、ひたすら「差止め訴訟」とか「原告適格」などという、昔からよくある「敗訴させる手口」を問題にしてくる。訴訟の技術論的というか、テクニック的な部分を問題にされると、重要な点がボカされてしまうのだ。


単純化して言うなら、「漁業権」の全部又は一部放棄は、恐らく条文上の取り扱いとしては自由って主張されるだろうし、これを争う意味はない。国などが言うように「漁業権の放棄に知事の許可は必要ない」というのは、そこだけ見れば正しい。
それは、敢えて「漁業権の放棄」と焦点化しているから、だ。

沖縄県と知事は、国が言うように「刑事罰を与えること」が権限なのだから、民事訴訟とかではなく、刑事告訴で対抗したらよいのだよ。


(3)名護漁協の放棄はどういう手続になるのか

防衛局が言うのは「水産業協同組合法」の特別決議、らしい。

水産業協同組合法
○第五十条 

次の事項は、総組合員(准組合員を除く。)の半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあつては、その割合)以上が出席し、その議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあつては、その割合)以上の多数による議決を必要とする。
一 定款の変更
二 組合の解散又は合併
三 組合員の除名
三の二 事業の全部の譲渡、信用事業、第十一条第一項第五号若しくは第七号の事業(これに附帯する事業を含む。)若しくは共済事業の全部の譲渡又は共済契約の全部の移転
四 漁業権又はこれに関する物権の設定、得喪又は変更
五 漁業権行使規則又は入漁権行使規則の制定、変更及び廃止
六 第三十九条の六第四項の規定による責任の免除


過半数以上の出席で、3分の2以上の賛成があればいいよ、ということらしい。

だが、本当にこれだけか?
漁業法22条等の「漁業権の放棄」から離れて、もう少し見てみよう。重要条文は8条である。非常に長くて読み辛いが、ご勘弁を。


漁業法
○第八条
 
漁業協同組合の組合員(漁業者又は漁業従事者であるものに限る。)であつて、当該漁業協同組合又は当該漁業協同組合を会員とする漁業協同組合連合会がその有する各特定区画漁業権若しくは共同漁業権又は入漁権ごとに制定する漁業権行使規則又は入漁権行使規則で規定する資格に該当する者は、当該漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の有する当該特定区画漁業権若しくは共同漁業権又は入漁権の範囲内において漁業を営む権利を有する。

2 前項の漁業権行使規則又は入漁権行使規則(以下単に「漁業権行使規則」又は「入漁権行使規則」という。)には、同項の規定による漁業を営む権利を有する者の資格に関する事項のほか、当該漁業権又は入漁権の内容たる漁業につき、漁業を営むべき区域及び期間、漁業の方法その他当該漁業を営む権利を有する者が当該漁業を営む場合において遵守すべき事項を規定するものとする。

3 漁業協同組合又は漁業協同組合連合会は、その有する特定区画漁業権又は第一種共同漁業を内容とする共同漁業権について漁業権行使規則を定めようとするときは、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)の規定による総会(総会の部会及び総代会を含む。)の議決前に、その組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員。以下同じ。)のうち、当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者(第十四条第六項の規定により適格性を有するものとして設定を受けた特定区画漁業権及び第一種共同漁業を内容とする共同漁業権については、当該漁業権に係る漁場の区域が内水面(第八十四条第一項の規定により農林水産大臣が指定する湖沼を除く。第二十一条第一項を除き、以下同じ。)以外の水面である場合にあつては沿岸漁業(総トン数二十トン以上の動力漁船を使用して行う漁業及び内水面における漁業を除いた漁業をいう。以下同じ。)を営む者、河川以外の内水面である場合にあつては当該内水面において漁業を営む者、河川である場合にあつては当該河川において水産動植物の採捕又は養殖をする者)であつて、当該漁業権に係る第十一条に規定する地元地区(共同漁業権については、同条に規定する関係地区)の区域内に住所を有するものの三分の二以上の書面による同意を得なければならない。

4 前項の場合において、水産業協同組合法第二十一条第三項(同法第八十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定により電磁的方法(同法第十一条の二第四項に規定する電磁的方法をいう。)により議決権を行うことが定款で定められているときは、当該書面による同意に代えて、当該漁業権行使規則についての同意を当該電磁的方法により得ることができる。この場合において、当該漁業協同組合又は漁業協同組合連合会は、当該書面による同意を得たものとみなす。

5 前項前段の電磁的方法(水産業協同組合法第十一条の二第五項の農林水産省令で定める方法を除く。)により得られた当該漁業権行使規則についての同意は、漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該漁業協同組合又は漁業協同組合連合会に到達したものとみなす。

6 漁業権行使規則又は入漁権行使規則は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。

7 第三項から第五項までの規定は特定区画漁業権又は第一種共同漁業を内容とする共同漁業権に係る漁業権行使規則の変更又は廃止について、前項の規定は漁業権行使規則又は入漁権行使規則の変更又は廃止について準用する。この場合において、第三項中「当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者」とあるのは、「当該漁業権の内容たる漁業を営む者」と読み替えるものとする。



第2項の『漁業権又は入漁権の内容たる漁業につき、漁業を営むべき区域及び期間、漁業の方法その他当該漁業を営む権利を有する者が当該漁業を営む場合において遵守すべき事項』が、本件名護漁協の特別決議の内容を言うものではないか、ということである。
元の漁場の漁業権と、特別決議後の漁業権での決定的な違いは、当該海域を「漁業の区域」に含むか否か、であり、漁業権の分割変更か放棄かを争点とすることなく、「漁業権の内容」により「漁業権行使規則の変更」として取り扱うものである。


第1項から、漁業権を有し漁業を営むことができる者は、漁業権行使規則で資格を認定された者である。
3項により、漁協の決議前に、地元地区居住の漁業権のある漁業者の3分の2以上の「書面の同意」か電子的ファイルによる同意(4、5項)が必要となる。

本件の名護漁協の場合で見れば、7項から

・第一種共同漁業権に係る漁業権行使規則の変更(3~5項の適用)
・漁業権行使規則又は入漁権規則の変更(6項適用)

と考えられるだろう。

6項とは、『漁業権行使規則又は入漁権行使規則は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない』とする規定なので、知事の認可がない限り「漁業権が放棄された、当該区域に漁業権は存在しない」などという主張は、通用しないということだ。


通例に従い、漁業権行使規則又は入漁権行使規則の認可申請を漁協が実施し、その認可が出た後であれば漁協の決議の効力は認められよう。同時に、認可申請にあたり、地元漁民の3分の2以上の同意を得たとする書面または電子的同意書が提示されなければならない。
(よもや、これから文書偽造なり捏造でも始めようって魂胆ではあるまい?)

これが議決前に集まってなければ、特別決議は無効である。


(4)漁業調整規則の違反に対してどうするか

国は、刑事罰で対抗せよ、と主張するのだから、刑事告発するべきだ。工事続行により、17年4月以降に岩礁破砕は実行された。現実に破砕してないなら、知事に認可申請しても問題とはならないからだ。

沖縄防衛局長と、現場で工事を実行している者たちは、条例違反容疑で逮捕起訴される可能性がある(規則52条1項)。

ここで前記A)に戻るわけですよ。
国は、埋立工事続行の為には、岩礁破砕許可が必要であり、これが取り消されると工事が停止してしまい、甚大な被害を蒙る、だから、緊急性と重大性があるので「執行停止を決定」したんだ、と。


破砕許可がないと、工事が違法行為になることを、十分に自覚しているからなのだよ。何なら、被疑者不詳でもいいので、工事現場の連中を海保に連行してもらえ。国が違法工事をやる際には、何らの法的根拠もないくせに、一般国民の身柄拘束を強制的に実施したわけで、今度は身内を連行してもらえ。


C) 最高裁判決の重大な瑕疵

さて、最高裁判決によれば、違法確認訴訟において「前知事のした承認は瑕疵がなかった」、故に翁長知事のした承認取消処分は違法、との認定だったわけである。

ところが、だ。
名護漁協の漁業権問題はどうなったのか?
国の主張によれば、16年11月28日の特別決議でもって当該区域の漁業権放棄が同意された、ということだ。前知事の埋立承認はそれより以前だが?


公有水面埋立法を再度確認しよう。


○第四条 3項 

都道府県知事ハ埋立ニ関スル工事ノ施行区域内ニ於ケル公有水面ニ関シ権利ヲ有スル者アルトキハ第一項ノ規定ニ依ルノ外左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ非ザレバ埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ス

一 其ノ公有水面ニ関シ権利ヲ有スル者埋立ニ同意シタルトキ
二 其ノ埋立ニ因リテ生スル利益ノ程度カ損害ノ程度ヲ著シク超過スルトキ
三 其ノ埋立カ法令ニ依リ土地ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得ル事業ノ為必要ナルトキ



○第五条 

前条第三項ニ於テ公有水面ニ関シ権利ヲ有スル者ト称スルハ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ヲ謂フ

一 法令ニ依リ公有水面占用ノ許可ヲ受ケタル者
二 漁業権者又ハ入漁権者

(以下略)



さて、5条の2号で言う「漁業権者」の同意(4条3項1号)は、どうなっていたのか?
当該海域の漁業権を有する名護漁協は、16年11月の特別決議以前には漁業権を放棄していなかったことは明らか。国自身が裁判でそう言っている。埋立が実行されると、当該海域の漁業権は将来にわたり消滅してしまうし、その不利益を蒙ることは明らかだ。漁業権の放棄に同意するということは、埋立の不利益(=漁業権の消滅)を経済的に相応の埋め合わせをしてもらうことで我慢する、というようなものだ。


そうすると、14年12月時点での前知事のした埋立承認の処分には、瑕疵があったと言える。公水法4条3項1号の要件を満たさぬまま承認してしまった、ということだ。最高裁の裁判官は、このことを見落としており、十分精査することもなく「瑕疵がない」と安易に断言したも同然だ。


