廣島パイレーツ・チャンネル

広島の名も無き”田舎侍”が地元プロスポーツを中心に色々と書いて行く過激なスポーツコラムや、広島の市政や街づくりについても

痛快娯楽時代劇 新・筆殺仕立人 第参話・本

2010-03-30 22:22:22 | Weblog
 今日はサンフレッチェのACLアデレード戦だ。 私はこのオーストラリアの古い街に行った事は無いが名前は良く知っている。 子供の頃に見たアニメ世界名作劇場の『南の虹のルーシー』の舞台だったからだ。 オーストラリアに入植した貧しい一家の苦労話で、母は”暗い話”だと言ってこの作品はあまり好きになれなかったのを覚えている。 さて、スクーターでスタジアムに近付くといつもの「アストラム大塚駅付近、渋滞中。」の道路情報が目に入る。 本当に毎度の事で聞き飽きるが、”御用新聞”はこう言う事実は一切書かない。 広島ビッグアーチをオリンピックのメイン会場にしたとしても、このアクセス問題を本質的に解決しなければどうにもならないのだが...

                           

 スタジアム付近はACL独特の雰囲気と平日と言う事でJリーグのいつもの試合とは微妙に感じが違うのだが、春休みなので前回の山東魯能戦よりは親子連れの姿が多い。 スタジアム入り口では広島県サッカー協会によるワールドカップ誘致立候補を求める署名運動をやっていたが、私はこの不便なスタジアムを使う事を前提とした立候補には断固反対なので署名はしませんでした。 第一、日本代表の試合が20年近く来てくれない”不便な”広島が現状のままで立候補しても勝ち目は薄いと思いますよ...

                           

 スタジアム正面の広場に屋台村が出来ていて、何やら行列になっているので気になって見てみるとオージービーフのステーキが一枚450円(さすがにオーストラリア産のお手頃な安さ!)なのだそうで、オーストラリアを食ってやると言う縁起担ぎでしょうね。 私もその為に今回は”肉”を中心にして食べる物を用意して来ました。 やっぱりオーストラリアと聞くと牛肉のイメージがありますしね...

                  

 私は入場ゲートをくぐって観客席に入る。 ゴール裏のいつもの場所に荷物を置いて席を確保したところでスタンド裏の売店を覗いて見る。 ACL恒例のご当地スープコーナーがあるけどこれはハーフタイムにするか、今日は寒くて身体が冷えるだろうし。 そんな訳で私はカレーライスを食べる事にした。 ビッグアーチのカレーはなかなかイケると思っていたのだが、今日は寒いので良く売れるのか商品が足りずに継ぎ足している”舞台裏”を見る羽目になってしまった。 大鍋で温めているカレーをご飯に掛けるのだが、その大鍋に裏の別の鍋で湯煎していた業務用レトルトカレーを客の目の前で封を切って大鍋に入れているのだもんな...ちょっと興醒めしてしまった。

                           

 さて、カレーを食べている間に先発メンバー紹介が終わって試合が始まった。 アデレードの監督は昔サンフレッチェでFWをやっていたアウレリオ・ビドマーさんなのだが、ACLではライセンスの関係で指揮を執れないらしい。 試合は序盤から3連敗で後が無いサンフレッチェの猛攻が続く。 オーストラリア人の方が体格で勝っているとは聞いたが実際に戦っているのを見るとそこまで差があるとは感じない。 ただし高さではどうにも敵わないので”空中戦”では不利になるからFCやCKの時は要注意か。 前回の山東戦と同様、攻めていてもなかなか点が入らなかったのだが、前半終了直前にCKからの相手ゴール前での混戦からエースFWの佐藤(寿)選手がヘディングで叩き込んで待望の先制点が入った。 その直後に前半は終了してハーフタイムに入る...

                  

 ハーフタイムに入るとまずトイレに行ったが、寒かったので予想通り混んでいた。 その後、スープのお店に並んだがこっちも大行列、待っている間にハーフタイムが終わってしまった。 その間に携帯でカープの途中経過をチェックするのだが5-3で負けているらしい。 見ると私と同じ様に携帯でカープの試合を見たりしている人が他にも多く居た。 さてスープなのだが今回はオーストラリアと言う事でテールスープにしました。 一杯300円で肉も多く入っていて味は良かったのだが、こちらもまた商品が売れ過ぎて客の目の前でレトルトパックを切って鍋に継ぎ足しているのがちょっと... それと家からは妹にもらったアメリカ産ビーフジャーキーを持って来て試合中かじっていました。 ビーフカレーにテールスープ、そしてビーフジャーキー...と牛肉尽くしで行ってみました。

                                     

 後半戦はサンフレッチェが1点を守り抜く戦術に出たらしくてアデレードに押しまくられる展開になった。 とにかく点を取って引き分け、もしくは逆転を狙うアデレードと引いて守って状況によってはカウンター攻撃を狙うサンフレッチェとの攻防が続く。 向こうの方が背の高さがあるのでFKやCKを取られると冷や冷やしたが、GK西川選手ら守備陣が前回対戦の反省から対策をしっかりしていて特に西川選手はゴール前の”空中戦”で先にボールを奪い取ってピンチの目を摘むなど大活躍でサポーターの大声援を受けていた。 そしてロスタイム、そろそろラストプレーだと思われる時間のアデレードの最後のカウンター攻撃が西川選手がボールを掴んで終わった時、笛が鳴ってサンフレッチェのクラブ史上初めてにのACL勝利の瞬間が訪れた...

