廣島パイレーツ・チャンネル

広島の名も無き”田舎侍”が地元プロスポーツを中心に色々と書いて行く過激なスポーツコラムや、広島の市政や街づくりについても

痛快娯楽時代劇 新・筆殺仕立人 第弐話・本

2010-03-06 23:23:23 | Weblog
 いよいよ今日はJリーグの開幕戦だ。 もっともサンフレッチェは一週間前にACLのホーム山東魯能戦でシーズン自体は始まっていたのだから気分的にはもう開幕していて今日は2試合目と言う感覚なのですけど。 私はいつも通り家からスクーターに乗って広島ビッグアーチへと向かう。 スタジアムに向けて大通りを走っていると、いつもの「アストラム大塚駅付近、渋滞中!」と言う道路情報が表示されている。 狭い日本で万単位の観客を集めて行うプロスポーツの興行をマイカーに頼らなければいけないスタジアムでやっている事がそもそも間違いなのだ。 前回の試合は平日だったのだが今日は土曜日なので混んでいるな。 もっともスクーターなので車の間を縫ってさっさと駐輪場に向かい、弁当などの荷物を持ってスタジアムへと向かう...

                           

 スタジアム入り口付近に妙な物が見えるので近付いて見ると恐竜のオブジェがサンフレッチェのユニフォームを着ていると言う代物だった。 何で恐竜なのかと言う意味がさっぱり分からないけど開幕戦を盛り上げる演出だろう。 今年は特にACLで実質開幕しているので今まで以上に開幕戦を演出する必要があったのかも知れないが... 正面ゲート付近の広場にはいつも以上に露店が出ている。 面白そうだけど弁当も持って来ているし食べ過ぎて試合中にトイレに行きたくなったら困るので見るだけにした。

 早くしないと先発メンバー発表が始まってしまうので先を急ぐ。 入場ゲートの前に来ると行列が出来ていた。 先日のACLの試合は平日だったので並ばずすんなり入れていたのだが、もちろん土日の試合で簡単に入場出来ないほど来る事は悪くない。 チケットを持って並んでいると、後ろに並んでいた若い男達がビッグアーチは何人くらい入れるのかと話していて、5万人近く入れるけどサンフレッチェの試合ではそんなに要らないから客の入りの割にはガラガラな印象を受けてしまう、しかし今の交通の便を考えると本当に5万人も入ったら恐ろしい事になる...みたいな事を言っていた。

 私はいつも通りサポーター席のゴール裏の席を確保した。 席には風船2個と爪楊枝が入った小袋が置かれている。 風船を見るとプロ野球で7回の攻撃前に膨らませて応援歌に合わせて打ち上げるジェット風船を思い出すが、この風船はそれとは違う真ん丸な物でチームカラーの紫色だ。 何でもこれを膨らませて試合開始の時の選手入場と共に掲げ、爪楊枝で刺して割り爆竹みたいに客席全体からパンパンと音をさせる趣向らしいな...

                                     

代表のていたらくヨソに…W杯観戦ツアー完売続出のワケ(夕刊フジ) - goo ニュース

 今回のワールドカップは南アフリカで行われるので、違う意味でも注目されているのではないでしょうか。 去年から今年にかけて南アフリカを舞台にした映画も公開されて一般の注目も高まっているのではないでしょうか。 サッカー観戦と同時に現地の歴史や文化とか色々と見て帰ってもらいたいですね。 もちろん金が無い私は行きませんが...

                           

 先発メンバーの発表も終わり、持って来た弁当を食べながら待っているとついに試合開始の時間がやって来た。 急いで紫の風船を膨らませようとするのだけどなかなか膨らまない。 風船を膨らませたのはかなり久しぶりですからね、カープの試合でも個人的なこだわりでジェット風船は使いませんし。 何とか膨らませた風船を掲げて両チームの選手が入場し、私も周りのサポーターに倣って適当なタイミングで風船を割った。 いよいよ試合開始の時です、前回の山東戦は点を取れずに負けてしまったので今回は3点くらい取って気分良く勝ちたいところです...