更に、あたかも漁業権者の同意が得られているようなふりをして、国はその事実を隠したまま承認申請しただけでなく、これまでの裁判等沖縄県とのやりとりを経てきたわけで、詐欺的行為に匹敵する。沖縄県を騙してきたに等しいのだよ。

かてて加えて、岩礁破砕許可が必要であることを知りながら、許可申請が不要との独自論を展開し、勝手に工事を続行してきた違法があり、言語道断である。行政がとるべき態度ではない。違法を認識したまま、漁業権は放棄され存在しない、などという、ありもしない論拠だけで違法に許可申請をせず岩礁破砕行為を行ってきたことは明白である。

よって、埋立承認を取り消すに十分すぎる理由があるが、取消処分は最高裁に一度阻止されてしまっているので、撤回事由とするよりない。承認後に発覚した事実であるので、撤回でよいと思う。

参考までに、公水法の取消事由を見れば

○32条

一 埋立ニ関スル法令ノ規定又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキ
二 埋立ニ関スル法令ニ依ル免許其ノ他ノ処分ノ条件ニ違反シタルトキ
三 詐欺ノ手段ヲ以テ埋立ニ関スル法令ニ依ル免許其ノ他ノ処分ヲ受ケタルトキ
四 埋立ニ関スル工事施行ノ方法公害ヲ生スルノ虞アルトキ

(以下略)

となっているので、国のやったことは、各号いずれかに該当するだろう。
埋立承認の撤回になっても、それは自業自得であり、当然の報いだろう、ということだ。



辺野古沖埋立承認の撤回について

2018年07月28日 17時52分58秒 | 法関係
翁長沖縄県知事が埋立工事の停止に向けて、撤回の表明を準備との報道があった。が、何故これほどの時間を要したのか、知事周辺の幹部や法曹諸君の適切な助言もなかったのはどうしてなのか、残念に思う。

しかしながら、最後のチャンスに賭けようとしてくれることについては、感謝申し上げたい。今度こそは、国の鼻っ柱をへし折って欲しいものだ。そこは何としても応援したい。


ただ、現知事が誕生してから、時間だけが漫然と過ぎたことに憤りを感じざるを得ない。また最初の時点から、撤回を表明すべきと拙ブログでは書いてきたので、取消処分を出して敗北の道を選んだことについて、大きな後悔がある。

更には、国が仕掛けた詐欺同然の和解案にあれほど易々と同意してしまい、まんまと自ら罠にハマったことも、かえすがえす残念でならない。笑える程にあからさまな罠なのに、恐らくあれを受け入れるよう知事を唆した人たちがいたのかと思うと、内通者でもいるとしか思えなかった。


報道では、国が撤回の差止めか何かを裁判所に請求するから、工事は続行される、とかいうインチキ解説があったわけだが、国も裁判所もバカで結託しているなら、確実にそうなるわな。だって、法を完全無視できるので(笑)。


沖縄県の公開資料の一番ダメな部分は、国が沖縄県宛てに発出してきた文書を全く載せていない所だ。

そもそも国が県宛てに出した公文書なので、よほどの個人情報が記載されている部分でもない限りは、原則公開で何ら問題ないだろう。これを敢えてさせないようにしているのは、恐らく県庁側の内通者がいるせいだろう。一番肝心なのは、自分たちが主張したい点を大量に書いた文書、じゃない。
「国が出した文書」なんですよ。
以前からずっと言ってるが、15年3月頃から始まった行政不服審査法上の審査請求からの文書こそが、最も大事なんです。それが読めないことが、どれ程の不利になるのか分かっていないのでしょう。

国に公開請求をしても、多分、ほぼ開示拒否されるでしょうね。だって読ませたくないから。けれど、沖縄県にも同じ文書が存在しているので、沖縄県はこれを開示できるんですよ。どうして、それをやらないのかが理解できない。

恐らく、国から「代執行訴訟までの過程の文書類は公開するな」ということで、言われた通りにやってるだけだろう。
国に対抗する手段の大きなものは、情報をできるだけ広く公開すること、なんですよ。弱者が強者に対して取り得る、最も有効な戦法は、情報公開なんですよ。


○15年3月 岩礁破砕許可関連
・「執行停止決定」文書(農水大臣)A
・防衛局が農水省に出した審査請求の文書

○15年10月 埋立承認取消処分関連
国水政第48号~56号、和解後の取消関連文書(第100号前後?)が重要

・「執行停止決定」文書(国交大臣):国水政第 ?号B
・防衛局が国交省に出した審査請求の文書:
・国交大臣が法245条の八に基づき出した是正勧告文書:国水政 ?号
・同、是正指示文書:


○16年3月の代執行訴訟の和解後に出した
・国交大臣の出した「執行停止決定B」を取り消す文書:?
・国交大臣が法245条の七に基づき出した是正指示文書:国水政101、102号
・農水大臣の出した「執行停止決定A」を取り消す文書:?


国(防衛局)が審査請求を取り下げました、なので、審査請求と執行停止は自動的に消滅しました、などという論法は、多分ないと思うが、クズ官僚どもは相当バカなので、何かやらかしているかもしれず、もし「執行停止決定を取り消す文書」が沖縄県側に来てない場合には、国の違法確認訴訟の存在そのものが異常(違法に決まってる、論外w)なので、知事権限が停止されたまま復活されていなければ、不作為などありようがないはず。


仮に「執行停止決定の取消文書」があるとして、
国土交通大臣は、

ア)回復不可能な損害(重大性)と緊急性、公益を理由に執行停止を決定した

のに、これを「取り消した」のは確実。
つまり、『ア)は偽』ということである。もしも国が当初から言っていたように、『ア)が真』ならば、国交大臣はこれを取り消すことができないはずだから、である。国は、沖縄県に対して嘘を言った、ということだ。


行政の処分に関して、審査庁はその権限により職権で「執行停止」ができるんですよ。何故なら、例えば処分庁が誤って処分を実行してしまい、その結果が重大な損害を招くなら、審査庁たる上級庁がその処分の効力を停止する、という安全装置的な役割を担うのは当然だから、だ。


ネット上もよくいるし、調子のいいテレビ評論家なんかだと、いつもその場しのぎの都合のいいことしか言わないから全然気にならないだろうが、首尾一貫性の欠如した国、行政の杜撰さゆえに、毎度コロコロと言うことを変えるってことだな。

さて、石井国交大臣がやってきたこと、というのは、埋立工事続行の為に

①:知事の取消処分の執行停止
②:「取消処分を取り消せ」と指示
③:①の停止を取り消し(=①の嘘を認めた)
④:②の指示を取り消し(=代執行手続きを全部放棄)
⑤:やっぱ「取消処分を取り消せ」と指示(=係争委審査後の別な指示)
⑥:知事の「撤回を停止する」つもり←今ココ


要するに、ただの詭弁士だろ(笑)。毎度毎度、コロコロと言い分を変えてくる、インチキペテン師野郎みたいなもんだ。
緊急性と重大性の要件を否定できないと、大臣が出した「執行停止決定」を取り下げることなど不可能なんだよ。つまり、知事権限(撤回)の「差止め」などあり得ないってことだ。


③と④の取り消した時点で、国交大臣自らが、大臣権限を「全部なかったことにする」って訴訟相手の被告である沖縄県知事に向かって「宣言(=訴訟上の和解)」したんだぞ?


旦那「離婚を取り消せ!」
奥さん「いやだね」
旦那「分かった、じゃあ和解しよう、互いに話し合おう」
奥さん「条件を話し合うなら、和解してもいいよ」
旦那「まんまと引っ掛かったな、離婚を取り消せ」
奥さん「ハア!?」


こうやって騙された奥さんみたいなのが、沖縄県の立場ってことだわ。和解に同意した途端に、騙されたってわけ。違法確認訴訟の顛末は、こういうことなのだが、これをひた隠す国のクズども。
法務省の無能官僚どもが束になってやったのが、代執行訴訟だったってわけ。これに加担したのが、最高裁以下、高等裁判所ってことだ。バカとクズが徒党を組むとこうなる、の図。

法も何も無視して、滅茶苦茶をやった側(国)が、圧倒的権力でもって、いかようにも勝てるって寸法なんだよ。バカほど有利。


撤回は、

・当該埋立予定の海を完全排他的に利用できる法的根拠は、米軍にはない
・国民の当該海洋区域を利用できる権利は、日米安保条約と日米地位協定を根拠に制限できない(国内法がない)

この2点は、福岡高裁那覇支部及び最高裁の判決確定で明らかとなったので、これを理由にしてよい。



合衆国海兵隊に告ぐ。

SACOに基づき、5~7年を目途に普天間基地を返還しておれば、辺野古沖の埋立工事も基地建設も必要がないものを、愚連隊のごとき寄生虫が居座り続けるせいで、大勢の日本国民が、特に沖縄県民が苦しむんだ。

基地建設の理由は、日米地位協定だけであり、辺野古の当該地に新基地を作る根拠は国会が決めたものなど、何一つないんだぞ。諸悪の根源は、海兵隊なんだよ。


何が、自由の海、だ。
米軍に、「航行の自由」などと言う資格なぞ、ないわ。世界最低の、単なる虐殺組織だろうに。
カネの為なら、どんな卑怯で汚い暴力も厭わない、無防備な群衆に平然とミサイルを叩きこみ、無人機攻撃をいくらでもぶっ込める、真の狂暴マシンだろ。

お前らが、人々の自由を奪っているんだ。日本国民の自由や権利を、暴力でもって蹂躙しているんだ。その下請けを、アベにやらせているんだよ。

アベは、米軍の代わりに、日本国民をいたぶり、暴力と恐怖で支配しているんだ。辺野古沖の違法な身柄拘束をやってるのを見て見ぬふりして、それのどこが「法の支配」なんだ。恥を知れ。

マフィアやギャング以下の存在、それがアベ傀儡軍事政権の正体なんだよ。アベの類友が、お前ら愚連隊ども、軍事組織だの情報機関だのといった国家組織の複合的関与、だろうに。


お前らは、アベと同類だ。
まさに、「アベのトモダチ」なんだよ。クズ同士がつるむんだ。


法を無視する、規範を破壊する、常に嘘をつく、他人を騙す、情報支配で大衆を騙し支配する、暴力と恐怖支配が大好きで大得意、人殺しが大好きで止められない、他人からカツアゲでカネを巻き上げる、騙してふんだくる、いつでもどこでもやりたい放題。


それが、アベと米軍の共通点。
困ったら、いつもの「ちゃぶ台返し」。


何万人もの日本人が死んだんだ。
ヤツらのせいで。


この耐え難い苦しみは、虐殺側には理解できないのだよ。ヤツらは殺すことが好きだし、仕事だから、だ。


神は、ヤツらに罰など与えないんだよ。
だって、神はどこにもいないから、だ。
虐殺者どもを野放しにしておくことに、どんな意義があるというのだ?


