漢方学習ノート

漢方医学の魅力に取りつかれた小児科医です.学会やネットで得た情報や、最近読んだ本の感想を書き留めました(本棚3)。

「おいしさを科学する」(伏木 亨 著)

2013年07月21日 06時51分38秒 | 食育
2006年、筑摩書房(ちくまプリマー新書044)

たくさんの著書があり、「うま味博士」との呼ぶべき京都大学教授の伏木先生の一般向け啓蒙書です。
前項「味と香りの話」という科学啓蒙書を読んだ後なので、エッセイ風のこちらはわかりやすいのですが少々物足りなくも感じました。
話題も散漫でまとまりが今ひとつ、内容の重複もあるのが玉にきず。

しかし、ダシ文化への考察は伏木先生ならではで、その見識の広さには脱帽します。
グルタミン酸を中心とするうま味文化は日本だけのものではなく世界中に存在する(イタリアのトマトもグルタミン酸のおいしさ)とか、日本の京料理は新鮮な魚が手に入らなかったのでダシを極める方向で発達してきたとか、うんちくは数知れず。
それから「ラーメンとカレーもダシ文化としての和食である」と喝破している項目を興味深く読みました。
確かにラーメンは油よりコク、カレーも香辛料の辛さよりコクを求める傾向があり、ウンウン頷く私でした。

子どもたちにダシ文化をしっかり教え込むことは将来の日本人の健康にとって大切なこと」という提案には大賛成です。
日本の子どもたちへの食育の肝ですね。

まあ、楽しくさらっと読むには手ごろな本だと思います。

メモ

・日本は古来農業国であり、畜産や酪農の歴史は浅く、昭和中期までは肉や乳製品などは手に入りにくかった。宗教上の理由から魚や鶏以外の肉食がタブー視されていた明治以前でも肉や乳製品が全く食べられなかったというわけではないが、主役は明らかに穀類や野菜などの植物性食材である。
 魚や鶏、卵は昔からの日本の代表的な動物性食品であるが、牛や豚、ウマなどの体臭を含めた動物的な味わいに比べるとあまりに淡白である。動物性の脂の旨さなど、動物性食品では野菜では作り出せないおいしさがある。

・仏教の禅宗の料理は動物性の食材を使わない。しかし野菜やウナギを肉や魚などあらゆる動物性の食材に似せて料理する食の芸術がある。このような芸術が発達したのは、動物性食材が食べたいという熱意と執着が背景にあったからであろう。僧侶達の切ない欲求が感じ取れる。

・カツオだしは植物性の食材を動物性の味わいに変えてくれる。肉が手に入らない昔の日本でダシの文化が花開いたのは偶然ではない。動物性の味が必要だったからである。
 日本のカツオだしの文化は、室町時代からの伝統を持つ味覚の文化である。宗教的な制約や牧畜民族ではなくて農耕民族であったことなど、多くの偶然が重なって、油脂を多用せずにダシのおいしさで満足する文化が生まれた。現代人の健康という面から見れば非常に幸運な偶然である。
 多くの国では満足感を得るために油脂を大量に摂取する。デザートには砂糖などもよく使う。いずれもやみつきになる食品である。一方、日本型のやみつき肝はダシの香りとうま味で達成できるのである。

・アメリカ人は日本のカツオだしの風味が大嫌い。魚臭いという。日本の海苔の風味は世界各国の人が嫌がる。

・油脂と砂糖水とうま味は脂肪・糖質・蛋白質の三大栄養素の味だ。新生児の舌の上に甘味やうま味溶液を滴下すると幸福感の表情を見せる。油脂については、ドイツでは夜泣きする赤ん坊に油をなめさせてなだめる習慣があるそうだ。砂糖水でもよいが母親は子どもの虫歯が気になるので油脂が使われたという。
 我々の研究では、砂糖と油脂は脳内にβ-エンドルフィンを分泌させる食材である。そしてダシのおいしさも砂糖や油脂と同じくβ-エンドルフィン分泌を刺激する。

