江部康二著(2019年、ダイヤモンド社発行)
読前の以下の疑問が、読後に解消したでしょうか・・・検証を試みます;
・脂肪は制限の必要ないとされるが、その根拠はあるのか。
→ 脂肪は動脈硬化の直接の原因にはならず、制限は必要ない。
・カロリー制限は必要ないというが、過剰なカロリーはどこに消えるのか。
→ 糖質制限食は“カロリー制限は必要ない”とするが、過剰摂取は勧めていない、適量摂取を。
・豆類は一律、糖質制限にお勧めの食材か。
→ 豆類でお勧めなのは大豆。それ以外は大豆よりたんぱく質含有比率が低く、炭水化物の比率が高くなる。
・練り物、ちくわ、かまぼこ、つみれ・・・似てるけど糖質含有量に差があるのか。
→ 練り物は炭水化物で粘りを出しているので糖質の塊。唯一、つみれは魚のたんぱく質中心なのでお勧め。
・おでんの具材で糖質制限するには、どのように選んだらよいか。
⇩
◎:卵、牛すじ、がんもどき、タコ、つみれ、厚揚げ、焼き豆腐
◯:大根、こんにゃく、シラタキ、ロールキャベツ
✖:ジャガイモ、餅入りの巾着、昆布、はんぺん、ちくわ、ちくわぶ(小麦粉の塊)、さつま揚げ、ゴボウ巻き
・チーズは糖質制限では良という評価である一方で、高血圧対策では悪と耳にしたが、それを打ち消す価値があるのか。
→ 記載なし。
※ ブログの容量オーバーで一項目では収まりきれなかったので、メモを追加しておきます。
□ 脳のエネルギー源はブドウ糖だけだから糖質制限は危険?
・脳細胞のエネルギー源は糖質だけでなく脂質(脂肪酸)から生じるケトン体も使われている。
・新生児の脳のエネルギー源としてケトン体が使われている。
・糖質制限をしても、肝臓で蛋白質(アミノ酸)などから糖質(ブドウ糖)を造る糖新生というシステムにより血糖値は正常に保たれる。
・もし糖質制限をして頭がボーッとするとしたら、糖質と同時にカロリー制限をするなどして、エネルギー不足になっていることが原因である。
□ 成長期の子どもには糖質が必要不可欠か?
・子どもの成長に欠かせない栄養素は、体内で作り出せないタンパク質と脂質、それにビタミン、ミネラル、食物線維であり、糖新生で作り出せる糖質は当てはまらない。
・乳児は糖新生の働きが未熟なため、母乳に含まれる乳糖で補っている。
・糖質過多の食事では血糖値の乱高下が生じて、集中力が落ちる。ADHDの不注意はこれが関連するケースが少なくない。
▢ 理想の食事回数は1日何食か?
・狩猟採集時代は獲物が手に入るまで食事にありつけず、飢餓との戦いだった。
・稲作が始まったのちも、日本人は長い間、庶民も貴族も1日2食がふつうだった。後醍醐天皇の時代は、朝食は正午、夕食は午後4時という記録がある。
・1日3食になったきっかけは、江戸時代の「明暦の大火」(1657年)という説がある。江戸の復興のために全国から集まった労働者たちは1日2食では体力が持たなかったため、1日3食の習慣が広まっていった。
・全国的に1日3食が定着したのは、明治維新後に軍隊ができたのがきっかけである。「白米が毎日3回食べられる」と宣伝して陸軍に兵隊を募集した。
・ヨーロッパ諸国では、15-16世紀(日本の戦国時代)に1日2食から3食に移行した。朝食は英語で「breakfast」であるが、1日の最初の食事=断食(fast)を破る(break)を意味していたのが転じて朝食という意味になった。
□ カロリー制限は必要か?