本物の悪党どもは、永遠に栄華を貪るのさ。
真の暴力こそが、勝利できるんだ。


いつの世だって、同じさ。

ヒトラーが支配していた世界とて、同じようなもんだ。

普通の人々には、どうすることもできないんだよ。

所詮、大衆は大衆でしかない。狂気が法をねじ伏せる、それが世の中の仕組みなのさ。



財務省理財局文書改竄事件に見る恣意的検察の狂気

2018年04月13日 11時45分07秒 | 法関係
時代劇を地で行くアベ政権。
ならず者のバックにはお代官様がついており、何をやっても捕縛されないので何をやっても大丈夫。お代官様の後ろには、もっと偉いご城代とか殿様がついているから、代官も決して罰を受けたりはしない、ということだ。

一味が結託している限り、斯様な者どもを懲らしめることができないのである。もっと上位の権力が必要なのだ。水戸黄門のような。けれど、現実世界には、そのような存在がないので、誰にもどうすることもできないのである。
本来ならば、国会、ひいては国民にその権限が備わっているはずなのに。


さて、佐川元理財局長をどうにか不起訴に持ち込もうという政権側の意図が反映されている。何もなかったことにしよう、ということだ。検察を支配できる権力があるから、ということだな。法を曲げるのはアベ政権にとって「簡単」なのだ。これまでにも、幾度となくやってきたことだから、である。


>https://mainichi.jp/articles/20180413/k00/00m/040/151000c

国有地が不当に約8億円値引きされたとし、佐川氏以外の同省職員らが告発された背任容疑についても、特捜部は違法性があったとまではいえないと判断しているとみられ、立件は難しい状況だという。
 決裁文書は昨年2~4月、学園側との交渉記録に加え、安倍晋三首相の妻昭恵氏や複数の政治家の名前が決裁後に削除されるなどした。当時、同省理財局長だった佐川氏が「学園と価格交渉していない」などと国会で答弁した内容に合わせるため、改ざんされたとみられる。
 虚偽公文書作成罪は、権限を持つ者が文書の趣旨を大幅に変えることが成立要件となるが、改ざんが明らかになった14の決裁文書では、契約の方法や金額など根幹部分の変更はなく、特捜部は交渉経緯などが削除されるなどしても、文書の本質は変わらないと判断したとみられる。


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もうお分かりだろう。佐川は「訴追の虞があるので」答弁拒否、終わってしまえば「不起訴」で誤魔化せば、誰も何一つしゃべらずに済む、明らかにすることなく隠蔽できる、ということだ。

これは、アベ官邸と検察が一致協力して、国民を馬鹿にしているということなんだよ。国民を騙すことなど造作もない、と宣言したに等しいのだ。

それに、検察は常に「恣意的に捜査」できるということを、公然と宣言することになるんだぞ。甘利大臣と秘書の事件だって同じだったろう?

堕落した司法は、何だってできるんだぞ。


>https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG30H2T_Q6A131C1CC0000/

JR北海道で2013年に起きた貨物列車脱線事故を巡るレール検査数値改ざん事件で、国土交通省などに虚偽の報告をしたとして鉄道事業法違反などの罪に問われた法人としてのJR北海道と、本社工務部幹部の3人の初公判が30日、札幌簡裁(結城真一郎裁判官)で開かれた。法人の代表として島田修社長が出廷、現場の保線部門による改ざんは認めたが、本社側の関与は否定した。
 一方、3人はいずれも起訴内容を否認し無罪を主張した。
 3人は、工務部副部長の奥芝義人被告(54)と、いずれも保線課の小沢広一被告(52)、橋場孝幸被告(56)。
 検察側は冒頭陳述で、レールの異常を長期間放置していたことが発覚するのを恐れた本社側が「直した記憶がある人はいないのか」と現場の担当者に尋ね、担当者はそれを改ざんの指示と受け止めたと指摘。「奥芝被告ら3人は現場から上がってきた検査数値が改ざんされていると認識しながら、国交省などに提出した」と述べた。
 起訴状などによると、脱線事故は13年9月19日、北海道七飯町の函館線大沼駅構内で発生。奥芝被告らは事故後、ずさんな保線業務で異常を放置していたことを隠すため、現場の保線部門と共謀し、国交省や運輸安全委員会にレールのずれの数値を小さく書き換えた虚偽の検査結果を提出したとしている。
 有罪の場合、JR北海道が230万円以下、3被告が130万円以下の罰金刑に問われる可能性がある。
 検査数値改ざんを巡っては、同社OBを含む現場の保線担当者14人が鉄道事業法違反罪などで略式起訴され、罰金30万~20万円とした函館簡裁の略式命令が確定した。〔共同〕


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JR北海道は数値改竄で大量に起訴されたし、実際に改竄をしたわけでもなく明確な指示もしてなかったと見られる本社は、その関与を否定してても検察は起訴できるのだよ。
これが起訴できるのに、何故理財局は起訴できないのか?

まさしく、恣意的捜査の賜物だということ。日本の司法は、根底から腐り切っているんだ、ということなのだ。

先の毎日新聞記事からすると、「結論が同じなんだから事後的に改竄してもいいんだ」というに等しい。
喩えて言えば「無罪判決」が出た後に、判決文を探してみると、判決を出した日に書いてあったことと、1年後に書いてあることが「別の中身」にすり替わっている、というようなものだ。

まあ、腐敗した日本の検察や裁判所の連中にとっては、それでも「問題ない」って言い張るに違いないのだろうけど。「無罪の判決で変わらない」とか「論証や採用した証拠は変更したけど裁判官にも事情があったから、それでいいんだ」ってな具合ですかね。判決を出した後になって判決文を改竄しても、それは何らの罪にも問われないってのを正当化するのが、日本の検察ってことですね。


狂ってる。


本題に入ろう。
文書改竄事件で立件可能と考えるのは、公用文書等毀棄である。


○第258条

公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。


過去の判例だと、「しわくちゃにして丸めて床上に投げ棄てた」行為でも有罪だ。

>http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/342/051342_hanrei.pdf


理財局の改竄では電磁的記録を改変したのは明らかであるし、紙保存の決裁文書類を差し替えたのもほぼ確定的だろう。これが「毀棄」には当たらない、などという理屈は、どこからどう出てくるのか、ということである。それは、腐った検察は説明するはずもないので、「立証困難」って言えば何だって済ませることができる、と。


黒板に書いた文章でも、公文書毀棄で有罪の例

>http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/741/051741_hanrei.pdf

急告板に白墨で書いたものであるが、これでも公用文書と認定されており、その消去は有罪ということである。


中身の改竄についても、毀棄に該当し有罪という判例がある。


 昭和33(あ)1155 昭和33年9月5日 最判三小

>http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/586/050586_hanrei.pdf

公文書として完成していないというのであるが、未だ所定の署名捺印未了の状態においても刑法上その毀棄を処罰するに価する程度に達しているならば、刑法二五八条にいう公用文書というのを妨げない(昭和二九年(あ)二四二四号同三二年一月二九日第三小法廷決定集一一巻一号三二五頁)。従つてA委員会議事録が所定の署名者の署名押印未了の状態にあつても既に会長の押印を終り、一般の閲覧に供され、県にも報告された後は、会長或はA委員会委員においてこれを毀棄できないことは明らかである。
同第三点は無効の発言の除去は公文書の変造にならないというのであるが、右事項が本件のB工場跡の買収につきこれを宅地とするか耕地とするかを定める重要点であり、その除去により恰も現実にされた決議と異る事項が決議されたかのように記載することは公文書の無形偽造であるといわなければならない。



文書に押印後では、たとえ文書作成権限を有する場合であっても、「無形偽造」と判示されたものである。事後的に書き換える行為は毀棄罪に該当するのだよ。

理財局の文書は、決裁日はずっと以前であるし、保存義務期間内の文書類である。そして、決裁を受けたものとして取り扱われている以上、その後の改変は無形偽造と呼ぶべきであり、それは毀棄に当たると考えられよう。

当事者たる理財局は、決裁も売買取引も終了した後の17年2月~4月と、具体的に改竄時期を公表したのであるから、仮に文書作成権限者による改変であっても、当然に無形偽造の該当性について考慮すべきである。
意思決定過程に影響を及ぼしたであろう記述につき、事後的に改竄することなど到底許されるものではない(例えば、軟弱地盤に関する記述の正反対の偽造)。


起訴の妥当性ついて不確かな要素があるとしても、裁判の過程において検証されて然るべきところ、検察の恣意的権限行使により、そうした検証過程すらも隠蔽されるに等しい事態となっているのである。


インチキ司法の国、それが国民の前に明らかにされた事例が、本件、理財局の改竄事件なのだ。


彼奴らにとって、法とは、悪用する為に存在するのである。
むしろ、国民を騙し、欺き、黙らせる為に利用するのだ。逆らう者を排除する為の道具になっている、ということである。



公害電波の送りつけ商法、NHKを打倒せよ!

