紫雲膏は臭くない？

　紫雲膏の記事を見つけました。
　珍しい。

　私は結構処方しており、痛みを伴う火傷や傷によく効く印象を持ってます。　
　赤ちゃんのおむつかぶれにも有効。
　逆に痒い湿疹には手応えがなく、使っていません。

■ 本当は臭くない紫雲膏
（2016/3/14：日経DI）
※ 平野道夫の「薬局手習指南所」より抜粋
◇紫雲膏の臭い対策
　「紫雲膏はよく効くけれど、臭い！」とおっしゃる方は多いようです。実際、市販されている紫雲膏はお世辞にも良い匂いとは言えません。薬科大学の漢方サークルなどで紫雲膏を作っても、香りがきつくなることが多いのではないでしょうか。
　紫雲膏の成分は、紫根、当帰、ごま油、蜜ろう、豚脂ですが、きつい臭いの素は主に豚脂の酸敗によるものと考えられています。
　臭い防止のために豚脂を使わないという方もいますが、紫雲膏は明の時代の「外科正宗」（陳実功著）に収載されている「潤肌膏」に、華岡青洲先生が豚脂を加えたものです。つまり、豚脂がなければそれは紫雲膏ではなく潤肌膏ということになります。
　私は、紫雲膏作りを習った先人たちからの手ほどきで、ごま油、蜜ろう、豚脂をきちんと選別することと、製造過程においてちょっとした手間（先人の口伝えによるもので、具体的には記せませんが）をかけています。おかげで、酸敗臭は感じられず、薬局の部下や実習生たちは、「かりん糖のような、甘くておいしそうな香りですね」と言ってくれます。また、私の友人は、酸敗防止目的で、真空ポンプを使って紫雲膏を練合しています。漢方薬への思い入れを感じますね。
◇紫雲膏の効能
　紫雲膏はひび、あかぎれ、しもやけ、魚の目、あせも、ただれ、外傷、かぶれ、肛門裂傷などに効果を発揮すると言われますが、特筆すべきはやけどと褥瘡への紫雲膏の肉芽形成効果です。私も紫雲膏を使用した患者さんでやけどや褥瘡の痛みが改善したケースをいくつも見てきたので、ぜひ役立てていただければと思います。
　また、実はこの紫雲膏はリップクリームの代わりとしてもとても好評です。保湿作用が高く、ひび割れなどにも効きます。最近でも、どのリップクリームを試しても合わなかったという若い女性の方に紫雲膏をお薦めして使っていただいたところ、とても良かったとおっしゃっていました。
　なお、やけどや褥瘡などへの使用に当たっては、化膿していないこと、創面が大きくないこと、分泌物が多くないことが条件となりますので、注意してください。

漢方診察法（腹診）をサイエンスで評価。

　西洋医学を中心に学ぶ日本の大学医学部出身者は、漢方は「怪しい」医学と捉えがちです。
　その理由は、科学的手法ではなく、経験的手法によるから。
　とくに難しいのは「脈診」で、専門医10人が同じ人の脈診をしたところ、記載された所見はバラバラだったという笑えない話もありますし、古代中国では皇帝の診察は舌診と脈診しか許されず、しかし見立てが違って病気がよくならないと処刑されたという、別の意味で笑えない話もあります(^^;)。

　そこで目に付いたこんなニュース；

■ 漢方医の触診の技、手袋型センサーで可視化…若手医師育成へ
（2016年2月22日 読売新聞）
　北里大東洋医学総合研究所（東京都港区、小田口浩所長）は２月から富士通と連携し、漢方医が行う触診の情報を数値化する研究を始めた。
　ベテラン医師による触診の技を指への圧力を測る手袋型センサーで可視化する。研究結果は、教育や診断基準の作成に生かし、若手医師が触診の技能向上を図る参考にしてもらう。
　漢方医学では、患者の腹部各所の硬さを手で感じて体調をみる触診などの結果に基づき、漢方薬を処方する。ただ、触診は感覚的な部分が大きく、医師によって腹部の硬さの判定が異なることがある。教育現場で伝える難しさもある。
　手袋型のセンサーは富士通が新しく開発した。センサーは触った腹部の場所も記録できる。
　研究では、センサーを同研究所の約１０人の医師が着用して、ストレスや胃腸の調子と関連があるとされる胸下やみぞおちなどを触診。各医師が「硬い」「軟らかい」などと判定した圧力値を記録する。来年前半までに患者ら約２００人を対象に行う。
　データは同研究所が集計し、「硬い」「軟らかい」などと判定した圧力値の範囲を算出。若手医師の教育などに利用する。

　“なんちゃって漢方医”の私も腹診もどきをしますが、漢方的な目でみると緊張しやすい人とか、体力のあるなしとか、いろんな情報がお腹にのせた手のひらから得られて便利です。
　ああ～このお腹、漢方の○○○が合いそうだな～、と。