漢方学習ノート

漢方医学の魅力に取りつかれた小児科医です.学会やネットで得た情報や、最近読んだ本の感想を書き留めました(本棚3)。

「第16回東京小児漢方勉強会」へ参加しました。

2014年10月10日 07時23分29秒 | 漢方
 数少ない小児漢方の勉強会(群馬県にはありません)。
 初秋の夜、はるばる群馬県から参加しました。

 今回のテーマは「建中湯類の使い方」。
 はじめに聖マリアンナ医科大学の崎山武志先生のレクチャーがあり、その後に参加者の経験例が提示されディスカッションという形式でした。

 建中湯類は「子どもの健康を底上げする」方剤で、小児科で頻用処方です。
 私も毎日のように処方しています。
 いくつか収穫がありました。

 帰りの電車までに時間の余裕があったので浅草寺界隈を散策して帰ってきました。














<メモ>
・建中湯類の君薬は「膠飴」(コメを蒸して麦芽で糖化して作った飴)。
・「膠飴は小麦アレルギー患者には要注意」といわれているが、ツムラのエキス剤では小麦は使われておらず安全。しかし煎じ薬で本物の膠飴を使用する際は危険。
・膠飴の薬効は「急迫症状の緩和、疼痛を治し、滋養」。甘草と似るが、甘草には「滋養」がない。
・黄耆建中湯は小建中湯証で盗汗(寝汗)、自汗する者を治す(吉益東洞)。前者は表裏の虚損(虚労)を目標に黄耆が加味され、後者は裏急を目標(大塚敬節)。
・小建中湯の証は、桂枝加芍薬湯証の病変が主として腹腔内臓器に限局されるのに対し、さらに全身的な虚の状態に進んだもので漢方医学ではこれを虚労と表している(細野史郎)。
・黄耆には「強壮の効」があり、「肉芽の発育」を促し、「盗汗を止め」「血圧を調整」「皮膚の栄養を良くする」の効がある。黄耆建中湯は、大病後、盗汗の止まらないもののほかに、下肢潰瘍、肛門周囲炎(~肛門周囲膿瘍)、術後の創口癒合がわるいもの等によく用いられる(大塚敬節)。
・アトピー性皮膚炎に黄耆建中湯を用いて効果不十分な場合、桂枝加黄耆湯へ変更するとより有効になることがある。方剤のベクトルが消化管から表(皮膚)に向くからである。
・「くすぐったがり屋」は腹直筋緊張緊張、神経過敏、胸脇苦満の要素がある。まず建中湯類を試し、効果不十分なら柴胡剤を試してみてはどうか。
コメント
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