漢方学習ノート

漢方医学の魅力に取りつかれた小児科医です.学会やネットで得た情報や、最近読んだ本の感想を書き留めました(本棚3)。

「アトピー性皮膚炎を治す漢方療法」

2008年09月16日 21時59分35秒 | 漢方
田中盛久著、1995年、池田書店発行。

西洋医学のアトピー治療に限界を感じる今日この頃、漢方治療の本はないものか・・・そのものズバリの題名の本を見つけました。
著者は日本漢方のメッカの一つである北里研究所の先生です。アトピー性皮膚炎の漢方療法について具体的に、そして微に入り細に入り懇切丁寧に解説しています。これほど詳しく、そしてわかりやすく書かれた内容は専門書でもあまりありません。ただ、盛りだくさん故、一般の方が読むと混乱しそうです。

西洋医学では治療ガイドラインが整備されており、アトピー性皮膚炎と診断されると、環境整備、スキンケア、薬物療法とやることが自ずと決まっています。
しかし、漢方ではアトピーと診断しても、「ではこれを使えばOK」という薬の名前がすぐには出てきません。
なぜかというと、漢方医学には「アトピー性皮膚炎」という病名・概念が存在しないのです。
ですから、患者さんの皮膚の状態や体質により適応する方剤を選択していくことになりますが、これが難しい。
適応可能な薬の数は軽く10種類を越えます。
さらに著者は日本の伝統的な漢方医学ではアトピーを捉えきれないことを認め、中国古来の「中医学」の概念を一部当てはめて解説しています。
今まで喉につかえていたものが取れた思いでした。
やはり、ここまで理解しなければダメだったのか、と納得しました。
コメント
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