 2年前、J2に落ちて1年で這い上がろうと盛り上がっていた2008年シーズンから1年でJ1に復帰し、その2009年シーズンをJ2で旋風を巻き起こした攻撃サッカーでJ1でも大躍進して4位となり、ACL出場権を持つG大阪の天皇杯制覇によって念願だったこの舞台にやって来て、4試合目にしてついにACLでの初勝利と言うクラブの歴史的瞬間をスタジアムで迎えて感無量です。 もちろん、まだ一つ勝っただけですけど。 さて、サンフレッチェも勝った事だし、私ももう一仕事残っていますね...



                             

「Are You AdelaideUnitedFC Players?」

「...Yes、Who?」

「残念ですが私の発音では通じなかったみたいですね、しかし...」

                  

「これは...”万国共通”でしょう。」

「?!*¥@!!」


                

                        

                

    

                 


「......峰打ちでござんす。」



 今日はさすがに日本まで応援に来たサポーターは居なかったみたいですけど前回のアウェー戦の映像を見たら向こうも平日だったはずなのにハインドマーシュ・スタジアムの客席は一杯でオーストラリアのサッカー人気は思っていた以上にあるみたいですし、オーストラリアからいいチームを送り込んでこれからもアジアのライバル同士で代表戦だけでなくACLでのクラブ同士の戦いでも盛り上がって行きたいです。 今回はあなた達みたいに強い相手と戦えて本当に面白かったです。 今回は来られなかったビドマーさんにも今度は正規の監督としてACLの舞台でいつかまた戦いたい...と、伝えておいてくださいね。



                                

 試合後、私はしばらく今年初めての勝利の余韻に浸っていた。 勝つとスタジアム周辺の空気も私の帰り道の気分も当然ながら違うものだな。 とりあえず元締めに連絡をしないといけないな、考えてみると新しい元締めを迎えて勝ったのはこれが初めてだった。 勝ってもやはりシンプルな報告で済ませる事にしよう。

「元締め、仕立て完了しました。 これより撤収します。」

                                      

 今回もなかなか点が入らなかったけど、ついにサンフレッチェでは初めての国際試合勝利を現場で体験出来て良かったです。 それでもグループリーグ突破は厳しいですが最後まで意地を見せてもらいたいですね。 残り2試合を全部勝てば逆転で2位以上になってグループリーグを勝ち抜ける可能性はまだ残っているのですから...



 仕立屋... 和服作りを請け負う専門の職人を江戸時代、こう呼んだ。 しかし、ここで言う”仕立人”とは資金力による格差が満ちるプロスポーツ界に法で晴らせぬ恨みを代わって晴らし、熱き戦いを巻き起こす闇の仕掛人の事である。




                 続く







                 キャスト



駿河守/ナレーター      管理人さん


南の虹の重戦車        セルジオ・ファンダイク(アデレードFW)

南の虹の闘士         トラヴィス・ドッド(アデレードMF)

南の虹の司令塔        マルコス・フローレス(アデレードMF)

南の虹の岩山         ロバート・コーンスウェイト(アデレードDF)

南の虹の守護神        ユージン・ガレコビッチ(アデレードGK)



三矢の獅子          佐藤寿人(広島FW)

大阪から来たACL男     山崎雅人(広島FW)

三矢の闘士          李忠成(広島FW)

三矢の鉄人          服部公太(広島MF)

川崎から来た男        山岸智(広島MF)

三矢の万能選手        中島浩司(広島MF)

三矢の守護神         西川周作(広島GK)

サンチェ             ????(広島FC公式マスコット)

フィレッチェ           ????(広島FC公式マスコット)



アデレードサポーターの皆さん

広島サポーターの皆さん



元締め・おまき         ????(女優)





                 スタッフ


製作              管理人さん

脚本              管理人さん

演出              管理人さん

殺陣              管理人さん

美術              管理人さん

音楽協力           YouTube

撮影協力           広島市
                 広島広域公園競技場(広島ビッグアーチ)
                 サンフレッチェ広島
                 アデレード・ユナイテッド
                 広島本通商店街
                 広島東照宮

監督              M・ぺトロヴィッチ



 この物語は一部フィクションであり、実在する人物、団体、地域とは関係無い...ところが含まれております。



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