並木浩一著、講談社セオリーブックス(2008年)
私、腕時計が好きです。
いや、懐中時計も集めているので「時計」全般が好きなのかな。
共通しているのは「機械式」。
時間に正確なクォーツではなく、1日30秒以内のずれなら可とされる手巻き・自動巻時計達。
なぜこんなに惹かれるのだろう。
「腕時計は男に許された数少ないファッションアイテム」という意見もあります。
それだけかなあ・・・と、手に取ったこの本の中にピッタリの言葉を見つけました。
それは「少年DNA」。
精密な機械が動いているとゾクゾク魅力を感じる、あの少年の頃の感覚です。
私は「男の子魂」と呼んでいましたが、「少年DNA」の方がスマートですね。
中がどうなっているのか知りたくて、時計を分解して元に戻せず叱られた経験を持つ方も少なからずいらっしゃるのではないかと思われます。
ですからムーブメントがガラスを通して見える「スケルトン」(スケて覗けるのではなく「骨格」という意味の英語です)モデルはさらに魅力的!
拡大鏡を用いて細かい動きを眺めているだけで幸せ感が満ちてきます。
100年以上前の懐中時計もいくつか所有しています。
裏蓋を工具で開けると、100年以上前に作られた機械が今でも時を刻んでいるのです。あぁ~、たまりません。
日本では明治時代、まだ日本が戦争を経験していない頃。
さて、本の内容に戻りますが、私のように腕時計に惹かれる男たちが知りたがる蘊蓄が満載されています。
「おや?」「おお!」と思ったところを引用してみます;
■ クォーツ・ショック
1969年に日本の「セイコー」がクォーツを開発・発売してからの10年間を、スイス時計界は「暗黒の10年」と呼んでいます。13万人いた時計業界の就業人口が3万人にまで減少しました。
■ ロレックスの上を行くプレミアムブランド「パテック・フリップ」
ロレックスが高級時計の中でも世界的に換金性がもっとも高いブランドであることは間違いありません。しかし、発売後価値が上がるブランドが一つだけあります。雲上ブランドの最高峰、時計界のロールスロイスと云われるパテック・フリップです。
■ 革ベルト、いや金属ブレス?
ビジネスシーンの時計と云うことであれば、欧米では革ベルト(ストラップ)の時計をするビジネスマンが主流なのですが、日本では金属ブレスレットの人気が圧倒的のようです。梅雨があり、湿度が高いという気候の関係で、革ベルトがなじまないと云うこともあるのでしょう。
・・・私は汗っかきなので、革ベルトは苦手です。かつ、肌が弱くて革ベルトの金属部分(尾錠と云います)が当たる部分が赤く炎症を起こしてしまいますので必然的に金属ブレス派となってます。
■ なぜ高級時計はスイス製ばかりなのか?
イギリスは19世紀までは世界の時計産業のリーダー的存在でした。ところが当時、安くて性能的にもそこそこに優秀だったスイスの時計がいくらでも輸入できる地理的関係にあったため、次第に国内の時計産業が衰退してしまいました。ロレックスももともとはイギリスが創業の地なのですが、スイスに拠点を移していきました。イギリスは時計の生産国から、時計の流通センターになってしまったのです。
アメリカの時計作りも1940年代まではとても盛んでした。「ウォルサム」「エルジン」など、大量生産技術に長け、それでいて高性能の時計を作ったブランドが多く、世界を席巻していたのです。ところが第二次世界大戦の際、時計の生産拠点が相次いで軍需産業に転用されてしまい、このために一気に衰退しました。
これに対し、スイスは永世中立国だったおかげで戦争中も時計を作り続けることができました。
こんな歴史的カラクリがあったのです。
■ 時計の素材あれこれ
1.プラチナ:
クールで深みのある輝きは他のどんな素材にもない奥深さがあります。しかも、素材自体が非常に硬い上にもろいため、加工がしづらい。このことも値段を上げている要素です。
2.ゴールド:
純金はプラチナに比べると溶けやすくて扱いやすいが傷がつきやすいので、時計として使う場合は混ぜものをしてその弱点を補います。何を混ぜるかで表面の色が決まります;
・イエローゴールド:金+(銀と銅)
・ローズゴールド :金+(銀と銅)であるが、銅を多く混ぜる(ピンクゴールド、レッドゴールドとも呼ばれます)
・ホワイトゴールド:金+パラジウム
3.ステンレス:
鉄にモリブデンなどを混ぜて作る合金でリーズナブルな素材です。ステンレスの中でも「316L」という素材はモリブデンの配合が通常のものより多いため、光沢があって錆にも強いことから、ステンレスの最高級品と云われています。
■ 機械式時計ブーム
1980年代末から90年代に入って、アンティーク市場で機械式腕時計が初めて扱われるようになりました。「アンティーク」の正式な定義は「生産されて100年以上経過したもの」ですが、一部のオークショナーが「腕時計に限っては、クォーツが登場した1969年以前に生産されたものはアンティーク」と呼ぶことにしたことをきっかけに、それまでは「中古」としてしか扱われなかった古い時計が評価され、値段がつくようになったのです。
・・・時計雑誌に書いてありましたが、1960年代までに作られた機械式時計のムーブメントに使用されている金属は鍛え方が違うので長持ちするそうです。使い捨てではなく、修理しながら長く使うパートナーのような道具だったのですね。
日本の伝統的寺院建築に使われている釘でも同じような話を聞いたことがあります。昔の釘は鍛冶屋がトンカン鍛えた鉄なので現在の型に流し込んで作る釘より丈夫で長持ちすると。
私、腕時計が好きです。
いや、懐中時計も集めているので「時計」全般が好きなのかな。
共通しているのは「機械式」。
時間に正確なクォーツではなく、1日30秒以内のずれなら可とされる手巻き・自動巻時計達。
なぜこんなに惹かれるのだろう。
「腕時計は男に許された数少ないファッションアイテム」という意見もあります。
それだけかなあ・・・と、手に取ったこの本の中にピッタリの言葉を見つけました。
それは「少年DNA」。
精密な機械が動いているとゾクゾク魅力を感じる、あの少年の頃の感覚です。
私は「男の子魂」と呼んでいましたが、「少年DNA」の方がスマートですね。
中がどうなっているのか知りたくて、時計を分解して元に戻せず叱られた経験を持つ方も少なからずいらっしゃるのではないかと思われます。
ですからムーブメントがガラスを通して見える「スケルトン」(スケて覗けるのではなく「骨格」という意味の英語です)モデルはさらに魅力的!
