渡辺守章による仏文学史の次の一節は、サンド研究者の興味を惹くところです。
「ミュッセの歴史劇『ロレンザッチョ』は、ジョルジュ・サンドがベネデット・ヴァルキの『フィレンツェ年代記』(1721)によって書いた『1537年の陰謀』をもとに、1833年の後半に書き上げた作品である。」
1537年、イタリアの専制君主アレクサンドル・メディチ公が従兄弟のロレンゾ・メディチに暗殺されるという事件が起こった。サンドはこの事件を題材に『1537年の陰謀』という作品を書いています。1830年の7月革命の結果に落胆したサンドが、あまり気乗りせずに書いた1831年の劇作でした。サンドの原作では、専制体制を変革することはできないという絶望感に捉えられていたロレンゾが、しかし、妹のカテリーナを金で買おうする性悪なメディチ公に憤慨し、彼を暗殺するというあらすじになっています。サンドはこの作品を出版することはせず、恋人のミュッセにプレゼントしたのでした。ミュッセの『ロレンザッチョ』は、このサンドの贈り物をもとにを書き上げた作品だったというわけです。
Lorenzaccio, suivi de "Une conspiration en 1537"
(Poche)de Alfred de Musset (Auteur),George Sand (Auteur), Emmanuel Martin (Sous la direction de)
画像はミュッセが描いたサンド像です。
「ミュッセの歴史劇『ロレンザッチョ』は、ジョルジュ・サンドがベネデット・ヴァルキの『フィレンツェ年代記』(1721)によって書いた『1537年の陰謀』をもとに、1833年の後半に書き上げた作品である。」
1537年、イタリアの専制君主アレクサンドル・メディチ公が従兄弟のロレンゾ・メディチに暗殺されるという事件が起こった。サンドはこの事件を題材に『1537年の陰謀』という作品を書いています。1830年の7月革命の結果に落胆したサンドが、あまり気乗りせずに書いた1831年の劇作でした。サンドの原作では、専制体制を変革することはできないという絶望感に捉えられていたロレンゾが、しかし、妹のカテリーナを金で買おうする性悪なメディチ公に憤慨し、彼を暗殺するというあらすじになっています。サンドはこの作品を出版することはせず、恋人のミュッセにプレゼントしたのでした。ミュッセの『ロレンザッチョ』は、このサンドの贈り物をもとにを書き上げた作品だったというわけです。
Lorenzaccio, suivi de "Une conspiration en 1537"
(Poche)de Alfred de Musset (Auteur),George Sand (Auteur), Emmanuel Martin (Sous la direction de)
画像はミュッセが描いたサンド像です。