石脇智宏著、柴田書店(2008年発行)
私、コーヒーが好きです。
よくあるパターンですが、学生時代から飲み始め、ペーパードリップ~コーヒーメーカー~果てはエスプレッソ装置を購入したこともあります(数回使ってお蔵入り)。
また、缶コーヒーマニアでもありまして、新しい缶コーヒーを見つけるとついつい買ってしまいます。
味の限界を感じて最近は「微糖」系をたしなむ程度になりましたが。
本屋さんで、雑誌のコーヒー特集が目につくとつい購入してしまいます。
でも、おいしい淹れ方に割かれているのはせいぜい数ページ。あとはコーヒー豆やコーヒーカップやコーヒーに合うBGMなどの宣伝が多く、ガッカリしてしまいます。
インターネットの YouTube では、実際の淹れ方の動画を見ることができてとても参考になりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=53FCfupAOcM
コーヒーの粉の膨らむ様子を初見、便利な時代になりました。
現在は通販で焙煎済みの豆を購入し、自分で挽いてペーパードリップで淹れて楽しむところに落ち着いています。
でも、なかなか思うようなおいしいコーヒーを入れることができません。
水にこだわったり、金属フィルターを試したり、いろいろやってみたのですが・・・
そこで出会ったのがこの本です。
なんとも気を引く題名ではありませんか!
著者は趣味を仕事にした元コーヒーおたくで、現在はコーヒー研究者。
東京大学を卒業した才人らしい。現在の肩書きは石光商事研究開発室室長として、コーヒーの栽培から抽出に至る全工程を対象にコーヒーの科学に取り組んでいる、とのことです。
さて、手に取ったこの本は・・・なかなか良い内容です。
知りたいことが著者の主観ではなく、科学的根拠に基づいて書いてあるので説得力抜群。
そして「わからないこと」は「わからない」と正直に記していることも好印象。
なぜ私の入れたコーヒーの味がイマイチなのか、どこがいけないのか、気づかされてくれた点がいくつもありました。
感謝!
印象に残った文章を抜粋しておきます;
■ コーヒーの代表的な種類はアラビカ種(coffea arabica)とカネフォラ種(Coffea canephora)です。
アラビカ種はモカ、キリマンジャロ、ブルーマウンテンなどが有名で、コーヒー生産全体の65%を占めます。
アラビカ種の栽培は土壌を選び、水はけが良く、根を深く張れるようなふかふかの土壌、しかも肥沃な弱酸性土壌が必要であり、栽培に向く地域が限定されます。
ロブスタはカネフォラ種の品種の一つですが、知名度が高いのでカネフォラ種の代名詞になっています。カネフォラ種は乾燥に弱いものの、栽培する土壌を選びません。
■ 日本人のコーヒー消費量(年間一人あたり)は世界トップテンに入らない。
1位:フィンランド、2位:ノルウェー、3位:ベルギー/ルクセンブルク、4位:デンマーク、5位:スイス
・・・意外にもアメリカは上位に入っていないのですね。
■ カフェインが少ない方がヘルシー?
A. カフェインには様々な薬理作用があり、妊娠中であるとか、胃が荒れているとか、状況によっては摂取を控えた方がよい場合もありますが、適量を摂れば疲労回復などむしろ体に好ましい変化を与えます。
・・・実はカフェインの交感神経刺激作用は喘息に有効です。カフェインをもとに開発されたテオフィリンという薬物は長らく喘息治療のエースでした。作家のプルーストは喘息持ちで、調子が悪いときはコーヒーをがぶがぶ飲んでいたというエピソードが残っています。
■ コーヒーの苦味の正体は?
A. 苦味として感じられる成分のうち、カフェインはせいぜい10%。メインは褐色色素(少糖類、アミノ酸、クロロゲン酸類などにより作られます)。
クロロゲン酸はコーヒー酸とキナ酸が結合した構造の物質で10種類以上知られています。コーヒータンニンとかコーヒーポリフェノールなどともいわれ、近年その生理活性(抗酸化性など)がにわかに注目を集めている物質です。
■ コーヒーの酸味の正体は?
A. 焙煎によって作られる酸が主役。最も多いのはキナ酸で、その他クエン酸、酢酸、リン酸なども含まれます。
■ 時間とともに代わってしまうコーヒーの風味
A. 主に3つの要因が存在します;
1.味覚の温度特性。
同じものを味わうにしても、温度が違えば酸味、苦味(くみ)、甘味(かんみ)の感じ方が変わってきます。苦味や甘味は冷たいと感じにくくなる傾向があり、酸味は冷たいと感じやすくなる傾向があります。
2.成分の変化。淹れたての温度が高い状態では変化しやすい。
3.酸素の影響。コーヒーの中に溶け込んでいる酸素が変化を促進します。
では、よい風味を長持ちさせる方法は?
