西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
本ブログ記事の無断転載および無断引用をお断りします。
 

トマ・ピケティ著『21世紀の資本 LE CAPITAL AU XXIe SIECLE』

2014年12月13日 | 手帳・覚え書き

日本で翻訳書が書店に並べられたばかりだが、今年、出版された書物の中で最も重要な必読書の一つなのではないだろうか。

フランスの経済学者トマ・ピケティが著わした本書は、昨年フランス語で出版され、今年2014年4月には英語訳版が発売されるやAmazon.comの売上総合1位に輝いた。目下、アマゾンでは売り切れ。『現代思想』の最新号(一月号)が本書の特集を組んでいるが、こちらも入手困難の状態のようだ。

本書は、目次の各章に目を通しただけで、経済的専門知識がない読者でも強烈な好奇心がそそられることだろう。
「ヴォートランのお説教」「ラスティニャックのジレンマ」など19世紀小説の登場人物の言及あり、「マルサス、ヤング、フランス革命」「資本って何だろう?」「資本と富」「古典文学に見るお金の意味」「21世紀は19世紀より不平等」「奴隷資本と人的資本」「民法典とフランス革命の幻想」「富裕国の国民資本と純外国資産」「実体資産と名目資産」「労働の格差―ほどほどの格差?」「資本の格差―極端な格差」等々、読者を惹きつけてやまない刺激的なタイトルの文字が、そこに踊っているからだ。

紹介文によれば、「経済的格差は長期的にどのように変化してきたのか?資本の蓄積と分配は何によって決定づけられているのか?所得の分配と経済成長は、今後どうなるのか、決定的に重要なこれらの諸問題を、18世紀にまでさかのぼる詳細なデータと、明晰な理論によって解き明かす。格差についての議論に大変革をもたらしつつある、世界的ベストセラー」との由。

さらに

「長期的にみると資本収益率(r)は経済成長率(g)よりも大きく、その結果として富の集中が起こり、資本から得られる収益率が経済成長率を上回れば上回るほど富はより資本家へ蓄積される。そして富が公平に分配されないことによって社会や経済が不安定となるということを主題としている。この格差を是正するために、富裕税を、それも世界的に導入することを提案している。」というのであるから、まさに歴史的観点からも画期的な書に違いない。

本書の詳細は下記の通りである。

著者 トマ・ピケティ『21世紀の資本 LE CAPITAL AU XXIe SIECLE』
訳者 山形浩生 訳者 守岡桜 訳者 森本正史
みすず書房 2014 5940円

http://www.msz.co.jp/book/detail/07876.htmlhttp://www.msz.co.jp/book/detail/07876.html

目次
謝辞

はじめに (一部公開、PDFファイル1.38MBダウンロード)

第 I 部 所得と資本
■第1章 所得と産出
■第2章 経済成長─幻想と現実

第 II 部 資本/所得比率の動学
■第3章 資本の変化
■第4章 古いヨーロッパから新世界へ
■第5章 長期的に見た資本/所得比率
■第6章 21世紀における資本と労働の分配

第 III 部 格差の構造
■第7章  格差と集中─予備的な見通し
■第8章  二つの世界
■第9章  労働所得の格差
■第10章 資本所有の格差
■第11章 長期的に見た能力と相続
■第12章 21世紀における世界的な富の格差

第 IV 部  21世紀の資本規制
■第13章 21世紀の社会国家
■第14章 累進所得税再考
■第15章 世界的な資本税
■第16章 公的債務の問題
■おわりに
資本主義の中心的な矛盾― r>g
政治歴史経済学に向けて
最も恵まれない人々の利益

索引、原注、図表一覧

ーーー
著訳者略歴
トマ・ピケティThomas Piketty
1971年5月7日、フランスのクリシー生まれ。パリ経済学校経済学教授。社会科学高等研究院経済学教授。
多数の論文をQuarterly Journal of Economics, the Journal of Political Economy, the American Economic Review, the Review of Economic Studiesほかに発表、また多くの書籍を刊行している。経済成長と所得および富の分配についての、重要な歴史的・理論的研究を行ってきた。特に、国民所得に占める所得上位層の割合の長期的推移に関する研究を先導している。これは現在、世界最高所得データベース(World Top Incomes Database)で入手可能。(以上、著者のホームページより)

識者・著名人のコメント:
「本年で、いや、この10年で、最も重要な経済学書になると言っても過言ではない」ポール・クルーグマン(プリンストン大学教授)

「この事実の確立は、政治的議論を変化させる、ノーベル賞級の貢献だ」 
ローレンス・サマーズ(ハーヴァード大学教授)

「かれの研究が、スマートな人たちを富と所得格差の研究に惹きつけることを望む」(ビル・ゲイツ)
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『巴里で逢った人』