2017年12月07日 17時34分35秒 | 法関係
全国民を震撼させた、NHKを勝たせんが為の最高裁判決が出てしまい、合憲が確定してしまった。誠に残念である。

裁判所がNHKとネンゴロの関係にあるのは致し方なく、驚愕の合憲判決によりまたしてもNHKが増長することになるだろう。唯一の対抗手段は、法律を変えさせること、これだけである。国会議員たちに何としても働きかけて、立法措置で対抗するしかない、ということである。


その為の国民運動が必要となったのである。ここはひとつ、政治信条等は抜きにして、ただただ「NHKの暴虐を許すまじ」の一点のみで勢力を糾合すべきであろう。


だいたい、ニュースの報じられ方からして偏りがある。最高裁が上告棄却したのは、被告の男性だけではない。NHKも全く同様に「上告棄却」だったのだが、何故かNHK側の圧倒的大勝利のような報じられ方である。


>http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201712/CK2017120702000132.html

判決ではNHK側の主張を全面的に認め、これまでの全国の地裁や高裁で出された同様の訴訟の判決とほぼ同じ。被告の男性側は「放送法の規定は強制力のない努力義務。強制を認めているとすれば憲法の保障する『契約の自由』を侵害する」と主張したが、退けられた。
 一方、大法廷は、契約を拒む受信者との間に契約を成立させるには、NHKが契約を求める訴訟を起こし、勝訴判決の確定が必要との初判断も示した。裁判官十五人のうち十四人の多数意見。木内道祥(みちよし)裁判官は「確定判決で契約は成立しない」とする反対意見を述べ、合憲性には触れなかった。
 訴訟は、NHKが二〇一一年、受信契約を拒む東京都内の男性に契約の締結を求めて提訴。一、二審判決は契約と、テレビを設置した〇六年以降の受信料約二十万円の支払いを男性に命じた。最高裁は男性の上告を棄却し、二審判決が確定した。



少なくともNHKの主張は全面的には認められていない。それが証拠に棄却だったではないか。なのに、全面勝訴の印象操作みたいな真似をしているのはどういうことなのか。NHKの主張した点、例えば裁判を経ず(確定判決を得ず)とも契約成立だというのは完全否定され、木っ端微塵に粉砕されたではないか。報道なら、もっと慎重かつ事実に則して報じるべきだ。最低限、判決文を全文読んで、解説・解釈を顧問弁護士に確認するとか、そういう基本的なことをやってから、記事を出すべきではないのか。


で、残念判決はこちら。

>http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/281/087281_hanrei.pdf


公共放送なのだから、全国民が平等に受信契約をさせられ、受信料を払わねばならない、ってのが、最高裁のおふれってことらしい。災害時の放送などがあるから、とか、そういう屁理屈がつけられているが、バカバカしい。

Jアラートだって、メールやネット経由でいくらでも情報が流されるし、民放各社も災害情報等は緊急速報を出しているではないか。これがNHKでなければ、国民に周知できない・情報提供ができない、などという理由は存在しないだろう。まあいつもの、単なる「思いつきレベル」のこじつけである。最高裁の裁判官が「これは合理的だ」と宣言してしまえば、その説明や根拠に大した意味も説得力もなくとも、バカでも「合理的」と決めることができる絶対的権限を持っているから、というだけの理由だ。


どうして全国民から蛇蝎の如く忌み嫌われるのか、というと、そもそもNHKの集金人とか受信契約を強引に結ばせようとするロクでもない連中が、我が物顔で跋扈しており、奴らが何らの権限も持ってないくせに、何故か検察官と裁判官の兼任者のように「法律で決まっている、これは強制だ」みたいに大上段から契約を無理強いしていることにある。

何故、アベ政権の代弁者みたいになっている、新華社的ポジションにあるNHKの為に、全国民が犠牲を強いられねばならんのか。そこが根本問題なのだ。反吐が出そうになりながら、押し売りかヤミ金取り立て人のような連中の嫌がらせに多くの人々が音を上げて、やむなく契約を結ばされているのだ。そのカネで、NHKの幹部連中は信じられないような高給と湯水のように無駄経費を使う贅沢を許されているのである。なお一層、怒りの火に油を注ぐことになるのは、言うまでもない。


基本的に、NHKの電波商法というのは、送りつけ詐欺商法とウリ二つである。
参考>https://matome.naver.jp/odai/2136720736411935101


送りつけ詐欺は

・勝手に商品を送りつける
・商品を受け取れる(郵便や宅配システムがあるから)
・使っても使わなくても費用請求してくる
・いらないからといくら断っても脅してカネを徴収する
・何度もしつこい


NHKは

・勝手に電波(電気信号)を送りつける
・電波を受け取れる設備、装置がある
・みなくてもカネを取られる
・いくら断っても法律で決まってると強制的に契約を結ばせる
・異常に何度もしつこく訪問してくる、家にあがる
・世帯主以外にでも無理矢理サインをさせる


こんな組織、制度が、現代の先進国で「合法、合憲だ」と宣言されるわけだから、悲劇としか言いようがない。


日本国民よ、これ以上、NHKの横暴を赦すな。権力に加担する裁判所とメディア支配層に負けてはならない。
公害電波を撒き散らす、NHKという組織に、法律で対抗すべきである。

スクランブル化を実現できるよう、全国民の大運動が必要である。


それから、

未契約世帯が今後どうなるか、ということであるが、注意点として

ア)消滅時効は契約成立後から
イ)NHKの債権は「テレビ設置した日」以降の受信料
ウ)NHKは損害賠償請求はできない
エ)契約承諾がない場合には、裁判所の確定判決が必要

ということがある。


過去の何年~何十年かに渡り支払い拒否をしてきた場合には、テレビ設置後の受信料を請求できる権利がNHKに与えられたわけだが、契約承諾は原則として裁判の判決が必要、ということである。いくつかパターンで考えてみる。


◆パターン1:とことん戦う

NHKが訴えてきたら、裁判の判決が出るまで戦い続ける。これは勇気が必要。また裁判費用等が必要になる場合がある。が、心情的にNHKをどうしても赦し難いという人の場合には、判決出るまで戦ってみるのも一法ではある。NHKは受信設備を設置していた日を特定する必要があるので、どの程度まで過去に遡って請求できるかは、場合によりけりかと。

確か2012年頃に放送法改正になり、それまでは電波の「受信」だったものを、ケーブルテレビ等も含めて徴収できるよう「電気信号」に変えたはずなので、それ以前については「法の不遡及」原則により、ケーブルテレビ設置者の場合だと、それ以前に遡って請求は恐らくできないものと思われます(当方の素人見解なので、鵜呑みにせず、弁護士等専門家に確認するように!)。

裁判を起こされてから払ったとしても、普通に払ったとしても、同額請求になる可能性が高いなら、払わないままで過ぎるのも一つの対抗手段かもしれないです。


◆パターン2:裁判を起こすぞと言われたら承諾する

NHKはまず受信契約のお願いしかできません。最初から訴訟提起は難しいはずです。なので、最終段階に進むまで我慢する、とか。
過去に承諾する、しない等で揉めてて、次の段階が裁判だ、というような方々の場合には、テレビ設置の日がある程度特定されている可能性があるでしょう。その場合、過去の設置日に遡って請求を食らう可能性が高いわけですが、裁判で勝てる見込みはまずないので、とりあえず承諾をします。受信契約が発生した時点から、消滅時効がスタートするので、お金がない、等の理由により、支払拒否だけは継続してみるのです。


そうすると、例えば1年支払わないと1年分の消滅時効がカウントダウンされていくので、トコトン粘れば5年以上前の受信料は支払わずに済む可能性が出てきます。が、NHKも本気出して、給料や財産差押えの裁判所命令を持ってくるかもしれませんが、そうしたら、5年分とかを払えばよく、10年前からの分とかは回避できるかもしれません。

契約の承諾はしても、「いつまでに払う」とか「今度○○円払う」などと決して言わないようにすべきです。支払意思がある、という事実が明瞭になってしまうと、後々別の問題点が発生する可能性があるかもしれないので。

受信契約の「承認はしましょう」ということで、受諾の意思表示を明確にしておくと、消滅時効のカウントダウンは必ずスタートすると最高裁が言ったんですから。けど、払うのを極限まで我慢しておけば、最高でも5年分しか請求できない、ということになるかな、と。



◆パターン3:契約しろと強硬に言ってきたら、テレビを破棄(ヨソに移す)する

集金人は「受信設備が設置された日」を特定し、これを立証しないと設置日以降の受信料を請求できないはずです。スカパーやケーブルテレビ等の契約日が特定できる場合には、情報収集してきて請求してくるかもしれませんが、そういう特定日を示す証拠がない、NHK側の証拠提示が難しい場合というのは、過去に遡及して受信料請求は難しいはず、ということです。

なので、家を見せろとか上がり込もうとするなど、強硬な態度の人間の場合には、いったん親類や友人宅にテレビを「疎開w」させる、等の措置を実施し、家の内部を見せる日を指定して集金人にテレビが存在しないことを示せばよいかも。

けれども、今後、NHKはスマホやパソコンや自動車ナビでも集金するなどという暴挙を言っているようなので、つまりそれはテレビの存在に無関係に全員から徴収する(世帯単位とかは関係ねーってなるかも)ということを目論むということで、これを阻止できるのはやはり立法措置しかないでしょう。

何としても放送法を改正して、NHKの「徴税権」の如き強権を剥奪するよりないでしょう。


森友学園の土地売却問題に関する無責任なコメント

2017年04月03日 19時22分53秒 | 法関係
世の中には、口喧嘩が強いとそれが正論であると錯覚する人々が大勢いるらしい。識者風の連中が、さも正しそうな解説なりコメントを繰り出すと、それが正論であると誤信させるには効果的なのだということ。