→ 残念ながらありません。コーヒーの変化を楽しむくらいのスタンスが必要です。
■ コーヒー豆は古くなるとまずくなる?
A. 確かに風味が変わります。
含まれる油脂の酸化が主因と言われることが多いようですが、実は香りの変化が主因です。焙煎直後から放出される二酸化炭素は香りの成分も一緒に奪って行き、残された香り成分の化学変化が始まります。それをまずいと感じると「劣化」、おいしいと感じると「熟成」ということになりますが、100%白黒つくことではなく、変化のタイミングと飲むヒトの主観によるもの。
■ コーヒーをミネラルウォーターで飲むとおいしくなる?
A. 水のpHの影響でコーヒーの味が変わります。日本の水道水のpHは7程度(中性)ですが、ミネラルウォーターのpHは8を越えるものもあります(アルカリ性)。
コーヒーのもともともpHは5~6程度で低酸性飲料ですが、アルカリ性の水を使って淹れるとpHが上がり酸味が弱まります。この変化を「マイルドになっておいしい」と感じるか「味がぼやける」と感じるかは、ヒトそれぞれです。
著者は「水道水で十分」と記しています。
■ 豆と粉、どちらで買うのがベター?
A. 豆です。粉は豆に比べて劣化が数倍速いのです。
焙煎豆に含まれていた二酸化炭素はコーヒーを周囲の劣化要因(水分、酸素)から守る役割を果たしていますが、粉砕時に70%程度失われてしまいます。その際にコーヒーの香り成分も一緒に奪っていきます。
■ コーヒー抽出の原理
ふたつの過程があります:
1.粉の表面と湯の間で起こるコーヒー成分の移動。
移動速度は淹れ始めは速く、時間をかけるほど遅くなっていきます。
2.粉の中心部から粉の表面へのコーヒー成分の移動。
第一過程よりゆっくり移動します。酸味は割と早いうちに出て、苦味はゆっくり出る傾向があります。コーヒーの味が原料や淹れ方によって変わってくるのは、この第二過程の影響が大きいのです。
■ コーヒーの淹れ方で味が変わる?
酸味成分と苦味成分の総量は原料で決まりますが、抽出である程度コントロール可能です。
コーヒーの味を変える、抽出時の要素は3つ;
1.湯の温度
高温ではそれぞれの成分の足が速くなります。酸味成分はもともと速いので影響は少ないのですが、苦味成分は抽出量が増えます。つまり、湯の温度が高くなると、味の総量が増え、苦味成分の比率が大きくなるのです。湯の温度を低めにすると逆の現象が起こります。
2.抽出時間
時間が長くなるほど味の総量が増え、苦味成分の比率が大きくなります。
3.粉の大きさ
粉の大きさが細かくなるにつれて味の総量が増え、苦味の比率が大きくなります。
・・・つまり、苦味を出したいときには細かく挽いて高温でじっくりゆっくり抽出、苦味を少なくしたいときは荒く挽いて沸騰させない湯でサラッと抽出すればよいのですね。
■ ペーパードリップのポイント
ポピュラーな割には、意外にも複雑で難しく、安定したおいしさのコーヒーを淹れるには慣れが必要です。
1.抽出と濾過が同時に進むため、コーヒーの味を変える要素のひとつである抽出時間が決められない。
2.粉の量や大きさにより抽出時間が変わってしまう。
杯数を増やす場合は、粉の比率を少しずつ減らしたり、粉の大きさを粗めに変えたりすることが必要になります。しかし、粉の量が同じでも、味を調整するために粉の大きさを変えると、それだけで抽出時間が変わってしまうので、粉の大きさは変えずにまずは湯の温度で調整した方がよいでしょう。
・・・この辺の記載は、実際に淹れ方で悩んでいる方(私も含めて)にはウンウン頷ける内容です。
3.使用するドリッパーにより抽出時間が変わってしまう(↓)。
■ ドリッパーのタイプと特徴
濾過の指標の「濾過速度」と抽出の指標の「湯溜まり」のバランスが異なります。
湯溜まりができやすいと抽出時間が長くなるので苦味成分が多くなる傾向があります。
濾過速度 湯溜まり
・小穴一つ 遅い できやすい
・小穴二つ 速い ややできやすい
・大穴一つ より速い できにくい
・・・私は「大穴一つ」を使用中です。お湯が真ん中に集まってドリップした方が抽出効率が高いような気がして。
■ ドリップの際「の」の字を書くのはなぜ?