・糖質制限食では摂取カロリーを、さほど気にする必要はない。
・全体の8割の人は摂取カロリーを気にする必要は無いが、残りの2割の人は例外的に多少のカロリー制限が必要になることがある。
・その1割は「基礎代謝が異常に低いタイプ」で、大半がダイエットに熱心な女性。過去にカロリー制限とリバウンドを繰り返して筋肉量が非常に少なくなっているため、基礎代謝が異常に低い。このような人は、摂取カロリーを1日100〜200kcal減らすべし。
・残りの1割は「極度の大食いタイプ」。
□ アブラの基本
・アブラ(中性脂肪)=脂肪酸+グリセロール
・脂肪酸=飽和脂肪酸+不飽和脂肪酸
・飽和脂肪酸・・・肉の脂肪、ラード、バターなど動物性の脂質に多い。
・不飽和脂肪酸・・・魚類や植物油に多い。
・不飽和脂肪酸=一価不飽和脂肪酸+多価不飽和脂肪酸
・一価不飽和脂肪酸:オメガ9:オレイン酸・・・オリーブ油、菜種油など
・多価不飽和脂肪酸:必須脂肪酸=オメガ6、オメガ3
・オメガ6:リノール酸、アラキドン酸・・・コーン油、大豆油、サラダ油、紅花油など
・オメガ3:DHA、EPA、ALA
・DHA(ドコサヘキサエン酸)・・・マグロ、青魚(サバ、イワシ、アジ、サンマ)など
・EPA(エイコサペンタエン酸)・・・青魚(サバ、イワシ、アジ、サンマ)など
・ALA(α-リノレン酸)・・・エゴマ(シソ)油、アマニ油など
□ 体脂肪の元は「脂質」ではなく「糖質」
・糖質をたくさん食べると血糖値が上がり、インスリンが分泌されて筋肉と脂肪の細胞に取り込んで血糖値を下げる。余ったブドウ糖はグリコーゲンとして筋肉(200-300g)と肝臓(70-80g)に貯蔵される。
・肝臓・筋肉の貯蔵庫が満杯になると、インスリンは脂肪細胞に作用して中性脂肪として貯蔵させるよう舵を切る。これが体脂肪の正体である。
・体脂肪の原料は脂質と思われがちだが、これは間違いで、真実は糖質である。
・糖質制限をすると食後高血糖が抑えられてインスリンの大量分泌も避けられるため、内臓脂肪の蓄積も避けられる。
□ 「脂質」を食べても体脂肪にならない
・体脂肪の正体である中性脂肪は、3個の脂肪酸と1個のグリセロールからなり、グリセロールを代謝する酵素は脂肪細胞には存在しない。脂肪細胞に入れないグリセロールは肝臓に運ばれて糖新生の原料になってブドウ糖が造られる。つまり、脂質を食べてもそのまま体脂肪にはならない。
□ 内臓脂肪を減らすにはカロリー制限・脂質制限ではなく糖質制限
・肥満大国アメリカでは、食事中の脂質を減らすキャンペーンを張り、カロリに占める脂質の割合を4%減らした(36.9→ 32.8%)が、肥満率は2倍に増えた(14.5→ 30.9%)。
・脂質を減らしたのに肥満が増えたのは、安価な糖質の摂取量が増えたため。
・アメリカ男性の糖質摂取量はカロリー比で、1971年は42.4%、2000年には49.0%まで増えた。
□ インスリンは“肥満ホルモン”
・インスリンは細胞に血糖を取り込ませるだけでなく、体脂肪の分解も抑えて、さらには体脂肪の合成を促してしまうため、“肥満ホルモン”と呼ばれることがある。
□ 皮下脂肪の重要な役割
・緩衝材:外部からの衝撃を緩和するクッション
・断熱材:脂肪は熱を伝えにくいため、外気温が低くなっても一定の体温を保つことができる。人類が氷河期を生き残れた一因は皮下脂肪があったから。
・備蓄エネルギー:飢餓などの緊急時に備蓄エネルギーとして役立つ。ダイエットの当初は皮下脂肪は落ちにくいが、それは万一に備えているため。
□ 皮下脂肪過多は「洋ナシ型肥満」、内臓脂肪過多は「リンゴ型肥満」
・同じ肥満でも、皮下脂肪優位型の「洋ナシ型肥満」より、内臓脂肪優位型の「リンゴ型肥満」の方が、病気にかかるリスクは高くなる。
・これを背景に2008年に始まったのが「メタボ健診」(正式には「特定健診・特定保険指導」)。
□ メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)
・メタボ(メタボリックシンドローム)は内臓脂肪症候群とも呼ばれ、中性脂肪の溜まりすぎから生じる血糖、血圧、中性脂肪値などの異常を意味する。これが動脈硬化を引き起こし、心臓病や脳卒中につながる。
・ウエストが「男性85cm」「助成90cm」という基準は、CTで測定した内臓脂肪の断面積が100㎠に相当する。これを越えると内臓脂肪から分泌される善玉ホルモンが減り、悪玉ホルモンが増える境界値。
・腹囲の基準を満たし、かつ「血糖値」「血圧」「脂質値」(HDLコレステロールと中性脂肪の値)のうち2つ以上が診断基準を満たすとメタボと診断される。
□ 脂肪細胞から分泌されるホルモン
・内臓脂肪が溜まりすぎると善玉ホルモンが減り、悪玉ホルモンが増える。
・皮下脂肪は悪玉ホルモンを内臓脂肪の1/2〜1/3程度しか分泌しない。
(善玉)
・アディポネクチン:インスリンの効き目を高めてくれる、余分な脂肪を燃やしたり、血管を修復したり、血管を広げて血圧を適度に下げたりする。
(悪玉)
・TNF-α
・アンギオテンシノーゲン
・PAI-1
□ レプチンは味方?
