葛谷 雅文先生(名古屋大学大学院医学系研究科 地域在宅医療学・老年科学分野教授)によるMedical Note掲載記事を読みました。
もともと動脈硬化とコレステロールの関係性など「過栄養」を中心に研究をしていた葛谷先生。しかし、世間で過栄養への啓発が活況になる中、低栄養で苦しむ高齢者がたくさんいることに気がつき、「高齢者の低栄養」について研究するようになったそうです。
最近糖質制限食に興味を持ち、プチ糖質制限をしている私の中に「和食は本当に健康によいのだろうか?」という素朴な疑問が生まれつつあります。
記事は私の疑問の一部に答えてくれる内容でした。
葛谷先生は「粗食が過ぎると低栄養化し、健康を損なう」「65歳まではメタボ対策を、75歳以上から低栄養対策を推奨」と記しています。
<備忘録>
■ 「飽食の時代」に忍び寄る高齢者の低栄養(2017.1.24)
・高齢者が低栄養化してしまう原因の1つは、高齢者が何らかの理由で十分な量の食事を摂れていないこと。
・加齢によって消化管の動きがやや鈍る程度のことはあっても、「慢性胃炎」などの消化器疾患を持たず、健康な方であれば消化機能が極端に弱まるということはない。
・1人暮らしの高齢者や、要介護認定を受けた配偶者の介護をしている高齢者の場合、自分の健康にあまり意識が向かず、食事がおざなりになってしまうことも多い。
・理由はわからないけれど「食べれない・食べる気がしない」という食欲不振から、クリニックなどを訪れる高齢者が多い。しかし、「食欲不振」の原因を解明するのは思いのほか難しく、地域の開業医の先生方も頭を抱えている。
・入院して検査すると、癌やうつ病などの「隠れた病気」が見つかったり、ふだん飲んでいる「薬の副作用」が見つかることがある。
■ メタボリックシンドロームと低栄養(2017.1.24)
・「お年寄りは高カロリーなものより粗食を食べる方が長生きする」という主張に医学的な根拠はない。むしろ、粗食を続けていると十分な栄養を摂れず低栄養化し、むしろ不健康になってしまう可能性がある。
・メタボリックシンドローム(過栄養)と低栄養は対極にあるが、メタボ対策の食事が低栄養の原因になり得る。
・「コレステロール恐怖症」も問題である。近年、「コレステロールは怖くない」と以前と反対の考え方に変わってきた。日本動脈硬化学会は「冠動脈疾患の無い75歳以上の方にとってコレステロールを低下させる意義があるかは明らかでない」という報告をしており、高齢になると、たとえコレステロール値が高くても、動脈硬化を起こすリスクそのものが下がる可能性がある。つまり「コレステロール値が高いから肉や卵を控えなさい」というアドバイスは最新医学のエビデンスによると間違いである。
ただし、既に動脈硬化性疾患(狭心症や、心筋梗塞など)に既に罹患した方は、後期高齢者になってもコレステロールを下げる必要があり話が別。
・65歳まではメタボ対策を、75歳以上から低栄養対策を本格的に意識することを推奨。
・サプリメント信仰はほどほどに。栄養剤・ビタミン剤をはじめとするサプリメントの服用が栄養状態を改善するのかというと、必ずしもそうとはいい切れない。サプリメントのように純化した栄養素と違って、食材に含まれる栄養素は他の複数の栄養素と互いに相互作用を起こして、体に効果を発揮している可能性もある。一番理想的なのは食材から栄養を摂ること。
■ 高齢者にとってベストな栄養状態とは?-低栄養化を防ぐセルフチェック(2017.1.25)
・毎日の体重チェックを習慣づけ、心当たりのない増減に遭遇したら医師に相談すべし。
・BMI(Body Mass Index)の過信は禁物。高齢者はは若いときに比べて身長がちぢんでいることが多い。
・入院すると以下のような「栄養アセスメント」が行われる;
「主観的包括的アセスメント(SGA=subjective global assessment)」
「簡易栄養状態評価(MNA=Mini Nutritional Assessment)」
・・・残念ながら外来で行う便利な栄養アセスメント方法はない。
・生命予後は「やや小太り」がベスト-「オベスティパラドックス」。厚生労働省が5年ごとに出している「日本人の食事摂取基準」では生命予後がもっともよい状態をBMIの数値で表現すると日本人の場合、下記の通り:
18〜49歳:18.5〜24.9
50〜69歳:20〜24.9
70歳以上:22.5〜27.4
※ BMIはBMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))で算出。
・肥満の基準は国によって異なり、日本の肥満学会では、成人の場合BMIが25以上の方を肥満であると定めている。欧米諸国の場合は30以上を肥満といい、25以上は単に「過栄養」と呼ばれる。
・BMIを過度に気にして上記の範囲であるのにダイエットする必要はないが、脂肪を減らし、筋肉をつけ、身体の素性を変えるようなダイエットであればむしろ望ましい。具体的には、食事を減らして減量するのではなく、食事はそのままに、運動をきちんと行うダイエット。
