今日はフランスでは アソンプシィオンassomption(聖母被昇天)というカトリックの祝日。日本は、66回目の終戦記念日です。
日本のサンド研究においてパイオニア的存在の長塚隆二先生は1924年生まれで、戦争当時は特攻隊員でおられました。フランスのサンド研究の大御所の中には、先生のことをKamikaze神風と呼んで親しく敬愛されている方々がおられます。
長塚先生がよく嘆いて口癖のように仰っておられたのは、「こんな日本にするために僕らは命をかけて戦ったのではなかった」という言葉です。
現在は養護ホームにお入りになられています。夏前にお会いしたときには、あまりお話はおできになりませんでしたが、こちらで言うことをよく理解され、反応しておられました。現在も顔色もよくお元気でおられるとのことです。
昨年、先生の手となり足となられて(実際、先生は片手、片足をなくされています)、間接的にサンド研究の推進に多大な貢献をされた御奥様を亡くされ、ひどく落胆されておられました。奥様のお葬式にはきちんと喪服を身に着けられ、車椅子でご葬儀に参列されたそうです。先生は優しく男気のあるご性格、ご自分より年若い葉子夫人を先に亡くされ、さぞお辛かったことと拝察いたしました。
この夏の酷暑も乗り越えられ長生きをされますように、日本が一日も早く先生の望まれるような、国民や若者が心底から誇りに思える国になりますようにと祈らずにはいられない終戦記念日でした。
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長塚隆二『ジョルジュ・サンド評伝』 読売新聞社 1977年
ジョルジュ・サンド『棄子のフランソワ』長塚隆二訳 1952年 (角川文庫)
この他、ナポレオン、タレイラン、フーシェに関する著作のほか、和文仏訳、フランス語の手紙の書き方など、フランス語教育関係の著書などがあります。
画像は『ジョルジュ・サンド評伝』です。