廣島パイレーツ・チャンネル

広島の名も無き”田舎侍”が地元プロスポーツを中心に色々と書いて行く過激なスポーツコラムや、広島の市政や街づくりについても

ハードボイルド時代劇 『筆殺仕立人』 第七話:本

2008-06-22 23:23:23 | Weblog
 今日は広島の街までカープの応援に出掛けた。 昨夜夜更かしして起きられずに家を出るのが遅れたのだが、試合開始は14時で余裕があるし、どうも雨が降りそうな空模様でかなり客足が落ちると予想されるので少々遅く行っても余裕で座れるだろう。 実際、去年も同じイーグルス戦に行ってやはり天気も雨が降ったり止んだりの散々なもので、日曜日だったけど1万人ちょっとしか入らずにガラガラのスタンドで傘を差して応援した記憶がある。 私はいつも通り横川駅でJRを下車、駅近くのスーパーでビールや生ハムなどを買った。 これで準備OKと言う事で早速球場へ向かおうとしたのだが、そんな矢先に雨がパラパラと降り出して来た。 球場に着く前から濡れるのは面白く無いので仕方が無く広電の路面電車に乗って球場を目指した...

                   

 球場に着くと雨は小降りになった。 いつもより球場入りは遅れたが、今日は雨が降っているのでお目当ての試合前練習をグラウンドでやらないからギリギリで入っても問題無いだろう。 そして私はいつものライト側ゲートへと向かった。 すると頭上から音声が聞こえ、先発メンバーの発表が始まった。 ...しまった、先発メンバー発表までに球場入りする事にしていたのにすっかり忘れてしまっていた。 私がゲートをくぐって球場入りしたのはカープの先発メンバー発表の途中だった。 しかしいつもの選手の顔写真がスコアボードに表示されない。 そう言えば先程、正面入口のところに張り紙がしてあって、今日の雨でスコアボードの大型ビジョンが使えなくなっています、ご了承下さいと書かれていたな。 雨ぐらいで使えなくなるとはボロいなぁ... どこのメーカーのだろうか? 新球場もこの業者の製品を使っているとか...

 スコアボードに並んだ両チームの先発メンバーを見て、期待通りの展開と当て外れの展開があった事に気が付いた。 イーグルスは5番・三塁としてフェルナンデス選手を起用している。 私は先日からカープはフェルナンデス選手の守備位置に向かってセーフティバントを執拗に仕掛ければ守備に難がある上に慣れない市民球場のグラウンドでエラー連発、カープ戦に滅法強いフェルナンデス選手は”カープの回し者”になると書いてノムさんに彼を先発から外させる狙いだった。 戦国時代の策士の常套手段として、厄介な敵を自分達に通じていると嘘をばら撒いて敵に敵を始末させる計略があり、私もそれをやったのだが残念ながらノムさんにはそんな手は通用しなかった様だ。

                   

 しかし、フェルナンデス選手をベンチに引っ込める事には失敗したが、彼が三塁で先発する以上、守備位置の三塁に転がせばエラー連発でカープに点が入る。 私には”絶対遵守の力”なんてありませんが、計略をもってフェルナンデス選手を”カープの回し者”にする事は出来ると言う訳です。 それを意識したのかどうかは分かりませんが、発表されたカープの先発メンバーを見ると一番・東出選手、二番・赤松選手、三番・天谷選手と俊足選手を上位に並べ、下位打線にも遊撃手として小窪選手が入っています。 彼らがどんどん三塁に向かってバントすれば...面白い事になりそうです。 カープの先発はエース格のルイス投手だし、足技で稼いだ3点で勝算はあるでしょう...