2014年12月12日 | 新刊書(国内)
サンド学会会員の秋元千穂先生がお書きになられた新刊小説です。

秋元千穂 著『巴里で逢った人』Rencontres à Paris 文芸社 2014

最後の元老、西園寺公望ら19世紀末の芸術家。
政治家の濃密な関係を描いた小説。


昭和12年、最後の元老、西園寺公望はパリでの青春時代を思い出す。
当時、友人の光田、サロンの女主人と、切なくも幸せなときを過ごした。
半世紀以上前の秘密に西園寺を引き戻したのは、一通の手紙。光田の遺児、
東屋三郎と、ジュディット・ゴーティエを慕うシュザンヌに関わることだった。
綺羅星のごとく並ぶベル・エポックの芸術家、政治家を背景に繰り広げられる人間ドラマ。


http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=10071870&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1
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「シンデレラ」:ポリーヌ・ヴィアルド

2014年12月11日 | 手帳・覚え書き


http://www.culturenow.gr/31171/cendrillon-ths-pauline-viardot-sto-skrow-theater?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter
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第36回「女性作家を読む」研究会

2014年12月10日 | 手帳・覚え書き

「女性作家を読む」会では、下記の通り研究会を開催いたします。

期日:2014年12月27日
場所:跡見学園女子大学・文京キャンパス・三階小会議室
時間:14時~17時

発表と議論:
 テーマ: 翻訳「マリア・ドレームMaria Deraismes
         (1828-1894)」
 発表者: 岡部杏子(早稲田大学)









草稿の検討・議論:
 ジャン・ショヴァン Jeanne Chauvin
 マリア・ヴェローヌ Maria Vérone
 マルガリット・ディラン Marguerite Dilhan
 ポール・ルネ・ピニェ Paule René Pignet


           (コーディネーター・司会 西尾治子)





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Pauline Viardot Haí Lulí; Ceclia Bartoli

2014年12月09日 | 手帳・覚え書き
画像はショパンとポリーヌ・ヴィアルドです。

1844年、サンドのノアンの城館にて。
デッサンはサンドの息子モーリスによるもの。彼もポリーヌに恋していました。


https://www.youtube.com/watch?v=na1gMRcWI5U&feature=youtu.be&a
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女性学講演会:スタール夫人『コリンヌ』

2014年12月08日 | セミナー


女性学講演会(大阪府立大学女性学研究センター、人間社会学部「文学とジェンダー」共同研究プロジェクト共催)

開催日: 2014年12月13日(土)14時~17時
場所 :大阪府立大学 I-site なんば2階

コーディネーター 村田京子 《案内》第18期女性学講演会「女性学・ジェンダー研究の現在」
第1部第2回「文学とジェンダー」を開催いたします。今年度は、フランス・フェミニズムの先駆者として名高いスタール夫人の著作『コリンヌ』を取り上げます。『コリンヌ』は、優れた女性の悲劇を扱った物語として有名ですが、主人公二人がイタリア各地(ローマ、ナポリ、ヴェネツィア、フィレンツェ)を巡る旅物語でもあります。本講演では、舞台となるイタリアに焦点を当てながら、スタール夫人の女性像を探っていきたいと思います。

14時~15時       :「終わりの予感―『コリンヌ』のヴェネツィア」 坂本千代 神戸大学教授

15時15分~16時15分 :「絵画・彫像で読み解く『コリンヌ』の物語」  村田京子

16時30分~17時    : 講演者との質疑応答

関心のある方はふるってご参加下さい。(詳細は講演会ポスターをご参照ください)
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第35回「女性作家を読む」研究会・報告

2014年12月07日 | 手帳・覚え書き
大急ぎで書いたもので恐縮ですが・・・

 11月22日には、第35回「女性作家を読む」研究会が京都造形芸術大学にて開催され(コーディネーター・総合司会:吉川佳英子氏)、三点の発表がおこなわれました。

 岡尚子氏の「『摩擦する「母」と「女」の物語』をめぐって」は、本年出版され、本学会でも村田京子氏による書評が『女性空間』(日仏女性研究学会学会誌)に掲載されていますので、ご存じの方も多いことと思いますが、本発表はこのご本人の著書『摩擦する「母」と「女」の物語』に関するものでした。本書は19世紀を代表する様々な作家、シャトーブリアン、コンスタン、セナンクール、バルザック、ミュッセ、スタンダール、フロベールから20世紀のエクトル・マロやマルグリット・デユラスまで取り上げ, これら作家の小説を嚆矢とし、さらにはG.サンドの作品に現れる母と女あるいは男性性を検証し考察した膨大な研究(文科省科研費を獲得)を礎としています。19世紀のブルジョワ社会が理想とした「家庭の天使」が、いかに男たちのファンタスムであったか、さらにイヴ・セジウイックのクイア理論や、ルネ・ジラールのミメーシス理論を駆使し、登場人物たちの男性性を丁寧に分析、解説された本書は、ご本人も知らなかったそうですが、仏文学界で非常に著名でおられる小倉孝誠による極めて好意的な書評が雑誌『ふらんす』に掲載されたとのことでした。ここに付記させて頂きます。