 それにしても向こう側に見える清水サポーター、かなりの人数が来ていますね。 さすがに外国から来るのと国内から来るのでは人数が違うのは当然ですが、静岡から広島まではかなり遠いですからこれだけ来るとは驚きです。 前回の山東のサポーターが隅っこに少しだけでも100人近く居たらしいですから今日の清水サポーターは恐らく1000人近く来ているのでしょう。 晴れの開幕戦とは言え、これだけ遠くてしかも交通アクセスの悪いスタジアムまでやって来る情熱は敵ながら大したものですね。

 一方でサンフレッチェのサポーターも今回はかなりの人数が居ますね。 気分的には2戦目ですけど晴れの開幕戦ですからよく集まっている感じです。 去年の5月に同じ清水と対戦した時は清水サポーターの熱狂的な応援にサンフレッチェサポーターが押される一幕もありましたけど今日は人数も入っていますし応援でも清水に負けていない熱さで盛り上がっていました。 今年はACLにも出ますしサポーターの関心も高まっているのでは...



 試合はいきなり動いた。 清水のゴール付近でサンフレッチェのMF高萩選手が抜け出したところをたまらず倒されてしまい、それによって得たPKを当然エースのFW佐藤(寿)選手が蹴るのかと思ったら体格から見て別の選手が蹴るみたいだ。 何分、双眼鏡などを持って来ていないので向こう側ゴール付近の状況が良く分からないのだ。 良く分からないが清水ゴール付近で選手達が激しく動き回り、大型ビジョンに”GOAL!!”と出たのでサンフレッチェに1点が入ったのだろう。 スタジアムDJを務める地元タレント・石橋竜史さんが今の得点は佐藤選手のゴールだと言ったので佐藤選手のゴールだと分かった。 あれがDF槙野選手が蹴る振りをして佐藤選手が脇から抜け出して蹴った”トリックPK”だと知ったのは家に帰ってスポーツニュースを見てからでしたが...

 とにかく先日の試合では1点も取れずに負けたのですけど今日は試合開始からすぐに先取点が入って安心して見られるな。 しかし追加点を取らないといつか追い付かれると言う気分で精神的にキツイのでもう1点早く欲しいものですが。 相変わらず遠くて見えにくいが攻め込んでもなかなか決め切れなくて1-0の展開が続く。 清水は今年から3トップのより攻撃的な陣形にしているらしいが、サンフレッチェの1トップも別に佐藤選手にボールを集めると言うよりは攻撃時には10人全員がFWみたいな気分で誰でも攻め込んでシュートを打つ、こちらもまた”攻撃サッカー”なのだと思いますけど今年は故障者が多くてなかなか本来の形が出来ていない感じです...

                                     

 前半が終わってハーフタイムだ、私は観客席の裏に出てみる。 トイレを見てみたが大変な行列だしどうしても行きたい程では無いので行かずに客席裏の売店をチェックしてみた。 店の数はそこそこあるのだけどやっぱりマツダスタジアムの売店と比べると物足りないですが。 それに今回はトイレに行かなかったのでゆっくりと見ていられますが、トイレに行っていればそれだけでハーフタイムが終わってしまって売店を見ている暇は無いんですよね。 駐車場や交通アクセスの問題もありますけどこう言う部分も何万人も集めてプロサッカーの興行をする事を想定して造られていないと実感するのですが...

 私は自分の席に戻って来た。 ハーフタイムの間は場内の大型ビジョンで広告が流れているのだけど、その最後にこのスタジアムでの次回ホームゲームの案内が流れた。 サンフレッチェは今日の試合の後はしばらくアウェーゲームが続き、次の試合は今月30日・火曜日のアデレード・ユナイテッド(オーストラリア)戦になるのですが、その告知映像が流れている大型ビジョンは清水サポーターが陣取っている場所の真上だった。 清水のサポーターはどんな気分で見ていたのだろうか? 昨シーズン終盤、清水は一度は首位に立っていますし、もしかしたら自分達が今見ている映像は日本平スタジアムの大型ビジョンで流れていたのかも知れないですよね。 一年前も書きましたけど清水の街はJリーグが始まる前の一般にサッカーの話題が無い時代からサッカーが盛んで”日本のブラジル”と呼ばれていました。 Jリーグが出来てプロサッカークラブが全国に出来る中で清水の存在感が薄れてしまった様な感じですが、今度こそACL出場権を掴んで清水の名をアジアに轟かせないと。 歴史を大切にして静岡市の一部となっている清水の名を再び全国に広めなくては。 その為にも清水のサポーターは今の内から来年のACLでのアウェー応援の為に韓国、中国やオーストラリア、更に勝ち進めば中東へと乗り込む資金を貯めておいた方が良いと思いますよ...