・脂肪細胞から分泌されるホルモン
・脳に働いて食欲を抑えて満腹感をもたらし、交感神経を刺激してエネルギー代謝を高める。
・食べ過ぎを父性で代謝を上げ、体脂肪が増えないようにする。
・太っている人はレプチンが分泌されていても効きにくくなっている(脳でレプチンを受け取るセンサーの活性が鈍化)。
□ 体脂肪は皮下脂肪→ 内臓脂肪の順に溜まる
・最初は人体に欠かせない皮下脂肪として蓄積されるが、それが増えすぎると内臓脂肪として蓄積され、さらに太ると本来溜まるはずのないところに溜まる“異所性脂肪”になる。
・女性の場合、女性ホルモンの関係で、内臓脂肪は閉経期を迎えるまでは少しずつしか増えないが、閉経後はそれ以前の2倍以上の速さで増える。そのため、中高年の女性は洋ナシ型肥満→ リンゴ型肥満に変わってくる。
□ 糖質は必須の栄養素だから糖質制限は危険か?
・明らかな間違いである。
・三大栄養素(たんぱく質、脂質、糖質)のうち、たんぱく質には必須アミノ酸(体内では造れないため食事から摂取する必要がある)、脂質には必須脂肪酸があるが、“必須糖質”は存在しない。これは糖質は体内で造ることができる(糖新生)ためである。
・人体は血糖値が下がったら血糖を補充するため、肝臓に「グリコーゲン」としてブドウ糖をの集合体を貯蔵している(筋肉のグリコーゲンは筋肉専用のエネルギー源のため血糖には関与しない)。しかし肝臓に蓄えられているグリコーゲンは70-80g程度しかなく、これだけでは足りないため、肝臓は糖新生という方法で糖を造りだしている。
□ 糖新生のしくみ
・糖新生の原料
(グリセロール)脂質の代謝物
(乳酸)激しい運動など酸素を用いないエネルギー代謝(解糖系)から生じる
(アミノ酸)筋肉に貯蔵されているアミノ酸プールから供給される
・糖新生は飢餓や絶食に対応できるシステムであり、これがなければ人類は生き延びられなかったはず。
□ ケトン体は危ない? 危なくない?
・間違い。しかし医師の中にもいまだにこう思い込んでいる人が少なくない。
・ケトン体を危険視する最大の根拠は「血中のケトン体が高値になると糖尿病性ケトアシドーシスという重篤な状態を引き起こす」という知識。ケトアシドーシスはI型糖尿病患者さんがまれに起こす病態で、インスリン作用の欠乏が前提となる。
・一般健康人や生活習慣に起因するII型糖尿病患者さんがインスリン機能が保たれているときに起こす心配はない。血中ケトン体が増えたとしても、それは健全は「生理的ケトーシス」というものなので、心配不要。
・ケトーシスとは、エネルギーとして脂質を使いやすい状態であり、言い換えれば体脂肪が燃えやすい体内環境である。
□ 赤ちゃんは高ケトン血症がふつう(生理的状態)。
・新生児や母乳栄養の乳児は成人と比べてケトン体が数倍高値である。
・新生児のケトン体高値は、妊娠中に胎盤でケトン体を造り胎児にエネルギー供給をしているため。
・母乳育児乳児のケトン体高値は、母乳の脂質の割合がカロリーで約半分と「高脂肪」だから。母乳という高脂肪食から、乳児の肝臓でケトン体がつくり出されている。
□ 肉の脂は体に悪い?悪くない?