                   

 ...それにしても今日は客が多いな。 去年と条件は同じだから一万人ちょっと入るかどうかと思っていたら内野席や普段客が居ない二階席まで一杯のすごい状況だ。 お陰で私も危うく立ち見になるところだった。 何でこんなに入っているのだ? もしかしたら新聞などで”マー君”ことイーグルスの田中投手がリリーフ登板するかも知れないと書かれていたからだろうか。 しかし私はそれはやらないと思いますけどね。 昨日の試合が行われていればマー君が出て来ると確信していたけど、昨日が雨天中止で明日に延期された以上、ローテーションを守れば田中投手は明日先発するはずですし。

 それとレフトスタンドにもかなりの数のイーグルスファンが来ているな。 レフトスタンドを黒く埋め尽くしていた先日のホークスやマリーンズのファンに比べると人数は少ないが、仙台から広島までの遠さや交通アクセスの問題を考えるとよくここまでと言いたくなる。 この人達は地元のJリーグクラブ『ベガルタ仙台』や『モンテデュオ山形』には興味があるのだろうか? 前から書いていますが、来るべき球界再編から地元プロ野球チームを守る為の”裏技”として地元チームを応援する野球ファンが同じ地元のJリーグクラブのサポーターも兼ねるのは効果的だと思います。 球界再編を目論む連中は、残った既存の球団が潰された球団のファンを”山分け”出来ると傲慢にも考えていると思いますが、地方球団を潰せばそのファンはごっそりサッカーに奪われると思えば手は出せませんし、それでも球界縮小再編を強行するのなら一度日本を”サッカーの国”にしてからサッカー協会の支援の下で企業支配を廃した理想のプロ野球を作り直せば良いのですから...

                    

 そして試合は始まった。 初回は両投手ともに無失点で乗り切ったが、イーグルスは2回に出塁したフェルナンデス選手を置いて横川選手がホームランで2点先制した。 まさかホームランとは考えていなかったが、ルイス投手は先日引いた風邪が完治していなかったのか、それとも雨上がりの猛烈な蒸し暑さが慣れないアメリカ出身の彼にはきついのかどうも調子が悪いらしい。 3回には警戒しているフェルナンデス選手のタイムリーヒットで追加点を取られる... だから三塁に向けてバント攻めを仕掛けてフェルナンデス選手が打撃に集中出来ない様にするべきだと言っているのに...

 一方のイーグルス先発・岩隈投手は絶好調なのか、カープ打線から三振の山を築き上げて行く。 ルイス投手が先頭打者としてヒットで出塁したイニングでは、続く東出選手、赤松選手、天谷選手の俊足トリオを三者連続三振! 岩隈投手はこんなにバッサバッサと三振を取るタイプでは...ふと気が付いたのだが、岩隈投手は慣れない市民球場の土のグラウンドに打球を転がさせない様、極力三振を狙っているのではないだろうか? 私の”奸計”を打球が転がるとまずい、それなら三振させてやると真っ向勝負、力で退けるのは分かりやすい方法だが、それを本当にやってしまう岩隈投手の力量は大したものです。 しかしこんなペース配分無視の力投は最後まで続かない、終盤にひっくり返せるはず...

                    

 カープは5回に1点を返して迎えた7回裏、球場が急に騒がしくなったと思ったらイーグルスが2番手に田中投手を出して来た。 田中投手は山崎選手の打順に入って”四番”になった。 たった2点の差なのに四番打者を引っ込めるとは、田中投手への信頼もあるけどやはりフェルナンデス選手の三塁守備には不安を持っていたのだと思う。 投球練習を終えた田中投手が外野席をチラっと見ている気がしたので私もとっさにグラブをしてその右手を上げて振ってみた。 田中投手が軽くグラブを上げて応えた様に見えたがもちろん私の気のせいだろう。 第一、私の視力は0.7位だし...

 大型ビジョンの故障で球速が全く分からないが、田中投手は速球と得意のスライダーを駆使して交流戦絶好調の東出選手や、代打でコールされて球場が湧いた前田選手から次々と三振を奪って行く。 守備位置は代わったがやはりフェルナンデス選手のところに打球は行かせないつもりなのかも知れない。 そして9回表、その田中投手に打順が回る。 代打が出るかと思ったが続投で、走者を置いたチャンスの場面で”四番打者・マー君”が打席に立つ。 田中投手は結構粘ったがついに三振し、本気で悔しがっている様に見えた。 ”アイドル”の田中投手に当ててはいけないし、かと言って打たれてもいけない...と投げる梅津投手も大変だったろうな。

                    

