西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
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津島祐子の著作 一覧

2021年06月10日 | 覚え書き

・『謝肉祭』(1981年) (河出文庫)

・『童子の影』(河出書房新社 1973)

・『生き物の集まる家』(新潮社 1973)

・『我が父たち』(講談社 1975)のち文庫

・『葎の母』(河出書房新社 1975)のち文庫

・『草の臥所』(講談社 1977)のち文庫

・『歓びの島』(中央公論社 1978)のち文庫

・『氷原』(作品社 1979)

・『寵児』(河出書房新社 1978)のち文庫、講談社文芸文庫

・『最後の狩猟』(作品社 1979)

・『光の領分』(講談社 1979)のち文庫、文芸文庫

・『山を走る女』(講談社 1980)のち文庫、文芸文庫

・『水府』(河出書房新社 1982)のち文庫

・『火の河のほとりで』(講談社 1983)のち文芸文庫

・『黙市』(新潮社 1984)のち文庫

・『逢魔物語』(講談社 1984)のち文芸文庫

・『夜の光に追われて』(講談社 1986)のち文芸文庫

・『真昼へ』(新潮社 1988)のち文庫

・『夢の記録』(文藝春秋 1988)

・『草叢 自選短篇集』(学藝書林 1989):収録作品「蝉を食う」「粒子」「透明な犬」「林間学校」「基地」「草叢」「空中ブランコ」「静かな行進」「廻廊」「夢の道」「野一面」

・『溢れる春』(新潮社 1990)

・『大いなる夢よ、光よ』(講談社 1991)

・『かがやく水の時代』(新潮社 1994)

・『風よ、空駆ける風よ』(文藝春秋 1995)

火の山―山猿記(講談社 1998)のち文庫

・『火の河のほとりで』講談社 (1983/10/1):雪の日にひとりこどもを殺した!……少女時代の悪夢が、姉妹に遠い影を投げかける。血の絆に惹かれるように、妹の夫と関係を結ぶ姉牧。抜き差しならない深みに入り込んでいく2人に、気づこうとしない妹百合。性の地獄にさらわれながら、ついに女たちは生の明るみへと突き抜けていく。長編700枚。

・『黙市(だんまりいち)』新潮社 (1990/4/1):深淵の底から、現実という水面に湧き出る、交錯した夢と記憶。コンクリートのマンションに住む人間たちと、森に棲む生き物たちとの密かな交感―。子供たちに見せるため、別れた男と会いながら、奇妙な沈黙が続いてしまうその光景を、山の男と村人との物言わぬ物々交換、すなわち黙市に重ね合わせる川端賞受賞の表題作等、この世にひっそりと生きる者たちの息遣いに耳澄ます11編。

・『光の領分』講談社 (1993/9/2):夫との別居に始まり、離婚に至る若い女と稚い娘の1年間。寄りつかない夫、男との性の夢、娘の不調、出会い頭の情事。夫のいない若い女親のゆれ動き、融け出すような不安を、“短篇連作”という新しい創作上の方法を精妙に駆使し、第1回野間文芸新人賞を受賞した津島佑子の初期代表作。

・『本のなかの少女たち』中央公論社 (1994/5/1):夢多き少女、攻撃的な小娘、心優しい孤独な少女、わがままな美少女…。「嵐が丘」「ティファニーで朝食を」「春琴抄」など、古今の名作に描かれた魅力溢れる少女たちを、憧れと共感をこめて語る。

・『真昼へ』新潮社 (1996/12/1):どうしてあなたは生まれ、こんなにも早く死んだのか―息子と共に過ごした時間を丹念に辿り直し、自分の人生、そして母の人生へと溯るうち、生と死の必然性にゆっくりと思いいたる。母もまた、わたしの兄である息子を失っているのだ…。表題作のほか「泣き声」「春夜」の2篇を収録。手繰り寄せる夢と記憶の中に今は亡い息子の生を確信する美しい鎮魂歌。平林たい子賞受賞作。

・『私』新潮社 (1999/3/1)

