オバマ大統領の受賞をめぐり様々な意見が交差したノーベル賞の授賞式が、12月10日、ストックホルムで行われた。
今年のノーベル文学賞は、ドイツの女性作家・詩人のヘルタ・ミュラー氏(56)に授与された。
女性の同文学賞受賞者は、2007年の英国作家、ドリス・レッシング氏に続き12人目とのこと。
授賞理由:「韻文の濃厚さと散文の率直さにより、疎外された人々の心象風景を表現した」
賞金は1000万スウェーデンクローナ(約1億2700万円)。
ミュラー氏は1953年、ルーマニア西部バナトでドイツ系少数民族の家に生まれた。ティミショアラ大学でドイツ、ルーマニア文学を学んだ後、77年に翻訳者として工場に就職したが、秘密警察への協力を拒否したため職を失った。その後、82年に初めて発表した短編集「澱(よど)み」や84年の「抑圧的タンゴ」で、ルーマニアのドイツ語社会の生活、腐敗や抑圧を描いた。作品は当時のチャウシェスク独裁政権下で酷評されたが、旧西独でブレーメン文学奨励賞を受賞するなど国外で高い評価を受けた。87年、ルーマニア国内での出版を禁じられ、旧西独へ移住した。
ル・モンドは、ヘルタ・ミュラーの「作家は皆、その作家固有の言語をもっていると云うのは、馬鹿げている。われわれは皆、書かない人たちの言語に頼る羽目に陥っているのだから」という言葉を引用し、ノーベル賞受賞にふさわしい明晰性だと述べている。
ヘルタ・ミュラーの邦訳されている作品 :
「狙われたキツネ』 (ドイツ文学セレクション) 三修社 (1997/03)
ヘルタ ミュラー (著), Herta M¨uller (原著), 山本 浩司 (翻訳)
内容
1989年、チャウシェスク独裁政権下のルーマニア。家宅侵入、尾行、盗聴。つきまとう秘密警察に怯える日々。そうしたなかで、ひとりの女が愛にすべてを賭ける。しかしそれは、親友との友情を引き裂くものだった…祖国ルーマニアの運命に思いをはせながらヘルタ・ミュラーが描くあまりに切ない物語。
Herta Müller, Prix Nobel de littérature, l'écriture contre l'oubli
LE MONDE | 09.10.0
Cette position résolument politique est servie par une langue acérée, comprimée et ciselée, souvent difficile, qui emprunte à la fois à la poésie et au langage populaire : "Il est stupide de dire que chaque auteur a sa propre langue, note Herta Müller. Nous en sommes tous réduits à compter sur la langue de ceux qui n'écrivent pas." Une lucidité qui vaut bien un Nobel.
今年のノーベル文学賞は、ドイツの女性作家・詩人のヘルタ・ミュラー氏(56)に授与された。
女性の同文学賞受賞者は、2007年の英国作家、ドリス・レッシング氏に続き12人目とのこと。
授賞理由:「韻文の濃厚さと散文の率直さにより、疎外された人々の心象風景を表現した」
賞金は1000万スウェーデンクローナ(約1億2700万円)。
ミュラー氏は1953年、ルーマニア西部バナトでドイツ系少数民族の家に生まれた。ティミショアラ大学でドイツ、ルーマニア文学を学んだ後、77年に翻訳者として工場に就職したが、秘密警察への協力を拒否したため職を失った。その後、82年に初めて発表した短編集「澱(よど)み」や84年の「抑圧的タンゴ」で、ルーマニアのドイツ語社会の生活、腐敗や抑圧を描いた。作品は当時のチャウシェスク独裁政権下で酷評されたが、旧西独でブレーメン文学奨励賞を受賞するなど国外で高い評価を受けた。87年、ルーマニア国内での出版を禁じられ、旧西独へ移住した。
ル・モンドは、ヘルタ・ミュラーの「作家は皆、その作家固有の言語をもっていると云うのは、馬鹿げている。われわれは皆、書かない人たちの言語に頼る羽目に陥っているのだから」という言葉を引用し、ノーベル賞受賞にふさわしい明晰性だと述べている。
ヘルタ・ミュラーの邦訳されている作品 :
「狙われたキツネ』 (ドイツ文学セレクション) 三修社 (1997/03)
ヘルタ ミュラー (著), Herta M¨uller (原著), 山本 浩司 (翻訳)
内容
1989年、チャウシェスク独裁政権下のルーマニア。家宅侵入、尾行、盗聴。つきまとう秘密警察に怯える日々。そうしたなかで、ひとりの女が愛にすべてを賭ける。しかしそれは、親友との友情を引き裂くものだった…祖国ルーマニアの運命に思いをはせながらヘルタ・ミュラーが描くあまりに切ない物語。
Herta Müller, Prix Nobel de littérature, l'écriture contre l'oubli
LE MONDE | 09.10.0
Cette position résolument politique est servie par une langue acérée, comprimée et ciselée, souvent difficile, qui emprunte à la fois à la poésie et au langage populaire : "Il est stupide de dire que chaque auteur a sa propre langue, note Herta Müller. Nous en sommes tous réduits à compter sur la langue de ceux qui n'écrivent pas." Une lucidité qui vaut bien un Nobel.