もともと動脈硬化とコレステロールの関係性など「過栄養」を中心に研究をしていた葛谷先生。しかし、世間で過栄養への啓発が活況になる中、低栄養で苦しむ高齢者がたくさんいることに気がつき、「高齢者の低栄養」について研究するようになったそうです。
最近糖質制限食に興味を持ち、プチ糖質制限をしている私の中に「和食は本当に健康によいのだろうか?」という素朴な疑問が生まれつつあります。
記事は私の疑問の一部に答えてくれる内容でした。
葛谷先生は「粗食が過ぎると低栄養化し、健康を損なう」「65歳まではメタボ対策を、75歳以上から低栄養対策を推奨」と記しています。
<備忘録>
■ 「飽食の時代」に忍び寄る高齢者の低栄養(2017.1.24)
・高齢者が低栄養化してしまう原因の1つは、高齢者が何らかの理由で十分な量の食事を摂れていないこと。
・加齢によって消化管の動きがやや鈍る程度のことはあっても、「慢性胃炎」などの消化器疾患を持たず、健康な方であれば消化機能が極端に弱まるということはない。
・1人暮らしの高齢者や、要介護認定を受けた配偶者の介護をしている高齢者の場合、自分の健康にあまり意識が向かず、食事がおざなりになってしまうことも多い。
・理由はわからないけれど「食べれない・食べる気がしない」という食欲不振から、クリニックなどを訪れる高齢者が多い。しかし、「食欲不振」の原因を解明するのは思いのほか難しく、地域の開業医の先生方も頭を抱えている。
・入院して検査すると、癌やうつ病などの「隠れた病気」が見つかったり、ふだん飲んでいる「薬の副作用」が見つかることがある。
■ メタボリックシンドロームと低栄養(2017.1.24)
・「お年寄りは高カロリーなものより粗食を食べる方が長生きする」という主張に医学的な根拠はない。むしろ、粗食を続けていると十分な栄養を摂れず低栄養化し、むしろ不健康になってしまう可能性がある。
・メタボリックシンドローム(過栄養)と低栄養は対極にあるが、メタボ対策の食事が低栄養の原因になり得る。
・「コレステロール恐怖症」も問題である。近年、「コレステロールは怖くない」と以前と反対の考え方に変わってきた。日本動脈硬化学会は「冠動脈疾患の無い75歳以上の方にとってコレステロールを低下させる意義があるかは明らかでない」という報告をしており、高齢になると、たとえコレステロール値が高くても、動脈硬化を起こすリスクそのものが下がる可能性がある。つまり「コレステロール値が高いから肉や卵を控えなさい」というアドバイスは最新医学のエビデンスによると間違いである。
ただし、既に動脈硬化性疾患(狭心症や、心筋梗塞など)に既に罹患した方は、後期高齢者になってもコレステロールを下げる必要があり話が別。
・65歳まではメタボ対策を、75歳以上から低栄養対策を本格的に意識することを推奨。
・サプリメント信仰はほどほどに。栄養剤・ビタミン剤をはじめとするサプリメントの服用が栄養状態を改善するのかというと、必ずしもそうとはいい切れない。サプリメントのように純化した栄養素と違って、食材に含まれる栄養素は他の複数の栄養素と互いに相互作用を起こして、体に効果を発揮している可能性もある。一番理想的なのは食材から栄養を摂ること。
■ 高齢者にとってベストな栄養状態とは?-低栄養化を防ぐセルフチェック(2017.1.25)
・毎日の体重チェックを習慣づけ、心当たりのない増減に遭遇したら医師に相談すべし。
・BMI(Body Mass Index)の過信は禁物。高齢者はは若いときに比べて身長がちぢんでいることが多い。
・入院すると以下のような「栄養アセスメント」が行われる;
「主観的包括的アセスメント(SGA=subjective global assessment)」
「簡易栄養状態評価(MNA=Mini Nutritional Assessment)」
・・・残念ながら外来で行う便利な栄養アセスメント方法はない。
・生命予後は「やや小太り」がベスト-「オベスティパラドックス」。厚生労働省が5年ごとに出している「日本人の食事摂取基準」では生命予後がもっともよい状態をBMIの数値で表現すると日本人の場合、下記の通り:
18〜49歳:18.5〜24.9
50〜69歳:20〜24.9
70歳以上:22.5〜27.4
※ BMIはBMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))で算出。
・肥満の基準は国によって異なり、日本の肥満学会では、成人の場合BMIが25以上の方を肥満であると定めている。欧米諸国の場合は30以上を肥満といい、25以上は単に「過栄養」と呼ばれる。
・BMIを過度に気にして上記の範囲であるのにダイエットする必要はないが、脂肪を減らし、筋肉をつけ、身体の素性を変えるようなダイエットであればむしろ望ましい。具体的には、食事を減らして減量するのではなく、食事はそのままに、運動をきちんと行うダイエット。