・『寵児』講談社 (2000/2/10):ピアノ教室の講師をする女は、離婚して娘と暮している。娘は受験を口実に伯母の家に下宿して母親から離れようとしている。体調の変化から、ある日女は妊娠を確信する。戸惑う女が男たちとの過去を振返り自立を決意した時、妊娠は想像だと診断され、深い衝撃を受ける。自立する女の孤独な日常と危うい精神の深淵を〈想像妊娠〉を背景に鮮やかに描く傑作長篇小説。女流文学賞受賞作品。

・『火の山ー山猿記』(上)講談社 (2006/1/13):火の山――とは富士山のこと。その富士山に寄り添いながら生きた有森家の変遷史。誕生と死、愛と結婚の型。戦中戦後を生きた人たちを描きながら、日本の近代を見つめ直した傑作長編小説。第51回野間文芸賞、第34回谷崎潤一郎賞受賞作。平成18年4月から放送されたNHK連続テレビ小説『純情きらり』の原案。

・『山を走る女』講談社 (2006/4/11):21歳の多喜子は誰にも祝福されない子を産み、全身全霊で慈しむ。罵声を浴びせる両親に背を向け、子を保育園に預けて働きながら1人で育てる決心をする。そしてある男への心身ともに燃え上がる片恋――。保育園の育児日誌を随所に挿入する日常に即したリアリズムと、山を疾走する太古の女を幻視する奔放な詩的イメージが谺し合う中に、野性的で自由な女性像が呈示される著者の初期野心作。

・『あまりに野蛮な 』講談社 (2008/11/28):津島佑子、渾身の純文学長編小説。 現代に生きるリーリーは、伯母のミーチャの夫にあてたラブレターを見つけ、読み続ける。そこには、夫に対するひたむきな愛に満ちあふれていた。台湾に暮らした日本女性の愛の手紙・日記。70年の時を経て甦る二人の女性の愛の人生。

・『黄金の夢の歌』講談社 (2013/12/13):口承によってうたい継がれてきた中央アジア・キルギスの英雄マナスは、永遠に年をとらない、とても元気な男の子。その「夢の歌」を聞きたいと旅をする「あなた」。氷河によって削られたジャイロの美しい牧地に心奪われ、その地を駆けめぐった多くの騎馬、狩猟民族の興亡に思いを馳せる。毎日芸術賞受賞。 

・『ジャッカ・ドフニ 海の記憶の物語』集英社 (2016/5/2):アイヌの母と日本人の間に生まれたチカップ。幼くして孤児となった少女はキリシタンに出会い、兄と慕う少年・ジュリアンら一行と共に海を渡り、新天地をめざす。母から聴いたアイヌの歌を支えに、異国からまだ見ぬ故郷のえぞ地に想いを馳せる。強く、ひたむきに生きる女性の一生を、壮大なスケールで描いた著者渾身の叙事小説。

・『狩りの時代』文藝春秋 (2016/8/5):ダウン症だった兄との思い出。ヒトラー・ユーゲントの来日。老核物理学者の見果てぬ夢…。この国の未来を照射する物語。絶筆長編小説。

・『夢の歌から』インスクリプト; 四六版 (2016/4/22):思いがけなくも先立った大作家が、3・11以後の世界への、怒りと希望を綴った、最後のエッセイ集!
 地上の悲惨を超えてひびきつづける「夢の歌」──。原発と政治情勢をめぐってざわめき立つ怒りを記した3・11後の全発言を収録。生と死について、家系をめぐって、惹かれ続けた場所、親しんだ物語について綴る晩年の随筆を併せた、30篇・550枚のエッセイ集成。まばゆく光溢れる世界を願った小説家が、わたしたちに手渡した課題とは。

・『ヤマネコ・ドーム』講談社 (2017/5/11):二〇一一年三月一一日、東日本大震災が起きた。余震の続く中、地震の被害は原発の方へも拡がっていく。作家は言葉を失い、そして言葉の力で立ち上がる。戦後の米軍占領期に生まれた混血の孤児たちの人生。隠された暴力と恐怖の記憶。しかし作品は、多くの色彩が交錯し妖しくも美しい…。「世界の終わり」へ向かう現実に引き戻される長篇小説。