例えば、橋下徹などがその代表格であろう。
事実ではないことであろうと、テレビで堂々と発言すれば、それが「事実」とされてしまうとか、いかにも法律上で正しいかのような雰囲気を作り上げるということである。必ずしもそうではない。


典型例に遭遇したので、取り上げたい。

>http://b.hatena.ne.jp/entry/hosyusokuhou.jp/archives/48789494.html

実際の番組内容は不明だが、三浦瑠麗という女性論者が『忖度は犯罪ではない』と発言したようである。国際政治学者とかいう肩書らしいが、まずは普通の法律を勉強してから、解説するようにすべきであろう。定かではないことを、何故そんなに自信満々で断言できるのか、謎である。自分の考えを口にするなとは言わないが、「出鱈目を言うのは慎む」くらいの配慮があってしかるべきかと。


このような事例は、専門的な知識に乏しい人が、あたかも専門家のような振舞いで出鱈目を断言するのに似ている。ニセ医者がまさしくそれである。それともインチキ健康食品の販売営業みたいのも似てるかも。

しかも、こうした「分かり易い結論」に飛びつく、思考力に乏しい連中が大勢いるというのがポイントで、煽動効果は抜群と言えよう。デマの典型的な手口と言えるかもしれない。


拙ブログも例に漏れず、全くの法律素人である。法曹でもサムライ士業でも何でもない。法学部卒でもない。なので、三浦女史と大差ないわけだが、当方の知り得る範囲においては、間違っているものと判断したので、以下に書いておく。


『忖度は犯罪ではない』

これは一見すると、正しいように見えるだろう。文脈を無視すれば、例えば忖度という語の項目の例文として見れば、大した問題はない。しかしながら、森友学園の土地売却を巡る問題としての、各省庁職員等の「忖度」となると、単純に犯罪ではないと断定できない。


具体的に言えば、例えば財務省の事務次官・局長級以下財務省職員が、「総理夫人が深く関与する学校法人なので、小学校設置を何とか実現させたい」といった忖度をしたとする。
忖度だけなら犯罪ではないかもしれないが、それに伴う行為の結果が問題ろなろう。例えば土地売却価格の問題である。それとも補助金交付その他予算執行の問題である。


忖度の結果、実際に行われた行為が「違法な事務」であった場合には、これは犯罪となる可能性がある。

背任罪というのは、犯罪であろう。それに該当しないと言えるか?
財政法、予算決算及び会計令、会計法などに違反していないと確信を持って言えるか?
「予算執行職員等の責任に関する法律」でいう、処分の対象ではないと言えるのか?


そもそも開示された情報だけでは、「違法な事務」かどうかを判断できる根拠足り得ないのだから、「違法でない」「犯罪ではない」と強弁できるわけがないのだ。

例えば、「予算執行職員等の責任に関する法律」によれば、次のように定義される。
>http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO172.html


第2条第2項
この法律において「法令」とは、財政法 (昭和二十二年法律第三十四号)、会計法 その他国の経理に関する事務を処理するための法律及び命令をいう。


「法律及び命令」なので、命令違反は懲戒処分対象である。
命令は「通達」を含むものと解されるはずだから、通達に反する賃借権契約や売買契約の締結は命令違反を構成しうる。命令違反を回避する、特別の根拠なり合理的理由を必要とするだろう。


従って、忖度の存在とか内容といったことが直接的に違法性を意味するとは限らず、忖度によって実際に行った結果が「違法な事務」であるなら、処分対象となるのである。

こうしたことを、ものの30秒か1分以内で説明したり、理解してもらうのは、かなり困難であると当方は思っているが、プロパガンダに踊り易い傾向の人々は単純な言語と説明で満足したいのであろう。



もう一例が高橋洋一元財務官僚の論である。

>http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51362?page=4

(一部引用)

こうした経緯の後、賃借契約が売買契約に変更される。鑑定評価額は9.32億円。例の8億円値引き話は、この経緯から見れば、ある意味で自然だろう。むしろ筆者は、8億円がかなり人為的に作られたものかもしれないと推測している。

つまり、まともにゴミの処理費用を算出すれば、10億を超える可能性もあった。それでは近畿財務局のメンツが丸つぶれである。そこで、近畿財務局も顔が立ち、しかも小学校建設を急ぎたい森友学園としても大幅値引きになる「8億円引き」となった可能性がある。

もっとも、これは8億円の値引きが妥当といっているのではない。本来であれば、近畿財務局は処理費用が10億を超えてもゴミ除去を行って、その後まっさらな土地として入札を行えばいいのだから。その結果、仮にゴミ除去費用をまかなえなくても、国有地の売却としては仕方ない。実際、豊中市への売却でも、実質的な国の手取りはほぼゼロだからだ。

または、近畿財務局はゴミを除去せずにゴミが埋まっていることを明示したうえで入札してもいい。その結果、売却価格が安くなっても仕方がなかったはずだ。

筆者の推測は、近畿財務局がそうした手順をサボった上で、ゴミの事実を隠して随契したので、森友学園に弱みを握られてしまった。だからその後、近畿財務局が森友学園を厚遇せざるをえなくなったである。


========


財務省の元エリート官僚をもってしても、この程度の論説しか吐けないわけです。しかも古巣の財務省のことを、一般人よりもずっと詳しく知っているであろうはずの人間でさえ、このありさまですから。日本がいかに法を無視した行政を執行するようになってしまったのか、ということの証左かもしれません。


財務省の実務では、どういう処理が想定されていたのか?
通達を見てみましょう。


○財務省所管一般会計所属の未利用国有地等の売却促進について

(H21年2月27日 財理第814号、改正 財理第5479号、第1066号、第1190号)

>http://www.mof.go.jp/about_mof/act/kokuji_tsuutatsu/tsuutatsu/TU-20090227-0814-14.pdf



(3)地下埋設物がある財産
イ 現に地下埋設物が確認されている財産(蓋然性が認められるものを含む。)については、以下の方針により処理するものとする。

(イ) 財務局長等は、原則として平成 21 年度中に試掘調査を行い、撤去後の売却見込額(X)及び撤去に必要な費用(Y)をそれぞれ算定する。なお、売却見込額等が既に算定されている場合は、改めて算定する必要はない。
(注)調査の結果、土壌汚染物質が確認された場合には、下記⑷の「土壌汚染がある財産の取扱い」に従い処理する。

(ロ) 算定結果に基づき、次の分類に従い、処理するものとする。

A 撤去後の売却見込額が撤去に必要な費用を上回る場合(X-Y>0)
  原則、撤去工事は行わずに現状有姿で売却を行う。

B 撤去後の売却見込額が撤去に必要な費用を下回る場合(X-Y<0)
(A) 下回り額が小額(撤去後の売却見込額の1割程度)で、かつ、撤去に必要な費用が小額(概ね 500 万円以下)となる財産
  国において撤去工事を行ったうえで、売却を行う。

(B) 上記(A)以外の財産
個別に理財局と相談のうえ、処理方針を決定する。


=======


お役所仕事なんだから、基本的にはこうした通達に従って、定型的な処理を心がけるものなのでは?

(イ)に従い、大阪航空局では地下埋設物の調査を実施したのでしょう?そして土壌汚染も明らかになっているので、形質変更時要届出区域の指定を受けたわけでしょう?

見込額は算定されているはずで、国有財産台帳に価額記載があるはずだし、路線価等も参考に価額算定がされるのが、「普通の事務」では?
少なくとも、大枠で上記通達のX、Yを算定後、AかBのいずれに該当しているかを当該土地において判断していなければおかしいでしょう。


高橋洋一元財務官僚の言うような、ひょっとしたら撤去工事費用が云々なんて思いつきレベルではなしに、行政庁として「現状有姿で売却」というのがどのような場合なのかというのは、ある程度の機械的判断基準が適用されるということでしょう。

そして、撤去工事費用が土地代金を上回る場合の少額以上は「理財局と個別に相談」ということですので、個別な処理が必要であったことの証明は財務省側にしかできないということになる。


こうした命令に違反している処理を行ったものは、違法な事務であろう。何も脱藩官僚の人が新たな通達なり、内部処理方法を発明せんでも、既に作られていたと考えてよさそうなのでは?

元からこうした通達があるのだから、それに則して処理していれば書類は保存されてるはずで、その処理に係る書類等を開示することが、それほど困難であるとは思われない。


長くなったのでとりあえず。
続きは次の記事で




「テロ等準備罪」の危険性について

2017年03月23日 20時11分08秒 | 法関係
今日は、籠池証人喚問の話題で持ち切りであろう。全く見てないので、それはおいといて。


政府が密かに提出したという「テロ等準備罪」らしいが、あまり必要性についてきちんと説明されてはいないようだ。
恐らくは、「テロ防止」などという大義名分とは別の狙いがあるものではないかと思われる。
何といっても日本は、「レンタカー代金の割り勘」という罪で何日間も不当に逮捕勾留されてしまうような国であるので、どんな難癖でも理由を付けてしまいさえすれば、逮捕できてしまうわけだ。
しかも、その勾留決定には裁判所が協力的ということで、恐るべき警察権の発揮ができる国となっているわけである。恣意的に警察は好きにできる、ということを意味する。


さて、拙ブログでの注目点について、以下に書いてみたい。

当初の「共謀罪」といったネーミングが報道などで広まっていたこともあり、政府は名前を変えたようである。それが「テロ等準備罪」と手短に表現されるようになったものである。

提出法案の条文で、次のようなものがある。


○組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律

(実行準備行為を伴う組織的犯罪集団による重大犯罪遂行の計画)

第六条の二 
次の各号に掲げる罪に当たる行為で、組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。

一 別表第四に掲げる罪のうち、死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められているもの 五年以下の懲役または禁錮