拡大鏡を用いて細かい動きを眺めているだけで幸せ感が満ちてきます。
100年以上前の懐中時計もいくつか所有しています。
裏蓋を工具で開けると、100年以上前に作られた機械が今でも時を刻んでいるのです。あぁ~、たまりません。
日本では明治時代、まだ日本が戦争を経験していない頃。
さて、本の内容に戻りますが、私のように腕時計に惹かれる男たちが知りたがる蘊蓄が満載されています。
「おや?」「おお!」と思ったところを引用してみます;
■ クォーツ・ショック
1969年に日本の「セイコー」がクォーツを開発・発売してからの10年間を、スイス時計界は「暗黒の10年」と呼んでいます。13万人いた時計業界の就業人口が3万人にまで減少しました。
■ ロレックスの上を行くプレミアムブランド「パテック・フリップ」
ロレックスが高級時計の中でも世界的に換金性がもっとも高いブランドであることは間違いありません。しかし、発売後価値が上がるブランドが一つだけあります。雲上ブランドの最高峰、時計界のロールスロイスと云われるパテック・フリップです。
■ 革ベルト、いや金属ブレス?
ビジネスシーンの時計と云うことであれば、欧米では革ベルト(ストラップ)の時計をするビジネスマンが主流なのですが、日本では金属ブレスレットの人気が圧倒的のようです。梅雨があり、湿度が高いという気候の関係で、革ベルトがなじまないと云うこともあるのでしょう。
・・・私は汗っかきなので、革ベルトは苦手です。かつ、肌が弱くて革ベルトの金属部分(尾錠と云います)が当たる部分が赤く炎症を起こしてしまいますので必然的に金属ブレス派となってます。
■ なぜ高級時計はスイス製ばかりなのか?
イギリスは19世紀までは世界の時計産業のリーダー的存在でした。ところが当時、安くて性能的にもそこそこに優秀だったスイスの時計がいくらでも輸入できる地理的関係にあったため、次第に国内の時計産業が衰退してしまいました。ロレックスももともとはイギリスが創業の地なのですが、スイスに拠点を移していきました。イギリスは時計の生産国から、時計の流通センターになってしまったのです。
アメリカの時計作りも1940年代まではとても盛んでした。「ウォルサム」「エルジン」など、大量生産技術に長け、それでいて高性能の時計を作ったブランドが多く、世界を席巻していたのです。ところが第二次世界大戦の際、時計の生産拠点が相次いで軍需産業に転用されてしまい、このために一気に衰退しました。
これに対し、スイスは永世中立国だったおかげで戦争中も時計を作り続けることができました。
こんな歴史的カラクリがあったのです。
■ 時計の素材あれこれ
1.プラチナ:
クールで深みのある輝きは他のどんな素材にもない奥深さがあります。しかも、素材自体が非常に硬い上にもろいため、加工がしづらい。このことも値段を上げている要素です。
2.ゴールド:
純金はプラチナに比べると溶けやすくて扱いやすいが傷がつきやすいので、時計として使う場合は混ぜものをしてその弱点を補います。何を混ぜるかで表面の色が決まります;
・イエローゴールド:金+(銀と銅)
・ローズゴールド :金+(銀と銅)であるが、銅を多く混ぜる(ピンクゴールド、レッドゴールドとも呼ばれます)
・ホワイトゴールド:金+パラジウム
3.ステンレス:
鉄にモリブデンなどを混ぜて作る合金でリーズナブルな素材です。ステンレスの中でも「316L」という素材はモリブデンの配合が通常のものより多いため、光沢があって錆にも強いことから、ステンレスの最高級品と云われています。
■ 機械式時計ブーム
1980年代末から90年代に入って、アンティーク市場で機械式腕時計が初めて扱われるようになりました。「アンティーク」の正式な定義は「生産されて100年以上経過したもの」ですが、一部のオークショナーが「腕時計に限っては、クォーツが登場した1969年以前に生産されたものはアンティーク」と呼ぶことにしたことをきっかけに、それまでは「中古」としてしか扱われなかった古い時計が評価され、値段がつくようになったのです。
・・・時計雑誌に書いてありましたが、1960年代までに作られた機械式時計のムーブメントに使用されている金属は鍛え方が違うので長持ちするそうです。使い捨てではなく、修理しながら長く使うパートナーのような道具だったのですね。
日本の伝統的寺院建築に使われている釘でも同じような話を聞いたことがあります。昔の釘は鍛冶屋がトンカン鍛えた鉄なので現在の型に流し込んで作る釘より丈夫で長持ちすると。