・『悲しみについて』人文書院 (2017/6/30) 1985年の春、その人は息子を失った。そして絶望の果てに、夢と記憶のあわいから、この「連作」を紡ぎはじめた。彼女は何を信じ、何に抗いつづけているのか。聞き届けられるべき、不滅の物語。

やわらかい光のなかで母の声が響く。
この世界には言葉が溢れてる。人はその言葉に身を浸すことで喪失の恐怖から逃れようとす るけど、そこに身を浸している限り、決して聞くことのできない声というものがあるのよね。 
青いテーブルクロス。白い皿。りんごの皮。母の声はくっきりと、速度をあげて、途切れることなく、歌になる。  ―石原燃「人の声、母の歌」より

・『大いなる夢よ、光よ 』堀江 敏幸 (その他) 人文書院 (2017/12/11):よく見届けて。眼をそらさないで。息子を見失ったその人は、それでも夢をたゆたい記憶を辿りながら、共に過ごした時間のあの喜びを見届けてくれる存在を求めつづけた。囚われなき情愛を通じて、人生を再び歩み始めるまでの道程を描く傑作。

・『夜の光に追われて』木村 朗子(その他)人文書院 (2017/9/30):あなたはなぜ書いたのか、一人で子を成す孤独を。あなたも知っていたのか、子を奪われる苦しみを。千年の時を超え、平安時代の王朝物語「夜の寝覚」の作者とともに人間の幸福の意味を問いかける名著。
 津島文学にとっての「子どもの死」とは、文学によって思いめぐらすべき、文学としての問いかけなのである。したがってそれは、もはや津島佑子という一人の人間の個人的な体験に還元されるべきものではない。人間の存在への、あるいは生きることについての問いなのである。―木村朗子「生きることの核心」より

・『ナラ・レポート』人文書院 (2018/3/27):母さん、あの大仏をこわしてよ!母を失くした居場所なき少年は、この世の権威を憎んでいた。その象徴をこわしたとき、男たちがつくり上げた正史の余白から、いかなる物語が流れ出るのか。時空を超え、生死の境に降り立つ未踏の日本文学。

・『笑いオオカミ』人文書院 (2018/6/27): 父と墓地に暮らす少年は、ある夜、男女の心中を目撃した。数年後、少年は死んだ男の娘を連れて列車の旅に出る。二人の眼に映る、敗戦下の日本とは。生を奪われた無数の子どもたちに想いを馳せ描く冒険譚。

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川村湊 (著)津島佑子 光と水は地を覆えり』インスクリプト (2018/1/25):作家を最もよく知る著者による、津島佑子の文学世界への最良の案内。:作家を最もよく知る著者による、津島佑子の文学世界への最良の案内であり、初のまとまった津島佑子論。
本書は、『ジャッカドフニ』、『黄金の夢の歌』、『ヤマネコドーム』、『あまりに野蛮な』、『笑いオオカミ』、『狩りの時代』……後期の作品を中心に、『火の山 山猿記』、『光の領分』、『夜の光に追われて』、『火の河のほとりで』ほか主要作を網羅して作品世界を案内する批評的ガイドであり、思い出を語りつつ作家の実像を浮かび上がらせる、自在な評論である。津島佑子氏が亡くなって早くも二年近く、津島佑子が近現代日本文学史に占める地位は今後ますます大きくゆるぎないものとなるだろう。津島作品をこれから読もうとする読者、その文学世界の全貌を知りたいと思う読者にとって、本書は格好の案内となるものである。とりわけ3.11以降、津島佑子が半ば強いられつつ赴いた文学の戦場、そこでの闘いと大きな成果を、作品に即して明らかにする出色の評論である。

『津島佑子: 土地の記憶、いのちの海』河出書房新社編集部 (編集)河出書房新社 (2017/1/20):

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