同じところに湯を注ぐと成分の「抽出ムラ」ができやすいためです。粉全体にまんべんなく湯を注ぎましょう。
■ コーヒーの粉にお湯を注ぐとなぜ膨らむんですか?
プクプクと膨らむ泡の正体は豆から発生した二酸化炭素です。
泡の出方が悪かったり、ふっくら度が低かったりするのは、二酸化炭素が少ないときに起こります。
「膨らまないコーヒーは鮮度が悪い」と云われることもあるようです。確かに間違いではありませんが例外もあります(粗挽きした粉にゆっくりお湯を注ぐ場合、湯の温度が低い場合、等)。
■ ペーパードリップで安定した味にするこつはありますか?
一般的な注意点として、以下のようなことがあります;
「粉が十分に膨らむまで湯を注ぐ」
「注いだ湯が落ちきらないうちに次の湯を注ぐ」
「最後は湯が落ちきらないうちにドリッパーをはずす」
また、淹れる杯数が変わると抽出時間も変わりますので注意!
杯数が多くなると抽出時間が長くなるので、それを考慮して一杯あたりの粉の量を減らしたり、濾過の速い(穴の面積の大きい)ドリッパーに替えたりするとよいでしょう。
著者の好む淹れ方;
「粗挽きにした粉をたっぷり使って短時間で淹れること」
がおいしさの秘訣だそうです。
・・・この内容はなかなかおいしく淹れられない私にはとても参考になります。
■ コーヒー豆を挽く目的は何ですか?
挽くことにより豆の表面積を千倍程度まで増やし、豆に含まれる成分を抽出しやすくするためです。
粉の大きさは「全日本コーヒー公正取引協議会」が示す砂糖との比較がひとつの目安になります。
・粗挽き:ザラメ糖以上の大きさ ・・・フレンチプレス用
・中挽き:グラニュー糖程度の大きさ・・・ペーパードリップやサイフォン用
・中細挽き:中挽きと細挽きの中間 ・・・同上
・細挽き:グラニュー糖と白砂糖の中間・・・市販の一杯用簡易抽出タイプに
・極細挽き:細挽きより細かいもの ・・・エスプレッソ用
に相当します。
・・・続きは後ほど・・・
私、コーヒーが好きです。
よくあるパターンですが、学生時代から飲み始め、ペーパードリップ~コーヒーメーカー~果てはエスプレッソ装置を購入したこともあります(数回使ってお蔵入り)。
また、缶コーヒーマニアでもありまして、新しい缶コーヒーを見つけるとついつい買ってしまいます。
味の限界を感じて最近は「微糖」系をたしなむ程度になりましたが。
本屋さんで、雑誌のコーヒー特集が目につくとつい購入してしまいます。
でも、おいしい淹れ方に割かれているのはせいぜい数ページ。あとはコーヒー豆やコーヒーカップやコーヒーに合うBGMなどの宣伝が多く、ガッカリしてしまいます。
インターネットの YouTube では、実際の淹れ方の動画を見ることができてとても参考になりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=53FCfupAOcM
コーヒーの粉の膨らむ様子を初見、便利な時代になりました。
現在は通販で焙煎済みの豆を購入し、自分で挽いてペーパードリップで淹れて楽しむところに落ち着いています。
でも、なかなか思うようなおいしいコーヒーを入れることができません。
水にこだわったり、金属フィルターを試したり、いろいろやってみたのですが・・・
そこで出会ったのがこの本です。
なんとも気を引く題名ではありませんか!
著者は趣味を仕事にした元コーヒーおたくで、現在はコーヒー研究者。
東京大学を卒業した才人らしい。現在の肩書きは石光商事研究開発室室長として、コーヒーの栽培から抽出に至る全工程を対象にコーヒーの科学に取り組んでいる、とのことです。
さて、手に取ったこの本は・・・なかなか良い内容です。
知りたいことが著者の主観ではなく、科学的根拠に基づいて書いてあるので説得力抜群。
そして「わからないこと」は「わからない」と正直に記していることも好印象。
なぜ私の入れたコーヒーの味がイマイチなのか、どこがいけないのか、気づかされてくれた点がいくつもありました。
感謝!
