今回の講師は佐藤浩子先生(群馬大学 救命・総合医療センター 和漢診療科)。
オーソドックスでわかりやすい講演には定評があります。
実はこのセミナー、昨年の2月に企画されたモノなのですが、大雪のため中止となり、今年に延期された経緯があります。
漢方診断学の概要を解説し、実習形式で「便秘」を主訴とする患者さんを診察し、思考過程と選択した方剤を発表するという内容がメインでした。
スライドは寺澤先生の『症例から学ぶ和漢診療学』からの引用が多かったですね。
私にとって、理解不十分だったところが明確化し、日頃抱いていた疑問がいくつか解消し、高崎まで出向いた甲斐がありました。
・八綱分類の「陰陽」と「六病位」は関係するのか → YES
・舌診の概要;
寒熱:寒では青色、熱では赤、舌苔は寒では白、熱では黄色→ 茶色→ 黒色
気虚:淡白色、大きく厚い、ときに歯根
血の異常:血虚では淡白色で小さくしまる、瘀血では暗赤色/瘀斑
水の異常:水滞では舌形は大きく厚く/舌苔は厚く湿った苔、陰虚では舌は薄く苔はない
・・・気虚と水滞の違いがよくわからない?
◇ 症候の意味するところ
・「盗汗(寝汗)」は「虚」
・「物事に驚きやすい」は「気虚」and「気逆」
・「手に汗握る」は「気逆」
・「爪のもろさ」は「血虚」
・「筋緊張(こむらがえり、腹直筋攣急)」は「血虚」
・「めまい、車酔い、立ち眩み、天候により悪化」は「水滞」
・「コロコロ硬い便」は「陰虚」(血虚を含む)・・・陰虚とは水が足りない状態
・こどもの「くすぐったがり屋」は「胸脇苦満」
・「腹部大動脈の拍動」は3種類
→ 「虚証の顕著な時(腹壁が薄く軟弱な人)」・・・補中益気湯/真武湯/桂枝加竜骨牡蛎湯
→ 「煩驚」(心肝火旺)・・・柴胡加竜骨牡蛎湯(実証)/柴胡桂枝乾姜湯(虚証)
→ 「水滞」・・・苓桂朮甘湯/五苓散/半夏白朮天麻湯
・腹壁の冷感は2種類;
心下・・・人参湯
臍周囲・・・大建中湯
「便秘」患者の実習は、シナリオを佐藤先生が作り、それに合致した製薬会社の社員がモデルを務めるという形式でした。
なので、シナリオ通りといかないところがご愛敬。
我々のグループの前に現れた中肉中背の中年男性が「私は47歳の女性です」と言い出した時は唖然としてしまいました(苦笑)。
「急性扁桃炎はほとんどが細菌感染症」との説明に、小児科医の私は違和感。
現在では、白苔が付着するような扁桃炎は、溶連菌以外はアデノウイルスやEBウイルス等のウイルス感染が多く、溶連菌迅速検査が陰性の場合は抗菌薬の適応にならないというのが一般的です。
風邪の解説では、傷寒論に限定せず、温病論も合わせて柔軟に考えていました。温病に対する方剤の一つとして小柴胡湯を取りあげ、「胃腸障害を生じにくい消炎解熱薬」として説明されました。
最後の「疼痛疾患」では・・・睡魔に負けてしまいました。すみません。
オーソドックスでわかりやすい講演には定評があります。
実はこのセミナー、昨年の2月に企画されたモノなのですが、大雪のため中止となり、今年に延期された経緯があります。
漢方診断学の概要を解説し、実習形式で「便秘」を主訴とする患者さんを診察し、思考過程と選択した方剤を発表するという内容がメインでした。
スライドは寺澤先生の『症例から学ぶ和漢診療学』からの引用が多かったですね。
私にとって、理解不十分だったところが明確化し、日頃抱いていた疑問がいくつか解消し、高崎まで出向いた甲斐がありました。
・八綱分類の「陰陽」と「六病位」は関係するのか → YES
・舌診の概要;
寒熱:寒では青色、熱では赤、舌苔は寒では白、熱では黄色→ 茶色→ 黒色
気虚:淡白色、大きく厚い、ときに歯根
血の異常:血虚では淡白色で小さくしまる、瘀血では暗赤色/瘀斑
水の異常:水滞では舌形は大きく厚く/舌苔は厚く湿った苔、陰虚では舌は薄く苔はない
・・・気虚と水滞の違いがよくわからない?
◇ 症候の意味するところ
・「盗汗(寝汗)」は「虚」
・「物事に驚きやすい」は「気虚」and「気逆」
・「手に汗握る」は「気逆」
・「爪のもろさ」は「血虚」
・「筋緊張(こむらがえり、腹直筋攣急)」は「血虚」
・「めまい、車酔い、立ち眩み、天候により悪化」は「水滞」
・「コロコロ硬い便」は「陰虚」(血虚を含む)・・・陰虚とは水が足りない状態
・こどもの「くすぐったがり屋」は「胸脇苦満」
・「腹部大動脈の拍動」は3種類
→ 「虚証の顕著な時(腹壁が薄く軟弱な人)」・・・補中益気湯/真武湯/桂枝加竜骨牡蛎湯
→ 「煩驚」(心肝火旺)・・・柴胡加竜骨牡蛎湯(実証)/柴胡桂枝乾姜湯(虚証)
→ 「水滞」・・・苓桂朮甘湯/五苓散/半夏白朮天麻湯
・腹壁の冷感は2種類;
心下・・・人参湯
臍周囲・・・大建中湯
「便秘」患者の実習は、シナリオを佐藤先生が作り、それに合致した製薬会社の社員がモデルを務めるという形式でした。
なので、シナリオ通りといかないところがご愛敬。
我々のグループの前に現れた中肉中背の中年男性が「私は47歳の女性です」と言い出した時は唖然としてしまいました(苦笑)。
「急性扁桃炎はほとんどが細菌感染症」との説明に、小児科医の私は違和感。
現在では、白苔が付着するような扁桃炎は、溶連菌以外はアデノウイルスやEBウイルス等のウイルス感染が多く、溶連菌迅速検査が陰性の場合は抗菌薬の適応にならないというのが一般的です。
風邪の解説では、傷寒論に限定せず、温病論も合わせて柔軟に考えていました。温病に対する方剤の一つとして小柴胡湯を取りあげ、「胃腸障害を生じにくい消炎解熱薬」として説明されました。
最後の「疼痛疾患」では・・・睡魔に負けてしまいました。すみません。