さなえのうた

歌いながらあちこちに出没します♪

スザンナの歌い出し④~s→k

2020-08-22 | オペラ研究
亀の歩みですが…(^_^;)

スザンナの最初のフレーズの母音を考えたので、
子音について考えています。


念のため補足をしておくと…

スザンナの最初のフレーズ『Ora sì ch'io son contenta』は、
ラ・シ・ド・レ・ミの5度で構成されています。
この5度の中には女声のパッサッジョが含まれます。

また、
『r』『s』『chまたはc=k』『n』『t』の子音が含まれています。
このうちの『n』は『口を開いたハミング』であり、
ウォームアップとしてまたは母音として真っ先に取り上げました。
("スザンナの歌い出し①"中、"練習あるいはウォーミングアップ")



~5つの子音③『k』~


スザンナの最初の単語『Ora』を緩やかにふうっと歌い出して、
摩擦音『s』を柔らかく歌ったら、
3つめの子音は破裂音の『k』です。

『k』は口の奥…、舌の付け根を持ち上げて軟口蓋と接触させて、
その間から息を通すことによって破裂音を作って発音します。
…つまり、『s』と同じように、口の中が狭くなってしまう訳です。
破裂させる位置が低いと、『k』の子音は素敵に響きません。
素敵に響かせると、喉を閉めやすくなります。

喉を閉めてしまうので、
その後の母音を省略して『k』の子音だけを発音している人が多いのだと考えます。
『キック』『アベック』『パニック』『パンデミック』……。

このうちの『キック』は、『ク』の『う』の母音だけでなく、
『キ』の『い』の母音も無声化させることができます。

母音がなくても、
『キ』の『k』を軟口蓋の真ん中あたり(口の前の方)で、
『ク』の『k』を舌の付け根あたり(口の奥の方)で破裂させることにより、
『キック』と認識させるような音を作りだせるのです。



~無声子音~


『s』のような摩擦音や、『k』のような破裂音を
無声子音と呼びます。
音符で表現すると、✖で表されるもので、
音階をつけることができません。

コンサート会場で響くプログラムをめくるカサカサという音…
無声子音を使って表現される『カサカサ』ですが、
雑音です。
耳に心地よくないのですが、小さくても響いてしまう音なのです。


『スキップ』を無声子音のみで発音して繰り返すと…
ボイスパーカッションのようです。
ドラムのハイハットでも鳴らしているかのように、
かっこよくリズムを刻めます。
『ひっつくパンツ』だと、さらにかっこよくなります。

話がそれました…(^_^;)



要するに、『s』や『k』のような無声子音は、
強すぎると、心地の良いものではなくなってしまいますが、
かっこよく使えば、リズム感を出すことができます。

スザンナの最初のフレーズでは、
『 sì ch'io 』と『s→k』の子音が続いた後、
『son con‐』と、さらに『s→k』が繰り返されます。
この『s→k→s→k』をかっこよく仕上げたいと思うのです。



~無声子音と狭母音~



『si』や『shi』の時のように、『ki』の母音『い』も無声化しやすいです。
『秋』『指揮』『ステッキ』のようにアクセントのない最後の音に『き』が来る場合や
『昭島(あきしま)』のように『きし』と連続する場合などです。

無声子音の後の狭母音は無声化しやすいのです。


ですが、歌う時には、
この狭い『i』の母音を素敵に響かせなければなりません。
狭くなり過ぎて無声化することがないように、
適度に開け直して、『い』母音のメリスマを仕上げなければなりません。



『い』の母音のみでドシラシと練習したら、
『s』と『k』を入れてもボカリーゼと同じクオリティになるように仕上げます。
『い』の母音は、声帯を合わせるのに最適な母音です。

きつく締め過ぎないように、
『Ora』先生の『あ』と同じドの音で『い』の母音のクオリティを合わせたら、
『s』と『k』のリズム担当も手伝って、
『 sì ch'io 』が素敵に響くでしょう。


間違っても、一番低いラの音で演奏される『き』の音に
アクセントが付かないように。
2拍目です。
ラはシャープ(嬰イ)ではなくナチュラルです!などと主張しなくてよろしい。
ちょっち高めになっちゃっても気にしないくらいで大丈夫でしょう。
響きが下を向かないこと、レガートであることの方が大事です。



~『s→k→s→k』~


上手くできたら、『お』の音でも歌ってみます。
『そーこー』と最初のドシラシで、次のレドシドで。
戻って、『しーきー』と、レドシドで。



狭い母音である『い』の母音で、
パッサッジョより下にある音域で、声帯を柔らかくくっつけて、
パッサッジョを超えるあたりでは、
広い母音である『お』の母音で、柔らかく響かす。


うまく行ったら、 『sì ch'io son con‐ 』の『s→k→s→k』が、
『スキスキ』のように響くことでしょう(^^♪


あるいは、『スキスキ』と響くように歌いましょう。

Ora sì ch'io son contenta !!!
コメント
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