二 別表第四に掲げる罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 二年以下の懲役又は禁錮

2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又は組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者も、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、同項と同様とする。



当方の理解で書けば、この条文の意味を平たく言うと(2項は類似なのでここでは無視)、

・組織的犯罪集団の定義=「別表3」の実行を共同目的として繋がってる連中
・組織により遂行される行為を2人以上で計画した者、が対象
・その計画者の誰かが資金や物品手配、場所下見等の準備行為をしたらアウト
・犯罪行為は、「別表4」
・10年超の懲役以上の罪の場合―5年以下の懲役か禁錮
・4~10年の懲役以下の罪の場合―2年以下の懲役か禁錮


別表3には、罪の種類が縷々挙げられており、90号まである。別表3と4を分けてあるのは、組織の定義に用いるから、というのもあるかもしれないが、基本的には分かり難くする為(笑)であろう。
「六条の二」にある1項1号の「別表4」は、一部引用すると次のようなものである。


別表第四(第六条の二関係)

一 別表第三に掲げる罪(次に掲げる罪を除く。)

イ 第十一条(犯罪収益等収受)の罪

ロ 刑法第七十七条第一項(内乱)の罪(同項第三号に係る部分を除く。)並びに同法第八十一条(外患誘致)、第八十二条(外患援助)及び第百九十八条(贈賄)の罪


 (以下略)


「別表3」のうち除外規定があるから、ということと、別表3掲載以外の罪が2号以下、6号まで追加されている、という構造になっている。例えば、5号規定は、日米安保に関連する「刑事特別法」第4条の偽証罪(懲役3か月~10年以下)が加えられており、本法改正は公判での所謂「証言拒否」をある程度封じる効果を狙ったものかもしれない。


いずれにせよ、とても分かり難い構造にしている、ということであろう。最も効果が高いとか、狙っている法律が何なのかを隠したい時にこそ、こうした法案を用いるのではないかと思えるからである。


確かに別表3の多くは、犯罪行為が並んでいるわけで、そういうことに関連して計画したり準備行為に該当するというようなことは、一般社会ではまず起こらないだろう。ただし、それは、その人が「政府に従順である」というような条件だから、かもしれない。子羊のように、何でも「黙って受け入れる、いうことを聞く」という人なら、狙われることもないだろうから。


本法案の重要な肝の一つは、多分、知財関連ではないかと思うわけである。どうしてかと言えば、当然「TPPが頓挫したから」である。ここに「攻め手」のとっかかりを何が何でも設けておきたい、ということではないかと。


「別表3」には、例えば

不正競争防止法
特許法
実用新案法
意匠法
商標法
著作権法
種苗法

が入れられており、権利侵害の申立てがあれば、捜査対象となってしまうかもしれない。


具体例で考えてみよう。
標的Xに対し、Xの持つパソコンを捜査したいとしよう。
Xの仲間Yの持つパソコンにある「Word」がXに違法に複製されてインストールされているのではないか、という嫌疑が米国企業から出された、と。ならば、違法ソフトの複製を組織的にやっているとの名目で(かつてオウム関連でパソコンショップが捜査対象となっていたような記憶が)、XとYの「準備行為」として強制捜査に着手と。捜査の一環で家宅捜索して、捜査したいパソコンを押収できることになる。この後に起訴するかどうかは別問題だろう。兎に角、中身を詳しく調べたい、という目的なのだから、起訴できてもできなくてもどちらでもいい、ということになる。ソフトのシリアルナンバーだけの違いということだと、捜査を拒否するというのも割と難しいかも。捜査後に、「捜査した結果、違法ではなかったので返却するね」とか言われても、どうすることもできないし。


イスラム国関連の家宅捜査で、フリー記者のパソコンが押収されたりしてたように思うが、ああいうのがもっと簡単に着手できるようになるかもしれない、ということである。


捜査対象になっている、という嫌疑の目でもって、社会的に評判を落とすといったこともできてしまうかもしれない。
罠サイトを用意しておき、あるウェブページを訪問したら、何かのファイルなりデデータがダウンロードされるように仕組んでおく。
その罠サイトは、実は児童ポルノ販売等の組織的犯罪集団であったことが発覚し、捜査対象となったら、そのウェブページからダウンロードした先である、という言い分で捜査される、とか。技術的にどうなのかは、当方では分からないが、犯罪者たちが詐欺用にニセサイトを作ってたりして、ウイルス感染していることからすると、可能かもしれないなと思えるわけである。


しかも、自分のパソコンには何らかのファイルなりが実際にダウンロードされてしまっているわけで、その罠サイトの連中との「関係性」なり「計画」なりを自分自身で「全く身に覚えがありません、犯罪行為とは無関係です」って言っても、「物証があるぞ、データはお前のパソコンに入っていたぞ、ホレこの通り」とか示されて、否定の根拠を提示することなんて、かなり難しそうだもの。「痴漢で逮捕」でもって有罪無罪に関係なく、社会的に抹殺される例みたいに、ならないとも限らない。


罠サイトに誘導する場合だと、例えば、「基地反対運動」を謳ったウェブページなどを作って、そこに有用な情報が掲載されているかのように、ツイッターやブログなどで情報を拡散する、とか。最初の半年とかを善人のように見せておき、罠の実行のチャンスが来たら、ウェブページにそうしたプログラムを仕込んでおけばよい。そういうページを作成するのが犯罪者集団などではなく、政治的に邪魔な存在の、葬り去りたい連中を罠に陥れる為に、権力側が意図的にやらないとも限らないわけである。
或いは、ウィキリークスのような、権力側にとって忌々しい存在に、協力的な人間たちをあぶり出す為に、罠を利用するかもしれないし。


そこまでやるかは別として、知財関連については、海外企業からの厳しい追及が日本につきつけられ、これまでよりは容易に摘発対象として捜査されるようになるだろう、とは思いますね。


日弁連等が反対していたのもあるし、本当に成立が不可欠な法律であるとは到底思えないわけである。かえって、日本の権力側(警察、検察など)に権力行使の口実を与えるだけで、不当逮捕が相次ぐだけでは。

不当勾留が平気で行われている日本の現状を見れば、危険極まりないということだ。



続・学校法人への国有地(豊中市)売却問題と、錯誤登記の怪

2017年02月28日 15時26分28秒 | 法関係
昨日の続きです。

土地取引とか価格交渉について、2015年夏頃に近畿財務局・大阪航空局の担当者たちが、事業者等と協議の場を設けていたらしい、ということで、当時の安倍政権というのは、兎に角「やっちまえ!」という無敵状態に似た傾向で、何でもゴリ押しだったように思います。なので、杜撰だろうと違法だろうと、手続関係が滅茶苦茶だろうと、やってしまえばこっちのもんだ、的にやっていた一端が出たものではないかとも思えます。


陰謀論的ストーリーを考えるなら、次のようなことでしょうか(あくまで小説的な架空の話です)。


・当該土地は、2012年に新空港会社に承継されており、所有権移転も完了していた
・学校設立ということで、土地取得の算段を考えた
・国有地的なものが手に入らないか探した
・すると本件土地の存在を知った
・新空港会社から国の所有に土地を戻せないか手口を考えた
・すると、遡っての所有権移転の抹消登記を思いつく
・実際に抹消したのは平成27年頃だったが平成25年1月の期日で登記
・要するに、事後的に辻褄合わせで、過去に遡って更生登記をやった
・まるっと土地が取得できたよ


これを実現するには、財務省だけでは足りず、国交省・法務省の協力がないと無理なわけだ。
おや?
この面子は、どこかで?

そう、2015年の行政不服審査法の審査請求から始まって、辺野古埋立承認を巡る代執行訴訟の手続が10月には開始となっていたわけだ。当時の安倍政権は何をやっても平気なんだ状態だったわけで、事後的に口裏合わせの手法を選択したとしても、驚くには値しない。あの当時に大活躍してたのは、両省だったわけで(笑)。


ただ、登記の電子記録とかの改竄?といった大胆手法になると、簡単には済まないわけだし、可能なのかどうかも分からない。ただ、電子的なデータではるから、これを事後的に改竄できないというのは、どうなんだろうな、と。内部の人間であれば、技術的には可能な気もするけど。


あくまで陰謀論的な想像ですので、本気にしなくてもいいのですけど、念の為、確認をしてみた方がいいのではないかな、と。


まず、登記関係。
ご専門の法律関係者たちは大勢いらっしゃると思うので、錯誤の場合の、所有権抹消登記の際に、用意すべき書類を一式出せるはずですよね。元の所有権者だけでなく、移転先の書類もあるはずです。

新空港会社の方で、いつ、誰が、どのように大阪航空局の言い分である「錯誤」を認め、所有権抹消登記について合意したか、というのを証明できるでしょう。役員会とかの決済が必要なら内部的な手続関係書類もあるはずです。


参考>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%80%E6%9C%89%E6%A8%A9%E6%8A%B9%E6%B6%88%E7%99%BB%E8%A8%98

法務局にも、関係書類が保管されているはずでしょう。登記官とかも分かるのですよね?手続きは、書士の人がやるのですか?手数料とか、免許税とかもあった、ということですよね?


それから、もし新会社に移転登記されていて、これが生きていた場合だと、不動産取得税はどうなりますか?
これは、自治体資料になるはずですので、当該土地に係る取得税を空港会社が納税していると、納税の証拠書類が存在することになるはずでは。


当方は、全くの素人なので詳しく分からないですが、きっと専門家が見れば、どこにどういう資料が残されているか、きっと分かるはずでしょう。


安倍総理の直接依頼などは証明できないとしても、大きなスキャンダルに発展する可能性はあります。特捜も放置できなくなるかもしれませんよ?ああ、甘利の件同様、不起訴でおしまいにすることも可能でしょうけどね。


普通に考えて、「~をやってくれ」とは言わないでしょう。
「宜しく頼むよ」「キミの力を貸してやって欲しい」とか、具体性がなくても「言わなくても分かるよね」的な目配せだって、十分通用する世界でしょうからね(笑)。



ああ、権力の奴隷の検察は、法務省の犬でしかないから、アレな連中が必死で捏造書類を作成する時間を与えておいて、辻褄合わせ的に尻すぼみにして終わりってことでしたか?