・ダシがおいしいのは生きるために必要なアミノ酸が豊富に含まれているからだ。おまけに核酸もある。生命維持に大切な塩分も最適な濃度に加えられている。
 なぜダシに人間に必要な成分が濃縮されているのか。答えは簡単である。ダシの原料も生物だったからである。人間の体を構成する二十数種類のアミノ酸とダシに含まれているアミノ酸の種類は同じである。人間の遺伝子の主成分である核酸の基本的な成分はダシのうま味を構成する核酸と同じである。

・人間が最初に味わうダシは「胎児期の羊水」であると味の素の研究グループは述べている。同グループは実際に人工的に母親の羊水を合成した。貝の潮汁のような味がするという。

・ダシのうま味は適度の塩味があって初めておいしいと感じる。その適度な濃度は動物の血液の塩分濃度に近い範囲にある。お吸い物の好ましい塩分が0.8-1.0%程度というのは血液の塩分濃度とほぼ一致する。

・日本人が日本食やカツオだし・昆布だしを好きなのは親たちに教えられたからである。大人が教えなければ、アメリカ人と同じく日本のダシのおいしさは生涯わからない。
 日本の伝統であるダシを酢気になることは、大人になってからの健康にとっても好ましい。ご飯とダシを中心とした日本の伝統的な食事は、欧米の標準的な食事に比べてカロリーが少なく、脂肪含量が低く、食物線維は多いなど、生活習慣病のリスクとなる要因が少ない。ダシのおいしさを知る人間は日本の食事を好む。だから、将来の健康のためにも、ダシのおいしさを知ることは大事なのである。

・ラーメンは和食である。全国的なラーメンの流行は、私は出し文化の最先端であると捉えている。最初は焼き豚や背脂をふんだんに利かせて、油のうま味を楽しむ食のようであったラーメンであるが、近年和風ダシを意識したものが増えてきた。こってりした脂にやや食傷した人々は、あっさりしながらもコクの深いダシのうま味を求めるようになってきたのである。
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「味と香りの話」(栗原 堅三 著)

2013年07月19日 21時32分10秒 | 食育
1998年、岩波書店(岩波新書563)

 「漢方エキス剤の子どもへの飲ませ方」を探求する過程で、なぜ苦い薬・酸っぱい薬が飲みにくいのか、素朴な疑問が生まれました。
味と香りについてもう少し知りたいと思い、手ごろな本はないかと探したところ、この新書に出会いました。

 発行が1998年なので味覚受容体の知見等が少し古い印象がありますが、専門的なことを比較的わかりやすく解説されており、いろいろ勉強になりました。

 一番興味を持って読んだ箇所はp212からの「苦味マスキング剤」です。
 「良薬口に苦し」ということわざを以下のように解説しています;

・苦味物質には親油性基を持つという特徴がある
・親油性の大きい物質ほど低濃度で苦味を呈する傾向がある
・親油性薬物ほど薬理作用が強いものが多いので多くの薬は苦いことになる
 とのこと。

 著者の研究室で代表的な苦味物質であるキニーネを用いた実験で、先にリポたんぱく質で処理しておくと苦味反応が消えることを発見し、更に研究・分析したところ、リポたんぱく質の脂質部分が苦味物質の結合部位を占拠することにより阻害することを推察しています。

 やはり苦味を消すヒントは「油」にあったのですね。

メモ
 自分自身のための備忘録。

味の生物学的意義(p2)
 味は栄養物を食べやすくし有害物質から身を守る役目を持っている
(甘味)糖のシグナル
(うま味)蛋白質のシグナル
(塩味)ミネラルのシグナル
(酸味)腐敗物のシグナル
(苦味)毒物のシグナル

