『ピクトルデュの城』は『母のおもかげ』(山主敏子編著、偕成社、1982,16刷) の原題でサンドが1873年2月に書き上げた小説です。最近の邦訳では『ジョルジュ・サンドセレクション8 ちいさな愛の物語』に収録されています。
『ピクトルデュの城』は女性画家ディアーヌの物語です。
画家の父は、娘ディアーヌの才能を認めていません。義理の母はおしゃれに身をやつし奢侈な生活を送ることに夢中で、義理の娘ディアーヌのことなど頭にありません。ディアーヌは、廃墟の古城で壁に描かれたベールをかぶった女性に実の母の面影を求めます。この母の像を心に秘め、見たことのない母の肖像画を描くために、ディアーヌは、日々、絵筆に精進を重ねます。そして今では落ち目となった流行画家の父親を凌ぐほどに画才を伸ばしたディアーヌは、竟に真の芸術家となって見事な成長を遂げるのでした。