                                     

 後半戦が始まった。 サンフレッチェはなかなか追加点が取れない。 そうしている内にとにかく点を取らないといけない清水は次々と攻撃の選手を入れて来た。 後半は清水の猛攻を何とか耐え抜いて試合終了まで守り抜こうとする状態、こうしてみるとGK西川選手の加入は大きかった。 彼が来てくれたお陰で安心してACLを迎えられましたし、今日の試合も清水に決定的な場面を作られながらも何とか点を取られないでいるのは西川選手の活躍が大きいです。 特にサンフレッチェはDFもガンガン攻め上がるのが特徴の”攻撃サッカー”ですからGKの能力は考えていた以上に大きかった。

 清水はとうとう3人目の交代カードを切った。 日本代表の試合にフル出場してから中2日のFW岡崎選手は途中交代もせずにフル出場ですか... 大したものですけど疲れでいつものキレも無いかも知れないですが、出ると言う気持ちは高く買いますね。 来年本当にACLに出ればこんな形の厳しい連戦はまたあるでしょうし。 サンフレッチェも終了間近になって交代カードを次々と切って来た。 山東との試合で負傷していたFW佐藤選手は珍しく途中交代しました。 こんな時こそFW李(忠成)選手が点を取らないと。 しかし追加点が取れない中、試合終了まであと数分と言うロスタイムに清水のFW大前選手に決められて同点にされてしまった。 気を取り直す暇も無く試合終了の笛が吹かれて終わってしまった。 あと1分持ちこたえていれば勝てたのだが...

                                     

 試合後、私はしばらくその場から動けなかった。 しばらく試合の余韻の中に居て、スタジアムを出ると両チームのサポーターが横川駅行きのバスに並んでいる。 横川も良いけど広島に来たら平和公園にも行ってくれるといいのですが。 とりあえず元締めに連絡をしないといけないな。 今回も勝てなかったのでシンプルな報告で済ませる事にしよう。

「申し訳ありません、あと一歩のところで的を取り逃がしてしまいました。 これより現場を撤退します。」

                                      

 残念ながら今回も勝つ事が出来なかった。 サンフレッチェはこれからしばらくアウェーの試合が続くが、何とか本来の攻撃サッカーを取り戻して欲しいですね。 故障者が多くて厳しいですけど立て直してもらいたいです...



 仕立屋... 和服作りを請け負う専門の職人を江戸時代、こう呼んだ。 しかし、ここで言う”仕立人”とは資金力による格差が満ちるプロスポーツ界に法で晴らせぬ恨みを代わって晴らし、熱き戦いを巻き起こす闇の仕掛人の事である。




                 続く







                 キャスト



駿河守/ナレーター      管理人さん


清水湊の強力3トップ     ヨンセン(清水FW)

清水湊の強力3トップ     藤本淳吾(清水FW)

清水湊の司令塔        本田拓也(清水MF)

清水湊の防波堤        ボスナー(清水DF)

清水湊の防波堤        岩下敬輔(清水DF)

岡崎シンジ           岡崎慎司(清水FW)

小野シンジ           小野伸二(清水MF)



三矢の獅子          佐藤寿人(広島FW)

三矢の攻撃型DF       槙野智章(広島DF)

三矢の闘士          李忠成(広島FW)

三矢の新司令塔       高萩洋次郎(広島MF)

川崎から来た男        山岸智(広島MF)

三矢の守備の要       ストヤノフ(広島DF)

三矢の守護神         西川周作(広島GK)

サンチェ             ????(広島FC公式マスコット)

フィレッチェ           ????(広島FC公式マスコット)



清水サポーターの皆さん

広島サポーターの皆さん



元締め・おまき         ????(女優)





                 スタッフ


製作              管理人さん

脚本              管理人さん

演出              管理人さん

殺陣              管理人さん

美術              管理人さん

音楽協力           YouTube

撮影協力           広島市
                 広島広域公園競技場(広島ビッグアーチ)
                 サンフレッチェ広島
                 清水エスパルス
                 広島平和記念公園
                 広島東照宮

監督              長谷川健太(清水)
                 M・ぺトロヴィッチ(広島)




 この物語は一部フィクションであり、実在する人物、団体、地域とは関係無い...ところが含まれております。



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