 甘味、うま味、塩味は栄養物のシグナルであり、動物はこれらの味を好む。
 蛋白質自身には例外を除いて味がない。しかしアミノ酸には味があり、蛋白質が存在するところには遊離アミノ酸が存在するのでアミノ酸の味は蛋白質のありかを知らせるシグナルの役割を果たしている。
 腐敗物を食べると食中毒を起こすのは腐敗菌の出す毒素のせいであるが、毒素は蛋白質であり味がない。動物は味覚でどく蛋白質を拒否することができず、腐敗物の酸っぱい味で毒素のシグナルを代用している。
 もっともハイエナのように死んだ動物の腐った肉を好んで食べる動物もいる。彼らは腐敗菌の出す毒素を解毒する強い免疫力を持っているため平気なのである。
 未熟な果物は酸っぱい。植物は未熟な果実を動物に食べられないように酸味で防御している。
 生まれたての赤ちゃんに味のある溶液を舐めさせるといろいろな表情をする。甘味やうま味や適度に塩味のある溶液を舐めさせるとおいしそうな表情をするが、酸味や苦味溶液を舐めさせると顔をしかめて拒否する。
 動物は酸味や苦味のあるものは警戒して食べないが、酸そのものが体に悪いわけではないし、苦いものが全て毒だとは限らない。ヒトは長い間の経験でこういうことをよく知っているので、酢の物のような酸っぱいものや、コーヒーやビールのような苦いものを楽しむ習慣ができてきた。

食べ物の味はアミノ酸で決まる(p7)
 料理ではよく酢や糖を使って酸っぱい味や甘い味を出す。ところが自然の食物の中で酸っぱいものは果物と特殊な野菜くらいで、もともと酸っぱい食物は多くない。糖はいろいろな果物やサツマイモやカボチャのような植物性の食物には含まれているが、甘味のある食物はそんなに多くない。肉、魚、海産動物の食物には、グリコーゲンのゆおうな味のない糖は含まれているが、甘味を持つ糖は含まれていない。
 このように、大部分の食物の味には、酸や糖はあまり主要な貢献をしていない。じつは、ほとんどの食物の味は、そこに含まれる遊離アミノ酸とうま味物質(グルタミン酸ナトリウムやイノシン酸アトリウム)と塩で決まっている
・グリシン、アラニン ・・・ 甘味
・ロイシン、トリプトファン ・・・ 苦味
・グルタミン酸 ・・・うま味
・アルギニン、メチオニン ・・・ 苦味アミノ酸と分類されているが、ただ苦いというだけではなく、独特ないやみのある味をもっている。
 アミノ酸には光学異性体が存在する。蛋白質に組み込まれているアミノ酸はL形でありいろいろな味をもっている。一方、D形アミノ酸のほとんどは甘味をもっている。

食塩により味が強くなる(p11)
 イヌを使った味覚実験では、アミノ酸溶液に食塩を添加すると、味神経応答が数倍に大きくな児子とが観察され、ヒトでも同じ結果が得られた。おもしろいことに、食塩の濃度が高すぎると増強効果は逆に小さくなった。

アミノ酸文化(p14)
 アミノ酸、うま味物質、食塩は食べ物の味に重要な役割を果たしている。これら3つの役者を有効に使っているのが味噌と醤油である。
 味噌も醤油も穀物を発酵させてつくるが、発行中に穀物の蛋白質が分解するので大量の遊離アミノ酸を含んでいる。グルタミン酸は植物性の蛋白質中に最も多く含まれているアミノ酸である。味噌や醤油には食塩が入っているので、これがアミノ酸の味を引き出すのに役立っている。
 魚に食塩を加えて発酵させた塩辛もまた遊離アミノ酸とうま味物質と食塩を含んでいる。塩辛の発酵がさらに進んで液状になったものが魚醤である。東南アジアでは魚醤が調味料の主力である。

「うま味」の発見(p16)
・1908年(明治41年)東京帝国大学理学部の池田菊苗教授がコンブのダシ成分を抽出し、ダシの美味しさの成分はグルタミン酸の塩であることを発表し、この物質のもっている独特の味を「うま味」と命名した。
・1913年、池田教授の弟子である小玉新太郎博士はカツオブシのうま味成分がイノシン酸の塩であることを発見した。
・1957年、ヤマサの国中明博士がグアニル酸の塩がうま味をもっていることを発見した。後になって、グアニル酸の塩はシイタケのうま味成分であることが明らかになった。
グアニル酸を含む食材:キノコ類
 シイタケ、マツタケ、エノキダケなど