印象に残った文章を抜粋しておきます;
■ コーヒーの代表的な種類はアラビカ種(coffea arabica)とカネフォラ種(Coffea canephora)です。
アラビカ種はモカ、キリマンジャロ、ブルーマウンテンなどが有名で、コーヒー生産全体の65%を占めます。
アラビカ種の栽培は土壌を選び、水はけが良く、根を深く張れるようなふかふかの土壌、しかも肥沃な弱酸性土壌が必要であり、栽培に向く地域が限定されます。
ロブスタはカネフォラ種の品種の一つですが、知名度が高いのでカネフォラ種の代名詞になっています。カネフォラ種は乾燥に弱いものの、栽培する土壌を選びません。
■ 日本人のコーヒー消費量(年間一人あたり)は世界トップテンに入らない。
1位:フィンランド、2位:ノルウェー、3位:ベルギー/ルクセンブルク、4位:デンマーク、5位:スイス
・・・意外にもアメリカは上位に入っていないのですね。
■ カフェインが少ない方がヘルシー?
A. カフェインには様々な薬理作用があり、妊娠中であるとか、胃が荒れているとか、状況によっては摂取を控えた方がよい場合もありますが、適量を摂れば疲労回復などむしろ体に好ましい変化を与えます。
・・・実はカフェインの交感神経刺激作用は喘息に有効です。カフェインをもとに開発されたテオフィリンという薬物は長らく喘息治療のエースでした。作家のプルーストは喘息持ちで、調子が悪いときはコーヒーをがぶがぶ飲んでいたというエピソードが残っています。
■ コーヒーの苦味の正体は?
A. 苦味として感じられる成分のうち、カフェインはせいぜい10%。メインは褐色色素(少糖類、アミノ酸、クロロゲン酸類などにより作られます)。
クロロゲン酸はコーヒー酸とキナ酸が結合した構造の物質で10種類以上知られています。コーヒータンニンとかコーヒーポリフェノールなどともいわれ、近年その生理活性(抗酸化性など)がにわかに注目を集めている物質です。
■ コーヒーの酸味の正体は?
A. 焙煎によって作られる酸が主役。最も多いのはキナ酸で、その他クエン酸、酢酸、リン酸なども含まれます。
■ 時間とともに代わってしまうコーヒーの風味
A. 主に3つの要因が存在します;
1.味覚の温度特性。
同じものを味わうにしても、温度が違えば酸味、苦味(くみ)、甘味(かんみ)の感じ方が変わってきます。苦味や甘味は冷たいと感じにくくなる傾向があり、酸味は冷たいと感じやすくなる傾向があります。
2.成分の変化。淹れたての温度が高い状態では変化しやすい。
3.酸素の影響。コーヒーの中に溶け込んでいる酸素が変化を促進します。
では、よい風味を長持ちさせる方法は?
→ 残念ながらありません。コーヒーの変化を楽しむくらいのスタンスが必要です。
■ コーヒー豆は古くなるとまずくなる?
A. 確かに風味が変わります。
含まれる油脂の酸化が主因と言われることが多いようですが、実は香りの変化が主因です。焙煎直後から放出される二酸化炭素は香りの成分も一緒に奪って行き、残された香り成分の化学変化が始まります。それをまずいと感じると「劣化」、おいしいと感じると「熟成」ということになりますが、100%白黒つくことではなく、変化のタイミングと飲むヒトの主観によるもの。
■ コーヒーをミネラルウォーターで飲むとおいしくなる?
A. 水のpHの影響でコーヒーの味が変わります。日本の水道水のpHは7程度(中性)ですが、ミネラルウォーターのpHは8を越えるものもあります(アルカリ性)。
コーヒーのもともともpHは5~6程度で低酸性飲料ですが、アルカリ性の水を使って淹れるとpHが上がり酸味が弱まります。この変化を「マイルドになっておいしい」と感じるか「味がぼやける」と感じるかは、ヒトそれぞれです。
著者は「水道水で十分」と記しています。
■ 豆と粉、どちらで買うのがベター?
A. 豆です。粉は豆に比べて劣化が数倍速いのです。
焙煎豆に含まれていた二酸化炭素はコーヒーを周囲の劣化要因(水分、酸素)から守る役割を果たしていますが、粉砕時に70%程度失われてしまいます。その際にコーヒーの香り成分も一緒に奪っていきます。
■ コーヒー抽出の原理
ふたつの過程があります:
1.粉の表面と湯の間で起こるコーヒー成分の移動。
移動速度は淹れ始めは速く、時間をかけるほど遅くなっていきます。
2.粉の中心部から粉の表面へのコーヒー成分の移動。
第一過程よりゆっくり移動します。酸味は割と早いうちに出て、苦味はゆっくり出る傾向があります。コーヒーの味が原料や淹れ方によって変わってくるのは、この第二過程の影響が大きいのです。
■ コーヒーの淹れ方で味が変わる?
