漢方学習ノート

漢方医学の魅力に取りつかれた小児科医です.学会やネットで得た情報や、最近読んだ本の感想を書き留めました(本棚3)。

ブログ閉鎖のお知らせ

2018年02月23日 07時43分03秒 | 漢方
 自分自身への備忘録として始めたブログですが、「ネット上の記事を引用して感想を記す」というスタイルは著作権法違反になるとのご指摘を受けました。
 引用元を明記すればよいのでは(宣伝にもなるし)との考えは、私の勝手な思い込みだったようです。

 2018年3月に閉鎖する予定です。
 ご愛読ありがとうございました。
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“ロボット化”が進む日本の漢方薬生産現場

2018年02月04日 09時33分13秒 | 漢方
 10年以上前から漢方薬を導入している私の外来では約3割の患者さんに処方しています。
 以前より漢方薬に興味を持つ小児科医が増えてきたな、と感じる今日この頃。

 生産現場では何が起きているのか? ーレポートを紹介します。
 なんと漢方のイメージになじまない“ロボット”が導入されているとのこと。

 今後問題になるのは「漢方薬の原料生薬の約8割は中国産ですが、それらの市場価格は06年から14年までに約2.5倍に上昇」という点です。
 これに関しては、日本と中国の国同士の仲が良いかどうかにも影響される微妙な問題。
 なお、生薬を中国から輸入している状況は江戸時代から変わらないそうです。
 そのため、日本独自の工夫として「生薬をどれだけ少なくしても有効性が保てるか」という研究が進み、現時点で使用する生薬量は中国の1/3程度と聞いています。

■ ロボット化が進む漢方薬生産
2017年12月30日:朝日新聞

◇ 市場規模は10年で1.5倍
 こむら返りに芍薬甘草湯、消化器手術後の大建中湯、認知症の行動・心理症状(BPSD)に対する抑肝散…。2017年11月にMedPeer会員に対して行った調査では、最も処方回数が多い漢方薬として、こんな方剤が挙がりました。西洋薬による治療手段が乏しい疾患や症状を中心に、漢方薬は浸透していると言えるでしょう。調査会社アイ・エム・エス・ジャパンの統計でも、医療用漢方製剤の市場規模はこの10年間で1.5倍に拡大しています。日常診療に浸透した漢方薬がどこでどのように作られているかを取材してきました。

◇ 工場は24時間フル稼働
 今回取材したのは、漢方薬最大手・ツムラの茨城工場(茨城県阿見町)です。東京ドーム3.8個分の敷地には、工場の他に研究所、漢方記念館、薬草見本園が併設されています。
 この工場では、同社の医療用漢方製剤129品目のうち43品目を生産しています。特に、大建中湯や抑肝散、補中益気湯など、売上規模が大きい品目を生産しています。先生方が処方した漢方薬も、この茨城工場から出荷された製剤が患者さんの手に渡っているかもしれません。
 需要の増大を裏付けるように、茨城工場の生産数量も10年間で2倍以上になっています。同社は工場内の物品搬送や原料の投入などに用いるロボットを自社開発することで生産を効率化し、需要増に対応しています。現在では「製造工程の搬送」「原料の投入」「箱詰め」「(製造機器からの)エキス粉末の排出」「製造機器の洗浄」にロボットを使用しています。

◇ 製品搬送ロボット(写真提供:ツムラ)製品搬送ロボット(ツムラ提供写真)


 茨城工場は24時間、3交代で稼働していますが、機械化によって人間は重労働をしなくて済むようになったといいます。

◇ 生薬500キロに水6トン
 同社を例にとると、中国をはじめ国内外から調達した生薬は、茨城工場の生薬倉庫に一時保管されます。害虫やカビを防ぐため、倉庫には窓がなく、温度は15℃以下に、湿度は60%以下に保たれています。
 製造工程では、生薬を切裁機で刻み、処方ごとの配合比率に則って秤量・調合します。抽出は、1回に生薬を約500kg使い、局方精製水6トンを入れ60分間抽出するのが基本だとしています。
 抽出液は分離・濃縮して乾燥させます。乾燥に用いるスプレードライヤーは4階建ての建物に相当する高さがあり、その大型ドライヤーで濃縮液を瞬間的に乾燥させ、エキス粉末とします。それを賦形剤と混合するなどしてできるのがエキス顆粒です。

◇ 生薬価格の高騰が供給の課題に
 敷地内の漢方記念館に入ると、116種類の生薬見本がずらりと並び、一つひとつに見入ってしまいます。
 中には、ミカンの果皮「陳皮(チンピ)」やセミの幼虫の抜け殻「蝉退(センタイ)」など、生薬というよりも、ごく身近な素材があります。あらためて、複数の生薬の組み合わせで薬効を示す漢方理論に思いがはせます。
 その一方で、生薬の価格高騰の話が頭に浮かびました。「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」(髙久史麿会長)が17年3月に公表した提言書によると、漢方薬の原料生薬の約8割は中国産ですが、それらの市場価格は06年から14年までに約2.5倍に上昇しました。
 中国国内での需要の増大、乱獲による自生薬用植物の減少、投機的な買い占め、一部生薬の輸出制限などが理由として考えられています。同研究会は薬用植物の国内栽培化を提言しており、すでに企業側も国内栽培に乗り出す、あるいは拡大する動きがあります。
 また、現行の薬価制度では、薬価は市場実勢価に応じてじりじりと下落していくのが常です。新たな漢方処方の薬価収載は、この30年間ありません。薬価の面でも、漢方薬を安定的に使用できるような手立てが必要と言えるでしょう。
 漢方薬の普及を目の当たりにした一方、漢方薬ならではの課題もあると感じた取材でした。
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