・従来、動物性脂肪に含まれている飽和脂肪酸(バターやラードなど常温で固まりやすい脂)の取り過ぎは脳心血管疾患のリスクとされてきた。
・2010年にその常識を覆す論文が報告された。メタ解析という手法で約35万人を5〜23年間にわたり追跡調査した結果、「飽和脂肪酸と脳心血管疾患の発生率には関連がない」と結論づけた。
・脳心血管疾患リスクになるのは、糖質の過剰摂取とそれによる糖化・酸化であり、控えるべきは動物性脂肪ではなく糖質である。
・牛肉に含まれる脂肪酸の半分は不飽和脂肪酸であるオレイン酸であり、これはオリーブオイルの主成分でもある。
□ 卵はたくさん食べていい?いけない?
・従来、「卵は1日1個まで。2個以上食べるとコレステロール値が高くなり危険」とされてきた。
・しかし日本でもアメリカでも、2015年にコレステロールの接種制限を撤廃した。なぜか?
・現在、食事由来のコレステロールは血液中のコレステロール値に影響を与えないことがわかっている。
・コレステロールの必要量の約8割は肝臓で造られており、食事由来のコレステロールは全体の2割にとどまる。しかも、食事からの摂取量が増えたら肝臓で造り出される量が抑えられるので、卵を食べ過ぎても血液中のコレステロール値は増えない。
□ 果物は健康によい?悪い?
・果物に含まれる糖類には、果糖、ブドウ糖、ショ糖などがある。
・以前、果糖は血糖値の上昇が緩やかなため、体によいと考えられてきた。その理由は、果糖は小腸から吸収されると肝臓に直行し、そこで速やかに「中性脂肪(=トリグリセリド)」として蓄積されるため、血糖値はあまり上昇しない(その代わり太る)。
・さらに果糖は危険なAGEs(終末糖化産物)を生じやすい。ブドウ糖の100倍生成しやすい。
・果糖をたくさん含む現代の果物は、もはや「毒」と考えるべきであろう。
・すると「果汁100%ジュース」は毒にほかならない。果物ジュースには食物繊維はほとんど含まれていない。厚生労働省も「果汁100%ジュースは食物繊維が期待できず、糖分も多いので注意が必要」としている。
□ 異性化糖(果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖)は猛毒!要注意!
・異性化糖はトウモロコシから作られるコーンシロップを加工したもので、果糖、ブドウ糖が大量に製造できる。
・果糖>ブドウ糖なら「果糖ブドウ糖液糖」、ブドウ糖>果糖なら「ブドウ糖果糖液糖」と成分表示される。
・「果糖ブドウ糖液糖」は果糖が多いので中性脂肪、AGEsが生じやすく太りやすい。
・「ブドウ糖果糖液糖」はブドウ糖が多いので、血糖値急上昇、インスリン大量分泌を招き、血管と膵臓を傷つける。
・果糖の摂り過ぎで脂肪肝になることがあり(非アルコール性脂肪肝)、炎症を起こすと非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の原因となる。
・飲酒を伴わないNASHは、慢性の肝障害が進行し、末期になると肝硬変、肝臓癌に移行することもある。
□ 人工甘味料は体に悪い?
・人工甘味料は血糖値を上げない。
・ハチミツや黒砂糖は天然だから体によい、は間違い。しっかり血糖値を上げる。
・アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロースなどの人工甘味料は血糖値を上げないので、黒砂糖やハチミツよりも安全。
・人工甘味料には「1日許容摂取量」(ADI)が厚生労働省により定められている。
(例)スクラロースは350ml缶や500mlペットボトルなら1日3本まで許容範囲
□ 人工甘味料ではエリスリトールがお勧め。
・エリスリトールは糖アルコールという種類の人工甘味料の一種。「ラカントS」という製品の主成分。
・エリスリトールはゼロカロリー&血糖値を上げない。
・(自然界に存在しない)合成甘味料と異なり、メロン、ブドウ、ナシなどの果物や発酵食品にも含まれている。
・同じ糖アルコールであるキシリトール、ソルビトール、マルチトールなどは砂糖の半分くらい血糖値を上げる。
□ 病気の時は、お粥?うどん?それとも?