ま、別にいいけど。空想なんで。


パラパラと追加で、すみません。

近隣の土地ですが、国が売り出したということでしたね?

で、豊中市が給食センターの建設用地として、取得したということでした。これは、どうも2011年度に買ったものらしいのです。統合前に、国は財産整理をして(=現金化)、承継資産を少しでも圧縮しておこうということだったはずなのですね。

豊中市の2011年度の支出で、給食センター用地取得費用として、7億4533万4782円が支払われていたようなのです。その時には、本件の学校法人は土地買収に手を挙げてなかった、ということですよね?その数年後には取得することになるわけですが。


当該土地だけが、競争入札でなく、随意契約というのはあり得ない話だそうですよね。
これが、空港会社から学校法人に譲渡されていたなら、こんなに面倒なことにはならなかったはずなのですが、全体スキームが杜撰というか不可思議の連続でして、お粗末感がハンパないわけですね。


どんな横暴であろうと、やってしまえばこっちのもの、横車だろうと何だろうと、権力を嵩にきて、押し通せば道理が引っ込んでくれるって、タカをくくっていたようなフシがあるのでは?



エリートさま(笑)



学校法人への国有地(豊中市)売却問題と、錯誤登記の怪

2017年02月27日 21時18分27秒 | 法関係
どうも謎が謎を呼ぶ展開となっているようだ。時の総理大臣のファーストレディが、名誉校長として名前が出ており、講演や挨拶も行っていたらしいのだが、安倍総理は何ら関係のない人物が勝手に名前を使ったのだ、という風な言い逃れをしているらしい。


実際、どういう関係性だったのかは分からない。
また、土地取引に関係する書類は破棄したので残ってない、といった回答が財務省から出されたらしいのだが、本当なのか?


会計検査院も検査を実施する旨、国会答弁していたらしいが、どこまでやれるかは不透明だろう。ただ、頑張りを期待したいところではある。

昨今の官僚の能力レベルの低落は目に余るようであり、上に行くのがアレな連中ばかりになって、腰ぎんちゃくみたいなのがうまいヤツしか生き残っていないのかもしれない。優秀かつまともな人たちなら、「それはおかしいのでは」と意見したりしてしまうので、政治家界隈から疎まれて上には行けず、かえって「まともな意見」ゆえに飛ばされてしまうような気がする。

大体、辺野古基地の国が起こした代執行訴訟ですら、法務・国交・防衛・外務省官僚の連合軍でやってみたって、違法な手続でもって閣議了承(笑)をさせたのを、事後的に「取り消し」させたのが、振付を考えてた官僚軍団だったわけでしょう?

かつての官僚諸君なら、そんなに言うほどスーパーエリート官僚ではなくとも、難なく法的問題点を見つけ出して、普通に「待った」をかけられただろう。今では、そういうのがまるで夢物語の如く、誰も考えてもおらず、誤魔化しと言い訳と、失敗を嘘で糊塗する能力だけが発達してしまい、優秀な若年層が存在しても、上がアレではどうにもならんよね、という話なのではないかな。


そんな程度の連中が、用意周到に国有地売却の段取りを考えることができたとは到底思えず、むしろ昨今のクズ官僚のお得意の傾向たる、「その場しのぎ」の場当たり的対応でやった、というのが実態なのではないかな、と勝手ながら推測している。


で、一応、攻め手を考えてみました。

まず、学校法人への土地売却に関する資料等は破棄したので、存在しない、という言い分らしいので、これは特捜でもなければ攻めることが難しいわけです。唯一の手掛かりは、やはり登記、です。これは、記録が残されていますので。


大雑把に全体の流れを書くと、現在の空港会社というのは合併によって成立したものです。平たく言うと、関空と伊丹の合体というやつです。

これが立法措置となったものが、これです。

関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律
(平成二十三年五月二十五日法律第五十四号)

>http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H23/H23HO054.html


で、かつてバラバラに存在してた空港関連の財産も会社に引き継いだということです。土地は1284億3900万円分あった、ということでした。新関西国際空港株式会社の有証報告書にも書かれています。

>http://www.nkiac.co.jp/company/ir/report/pdf/yuka01.pdf


では、この資産はどのように価額が決まったのか?郵政民営化の時と同様に、承継資産評価委員会で資産を調査し、価額を決めたのですよ。

>http://www.mlit.go.jp/report/press/kouku18_hh_000024.html

で、ポイントは、
『別添2 評価調書(案)国(社会資本整備特別会計の空港整備勘定)から承継する資産
です。


特別会計で空港整備勘定に計上されていた土地の固定資産は、財務省か国交省が所有ということになっていたはずです。

ここが重要。今、疑惑になっている、錯誤で登記を取り消した※土地というのは、恐らくこの「社会資本整備特別会計の空港整備勘定」に記載されていたものであろうと。

(※注:
辺野古基地の、違法確認訴訟では、処分庁は自庁取消であろうとも、違法がなければ取り消せない、と最高裁判例が確定したはずだが、おバカ官僚はまんまと「取消処分」をやった、ということですかね?  爆笑だな

これだよ>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/e4bcdcb3274486fbcf93097821843a54

  平成28年12月20日 最二小 平成28年(行ヒ)394号


政府の100%出資だろうと、民間の株式会社であることに変わりはなく、法務省訟務局らの官僚が叫んでいた、「授益的処分」ではないのかね?
これは取り消せるの?登記してしまった後なのに?「高いハードル(笑)」はどこ行った?)


新会社が承継した、豊中市の大阪国際空港区域外の土地は、先の有証報告書によれば、「465071.77㎡」あったことになっているようです。その財産目録がある(当該土地の資料を出さない場合、新空港会社の所有になった土地は会社の資料にあるので確実に分かる。その合計面積との差が分かれば、必然的に当該土地が入っていたかどうかが確定できる)はずです。


財務省はこの書類を棄てることはできないでしょう。また、財産目録は、国交省にも承継資産評価委員会にも残されているはずで、全部が破棄されたという言い訳は通用しませんね。

当該土地が承継財産目録中に、どう記載されていたのか?
これがまず第一点。


次に、先の統合法に戻りますが、承継資産というのは法律で決められているわけです。勝手に処分できないのは当たり前です。

で、条文では、どう書かれているか?

ずっと下の附則抄の第5条を見て下さい。第8項に記載があります。


8  政府は、第六項の規定による株式の引受けに際し、会社に対し、政府の保有する関西空港会社の株式及び社会資本整備事業特別会計の空港整備勘定に所属する国有財産のうち大阪国際空港に係るものを出資するものとする。


ここに『社会資本整備事業特別会計の空港整備勘定に所属する国有財産のうち大阪国際空港に係るもの』とありますよね?

つまり、国有地であって、当該土地が大阪国際空港に係る空港整備勘定目録に記載があったものであれば、それが承継財産から意図的に除外される、というのは、違法なわけです。


一度した処分(新会社への現物出資)であって、登記をやり直したのだとすると、

・当該出資が違法であったことの証明
(違法だったから出資を取り消して、登記変更したのだろ?そうじゃなければ取り消せないんでしょ?)

・当該土地が承継財産評価対象で、大阪国際空港に係る空港整備勘定に含まれる資産なら、登記変更をしたことの方が違法であると推測されるが、この変更を正当だと主張する根拠


こんなの、超ものすっごく優秀な霞が関官僚諸君なら、朝飯前に答えられるんでしょ?
で、書類は破棄しました、ってのが、何の理由にもなっていないことも当然ですよね。だって「国有財産」って登記したんだから!
書類なんか存在せずとも、理屈だけで返答できるでしょう?


おいおい、国有財産だけど、大阪国際空港に係る土地ではない、って無謀な回答をしようって魂胆ですかい?
そこだけポッカリと?真空地帯みたいに?
大笑いですわ。


承継資産は、勝手には変更できんのよ。法律で決められてるから。



辺野古違法確認訴訟の最高裁判決~最高裁は大臣の下僕(追記あり)

2016年12月20日 20時14分58秒 | 法関係
本日、最高裁判決が出されました。

ざっと判決文を読んでみましたが、まるで定塚訟務局長の「オウム返し」かと見紛うかのような、酷い判決文でした。最高裁判事というのは、その権威が地に堕ちましたね。

>http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/358/086358_hanrei.pdf


当方の理解の範囲で、要点をかいつまんで言うと

・前知事の「承認」の処分時点で妥当かどうかを判断し、裁判所もそれだけ見るよ
・前知事承認に違法はない(主観的断定)、よってこれを違法として取消した知事の取消処分は違法
・取消処分は違法だったから、国交大臣の是正指示は適法
・大臣指示通りに、取消処分を取り消さない沖縄県知事は違法
・なので上告棄却だよ


屁理屈の上では、通っているようだが、これは大間違いの、トンデモ判決である。


いくつか論点を見てみる。

直接の争点とはならないが、以下が重要。

『違法等があると認められないときには,行政庁が当該処分に違法等があることを理由としてこれを職権により取り消すことは許され』ない(p.6)


これは、代執行訴訟の時から、法務省が全精力を上げて出してきた、「必殺技」の論点だったものだ。
違法がない場合には、取消処分はできない、ということだそうです。良かったな、行政庁。今後、全てについて、この判例を出せるでしょう(爆)。


これまでには、「一見して明らかな違法がない限り、行政庁の処分は有効」との言い逃れはできなくなったので、一度出された処分は、簡単には取消せなくなったので、良かったですね。最高裁の確定判決ですので、威力絶大です。


皆さん、覚えておこうね。最重要判例!!