グルタミン酸を含む食材:動物・植物を問わずいろいろ
 コンブ、チーズ、お茶、海苔、イワシ、イカ、トマト、ジャガイモ、白菜など
イノシン酸を含む食材:総じて動物性食品に多い
 煮干し、カツオブシ、シラス干し、アジ、サンマ、タイ、豚肉、牛肉、エビ、カニなど

魚をおいしく食べるには?
 ・・・ハマチの場合、イノシン酸は死後3-4時間から急速に増加し、8-10時間後に最大値に達する。魚の種類にもよるが、活きじめした魚はこのくらいの時間寝かせた方がおいしいと言われるのはこのため。

肉をおいしく食べるには?
 ・・・鶏肉の場合は畜殺した後冷蔵庫で4-8時間保存するとイノシン酸含量がピークに達するが、豚肉の場合は畜殺誤日、牛肉の場合は7-10日後にイノシン酸含量が最も多くなる。

うま味の相乗作用(p21)
 グルタミン酸とグアニル酸あるいはイノシン酸を混ぜると、うま味が著しく増強される。
 コンブをふつうの方法で煮出して作ったダシには、うま味を示すほどグルタミン酸は入っていない。カツオブシで作ったダシの中にも、イノシン酸はそんなに高濃度に入っていないのでほとんどうま味を感じない。ところが、コンブとカツオブシの両方を使って作ったダシは、うま味の相乗作用のため強いうま味がする。
 昔からダシを取るにはコンブ+カツオブシ(または煮干し)が使われていたのはまことに理にかなっている。
 西洋のスープ・ストック(ブイヨン、フォン)も鶏ガラ、牛のすね肉、魚のアラなどに野菜を加えたものが使われており、中華料理でも鶏ガラ、豚の骨付き肉、干しエビなどに野菜を加えてダシを取る。いずれもうま味の相乗作用を最大限に利用していることになる。

ミツバチの階級社会はフェロモンで維持されている(p78)
 ミツバチのコロニーは、一匹の女王バチ、数匹の王バチ、数千から数万の働きバチから構成されている。
 働きバチは元来メスであるが、その卵巣の働きが抑えられているので、メスとしての働きは失われている。文字通り、ひたすら労働奉仕をするのである。
 女王バチは自分の体から女王フェロモンと呼ばれる物質を放出し、匂いで階級社会を維持している。女王フェロモンは多くの化合物の混合体であるが、その主成分は末端にカルボン酸を持つ化合物である。
 女王フェロモンの第1の役割は、働きバチを刺激して絶えず働かせることにある。働きバチは女王バチの生んだ幼虫を育てるための巣を作り、そこでハチを育て、餌を探し、貯食をし、ひたすら働き続ける。もし、十分な女王フェロモンが行き渡らないと、働きバチは途端に怠けて職場放棄をしてしまう。
 女王フェロモンの第2の役割は、新しい女王バチが現れないように、働きバチの卵巣の働きを抑制し、卵を産まないようにすることにある。事実、女王バチガスからいなくなると、女王フェロモンの支配がなくなるので、働きバチの卵巣が発達し産卵が開始される。本来、女王バチになる卵も働きバチになる卵も同じであるが、どちらになるかは幼虫に与える食事(ロイヤルゼリー)で決まる。
 女王フェロモンの第3の役割は、オスに対する誘因効果である。女王バチガスを飛び出して肥厚すると、オスが女王フェロモンをかぎつけて女王バチに追いつき交尾する。一度の交尾により生涯受精卵を何万個も生むことができるほど十分な精子を得る。

汗のニオイとフェロモン(p89)
 アカゲザルのメスは、発情期に膣からフェロモン様の物質(カプリン)を分泌する。オスはこの分泌物の匂いを嗅ぐと興奮して交尾行動をとる。カプリンの実体は、五種類の脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、イソ吉草酸)の混合物であった。この五種類の脂肪酸は、ヒトの汗にも含まれており、ヒトにとってはむしろイヤな匂いをもっている。
 ヒトの腋の下にはアポクリン腺(汗腺の一種)が高密度に分布している。多くの哺乳類ではアポクリン腺はフェロモンのような化学信号の分泌腺として働いている。ところで、アポクリン腺からの分泌物は分泌時には匂いがしない。分泌五しばらくすると、皮膚の表面にいる微生物(バクテリアと酵母)の作用で代謝されて匂いを発生する。女性の甘い香りも、足の臭いニオイも、分泌物の成分と微生物の種類の組み合わせにより生じるのである。口臭もまた、口内微生物の代謝産物からくる。