・お粥やうどんは糖質以外の栄養素に乏しい。
・糖質を咀嚼すると、唾液に含まれるアミラーゼでデンプンを加水分解するが、お粥やうどんなどはろくにかまずに飲み込みがちなので分解されずに胃に入る。胃の中では大量の胃液の中で拡販運動と蠕動運動が行われ、小腸に移動するが、その速度はたんぱく質や脂質より遅い。
・お粥やうどんが消化しやすいというのは「あっさりしているから消化も早く進むに違いない」という思い込みでしかない。
・お勧めは「湯豆腐」。食欲がなくても食べられて、消化しやすく、体を温め、水分を補給しながら糖質制限ができる。たんぱく質と脂質が豊富で、薬味にショウガを添えると体がより温まる。
・湯豆腐以外では、野菜スープ、卵スープ、具だくさんの味噌汁、茶碗蒸しなどがお勧め。
・風邪が治って食欲が出てきたら、寄せ鍋、しゃぶしゃぶ、豚汁(サトイモや根菜は除く)などで体力の回復に努めるべし。
□ 筋肉のエネルギー源は脂質>>糖質>>たんぱく質
・運動のメインエネルギー源は糖質ではなく、脂質(脂肪酸とケトン体)である。
・運動の主役となる筋肉のエネルギー源は糖質と脂質であり、たんぱく質も一部エネルギー源になるが限定的である。
・糖質は筋肉と肝臓にグリコーゲンとして合計300〜400g程度蓄えられている。カロリー計算すると1200〜1600kcal。
・脂質は脂肪細胞に中性脂肪として蓄えられており、標準体格では13kg(体重65kg、体脂肪率20%)である。カロリー計算すると11万700kcal。糖質と比べて桁違いに多い(100倍!)。
・中性脂肪から分解された脂肪酸、脂肪酸から生じるケトン体こそが、筋肉の主要なエネルギー源である。
・ただし、瞬発力が必要とされるスポーツ(ウエイトリフティング、100m走など)では、筋肉に貯蔵した糖質(ブドウ糖)がメインのエネルギー源となる。
・脂肪酸とケトン体は酸素がないと代謝できず、瞬発的な運動では酸素の供給が追いつかなくなるため、酸素ナシでも代謝できるブドウ糖の方がエネルギー源となりやすい。
■ 熱中症・脱水予防に最適の水分補給は?
・高齢者が隠れ脱水や熱中症になりやすいのは、体液を溜めておくタンクの役割を果たす筋肉が少ないのに加えて、喉の渇きにも鈍感になっているため。
・熱中症が気になる季節になると、スポーツドリンクや経口補水液の宣伝が増えるが、こうした飲料は糖質をたくさん含むのでNG。
・隠れ脱水に糖質は必要ない。
・脱水予防に水分補給するなら水(ミネラルウォーター)で十分である。スポーツや野外活動などで大量に汗をかかないのなら塩分補給は不要。
・コーヒーや紅茶、緑茶も悪くないがカフェインを含むので利尿作用があるのが難点、カフェインを含まない麦茶、杜仲茶、ルイボスティー、爽健美茶、十六茶などがオススメ。
・熱中症予防には0.1〜0.2%食塩水(1リットルの水に1〜2gの食塩)がお勧め。
■ 危険な「ペットボトル症候群」
・ペットボトル入りの甘い清涼飲料水には約10%の糖質が含まれているため、500mlサイズで角砂糖10個分に相当する。
・これを飲むと血糖値が急上昇し、その血糖値を下げるためにインスリンが大量に分泌されて高インスリン血証が起こる。
・ペットボトル飲料を何本も飲むと、インスリン大量分泌状態が続き、膵臓がくたびれて弱り、これを繰り返すと最終的にはインスリンが機能しなくなり、細胞が血糖を利用できなくなり、ケトン体が増えて糖尿病性ケトアシドーシス(酸性血症)という重篤な病態(ペットボトル症候群)に陥る。
・糖質制限食でもケトン体が増えるが、インスリン作用が保たれているので安全。
■ 糖質制限をすると、頭がボーッとする?
・糖質制限をして体がだるくなったり、動きが悪くなったりした場合、そのほとんどの原因は「摂取カロリー不足」。
・摂取カロリーは明らかに足りているにもかかわらず、同様の訴えをする人もチラホラいるが、その場合は塩分不足の可能性が高い。