さなえのうた

歌いながらあちこちに出没します♪

スザンナって、どんな人?

2020-08-02 | オペラ研究
ところで!

スザンナって、どんな人でしょう?


よく言われているのは、
『オペラのすべてのアンサンブルに唯一からむ』

1番2重唱 : スザンナとフィガロ
       (5.10..と歌い出す曲)
2番2重唱 : スザンナとフィガロ
       (部屋の有効性と危険性について歌っている曲)
5番2重唱 : スザンナとマルチェリーナ
       (お先にどうぞ)
7番3重唱 : スザンナと伯爵とバジリオ
       (ケルビーノがソファーに隠れていて、スザンナは一瞬気絶!)
13番3重唱 : スザンナと伯爵と伯爵夫人
       (ケルビーノが部屋に隠れていて、伯爵が激高しているシーン)
14番2重唱 : スザンナとケルビーノ
       (どこから逃げようと、慌てふためいているシーン)
15番フィナーレ : スザンナと伯爵と伯爵夫人、あとからフィガロ
         アントニオが乱入し、追い払ったと思ったのも束の間、
         マルチェリーナ、バジリオ、バルトロが入ってきて大騒ぎの7重唱
16番2重唱 : スザンナと伯爵
       (逢引に、必ず来い・行きます)
18番6重唱 : スザンナは後から登場
       伯爵、マルチェリーナ、クルツィオ、フィガロ、バルトロ
       (親子であることが判明したシーン)
20番2重唱 : スザンナと伯爵夫人
       (手紙の二重唱)
22番フィナーレ : スザンナとフィガロ、伯爵、伯爵夫人・・・などなど。
       (行進曲が聞こえてきて、結婚式となり、針のついた手紙を渡すシーン)
28番フィナーレ : スザンナ、フィガロ、伯爵、伯爵夫人、ケルビーノ、他全員
       (全員で大団円)

確かに、全部にからんでいます。

では、どうしてスザンナなのでしょう?


よく言われているのは、
『スザンナ役の初演歌手はモーツァルトの愛人だった』

・・・本当にそれだけ?

スザンナ役の歌手には、これだけの出番を歌いこなせるスタミナが必要です。
稽古数も膨大になってしまう訳で、
「今日は誰々さんを中心に稽古しますので、スザンナさんはお休み!」
・・・という訳にはいきません。

しかも召使の役なので、動かなければなりません。

いわゆるスーブレットと言われる役柄であるスザンナは、
若く、きれいで、機知に富み、機敏で、高音も要求されます。

愛人だろうがなんだろうが、彼女にはそれを歌いこなせたということです。
それだけの才能と実力を持つ歌い手だったということです。

よって、「愛人だったからスザンナは出ずっぱり」というのは間違い。
「出ずっぱりのスザンナを初演時に歌いこなせた歌手は愛人だった(可能性がある)」が正解。

では、どうしてスザンナなのでしょうか?


スザンナは天からのギフト

このオペラのタイトルは『フィガロの結婚』です。
よって主役はフィガロ。
スザンナは主役の婚約者、オペラが終わる時には妻です。

この物語は、フィガロという一庶民が体制や権力に抗って、妻を獲得する物語。
生涯の伴侶を得る物語です。

そしてすべてのアンサンブルに登場する婚約者は、
あらゆる局面を乗り越えて、妻となったとも言えます。

・・・と書きつつ、魔笛を思い浮かべたりします。。。
妻となる者、夫となる者。

キリスト教的な考え方であるのかもしれませんが、
日本人である私にも理解ができるような気がします。

加えて、前回記事でも触れました『満足感の伝播


夫と妻。
夫婦二人三脚。
伴侶。

女性が男を男たらしめるのかも。
男と女、二人で一人前なのかも。


昭和の時代、
彼女のお父さんに「彼女を僕にください」と言う時、
「今まで彼女を育ててくださってありがとうございます」と添えてたかも。

・・・今、女性は少し強くなりましたので、
「彼女を幸せにします」と言う夫より「幸せになります」と言う妻が増えたように思いますが。


フィガロのように機知に富む男性が見初めた女性:スザンナです。

・・・やはり、愛人に歌わせたかったのかなぁ?