酸味成分と苦味成分の総量は原料で決まりますが、抽出である程度コントロール可能です。
コーヒーの味を変える、抽出時の要素は3つ;
1.湯の温度
高温ではそれぞれの成分の足が速くなります。酸味成分はもともと速いので影響は少ないのですが、苦味成分は抽出量が増えます。つまり、湯の温度が高くなると、味の総量が増え、苦味成分の比率が大きくなるのです。湯の温度を低めにすると逆の現象が起こります。
2.抽出時間
時間が長くなるほど味の総量が増え、苦味成分の比率が大きくなります。
3.粉の大きさ
粉の大きさが細かくなるにつれて味の総量が増え、苦味の比率が大きくなります。
・・・つまり、苦味を出したいときには細かく挽いて高温でじっくりゆっくり抽出、苦味を少なくしたいときは荒く挽いて沸騰させない湯でサラッと抽出すればよいのですね。
■ ペーパードリップのポイント
ポピュラーな割には、意外にも複雑で難しく、安定したおいしさのコーヒーを淹れるには慣れが必要です。
1.抽出と濾過が同時に進むため、コーヒーの味を変える要素のひとつである抽出時間が決められない。
2.粉の量や大きさにより抽出時間が変わってしまう。
杯数を増やす場合は、粉の比率を少しずつ減らしたり、粉の大きさを粗めに変えたりすることが必要になります。しかし、粉の量が同じでも、味を調整するために粉の大きさを変えると、それだけで抽出時間が変わってしまうので、粉の大きさは変えずにまずは湯の温度で調整した方がよいでしょう。
・・・この辺の記載は、実際に淹れ方で悩んでいる方(私も含めて)にはウンウン頷ける内容です。
3.使用するドリッパーにより抽出時間が変わってしまう(↓)。
■ ドリッパーのタイプと特徴
濾過の指標の「濾過速度」と抽出の指標の「湯溜まり」のバランスが異なります。
湯溜まりができやすいと抽出時間が長くなるので苦味成分が多くなる傾向があります。
濾過速度 湯溜まり
・小穴一つ 遅い できやすい
・小穴二つ 速い ややできやすい
・大穴一つ より速い できにくい
・・・私は「大穴一つ」を使用中です。お湯が真ん中に集まってドリップした方が抽出効率が高いような気がして。
■ ドリップの際「の」の字を書くのはなぜ?
同じところに湯を注ぐと成分の「抽出ムラ」ができやすいためです。粉全体にまんべんなく湯を注ぎましょう。
■ コーヒーの粉にお湯を注ぐとなぜ膨らむんですか?
プクプクと膨らむ泡の正体は豆から発生した二酸化炭素です。
泡の出方が悪かったり、ふっくら度が低かったりするのは、二酸化炭素が少ないときに起こります。
「膨らまないコーヒーは鮮度が悪い」と云われることもあるようです。確かに間違いではありませんが例外もあります(粗挽きした粉にゆっくりお湯を注ぐ場合、湯の温度が低い場合、等)。
■ ペーパードリップで安定した味にするこつはありますか?
一般的な注意点として、以下のようなことがあります;
「粉が十分に膨らむまで湯を注ぐ」
「注いだ湯が落ちきらないうちに次の湯を注ぐ」
「最後は湯が落ちきらないうちにドリッパーをはずす」
また、淹れる杯数が変わると抽出時間も変わりますので注意!
杯数が多くなると抽出時間が長くなるので、それを考慮して一杯あたりの粉の量を減らしたり、濾過の速い(穴の面積の大きい)ドリッパーに替えたりするとよいでしょう。
著者の好む淹れ方;
「粗挽きにした粉をたっぷり使って短時間で淹れること」
がおいしさの秘訣だそうです。
・・・この内容はなかなかおいしく淹れられない私にはとても参考になります。
■ コーヒー豆を挽く目的は何ですか?
挽くことにより豆の表面積を千倍程度まで増やし、豆に含まれる成分を抽出しやすくするためです。
粉の大きさは「全日本コーヒー公正取引協議会」が示す砂糖との比較がひとつの目安になります。
・粗挽き:ザラメ糖以上の大きさ ・・・フレンチプレス用
・中挽き:グラニュー糖程度の大きさ・・・ペーパードリップやサイフォン用
・中細挽き:中挽きと細挽きの中間 ・・・同上
・細挽き:グラニュー糖と白砂糖の中間・・・市販の一杯用簡易抽出タイプに
・極細挽き:細挽きより細かいもの ・・・エスプレッソ用
に相当します。
・・・続きは後ほど・・・