 新實五穂氏は「京都服飾文化研究財団(KCI)の活動と所蔵品としての下着」と題する研究発表において、コルセットなどヨーロッパや日本の女性の下着の歴史的変遷を分析、検証されました。パワーポイントを使用して展開されたヴィジュアルな発表で、美しい衣装や補正下着など滅多に目にすることの出来ない非常に貴重な数々の関連資料を提示されました。とりわけ18世紀は医学的な器具、19世紀は補整下着、20世紀は自然な女性の身体表現として下着が身につけられたことなど、17世紀のボディスからコルセットを経てクリノリンに至るまで、デザイナーも多岐にわたり、それぞれの世紀の特徴を指摘されつつ発表を展開され、多くの参加者から沢山の質問が出されました。

 最後に「ジョルジュ・サンドはなぜポリーヌ・ヴィアルドにかくも傾倒したのかー作家と芸術家のジェンダー意識をめぐって」と題した西尾の発表は、本年の国際女性デーのテーマとして小林氏が取り上げられた女性作曲家ポリーヌ・ヴィアルドとサンドとの知られざる関係に関する発表でした。二人の往復書簡を基に、発表者が独自に作成したサンドとポリーヌの略年表に沿い、37年におよぶ相互交流の中で最も主要な事件を中心に解説、中でもサンドが1848年の二月革命の際に、友人の政治家ルイ・ブランやルドリュ・ロランが設立した共和制の臨時政府に協力し多くの政治的な記事を書いたことは知られるところですが、その彼女が「音楽の分野でも革命を!」とサンド称するところの「ラ・ヌーベル・マルセイエーズ」の作曲をポリーヌに促し、同時に政府にも積極的に働きかけ、遂にこの曲の大合唱が劇場の開幕式でおこなわれたこと、また、ルイ・ヴィアルドとの結婚は、ポリーヌにつき纏う詩人ミュッセ(サンド若かりし頃の恋人)をやっかい払いするためにサンドが画策したものであったといった諸事例に代表されるように、二人は実際の母娘以上であるかのような繋がりを通し、何よりも芸術と文学の融合を目指し理想を実現する関係であったことを多様な角度から考察しました。次いで、女性蔑視が激しかったとされるゴンクール兄弟の小説『ラ・フォスタン』をポリーヌが批判していることに着目し、ゴンクールの言説および当時の女性蔑視を支えていた「ナポレオン法典」の各条項さらにトマス・ラカーが主張する二項対立の二元論的科学思想「ツーセックス・モデル論」に言及、サンドとポリーヌに共通する男性性こそが、両女性における社会的文化的性差であるジェンダー思想の原点をなすものであり、ハルバー・シュタムの男性性に関するジェンダー理論に通底する現象が彼女たちに検証されることを指摘、最後にポリーヌはサンドにとってアルター・エゴであったという結論をもって「盛り沢山」との感想や多くの質問を頂戴した拙発表を終えたのでした。

 今後の研究会の活動に関しては、消費税の引き上げが延期されたことから、来年の秋前を最終目標としていた翻訳出版の時期に多少の余裕が出てきましたので、関西のパワフルな研究活動を鏡としつつ、関東、関西双方の研究会の連携を緊密に取り合いながら研究活動を進めていけますようにと願っている次第です。 
                                                             (文責:西尾治子)

https://archive.org/stream/lafaustin00gonciala#page/n5/mode/2up

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ピアノと物語『ジョルジュ』

2014年12月06日 | 手帳・覚え書き
ピアノと物語『ジョルジュ』
ピアノの名曲の生演奏と俳優によるリーディング


日時
2014年 12月23日(火/祝)14:00開演
12月24日(水)19:00開演
12月25日(木)14:00開演
会場
座・高円寺1
杉並区高円寺北2-1-2
TEL 03-3223-7500

チラシをクリックして拡大
(PDF 1.9 MB)
出演
竹下景子
真那胡敬二
清塚信也(ピアノ)
料金
全席指定
12月23日(火/祝) 3,500円
12月24日(水) 2,500円
12月25日(木) 3,500円

お問い合わせ
実行委員会事務局 TEL 078-230-9774
株式会社アイ・バーグマン 担当:矢口真弓
受付時間 10:00~18:00(土・日・祝日除く)
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Les Romans de la Révolution 1790-1912 -

2014年12月05日 | 手帳・覚え書き
Je signale à votre attention la parution de l’ouvrage dirigé par Aude Déruelle et Jean-Marie Roulin, Les Romans de la Révolution. 1790-1912 (Armand Colin). Il y est en effet beaucoup question des Chouans... Vous trouverez une présentation de son contenu et de son sommaire à cette adresse :

http://www.armand-colin.com/livre/594418/les-romans-de-la-revolution-1790-1912.php
Les Romans de la Révolution 1790-1912 - livre - Editions Armand Colin.

www.armand-colin.com
Les Editions Armand Colin présentent le livre Les Romans de la Révolution 1790-1912 -


Merci Cathy!




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Les Maîtres sonneurs ... George Sand LIVRE AUDIO FRANCAIS

2014年12月03日 | 手帳・覚え書き

Les Maîtres sonneurs ... George Sand LIVRE AUDIO FRANCAIS
https://www.youtube.com/watch?v=t79Csw_M044



sentier maitres sonneurs parcours/pr-autour-du-sentier
http://www.sentiermaitressonneurs.com/d%C3%A9couverte-du-parcours/pr-autour-du-sentier/

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