 結局試合はそのまま田中投手が最後まで投げて3-1でカープは負けてしまった。 残念ではありますけどそれだけ岩隈投手や田中投手の投球が良かったとも言えますし、今回は相手を称えるしか無いでしょう。 今回、実際に球場で見て岩隈投手も田中投手も恐らくはオリンピックの代表チームに呼ばれると思いました。 星野監督の事だから岩隈投手にはアテネ大会での”リベンジ”に燃える事を期待してオランダ代表との試合に先発させるかも知れないですね。 そして田中投手は一度先発として投げさせてその後はリリーフ待機して重要な場面、例えば決勝トーナメントでの延長戦などで投げさせるつもりなのかも。 その意味では今日のプロ入り初めてのリリーフ登板にも意味があったのかも知れません。 イーグルスにとって大事な8月に二人が抜けるのは痛いですが、もし選ばれた時には日本野球の為に活躍して欲しいと思っています。

「岩隈投手、田中投手、その時は日本を頼みます。」

                    

 さて、いつも通り球場正面に出て勝った相手チームのお見送りをしようと人込みを掻き分けて開放された内野席を通って正面ゲートへと向かう。 三塁側ベンチ前では岩隈投手と田中投手が記者達に囲まれてインタビューと写真撮影をしているらしい。 ちょっと見ていて彼らが出て行ったのを確認してから私も電車通りに出た。 三塁側を見ると今日はイーグルスのチームバスが見える。 しばらく待っているとバスは私の前に現れた。 私はバスを見ながらポケットから携帯を取り出し、”エリカ様”にご報告した...

「”エリカ様”申し訳ありません、仕立に失敗しました。 これより現場を離脱、撤退します。」

                   

 ”ノムさん”とは一昨年から3年連続で対戦し、いずれも敗れてしまった。 今回はフェルナンデス選手の守備力に目を付けた”秘策”で今度こそ勝てると思ったのですが... 先日もノムさんはマリーンズのバレンタイン監督やジャイアンツの伊原コーチと舌戦を繰り広げておられましたが、あの人は挑んで来る敵が現れると余計に闘志が湧いて来て燃えるのかも知れませんね。 私も同じ時代を共有して敵として戦えた事を誇りに思いますが、私は”往生際が悪い”性分ですし、出来る事なら来年も戦って今度こそ勝ちたいですけどね、こればかりは私の力ではどうする訳にも...





                続く







                 キャスト



駿河守/ナレーター     管理人さん



犬鷲の先発投手       岩隈久志(イーグルス投手)

鯉の先発投手         C・ルイス(カープ投手)



マー君              田中将大(イーグルス投手)

犬鷲の斬り込み隊長      渡辺直人(イーグルス内野手)

憲史               川口憲史(イーグルス外野手)

犬鷲の鯉料理人        J・フェルナンデス(イーグルス内野手)

必殺仕事人           高須洋介(イーグルス内野手)

犬鷲の主砲            山崎武士(イーグルス内野手)



鯉の斬り込み隊長       天谷総一郎(カープ外野手)

新・必殺仕事人         小窪哲也(カープ内野手)

鯉の狩人             赤松真人(カープ外野手)

鯉女房A             石原慶幸(カープ捕手)

鯉の二塁手           東出輝裕(カープ内野手)

赤ゴジラ             嶋重宣(カープ外野手)

サムライ前田          前田智徳(カープ外野手)

鯉の主砲            栗原健太(カープ内野手)

スライリー            ????(カープ公式マスコット)



イーグルスファンの皆さん

カープファンの皆さん



ノムさん              野村克也(イーグルス監督・友情出演)

マーティー監督          M・ブラウン(カープ監督)



エリカ様              ?????(女優)





                  スタッフ


製作               管理人さん

脚本               管理人さん

演出               管理人さん

音楽               無し

殺陣               管理人さん

美術               管理人さん

資料協力            週間ベースボール

撮影協力            広島市
                  広島市民球場
                  広島カープ球団
                  ゴールデンイーグルス球団
                  縮景園
                  横川胡子神社

監督               管理人さん





 この物語は一部フィクションであり、実在する人物、団体、地域とは関係無い...ところが含まれております。


 ...異常です。
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