乳児の味覚機能(p110)
 ヒトの場合、胎生12週目には成人と同じような形態をした味蕾ができる。胎児は羊水を規則的に飲んでおり、羊水中にサッカリンが注入されると飲み込む回数が増えるという。胎児は胎生3~9ヶ月で味を感じる能力を獲得すると考えられている。
 イスラエルのJ.スタイナーは、新生児に色入りな味溶液を与えた時の表情を観察した。ショ糖液を与えると顔がゆるみ飲む行動をする。酢酸溶液やキニーネ溶液を与えると、口をすぼめて溶液を飲むことを拒否する。このようにショ糖を好み、酢酸やキニーネを嫌う挙動は、無脳症や水頭症といった大脳に障害のある新生児でもみられる。つまり、甘味を好み酸味や苦味を嫌う機能は、学習で獲得する機能ではなく、生得的に備わった反射的な機能である。
 幼児では、味蕾は舌の上だけでなく口の中の粘膜にも広く分布するようになる。

苦味物質(p139)
 塩味、酸味、うま味、甘味などの味をもっている化合物の種類は限られており、そんなに多くない。これに対して苦味のある物質の数は圧倒的に多く、その化学構造もまことに多種多様である。
 塩の中にも硫酸マグネシウムや塩化マグネシウム(にがりの成分)のように強い苦味のするものがある。
 植物には、強い薬理作用を持つアルカロイドという一群の物質が含まれているが、ほとんどのアルカロイドは強い苦味をもっている。植物に含まれているテルペンと呼ばれる化合物の中にも苦いものが多い。ホップ、ミカンの皮、センブリなどの苦味成分はいずれもテルペンである。
 L形のロイシンやフェニルアラニンのような親油性基をもつアミノ酸も苦い味がする。
 発酵食品には酵素の作用で蛋白質が加水分解してできるペプチド(アミノ酸がつながったものであるが蛋白質より分子量が小さい)が含まれている。ペプチドのうち、末端に親油性のアミノ酸があるものは強い苦味をもっている。蛋白質を加水分解してつくる食品では、こうした苦味ペプチドを取り除いたり、精製させないようにすることが重要な課題である。
 このように、苦味を持つ物質は多種作用であり、苦味物質の化学構造上に共通性を見いだすのは困難である。苦味物質で最も特徴的なことは親油性基を持つことである。親油性の大きい苦味物質ほど、低濃度で苦味を呈する傾向がある。

甘草の甘味成分はグリチルリチン(p149)
 南アメリカや中央アジアで栽培されている甘草の根には甘い成分が含まれている。この成分はグリチルリチンと呼ばれるトリテルペン配糖体である。グリチルリチンには薬理作用もある。
 グリチルリチンはショ糖の50-100分の一の量で同じ強さの甘味を示す、いくぶんイヤな後味が残るのでその使用には限界がある。現在は味噌、醤油、タバコなどの甘味剤として使われている。

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「小児科漢方16の処方」(黒木春郎 著)

2013年07月14日 07時49分44秒 | 漢方
2013年、中外医薬社発行

漢方医学の簡単な解説と、小児によく使用される方剤16種を概説した初心者向けの啓蒙書です。
確かにわかりやすいのですが、初心者→ 初級者レベルの私の視点からすると、物足りない。
何が足りないかって、「次の一手」の解説がないのです。

提示されているエキス剤を使用し、ビギナーズラックで良く効いた例は、まあいいです。
しかし、初心者の平均打率は5割いかないと思われ、必ず「飲んでくれない」「処方したけど手応えがない」という壁にぶつかります。
すると、この本では先に進めなくなり役割終了、ということになってしまいます。

私は臆病者なので、第2・第3選択薬が頭の中にないと、未知の漢方を処方する気持ちになりません。
まあ、別のより詳しい本を読めばいいのですが・・・。
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