漢方学習ノート

漢方医学の魅力に取りつかれた小児科医です.学会やネットで得た情報や、最近読んだ本の感想を書き留めました(本棚3)。

「進化する現代漢方」(太田黒義郎著)

2013年09月13日 06時15分39秒 | 漢方
看護の科学社、2011年発行。

漢方薬の啓蒙本です。
太田黒先生は「水毒」を特に重視している様子。
系統的に勉強した医師以外では自分の経験が色濃く残りますが、太田黒先生も例に漏れず、自分の奥さんのつわりに五苓散が著効したところからキャリアが始まっているようです。
細かい証よりは患者さんをタイプに分けて処方を考慮していますが、読む方としては説得力が今ひとつでしょうか。
アトピー性皮膚炎の項目もあり参考にしたかったのですが「どうしてこの方剤を選んだのか、効かない場合はどう考えて次に何を選ぶのか」という思考過程が見えないので、経験談に終わっている印象がありました。

ただ、「主訴をあえて無視して、その患者さんにどの方剤が合うのか考えるのを基本としている」という視点には目から鱗が落ちました。
病名漢方から抜け出せずにいる初級者の私には、よきアドバイスです。
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「直伝!Dr.守屋素人独学漢方」

2013年09月10日 06時38分03秒 | 漢方
 これから漢方を勉強しようとする医師向けのDVD講義集(全2巻)です。
 企画・制作は「ケアネット」。Amazonで購入しました。

 収録時間は各巻1時間強と短め。この時間内で漢方入門知識を得られるのかなあ、と半信半疑で視聴しました。

 結論から申し上げると、講義内容は秀逸だと思います。
 独特の切り口で「理論よりもまず実際に使ってみること」を優先して最低限必要な情報を提供しており、手応えがあれば自分で世界を広げられるよう誘導しています。
 また、初心者がつまずきやすい副作用の対策についても注意を喚起しているところも好ましい。
 まさに、「漢方入門」としてよい教材になると感じました。

 ただ、座っているだけの受講者や、調子の狂う効果音はいただけません・・・。
 それと価格がちょっと高いのが玉にきず(1万円あれば立派な成書が入手できますので)。

※ 私は同じくケアネットの浅岡先生のDVDシリーズで漢方を勉強した口です。
■ 「明解!Dr.浅岡の楽しく漢方」1~6巻
■ 「明解!Dr.浅岡のもっと楽しく漢方」1~5巻
 各巻200分以上のヴォリュームがあります。
 西洋医学的思考回路ができあがっている私世代の医師には、とても頭に入りやすい解説でお勧めDVDです。
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