「平成28年12月20日 最二小 平成28年(行ヒ)394号」


まだしっかり読んでないので、後日追加するけど、とりあえず書いておく。
沖縄県側の弁護団は、何故主張しなかったのかと思うんだが、「同一の関与」の禁止原則を言うべきだった。


それ以上に、最大の問題点は、地方自治法の仕組みを完全に無視していること、である。最高裁が、だぞ?

本件違法確認訴訟が提起されるのは、国地方係争処理委員会を通じた紛争解決手段を前提としている、ということである。本判決文でも、「本件委員会決定」(p.5)で述べられているものだ。


沖縄県の違法を言うには、国地方係争処理委員会の決定に従わず、かつ訴訟を提起することなく是正措置もしない、という場合である。つまり、本件委員会決定が違法であって、国の関与が合法であることを言わねば立論にはならない。

「国の関与が合法であり、沖縄県がそれに従っていないこと」が沖縄県の違法性を指摘できる根拠である。


国の主張も、最高裁判決も、違法確認訴訟というのを、「前知事の承認が、違法であるか否か」を審査・検討する部分に、わざと収束させているものであり、国と地方の係争処理という観点が完全に欠落している。これでは、制度の意味が全くない。

国の提訴が高裁からというのは、判断の迅速性が求められるから、という面はあるが、原則として、国地方係争処理委員会の審査結果なり勧告は、紛争処理解決手段として、尊重されるべきものである。この「本件委員会決定」に沖縄県の行動が反しているか否か、適合していないのかの審査をなくしては、違法性を判断できない。


最高裁は、

・国の関与が合法であること
・国地方係争処理委員会決定が違法であること=沖縄県は大臣指示に従い取消すべし


これを立論できないと、沖縄県の不作為を言うことはできない。

参考>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/eb10084e04e679163196c59a234495a3



国交大臣の是正指示は、適法などではない。
それは、和解した代執行訴訟において、地方自治法245条の八に基づく勧告及び「2項指示」が出されたものであり、国は「取消処分を取り消すよう是正指示」したのに行われなかったので3項の高裁提訴を行ったものだ。

この提訴を3月の和解により放棄したのであるから、「2項指示」と同一内容の「245条の七に基づく指示」は既に権利消失しているものと言うべきである。同一の関与禁止原則に反することは明らかだ。


最高裁判決は、徹頭徹尾、出鱈目である。
言い分は、全て、代執行訴訟時の国=法務省訟務局の出したものの、焼き直しに過ぎない。

少なくとも、違法確認訴訟なのであるから、国の関与と、これに従うか否かの本件委員会決定の是非、これに続発する自治体の不作為の是非、これを論ぜずして、何が「違法確認」なのか。


基地の重要性だの、辺野古設置の妥当性だの、という論点を除いたとしても、地方自治法上の手続について、正当な審査を行うべきが最高裁ではないのか。その役割を放棄して、国立の事件で「自治体の首長には、個人に対し損害賠償請求ができ、その賠償義務を負う」という、脅し判決を眼前にぶら下げて、自治体首長を「過剰に委縮させる」という、法の悪用をやってくるような、最高裁及び事務総局ということでは、日本には、司法も法の原則も、全く、何処にも存在しない、ということだ。


本件のごとき、恥ずべき判決を出した判事は、以下の通りである。


裁判長裁判官  鬼丸かおる
裁判官    小貫芳信
裁判官    山本庸幸
裁判官   菅野博之


今後の沖縄県側の対応についてだが、


まず、本件最高裁確定判決により、前知事承認の瑕疵は存在しないことが決まった。よって、以後の一切の変更を認めない。どこにも、何らの問題もない、ということを最高裁がお墨付きを与えたのであるから、国から訴えられたとしても、全て本件判決文をもって、退けることができる。


『埋立ての規模及び位置が適正かつ合理的であるなどとして,本件埋立事業が第1号要件に適合すると判断しているところ,このような前知事の判断が事実の基礎を欠くものであることや,その内容が社会通念に照らし明らかに妥当性を欠くものであるという事情は認められない。』(p.6)

ので、変更申請許可は必要となる根拠がないので変更の必要性がない。


本件埋立事業が第2号要件に適合するか否かを専門技術的な知見に基づいて審査し,①護岸その他の工作物の施工,②埋立てに用いる土砂等の性質への対応,③埋立土砂等の採取,運搬及び投入,④埋立てによる水面の陸地化において,現段階で採り得ると考えられる工法,環境保全措置及び対策が講じられており,更に災害防止にも十分配慮されているとして,第2号要件に適合すると判断しているところ,その判断過程及び判断内容に特段不合理な点があることはうかがわれない。』


これも同様。

岩礁破砕許可申請についても、知事が許可しなければよいのである。手続はもう完璧なんでしょう?前知事がそう言ったから(笑)。なので、前知事判断のみが、意味を持つわけですね。最高裁がそう言ったんですよ。


また、最高裁判決には、意図的にそう書いている部分があるわけです。

それは、違法等を理由に取消処分をしたんだから、「違法等」がなければ取消処分は違法だよね、ってことです。

ならば、承認時点の違法を理由に取消しなければよい、ということであって、後発的瑕疵によって取消処分が禁止されるとまでは言えない、ということになりますよね?


というわけで、承認を撤回するべきです。


違法確認訴訟になる前から、取消処分について攻められるかもしれない、と危惧してた部分を突っつかれたような感じです。

15年11月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/bf7e5efbaafe1bec40232961a216b126


ただ、当時と、代執行訴訟の和解後では、状況が異なっており、本件違法確認訴訟においては、「国の関与」としての指示は違法であることに違いはありません。国地方係争処理委員会とて国に違法ゆえに勧告を出すということはできなかったものと思いますね。事案があまりに大きかったので。


参考>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/a4f2d6d05d180502e7b7e1603a697f5e


最高裁は、腐ったのです。

司法は死んだのです。




22日 追記:


最高裁判決でも(福岡高裁那覇支部の判決でも同じだが)、前提の事実関係について、極めて杜撰な記述となっている。安倍総理、及び法務省、訟務局+国交省+防衛省にとって、不都合な真実(笑)はどこにも目に触れさせないように書かれている、というわけだ。どうしてか?


何ら問題ない、全面勝訴なんだろ?
なら、隠す必要性なんかないじゃないか。恥じることなく、全て正確に記載すればよかったのだよ。何故できない?


事実(5)と(6)の間には、色々とあったでしょう?(7)との間にもあったことを何故隠す?
あると、判決がいかにおかしいか勘繰られてしまうから、ですか?


(5)平成27年10月13日  承認取消処分

(6)平成27年11月17日  代執行訴訟提起→ 28年3月4日 和解 

(7)平成28年3月16日  本件大臣による是正指示


重要部分を書けば、こういう流れだったものですが、(5)の行われた日に、行政不服審査法に基づく審査請求が沖縄防衛局から出されたでしょう?執行停止の申し出も同時に行いましたよね?


10月13日  沖縄防衛局 国交大臣に「審査請求」の申立て、取消処分の「執行停止」の申し出

10月27日  国交大臣が「執行停止」決定
      代執行訴訟の提起につき閣議了解(全会一致)


10月28日  245条の八 第1項に基づく是正勧告

10月29日  埋立工事再開

11月2日  沖縄県は執行停止決定を不服として国地方係争処理委員会に審査申し出

11月9日  245条の八 第2項に基づく是正指示

11月17日  245条の八 第3項に基づく代執行訴訟提起

12月24日  係争委 執行停止決定の審査申し出を却下

12月25日  沖縄県が執行停止決定の取消訴訟を提起

28年2月1日  沖縄県が係争委の却下を不服として、251条の五 第1項の「関与の取消」訴訟を提起


 3月4日  上記 代執行訴訟の和解、防衛局は審査請求・執行停止申し出を取り下げ 



何、恥ずかしがってるんだよ。法務省が赤っ恥だからって、正確に書けよ、最高裁のくせに。


あのですね、代執行訴訟が和解になった、ということなので、訴訟の取り下げではないはずなんですね。

で、大臣は、「執行停止」を「取消」したんですか?取消処分をしたのか、って聞いてるんだわ。
それから、245条の八の是正指示、これも「取消」処分をしたのですかね?

ならば、その指示は、違法だった、と言うことで宜しいか?

最高裁判決によれば、「沖縄県知事のした処分(=本件取消処分)」を違法であるとして、是正するよう勧告を行い、それでも取消されなかったので是正指示を出したわけでしょう?

すると、国の出した閣議で全会一致の決定(了解)は、違法な決定であったということで宜しいか?
「違法等」がないと、取り消せないんだもんねえ?
なので、執行停止決定が取り消されたなら、それは違法だった、んでしょ?


11月9日の 「国水政?号」の文書について、取り消す旨を沖縄県に通知したはいつですか?それとも、和解後でも、取消文書は送付されなかったのですかね?


違法だったので、やっぱ止めます、と国が言って、取り消したであろうはずの、執行停止と245条の八に基づく勧告及び指示だった、ということでよいですね?

最初の大臣指示が違法な処分だったのに、事後的に別形式で同一の指示をすることは、違法を問われないのは何故かね?


指示内容に付き、和解により権利放棄した国が、何故、放棄してないと言い張って、また同じ関与を継続できるのかね?


裁判所は、第一義解釈権を有する「国地方係争処理委員会の決定」を覆せるだけの論拠を提示しないと、行政の判断を否定できないのだろう?


行政不服審査法上の裁決だって、高裁が審査庁の判断を否定できる為には、相応の論理が必要になるだろうに。法務省訟務局の愚かな屁理屈によれば、裁判所だけが判断できるが、行政庁には判断する権限ないとかいう出鱈目論法な、そんなのが現実に適用されたら審査庁とかは永遠に判断を下せないってことになるだろ?


最高裁も法務省も、嘘を言うしか思いつかなくなっては、お終いだろう?